Investment Research · 6748 · 2026.07.27 作成

星和電機 (6748)
バリュー投資分析レポート

株価738円/PBR0.49倍/実質EV/EBIT 3.2〜3.7倍/BPS CAGR +10.0%(5年)
リターンの主エンジンはBPS複利。PBRが一切是正されなくても年8〜12%回る設計

保有妙味あり · 総合 4.0 / 5
PBR一定・配当据置でも配当込み年8〜12%。
還元性向19.5%の引き上げ余地は
価格に織り込まれていない無料オプション。
現在株価
738円
時価総額 95.1億円(12.88百万株)
PBR
0.493倍
BPS 1,497.14円(2026/3末)
予想PER
7.15倍
会社予想EPS 103.23円
実質EV/EBIT
3.2〜3.7倍
実質EV 60.7億円 ← 最大の割安根拠
投資有価証券
43.2億円
時価総額の45%・取得原価8.8億円
BPS CAGR(5年)
+9.97%
914.74円→1,471.04円 ← リターンの主エンジン
01

結論 ── 738円は「妙味あり」か

○ 保有妙味あり · 4.0/5
リターンの主エンジンはPBRの是正ではなくBPSの複利成長。BPS CAGRは過去5年で+9.97%。PBR0.49倍固定・配当20円据え置きという「何も良くならない」前提でも、配当込みで年8〜12%回ります。割安が解消されなくても成立する設計である点が、この銘柄の本質です。
📌 割安さの正体は土地でも現金でもなく、取得原価8.8億円まで遡れる政策保有株式43億円。そして還元性向19.5%という引き上げ余地は、価格に一切織り込まれていない無料のオプションです。
Positive 01 · 最重要
💰
事業は営業利益3〜4年分で買える
EV/EBIT 3.2倍
実質EV 60.7億円 ÷ FY26予想OP 19億円
時価総額95.1億円から純金融資産(売却税考慮後34.4億円)を差し引くと、事業価値は約61億円。EV/EBITDAは2.8倍。ここは疑いようのない割安性。
EV/EBITDA 2.8倍営業CF 21.1億円
Positive 02
📈
時価総額の45%が政策保有株
43.2億円
取得原価8.8億円・含み益率78%
その他有価証券評価差額金23.65億円(税引後)。縮減が進めば売却益+還元原資として時価総額に対するインパクトは絶大。京都地場企業との相互保有と推定。
相互保有解消は業界潮流最大のカタリスト候補
Positive 03 · 最重要
🔁
PBR一定でもBPS複利でリターンが出る
年 8〜12%
PBR0.49倍固定・配当20円据置ベース
BPS CAGRは過去5年で+9.97%(914.74円→1,471.04円)。リレーティングを一切前提にしなくても配当込みで年8〜12%。還元性向の引き上げはその上に乗る無料オプション。
是正不要のテーゼ配当性向40%なら利回り5.6%
Negative 01 · 短期
⚠️
1Q営業利益▲39%でも通期+15%を据え置き
上期5億→下期14億
極端な後半偏重。FY25も期初計画未達
情報機器は1Q売上▲27.7%・利益▲62.4%、受注残▲26.7%。8月の2Qは下方修正リスクの山場だが、3年保有前提なら「買い増しの機会」であって待つ理由ではない。
Negative 02 · 構造 = オプションの原資
🔒
PBRが15年以上1倍を回復しない「構造要因」── 裏を返せば伸びしろ
① 自社株買いは"受け皿"
2026/2の自己株取得は5万株・4,650万円のみ。開示文に「一部株主より売却意向の連絡を受けた」と明記されたToSTNeT-3取引で、還元目的ではない。
② 資本政策の数値目標なし
決算説明資料の株主還元パートは配当グラフのみ。ROE・PBR・資本コスト・政策保有株削減方針・総還元性向すべて記載なし。中計の目標も売上高と営業利益率だけ。
③ 安定株主45.6%
取引先持株会14.5%+財団7.7%+銀行7.9%+社員持株会3.2%。敵対的TOBもアクティビストによる強制的な変革もほぼ不可能な資本構成。
一文投資テーゼ
星和電機は、防爆照明のニッチトップを、時価総額の45%を占める政策保有株ごと実質EV/EBIT 3.2倍で買える資産バリュー株。そのうえリターンの主エンジンは年10%のBPS複利であり、PBRが是正されなくても年8〜12%回る。還元性向19.5%の引き上げと政策保有株の売却は、価格に織り込まれていない無料のオプション。安心して持ちながらポジティブ材料を待てる構造こそが本銘柄の強み。
○評価にあたって残す2つの留保
① BPS成長の3分の1は株式市況:過去5年の包括利益8,115百万のうち純利益5,385・OCI2,730でOCI比率33.6%。内部留保だけの「オーガニックなBPS成長」は年5〜6%程度。市況が崩れる局面ではBPS低下とPBR圧縮が同時に来るため、下値は見た目ほど堅くありません。
② 還元性向向上は「実績のないシナリオ」:配当は15→15→18→18→20円で、20円のうち2円は創業80周年の記念配当。実質は5年で15→18円。会社の開示に還元方針の数値目標もありません。無料オプションとして数えるのは正しいが、ベースケースの推進力に数えると期待値を過大評価します。
02

資産の精査 ── 含み益はどこにあるか

主役は土地でなく有価証券
純金融資産
43.6億円
時価総額の46%(2025/12末)
有価証券 含み益(税前)
約30.3億円
税引後 21.1億円→23.7億円(3月末)
土地 含み益(税引後推定)
5〜9億円
1株あたり約40〜70円にとどまる
退職給付に係る資産
23.0億円
積立超過・換金不能だが利益の質にプラス
⚠️ 最重要の注意点:含み益はすでにBPS 1,497円に反映済みです。「PBR0.49倍で、さらに含み益が上乗せ」という二重計算はできません。含み益の意味は「時価総額の45%が事業と無関係の非事業資産で構成されている」という点にあります。
現金・有価証券・有利子負債(2025年12月末 連結)
項目金額備考
現金及び預金34.09億円現金同等物は31.97億円
有価証券(流動)0.30億円
投資有価証券39.12億円2026/3末 43.18億円
保険積立金5.51億円準現金(解約返戻金)
有利子負債▲35.38億円短期20.0+1年内0.54+長期9.93
純金融資産43.64億円時価総額の46%

2026年3月末は短期借入金が20億→53億に急増(賞与・仕入債務決済の季節要因)。自己資本比率は63.1%→60.4%。

事実の訂正:「現金の厚い会社」ではない
現預金34.1億円に対し有利子負債35.4億円。ネット有利子負債はほぼゼロ(わずかにネットデット)で、キャッシュリッチ企業ではありません。

バリューの源泉はキャッシュではなく投資有価証券39〜43億円。ここを取り違えると投資判断を誤ります。
有価証券含み益の分解
その他有価証券評価差額金(2025/12末)21.07億円
同(2026/3末)23.65億円
逆算した税引前含み益約30.3億円
推定取得原価約8.8億円
売却時の税金流出▲約9.3億円

実効税率30.5%前提。大株主構成(京都銀行・滋賀銀行・GSユアサ・松風)から京都地場企業との相互保有と推定されます。

土地の明細 ── 有報「主要な設備の状況」より(2025年12月末)
所在用途簿価面積簿価単価評価
本社工場(京都府城陽市寺田新池)稼働中1.57億円29,000㎡5,413円/㎡含み益 大
筑西土地(茨城県筑西市)賃貸中4.94億円14,000㎡35,274円/㎡含み損リスク
㈱デジテック(城陽市)稼働中0.57億円555㎡102,072円/㎡中立
連結 土地簿価 合計7.07億円

城陽市の公示地価平均は97,141円/㎡(2025年、前年比+3.07%)、市内最高地点147,000円/㎡。工業地・大区画はこれを大きく下回るが、本社工場の簿価5,413円/㎡(1966年取得)は極端に低い。

土地含み益の試算(本社工場29,000㎡)
想定単価時価含み益(税前)
30,000円/㎡8.7億円7.1億円
40,000円/㎡(中立)11.6億円10.0億円
50,000円/㎡14.5億円12.9億円

税引後では5〜9億円、1株あたり約40〜70円。稼働中の本社工場であり移転を伴わない限り換金不能。

見落とされがちなリスク:BPSの市況連動性
純資産190.9億円のうち、その他の包括利益累計額が37.9億円(20%)を占めます。

内訳:有価証券評価差額 21.1億/退職給付調整 10.8億/為替換算 6.1億

株式市場が2割下落すればBPSは1株あたり100円程度毀損し得る。「PBR0.49倍」の分母自体が株式市況に連動している点は、下値見積もりで割り引くべきです。
土地含み益についての結論
土地の含み益は税引後で5〜9億円(1株40〜70円)程度にとどまり、時価総額95億円に対して決定的ではありません。しかも本社工場は稼働中で換金不能、筑西土地はむしろ含み損リスク側。バリュー論の主役は土地ではなく投資有価証券です。なお筑西土地の時価は有報「賃貸等不動産関係」注記で確認する価値があります。
03

バリュエーション ── 実質EVで見る

EV/EBIT 3.2〜3.7倍
時価総額
95.1億円
738円 × 12,883,997株
PBR
0.493倍
BPS 1,497.14円(2026/3末)
予想PER
7.15倍
会社予想EPS 103.23円
配当利回り
2.71%
年20円・配当性向19.5%
実質EV(事業価値)の算出
項目金額備考
時価総額95.1億円株価738円ベース
− 純金融資産(含み益売却税控除後)▲34.4億円43.6億 − 税金9.3億
= 実質EV(事業価値)60.7億円
FY25 営業利益 16.5億円EV/EBIT 3.7倍
FY26 会社予想営業利益 19.0億円EV/EBIT 3.2倍
FY25 EBITDA 21.9億円(+減価償却5.4億)EV/EBITDA 2.8倍

営業CFはFY25で21.1億円(前期9.8億円)。実質EV60.7億円は営業CFの約3年分。

なぜ実質EVで見るべきか
時価総額95億円のうち34〜43億円は事業と関係のない金融資産。これを差し引かずにPER7.2倍と言うと、割安度を過小評価します。

逆に、PBR0.49倍だけを見て「含み益がさらにある」と考えると割安度を過大評価します。実質EV/EBITが最も歪みの少ない物差しです。
下値の絶対水準
純金融資産(税引後)34.4億円1株267円
BPS × PBR最低0.31倍464円
過去5年の株価安値415円(2022/11)
2024年の株価レンジ434〜624円
📌 PBR0.49倍は2010年以降レンジ(0.31〜0.93倍)のほぼ中央値で、「歴史的バーゲン」ではありません。ただしこれは弱気材料というよりテーゼの立て方の問題です。リレーティングを当てにするとこの水準は物足りない。一方、BPS複利をエンジンに据えれば現値でも年8〜12%が成立します(→「リターン試算」タブ)。本レポートは後者を主論として採用しています。
株価・PBRの推移(年度別高安)
年度高値安値PBR高PBR安時価総額(高)
2021年12月期724円490円0.72倍0.49倍95.8億円
2022年12月期675円415円0.63倍0.39倍89.4億円
2023年12月期566円426円0.48倍0.36倍74.9億円
2024年12月期624円434円0.47倍0.33倍82.6億円
2025年12月期857円462円0.58倍0.31倍113.5億円
2026年(現在)930円(2/12)695円(6/25)95.1億円

2026年2月12日終値930円(自己株買付価格)から1Q決算(5/13)後に700円近辺まで下落。738円は直近レンジの上限付近です。

05

事業性 ── テーマの誤解を正す

主役は防爆照明
📌 この会社は「道路・トンネルのインフラ更新テーマ株」ではありません。照明機器の71%は石油精製・化学プラント向けの防爆照明。道路・トンネル照明は24億円(連結売上の9.4%)にすぎず、FY25は+0.8%と横ばいでした。
セグメント収益性(FY25、単位:百万円)── 表面 vs フル配賦
セグメント売上高表面利益表面率全社費用配賦配賦後利益実質利益率
照明機器9,9051,98620.1%▲7611,22512.4%
情報機器9,5311,31313.8%▲7325816.1%
コンポーネント5,4203326.1%▲417▲85▲1.6%
その他527295.5%▲40▲11▲2.2%
連結(全社費用 2,013 控除後)25,3851,6486.5%

全社費用1,950百万円を売上高比で按分した参考値。修正点①「照明機器の営業利益率20%」は全社費用配賦前の数字。フル配賦では12.4%。修正点②コンポーネント事業はフル配賦で実質赤字。

照明機器の製品群別売上(FY25)
産業用照明器具(防爆照明)70.75億円 · 71.4%
道路・トンネル照明器具23.97億円 · 24.2%
LEDモジュール製品4.33億円 · 4.4%

前期比:産業用+4.0%/道路・トンネル+0.8%/LEDモジュール+23.6%

防爆照明が高収益の源泉である理由
1958年に国内初の防爆検定合格:耐圧防爆形蛍光灯器具で第一号合格。1959年に耐圧防爆形水銀灯、1962年に粉塵防爆形蛍光灯も国内初。
防爆検定という参入障壁:石油精製・化学・ゴム・医薬・ガス等の爆発危険場所向け。認証取得コストと実績の壁が高い。
2027年末の蛍光灯製造禁止が追い風:高温用防爆形LED、防爆形カメラ付LED透視灯、防爆形サインLED灯器具など多機能製品を投入中。
ただし民需51%・官需49%:公共事業予算と入札制度に振られる構造は変わらない。
受注残高とストック性(2026年3月末)
セグメント受注残高前年同期比売上に対する厚みストック性評価
情報機器89.6億円▲26.7%約11ヶ月分唯一の積み上げ型だが急減中
照明機器26.3億円+9.9%約3ヶ月分実質フロー型
コンポーネント6.2億円+39.6%約1.3ヶ月分完全にフロー型
合計122.1億円▲19.0%

修正点③ ストック性は高くありません。官需比率49%、情報機器と道路トンネル照明は一般競争入札。リカーリング収益や保守契約による安定収益源は開示上確認できません。実質「毎期取り直し」のフロー型ビジネスです。

📈 市場成長の追い風
2027年末の一般照明用蛍光ランプ製造・輸出入禁止:産業用照明のLED更新需要。会社は照明機器をFY26に104億円(+5.0%)と予想
2030年度までの道路照明LED化:政府のカーボンニュートラル施策
・LEDトンネル照明の「内部交換技術」を開発し、高速道路会社向けに施工性・コストで差別化
📉 長期の最大論点:更新需要は一過性
蛍光灯更新も道路照明LED化も2027〜2030年で一巡する一過性の需要です。「更新需要の先食い」は必ず起き、ピークアウト後の反動減は避けられません。

長期保有を考えるなら、2030年以降に照明機器事業が何で稼ぐのかという問いへの答えが必要。現時点で会社の開示に明確な回答はありません。
06

業績とダウンサイドリスク

8月2Qが山場
⚠️ 1Q営業利益▲39.2%に対し、通期+15.2%予想を据え置き。上期5.0億→下期14.0億という極端な後半偏重で、FY25も期初計画(売上260億/営業利益18億)に対し実績253.9億/16.5億と未達。計画達成の実績は良くありません。
FY26 進捗と会社計画(単位:百万円)
項目1Q実績前年同期比上期会社予想通期会社予想通期前期比
売上高5,784▲7.2%11,25026,000+2.4%
営業利益416▲39.2%500(▲37.3%)1,900+15.2%
経常利益416▲38.9%5101,970+13.1%
純利益264▲44.3%240(▲58.2%)1,330+8.0%

下期に営業利益14.0億円(=上期の2.8倍)を作らねば通期計画に届きません。1Q時点で会社は通期予想を据え置き。

1Q セグメント別(単位:百万円)
セグメント売上高前年比利益前年比利益率
情報機器1,934▲27.7%195▲62.4%10.1%
照明機器2,455+7.1%601+13.8%24.5%
コンポーネント1,233+9.1%92+81.4%7.5%
その他161+14.9%▲2

照明機器とコンポーネントは好調。全社減益の犯人は情報機器ただ一つ。情報機器の1Q売上を年率換算すると77億円で、通期予想94億円との乖離が大きい。

需給の重し ── 見落とされがち
信用買い残306,900株
信用売り残500株
信用倍率613.8倍
1日出来高(直近)12,000〜19,000株
買い残 ÷ 出来高約20〜25日分

930円で買った層の戻り売り圧力が構造的に上値を抑えます。小型・低流動性銘柄でこの倍率は、上昇局面での上値の重さを意味します。

① 通期計画の未達リスク
上期5億→下期14億の後半偏重。情報機器の受注残89.6億が下期挽回の根拠だが、受注高自体がFY25に104.8億→60.8億(▲42%)と激減。8月の2Q決算で下方修正が出る蓋然性は相応にあります。
② 需給の重し
信用倍率613.8倍、買い残は出来高の20〜25日分。正式なカタリストが出るまで断続的な戻り売り圧力が続きます。「安いから上がる」は小型株では機能しません。
③ BPSの市況連動
純資産190.9億のうち、その他の包括利益累計額が37.9億(20%)。株式市場が2割下落すればBPSは1株100円程度毀損し得る。「PBR0.49倍だから下値は堅い」という論理は成立しません。
④ 顧客・チャネル集中
因幡電機産業が売上の17.6%(前期20.2%)。コンポーネント事業の販売チャネル依存。もう一つの主要顧客は東日本高速道路11.2%(前期は西日本高速道路12.3%)で、年により入れ替わる案件依存構造。
⑤ 公共事業依存と財務制限条項
官需比率49%。予算・入札制度の変更、案件の期ズレに直撃されます。加えてシンジケートローン契約に財務制限条項あり(有報「事業等のリスク」(18))。運転資本は借入依存で、2026年3月末の短期借入は53億円。
⑥ 更新需要のピークアウト
蛍光灯更新も道路照明LED化も2027〜2030年で一巡。その後の反動減は構造的に避けられません。長期保有では「2030年以降の照明機器事業」への答えが必要ですが、現時点で開示に明確な回答はありません。
07

株主構成とカタリスト ── MBO/TOBは現実的か

安定株主45.6%
📌 結論:敵対的TOBはほぼ不可能。MBOは材料こそあるが、現時点で開示上の兆候はありません。ただし本レポートのテーゼはMBO/TOBもPBR是正も必要としません(→「リターン試算」タブ)。以下に挙げるカタリストはすべて「起きれば上乗せ」の無料オプションであり、期待値に織り込む必要はない、という位置づけで読んでください。
大株主上位10位(2025年12月末・計45.61%)
#株主比率性質
1星和電機取引先持株会14.47%安定株主
2公益財団法人京都青少年育成スポーツ財団7.73%創業家系財団
3株式会社京都銀行4.62%相互保有
4株式会社タチバナ3.39%安定株主
5株式会社滋賀銀行3.25%相互保有
6星和電機社員持株会3.16%安定株主
7増山晃章(前社長)2.96%創業家
8株式会社GSユアサ2.09%相互保有
9ヨシダトモヒロ2.02%個人
10吉岡徹治1.92%個人

親会社なし。ただし取引先持株会+財団+銀行+社員持株会+創業家で約39%。大量保有報告に名を連ねるのはみずほ系(信託銀行・銀行・アセットマネジメントOne・証券の共同保有)とみられ、アクティビストの参入は確認できません。

2026年2月の自己株取得 ── 実態は「受け皿」
取得株数50,000株(発行済の0.38%)
取得総額4,650万円
取得方法ToSTNeT-3(立会外買付)
取得日2026年2月13日
取得価格930円(2/12終値)

開示文に「当社の一部株主より、その保有する当社普通株式を売却する意向を有している旨の連絡を受けています」と明記。株主都合の受け皿取引であり、株主還元目的の本格的な自社株買いではありません。

MBOの可能性を分解する
◎材料:時価総額95億と小型/実質EV61億に対し営業CF21億/PBR0.5倍/東証スタンダードで上場維持コストに見合わない/2026年に増山晃章氏から春山雅彦氏へ社長交代(創業家からの経営分離)

✕逆風:社長交代でむしろ創業家主導のMBO動機は薄まった可能性。増山氏の直接持分は2.96%と小さく、財団7.73%を含めても支配的ではない。取引先持株会14.5%の合意形成というハードルもある

△兆候:スクイーズ目的の大規模自己株取得、経営陣による買い増し、アドバイザー起用の観測 ── いずれも確認できません
会社の資本政策姿勢 ── 開示から読み取れること
開示物資本政策に関する記載評価
2025年12月期 決算説明資料「株主還元」配当推移のグラフのみ。ROE目標・PBR目標・資本コスト・政策保有株削減方針・総還元性向はすべて記載なし
中期経営戦略(2024-2026年12月期)数値目標は「売上高・営業利益率」のみ。ROE・PBR・資本効率の目標なし
配当方針「安定配当の維持と将来の事業展開のための内部留保の充実」という旧来型の文言のまま
FY25 年間配当20円うち2円は創業80周年の記念配当。実質的な普通配当は18円据え置き。FY26も20円予想=記念配当分を普通配当に振り替えただけとも読める
自己株式取得(2026/2)50,000株・4,650万円のToSTNeT-3。株主都合の受け皿取引

PBRが2010年以降0.31〜0.93倍で推移し、一度も1倍を回復していない根本原因は、割安が見過ごされているからではなく、会社が是正に動いていないからです。

現実的なカタリスト(確度順)
2027年2月頃 · 確度 高
次期中期経営計画の発表:現中計は2026年12月期で終了。東証の「資本コスト・株価を意識した経営」要請への対応として、ROE/PBR目標・政策保有株削減方針・総還元性向が盛り込まれるか。最も期待値の高いイベント。
時期未定 · 確度 中
政策保有株の売却:39〜43億円(取得原価8.8億円)。売却益を原資に自社株買い・特別配当となれば時価総額95億に対するインパクトは絶大。京都銀行・滋賀銀行側からの売却圧力も想定される。
2026年後半〜 · 確度 中
情報機器の受注回復:受注高がFY24の104.8億からFY25に60.8億へ▲42%。反動増があれば業績上振れ余地。
時期未定 · 確度 中低
コンポーネント事業の構造改革:フル配賦で▲1.6%と実質赤字。売上の21%を占めながら価値を生んでいない。撤退・縮小・値上げのいずれも利益改善余地が大きい。
時期未定 · 確度 低
MBO/非公開化:可能性は否定しないが、現時点で織り込むべきではない。実現時のプレミアム価格はPBR0.8〜1.0倍=1,200〜1,500円が想定レンジ。
📈 ポジティブ監視リスト
政策保有株の売却+自社株買いの同時発表
次期中計にROE/PBR目標が明記される
情報機器の受注高が前年比プラス転換
コンポーネント事業の構造改革発表
株価580円割れでファンダに大きな毀損がない場合
📉 ネガティブ監視リスト
照明機器のセグメント利益率(表面)が18%割れ
情報機器の受注高が2期連続で減少
次期中計にも資本政策の数値目標が入らない
通期営業利益15億円割れへの下方修正
株式市況の調整によるBPS毀損(有価証券評価差額の減少)
08

最終投資判断

総合 4.0 / 5 · ○
割安性
4.5 / 5
実質EV/EBIT 3.2〜3.7倍
事業の質
3.0 / 5
防爆はニッチトップ・全社ROE6.9%
カタリスト
3.5 / 5
主エンジンはBPS複利。是正は無料オプション
タイミング
3.0 / 5
3年で見れば入値差は年率4%程度
評価の改定履歴 ── なぜ△から○へ上げたか
項目初版改定改定理由
割安性4.54.5変更なし
事業の質3.03.0変更なし
カタリスト2.03.5初版は「PBRが是正されるか」を採点していた。実際のリターン源はBPS複利であり、リレーティングは不要。起きなくてもいい事象の確率で減点していた。
タイミング2.53.03年保有なら738円 vs 650円の差は年率約4%。テーゼを左右しない。待って買えないリスクの方が大きい。
総合3.5(△)4.0(○)サテライト配分も20%→30%で妥当に修正
Bear(計画未達)
540〜600円
PBR 0.40〜0.43倍
情報機器の失速継続でOP15億割れ
または市況調整でBPS1,350円へ
現在比 ▲19〜▲27%
Base(現状維持)
670〜820円
PBR 0.45〜0.55倍
OP17〜19億で着地
資本政策は現状維持
配当20円を受け取りながら待つ
Bull(資本政策転換)
970〜1,050円
PBR 0.65〜0.70倍
通期計画達成(OP19億)
+次期中計で政策保有株売却・自社株買い
現在比 +31〜+42%
Max(MBO/TOB)
1,200〜1,500円
PBR 0.8〜1.0倍・確率は低い
非公開化のプレミアム価格
現在比 +63〜+103%
織り込んで買うのは投機的
分割買いの一案
価格帯PBR配分判断根拠
738円(現値)0.49倍1/2現値でもPBR一定で年8〜12%。待つ理由が弱い
650円台0.43倍1/28月2Qの下方修正で下げたら買い増す
580円台0.39倍追加余力歴史的バーゲンゾーン。想定外の下げ用

初版の「738/650/580で1/3ずつ」から「738で半分、650台で半分」に修正。3年保有前提では、12%高く買うコストより待って結局買えないリスクの方が大きいため。ただし1日出来高1〜2万株の低流動性銘柄であり、ポジションサイズは流動性から逆算して決めること。

確認すべきイベントカレンダー
2026年8月
2Q決算:通期予想の修正有無、情報機器の受注高。下方修正リスクの最大の山場。
2026年11月
3Q決算:下期挽回の実現度。ここで営業利益の累計が10億円に届かなければ通期未達がほぼ確定。
2027年2月
FY26本決算+次期中期経営計画:ROE/PBR目標、政策保有株削減、還元方針。最大の分岐点。
2027年3月
有価証券報告書:「株式の保有状況」で政策保有株の個別銘柄・縮減方針を確認。
最終投資判断 ── 総合 4.0 / 5(○ 保有妙味あり)
投資テーゼの本質
防爆照明というニッチトップ事業を、時価総額の45%を占める政策保有株ごと実質EV/EBIT 3.2倍で買える。そしてリターンの主エンジンは年10%のBPS複利であり、PBRが0.49倍で固定されたままでも配当込みで年8〜12%回る。「割安が解消されるか」に賭けない設計である点が、万年割安株との決定的な違い。
738円の評価と留保
PBR0.49倍はレンジ中央値だが、リレーティング不要のテーゼなら現値でも十分成立する。3年で見れば738円と650円の差は年率約4%にすぎず、待って買えないリスクの方が大きい。ただしBPS成長の33.6%はOCI(株式市況)由来で、市況調整時はBPS低下とPBR圧縮が同時に来る。下値は見た目ほど堅くない。
ポジショニング
「道路・トンネルのインフラ更新テーマ株」という位置づけは実態と合わない。防爆照明のニッチトップ × 資産バリュー × BPS複利として捉えるべき。安心して持ちながら還元性向向上・政策保有株売却という無料オプションを待てる構造は明確な強み。サテライト30%は妥当。遠藤照明70%との組み合わせを支持する。
実質EV/EBIT
3.2倍
EV60.7億 ÷ FY26予想OP19億
PBR一定でのCAGR
+8〜12%
是正なし・増配なしの前提
絶対的下限
267円
純金融資産(税引後)のみ
最大の分岐点
2027年2月
次期中期経営計画の発表
一文要約
星和電機は、防爆照明のニッチトップを、時価総額の45%を占める政策保有株ごと実質EV/EBIT 3.2倍で買える資産バリュー株。リターンの主エンジンは年10%のBPS複利であり、PBRが是正されなくても配当込みで年8〜12%回る。還元性向19.5%の引き上げと政策保有株の売却は、価格に織り込まれていない無料のオプション。安心して持ちながらポジティブ材料を待てる構造こそが強みであり、○評価に値する。留意点はBPS成長の3分の1が株式市況由来であること。
追加で確認する価値のある項目
① 有報「賃貸等不動産関係」注記 ── 筑西土地(簿価4.94億円)の時価。含み損の有無
② 有報「株式の保有状況」 ── 政策保有株の個別銘柄・保有目的・縮減方針の記載有無
③ コーポレート・ガバナンス報告書(最新版) ── 「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の記載有無
④ 岩崎電気(旧6924・2023年にカーライル系とのMBOで上場廃止=非上場)等との防爆・産業用照明での競合状況、シェア推移
⑤ 2027年以降の蛍光灯更新需要ピークアウト後の照明機器事業の姿
04

リターン試算 ── BPS複利という主エンジン

是正不要で年8〜12%
この銘柄のリターンは「PBRが直るか」に依存していません。BPSが年10%で積み上がってきた実績があり、PBRが0.49倍で固定されたままでも株価はBPSに引っ張られて上がります。バリュー株投資でよくある「万年割安の罠」とは構造が違う点がポイントです。
BPS CAGR(5年実績)
+9.97%
914.74円 → 1,471.04円
PBR一定での配当込みCAGR
8.4〜12.2%
BPS成長6〜10%を想定
現在の配当性向
19.5%
引き上げ余地は大きい
性向40%時の現値利回り
5.60%
配当41.3円(EPS103.23円ベース)
シミュレーション① PBR0.493倍固定・配当20円据え置き(=何も良くならない前提)
BPS成長率3年後BPS3年後株価累計配当3年配当込みリターンCAGR
年6%(内部留保のみ・保守)1,783円879円60円+27.2%+8.4%
年8%(中立)1,886円930円60円+34.1%+10.3%
年10%(過去5年実績並み)1,993円982円60円+41.2%+12.2%

株価738円基準。PBRは現値の0.493倍で固定。PBRの改善・増配・カタリストを一切織り込んでいません。

BPS推移の実績(連結)
期末BPS前期比
2020年12月期914.74円+7.7%
2021年12月期1,002.14円+9.6%
2022年12月期1,071.03円+6.9%
2023年12月期1,187.78円+10.9%
2024年12月期1,315.10円+10.7%
2025年12月期1,471.04円+11.9%
2026年3月末1,497.14円

5年間で1度も減少せず、CAGR +9.97%。減配もなし。「安心して持てる」の実体はここにあります。

⚠️ 留保:BPS成長の3分の1は株式市況
年度純利益包括利益うちOCI
2021/129091,283+374
2022/121,1011,070▲31
2023/127931,733+940
2024/121,3501,900+550
2025/121,2322,129+897
5年計5,3858,115+2,730(33.6%)

単位:百万円。OCIの中身は有価証券評価差額・退職給付調整・為替換算。純粋な内部留保によるBPS成長は年5〜6%程度と見るのが保守的。だから上表は「年6%」行が現実的なフロアです。

シミュレーション② 還元性向の引き上げ(無料オプションの価値)
配当性向1株配当現値738円での利回り3年累計配当実現の現実味
19.5%(現状)20.1円2.73%60円ベースケース
30%31.0円4.20%93円次期中計で還元方針が入れば射程内
40%41.3円5.60%124円政策保有株売却を原資にすれば可能
50%51.6円6.99%155円東証要請への本気の対応が前提

配当性向を40%に引き上げるだけで、株価が1円も動かなくても年率リターンは約2.9pt上乗せされます。加えて増配は通常PBRの切り上がりを伴うため、実際のインパクトはこれより大きくなります。

3年後980円という目標株価の妥当性
980円は、BPS年8%成長を置いた3年後BPS 1,886円に対してPBR 0.52倍にすぎません。現在の0.49倍からほぼ動かない前提です。

つまりこの目標株価はリレーティングをほとんど織り込んでおらず、むしろ保守的。配当込みリターンは738円基準で+40.9%、CAGR +12.1%。

PBRが過去レンジ上限に近い0.65倍まで戻れば3年後は1,226円で、CAGRは20%を超えます。
遠藤照明(6932)との比較
項目遠藤照明星和電機
3年累計リターン+35.0%+41.9%
年率換算(CAGR)+10.5%+12.4%
成功確率・業績安定性
配当利回り3%台2.73%

期待リターンは星和電機がやや上、確度は遠藤照明が上。ポートフォリオは遠藤照明70%/星和電機30%が妥当という結論を支持します。