なぜ今、フクビ化学なのか
5つのカタリスト創業家(資産管理会社 八木熊13.4%+創業家個人(会長)4.3%)17.7%。上位10株主で約59%、安定株主が厚く公開買付けの成立ハードルが低い。
1,600円(PBR0.76倍)でのMBOでも必要資金254億円。余剰現金+証券売却+EBITDA3倍のLBOで約240億円を賄える。会社の資産で買える典型形。
会社自身が「PBR1倍割れ・ROE<資本コスト9%」を認め改善を宣言(企業価値向上2030)。東証要請・持ち合い解消の進行で、非公開化が合理的な選択肢になり得る。
バー長は自社株取得反映後BPS2,063円=100%。株価はその約49%。SOTPは参考推計で、当商会のA−判定には使用していません。
NAV分析 ── 時価総額194億円の中身
本業は実質ゼロ評価税率30.6%で含み益・年金資産を税後換算。土地含み益はBaseケース(P3参照)。
| 項目 | 金額 | 1株 | 対株価 |
|---|---|---|---|
| ネットキャッシュ(現預金−借入−リース) | 95.9億 | 501円 | 50% |
| 投資有価証券(含み益に税効果控除) | 60.8億 | 318円 | 31% |
| 小計:キャッシュ+証券 | 156.6億 | 818円 | 81% |
| 年金資産(税後) | 22.7億 | 119円 | 12% |
| 小計:+年金資産 | 179.4億 | 937円 | 93% |
| 土地含み益(税後・Base) | 17.0億 | 89円 | 9% |
| 非事業資産 合計 | 196.4億 | 1,026円 | 101% |
| 時価総額(1,012円) | 193.7億 | 1,012円 | 100% |
残りの運転資本(売上債権・棚卸資産−仕入債務)・工場設備・ブランド・顧客基盤は0円で付いてくる勘定。
| 指標 | 値 | コメント |
|---|---|---|
| PER(27/3期予想EPS 98.6円) | 10.3倍 | ネットキャッシュ控除後の実質PERは約5倍 |
| 株探PBR | 0.48倍 | 9/18確定終値。自社株取得反映後BPS2,063円で株価/BPSは0.49倍 |
| 修正PBR(土地含み益Base加算) | 0.47倍 | 修正BPS 2,152円 |
| 金融資産床 | 801円 | 現金−有利子負債+有価証券75%(当商会の検証値) |
| EV/EBITDA(証券税後控除) | 1.2倍 | 証券を税前で控除すると0.8倍 |
| 配当利回り(年31円) | 3.06% | 累進配当・配当性向31% |
| 正規化FCF利回り | 約7% | EBITDA約30億−法人税約6億−設備投資約10億 |
| ROE(27/3期予想) | 4.8% | 会社認識の資本コスト9%を大きく下回る |
| 事業価値の置き方 | 事業価値 | 株式価値 | 1株 |
|---|---|---|---|
| NOPAT 15.6億 × 8倍 | 125億 | 261億 | 1,364円 |
| NOPAT 15.6億 × 10倍 | 156億 | 293億 | 1,531円 |
| NOPAT 15.6億 × 12倍 | 187億 | 324億 | 1,693円 |
| EBITDA 35億 × 5倍 | 175億 | 312億 | 1,630円 |
| EBITDA 35億 × 4倍 | 140億 | 277億 | 1,447円 |
非事業資産=余剰現金(現預金−月商1ヶ月分36億)+証券(税後)+年金資産(税後)−有利子負債−非支配持分。土地は事業用のため二重計上を避け除外。中央値≒1,531円。
政策保有株式は18銘柄・純資産比19.4%(CG報告書、2026年3月末)。中計では2027年度までに累計20億円の縮減を掲げ、24年度573百万・25年度479百万(売却益217百万)を売却済み。長瀬産業とは相互保有(当社は長瀬の議決権0.2%、長瀬は当社の12.8%)。
含み益の主役は土地ではなく有価証券。ただし時価でBSに載っているため「隠れ資産」ではなく、既にBPSに反映済み。売却すれば現金化=還元・成長投資の原資になる。
銘柄別明細は有価証券報告書「株式の保有状況」に記載。本稿は連結注記の取得原価・時価総額ベースで評価。
| 前提 ROE | 資本コスト8% | 資本コスト9% |
|---|---|---|
| 4.4%(26/3期実績) | 0.49倍 / 1,003円 | 0.43倍 / 876円 |
| 4.8%(27/3期予想) | 0.54倍 / 1,120円 | 0.48倍 / 980円 |
| 6.0%(中計28/3期目標) | 0.71倍 / 1,472円 | 0.63倍 / 1,289円 |
| 8.0%(2030年目標) | 1.00倍 / 2,063円 | 0.88倍 / 1,804円 |
適正PBR=1+(ROE−CoE)/(CoE−g)、g=1%。現株価は「ROE4.8%が続き、資本コスト9%」という現状維持シナリオとほぼ一致。資産の厚さだけでは上がらず、ROE6%への道筋か資本イベントが株価を動かす。
土地含み益 ── 取得時期×公示地価で拠点別に推計
Base 税前24.9億 / 税後17.0億| 拠点(所在地) | 取得時期 | 面積 | 簿価 | 参照地点(2026年・円/㎡) | 評価単価 Bear/Base/Bull | 含み益 Bear/Base/Bull |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 本社・本社工場 福井市三十八社町33-66 | 1962〜63年 昭和37〜38 | 79,716㎡ | 3.70億 4,640円/㎡ | 福井09-1 上森田(工業地域・大規模工場)17,100/09-5 若栄町 22,500/09-6 重立町 23,300 | 1.3 / 1.8 / 2.3万 | 6.7 / 10.6 / 14.6億 |
| 坂井工場 坂井市坂井町定旨1-1 | 1983年 昭和58 | 92,857㎡ | 3.84億 4,135円/㎡ | 坂井05-4 上新庄(丸岡駅前商業)29,000/坂井00-7 住宅地 30,500 → 郊外工場地として40%水準 | 0.8 / 1.2 / 1.6万 | 3.6 / 7.3 / 11.0億 |
| 三方工場 若狭町三方 | 1970年頃 旧フクビミカタ | 14,139㎡ | 0.29億 2,050円/㎡ | 若狭00-1 三方駅前(路線商業)17,900(−1.6%) | 0.5 / 0.8 / 1.1万 | 0.4 / 0.8 / 1.3億 |
| 東京支店 フクビビル 品川区大井1-23-3 | 1993年竣工 平成5 | 約450㎡ 推定 | 8.78億 3拠点計 3,144㎡ | 品川05-20 大井1-10-4(大井町駅180m)3,220,000(+19.3%)/品川05-2 大井3丁目 1,440,000 | 130 / 180 / 240万 | 0.3 / 3.6 / 7.9億 |
| 大阪支店 フクビビル 吹田市江の木町17-12 | 1995年竣工 平成7 | 約800㎡ 推定 | 旧吹田7-4 江の木町(準工)158,000(2010年)/吹田05-7 江坂町1丁目 1,930,000(+12.2%) | 28 / 35 / 45万 | ||
| その他営業拠点 名古屋は賃借 | — | 約1,894㎡ 推定 | 地方都市の業務地を想定 | 5 / 8 / 12万 | ||
| フクビハウジング(71%) 岩手県紫波町片寄 | 1991年 バブル期 | 12,469㎡ | 1.33億 10,670円/㎡ | 紫波05-1 日詰(商業)31,100/紫波00-2 住宅 32,800 | 0.7 / 1.0 / 1.3万 | −0.5 / −0.1 / +0.3億 |
| アリス化学 あわら市東田中6-1 | 2016年 連結時に時価取込 | 12,562㎡ | 0.68億 5,410円/㎡ | あわら00-3 市姫(住宅)22,800/00-1 15,800 | 0.5 / 0.8 / 1.1万 | −0.1 / +0.3 / +0.7億 |
| FUKUVI USA(75.9%) Huber Heights, Ohio | 1996年〜 | 74,150㎡ 18.3エーカー | 0.48億 | オハイオ州工業用地(1エーカー当たり)$55k / $85k / $120k想定、1ドル147円 | — | 1.0 / 1.8 / 2.8億 |
| FUKUVI VIETNAM(86.7%) Amata工業団地(ドンナイ) | 2019年 | 15,774㎡ | 1.78億 長期前払費用 | 土地使用権。取得から7年、工業団地賃料上昇を反映 | ±0 / +25 / +50% | 0 / 0.4 / 0.9億 |
| 合計 | 約30.5万㎡ | 20.9億 | 11.4 / 24.9 / 39.4億 |
出所:有価証券報告書(第91期・第92期)主要な設備の状況、国土交通省 地価公示(2026年1月1日)・都道府県地価調査(2026年7月1日)。工場用地は大規模画地・郊外立地のため近隣の商業地/住宅地の35〜60%で補正。東京・大阪・その他の面積配分は有報の合計値(3,144㎡・簿価8.78億)から当方推定。税率30.6%、子会社は持分比率で按分。千葉工場・岐阜加工センター・あわらバイオマス・名古屋支店・フクビ岡山(岡山)は賃借。
賃貸等不動産は「重要性が乏しい」として時価開示なし=会社自身も大きな含みとは見ていない。
事業性 ── 樹脂の異形押出70年と断熱材の寡占
ニッチトップ性 B / ストック性 C+セグメント利益は全社費用(24.9億)配賦前。主要顧客は伊藤忠建材(68.7億・売上の16.9%)。
| 製品価格の引き上げ(売上比) | 営業利益への上乗せ | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| +1% | +4.3億 +19% | 26.8億 | 6.3% |
| +2% | +8.6億 +38% | 31.1億 | 7.3% |
| +3% | +12.8億 +57% | 35.3億 | 8.3% |
| セグメント | 売上 | 営業益 | ドライバー |
|---|---|---|---|
| 建材 | 64.7億 +5.9% | 10.1億 +17.2% | 駆け込み需要・価格転嫁、フェノバ+26.7%、防水部材・内装建材 |
| CSE | 27.6億 +8.5% | 1.2億 −18.5% | 床材+12.7%・浴室OEM増も値上げが原料高に追いつかず |
| 精密 | 7.9億 +122% | 1.6億 +338% | 車載メーターカバー・HUD、カメラレンズカバー |
| グローバル | 9.0億 +5.2% | −0.1億 改善 | ASEAN・米国の建材、円安 |
| 製品・分野 | ポジション | ストック要素 | 成長ドライバー | 評価 |
|---|---|---|---|---|
| フェノバボード フェノールフォーム断熱材(フクビ岡山) | 2019年に積水化学から事業承継。住宅用フェノールフォームボードは旭化成建材「ネオマフォーム」との実質2社体制(当方推定)。熱伝導率が板状断熱材で最高水準、不燃性・平滑性 | ハウスメーカー・工務店の断熱仕様に採用されると継続受注 | 省エネ義務化(2025)→GX ZEH(2027)→ZEH水準義務化(2030)で付加断熱が標準化 | A− |
| 樹脂製内装部材 見切・廻縁・巾木・目地・下地材 | 創業来の異形押出成形。品揃えの幅でプロ向け建材流通の定番(シェア開示なし) | 新築・リフォームの"消耗部材"。伊藤忠建材など流通経由で指名買い | 着工減で汎用品は逆風、非住宅・リフォームで補完 | B |
| 外装・防水・通気部材 瓦桟・水切り・床下/屋根通気 | 坂井工場で生産。ナフサショック時に他社の供給制限で需要が集中 | 工法(通気工法)に組み込まれるスペックイン型 | 耐久性・省エネ性能要求の上昇 | B |
| 非住宅:OAフロア・PLANTOOL フリーフロア、フォークガード等 | オフィス・工場・倉庫の安全/床システム。PLANTOOLは+14.1% | 物流施設・工場の新設/改修で継続需要 | 物流倉庫・工場投資、ZEB化 | B |
| 再生木「プラスッド」 | 業界初「エコリーフ」取得、隈研吾事務所監修品。+22.7% | 公共・商業施設のデッキ・ルーバー | 環境配慮・県産材活用 | B− |
| CSE:浴室パネル・床材・車両ダクト | 2008年に松下電工の乾式浴室内装事業を承継。バス等大型車両ダクト、光ガイディングバー | 住設メーカーへのOEM=長期供給契約型 | 住設の値上げ・リフォーム | C+ |
| 精密:AR(反射防止)成形品 | 車載メーターカバー・HUD・カメラレンズカバー | 車種ライフ(4〜6年)の量産受注 | 車載ディスプレイ大型化 | B+ |
会社はシェア・No.1を公式に開示していない。「2社体制」は国内の住宅用フェノールフォームボード製造者の状況からの当方推定。フクビ岡山は「フェノバボード国内唯一の生産拠点」(会社開示)。
一方で規制は断熱材に追い風:2025年4月に全新築で省エネ基準適合義務化、2027年4月にGX ZEH基準、2030年までにZEH水準へ引き上げ。野村総研は2050年目標達成に年120万戸規模の省エネ改修が必要と試算。リフォーム市場は2024年8.3兆円→2040年9.2兆円。
→ 汎用内装材は"戸数"に連動して縮むが、高性能断熱材は"性能×改修"で伸びる二極化。会社も成長牽引分野の売上を約140億→FY27 240億→FY30 294億へ倍増させる計画。
弱点:売上の6割が住宅関連で、汎用品は着工戸数と価格競争に晒される。過去7期の売上は356〜413億円、営業益8〜18億円とブレは小さいが、利益率は4%前後で頭打ち。サブスク・保守型の収益はない。
ナフサショック時の示唆:供給制約下で「モノを持っている会社」に需要が集中し価格転嫁が通った(建材OP+17%)。一方CSEはOEM顧客への転嫁が遅れ減益=交渉力は製品ごとに差がある。
業績・中期経営計画 ── 回復の初動と未達の中計
27/3期 OP+29.9%予想27/3期は会社予想、28/3期は中計目標。営業利益率は2.3%(21/3)→4.3%(26/3)→5.3%(27/3予)→6.2%(中計)。EBITDAは26/3期31.4億(マージン7.7%)。
| 指標 | 26/3実績 | 27/3予想 | 28/3目標 | 判定 |
|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 405.9億 | 428億 | 450億 | 要+5% |
| 営業利益 | 17.3億 | 22.5億 | 28.0億 | 要+24% |
| 営業利益率 | 4.3% | 5.3% | 6.2% | 途上 |
| 当期純利益 | 16.8億 | 19.0億 | 21.6億 | 要+14% |
| ROE | 4.4% | 約4.8% | 6.0%以上 | 未達濃厚 |
| ROIC | 3.4% | — | 5.9% | 未達濃厚 |
| 自己資本比率 | 72.6% | 72.5% | 65% | 資本過剰 |
| D/Eレシオ | 0.027 | 0.024 | 0.4倍以下 | レバ未活用 |
2030年展望:売上500億・営業益35億・ROE8%以上・ROIC7%以上。会社は25年度を「成長率が想定に届かず計画未達」と自己評価。
会社開示(決算説明資料・中計進捗)。現在の株探PBRは0.48倍、ROEは4%台。残余利益モデルは参考推計です。
| 原資 | 億円 | 使途 | 億円 |
|---|---|---|---|
| 営業CF | 132 | 成長投資 | 105 |
| 負債活用 | 50 | └ 新たな住まい(断熱等) | 45 |
| CCC適正化 | 15 | └ M&A / モビリティ | 10 / 5 |
| 政策保有株式縮減 | 20 | └ R&D・人的資本・DX | 45 |
| 更新投資 | 32 | ||
| 株主還元(配当35+自己株10) | 45 |
自己株取得は計画10億に対し24年度2.58億+26年度(8月)6.45億で9.0億まで消化。フクビ岡山は20億円のシンジケートローン(北陸銀行アレンジャー)を締結し、初めて本格的に負債を活用。
| 決算期 | 年間配当 | 配当性向 | 総還元性向 | 自己株取得 |
|---|---|---|---|---|
| 23/3期 | 22円 | 30.0% | 53.6% | 3.51億(62.7万株) |
| 24/3期 | 31円 | 36.2% | 36.2% | — |
| 25/3期 | 26円 | 35.2% | 52.8% | 2.58億(35万株) |
| 26/3期 | 29円 | 34.1% | 34.1% | — |
| 27/3期予 | 31円 | 31.4% | 約65% | 6.45億(65万株・ToSTNeT-3) |
25/3期は業績連動で減配(31→26円)。その反省から25年5月に累進配当を導入し、以後は減配しない方針。
2026年は上場来高値1,347円(4/22)、安値846円(6/11)。信用買残9.4万株・売残0(9/11)。
株主構成とMBO・TOBの仮説
確率は置かない| 株主 | 株数 | 比率 | 性格 |
|---|---|---|---|
| ㈱八木熊 | 2,574,140 | 13.45% | 創業家 |
| 長瀬産業㈱ | 2,464,308 | 12.87% | 持ち合い |
| 三井化学(退職給付信託) | 約1,266,000 | 6.12%* | 売却進行中 |
| 三井物産プラスチック㈱ | 983,220 | 5.14% | 取引先 |
| 創業家個人(会長CEO) | 829,703 | 4.33% | 創業家 |
| ㈱福井銀行 | 710,300 | 3.71% | 地銀 |
| 昭和興産㈱ | 669,573 | 3.50% | 取引先 |
| ㈱北陸銀行 | 624,900 | 3.26% | 地銀 |
| 従業員持株会 | 600,808 | 3.14% | 安定 |
| 蝶理㈱ | 600,382 | 3.14% | 取引先 |
| 上位10名 合計 | 11,323,334 | 59.2% |
比率は原則として8月の自己株取得後の自己株控除19,141,242株を分母に再計算。三井化学のみ変更報告書の公式比率6.12%(発行済ベース)をそのまま表示しているため、分母が異なります。会社開示の3月末比率では長瀬産業11.91%、三井物産プラスチック4.75%。株主数3,872名、外国人10%未満。八木熊は役員及びその近親者が議決権の過半数を持つ会社(関連当事者)。
| 価格 | プレミアム | PBR | 必要資金 |
|---|---|---|---|
| 1,400円 | +38% | 0.66倍 | 222億 |
| 1,600円 | +58% | 0.76倍 | 254億 |
| 1,700円 | +68% | 0.80倍 | 270億 |
必要資金=創業家17.7%以外の買付総額。PBRは27/3期末BPS予想2,114円基準。
長瀬産業など安定株主の再出資(ロールオーバー)があれば資金は十分。
資金・支配構造は揃う。一方で会長は福井商工会議所会頭で地元経済界の顔、上場維持の意義を重視する可能性。
事業会社・ファンドのTOB:仮説
長瀬産業は自身も持ち合い縮減の立場で買い手より売り手寄り。断熱材強化を狙う化学・建材大手やPEが候補(旭化成は寡占上困難)。
現実的な本線:持ち合い株の売りを自社株買いで吸収し続ける「じわじわ型の資本効率改善」。
検証済みレンジ ── A−判定に使った上値と下値
上値1,258円 / 下値649円| 現在値 | 1,012円 | 2026年9月18日確定終値。9/21〜23は現物市場休業 |
| 上値基準 | 1,258円 | 自社株取得反映後BPS2,063円 × PBRレンジ上限0.61倍 |
| 下値基準 | 649円 | PER長期下限6.56倍 × 会社予想EPS98.9円 |
リスク分析
低評価には理由がある最終評価
2026.09 総合評価 A−(当商会の6軸×非対称比)当商会のランクは幅(上値÷下値)×確度(6軸・18点)のマトリクスで決まります。収益性は上値の置き方に、流動性はリスク軸に入れ、二重には引きません。ランクは下がりにくさの指標です。
| 軸 | 点 | 根拠 |
|---|---|---|
| 🦦安さ | 2 | PBR0.48倍で0.5倍以下。ただし中身は現金5割・有価証券4割の混合で「預金型」ではない。修正NCRは112% |
| 🦉財務 | 3 | 自己資本比率72.5%、借入0.97億円・リース8.47億円に対し現預金105億円(取得後)でネットキャッシュ |
| 🦫モート | 2 | 福井県が「乾式の断熱パネルでは国内シェアナンバーワン」と紹介。付加断熱工法への採用拡大=工法に組み込まれる。ただしROIC3.4%は資本コスト9%に届かず、堀が数字に出ていない |
| 🐊触媒 | 3 | 三井化学の変更報告書(8.97%→6.12%、義務発生日2026/8/10)と同日のToSTNeT-3で65万株(3.27%)取得。持ち合い解消が「すでに動いている」 |
| 🐝インカム | 3 | 利回り3.06%(年31円)に加え、累進配当と配当性向30%以上を原則とする方針(会社資料)。配当性向31%、利益率は改善中で減配フラグなし |
| 🦞リスク | 1 | 1日平均約5,000株(約500万円)で流動性が薄い。支配株主はいない(創業家系で約16%) |
上値:資産基準(1株実質純資産 2,063円 × PBR 0.61倍)=1,258円、+24%。下値:株価より下の候補(52週安値 846円/床(1株あたり金融資産) 801円/PER下限×会社予想EPS 649円)のうち最も深いもの=649円、▲36%。非対称比 0.68(幅・小)× 確度 14点(高)→ A−。1銘柄の上限はポートフォリオの4%。到達PBRを0.5倍(決算期末の上限)〜0.67倍(2026年4月の高値)に振っても、下値を床(801円)に替えても A− のままです。
- 株価1,012円(9/18終値)・PBR・配当31円・27/3期予想(営業益22.5億円)は株探で一致。1Q(売上107.8億円・営業益5.52億円)は決算短信で一致
- 現預金111.9億円・投資有価証券76.4億円・借入1.15億円・自己資本比率72.5%(6月末)は決算短信で一致
- ToSTNeT-3:2026/8/10に650,000株を総額6億4,545万円(1株993円)で取得、自己株を除く発行済の3.27%(同社開示)
- 三井化学:変更報告書で8.97%→6.12%(義務発生日2026/8/10)
- 累進配当・配当性向30%以上:同社の個人投資家向け説明資料(2025年8月)。ROE目標(FY27 6%以上)・株主資本コスト9%前後:「企業価値向上2030」(2025年3月)
- 補足:旭化成建材は2026年7月下旬にネオマフォームの受注再開を発表しています。1Qの追い風の一部は一時的です
- 訂正反映済み:流通株式は6月末の自己株897,183株+8月取得650,000株を除く19,141,242株(1,914万株)で統一し、BPS・資産の1株値・時価総額を再計算しました
- 土地含み益の拠点別推計・SOTP・MBO仮説は原資料由来の参考推計です。当商会のA−判定には使用していません。未検証だった3年確率シナリオは公開版から外しました
| 評価軸 | 評価 | 根拠 |
|---|---|---|
| 割安性 | A | 株探PBR0.48倍・金融資産床801円・EV/EBITDA1.2倍 |
| 財務健全性 | A+ | 自己資本比率72.5%・借入1.2億のみ |
| 資産の含み | A− | 証券含み益51億+年金資産33億+土地25億(税前) |
| 収益性 | C | ROE4.4%・営業利益率4.3%・ROIC3.4% |
| ニッチトップ性 | B | フェノール断熱材の寡占・異形押出の老舗(シェア非開示) |
| ストック性 | C+ | スペックイン・OEM型の準ストック、新築依存 |
| 成長性 | B | 省エネ義務化・ZEH・精密倍増/汎用品は縮小 |
| 株主還元 | B | 累進配当・ToSTNeT-3、配当性向は31%と控えめ |
| カタリスト | B | 持ち合い解消の吸収・MBO余地、時期は読めない |
| ガバナンス | C | 2006年の架空取引歴・創業家関連取引 |
| 流動性 | D | 1日売買代金 約500万円 |
| 総合(当商会基準) | A− | 当商会の6軸×非対称比ではA−。資産の厚さ×成長エンジン×資本政策の変化を評価し、低ROEと流動性はリスク軸等へ反映 |
| 価格帯 | 配分 | 考え方 |
|---|---|---|
| 1,000円前後 | 1/3 | 現値。ToSTNeT-3価格993円近辺 |
| 900〜930円 | 1/3 | 現金+証券+年金(937円)割れ |
| 850円以下 | 1/3 | 26年安値・キャッシュ+証券(818円)接近 |
流動性が低いため指値で時間分散。2Q決算(11月)で建材の反動減の有無を確認してから2回目を入れるのも有効。
見直し:①通期下方修正で建材が営業減益 ②累進配当撤回 ③第2工場の延期 ④持ち合い株が市場で大量に売られ、自社株買いが伴わない。
時間軸:3年でROE5%に届かず、自社株買いも止まれば資金を移す。