当商会の特集レポート(2026年9月17日作成)です。公開情報の整理であり、10社すべてを一次資料で再検証したものではありません。 東京ソワール(8040)については、2026年9月24日に一次資料で取り直した完全版レポートと銘柄記事があります。そちらの数字が最新です。 なお日邦産業のDOE8.1%は1株配当154円を出した期の数字で、2027年3月期の会社予想は79円です。投資助言ではありません。
フリージア銘柄の還元地図

沼底バリュー商会 / 特集レポート

支配された会社は
還元しない。
支配される前の会社が還元する。

フリージア・マクロス(6343)と佐々木ベジ氏が大量保有する上場企業10社を、純資産配当率(DOE)という一本の物差しで並べ直した。出てきたのは、持株比率ではなく「経営権を取られたかどうか」で還元がきれいに二分される構図だった。

支配済み5社のDOE中央値
0.4%
非支配4社のDOE中央値
1.5%
協和コンサルの配当据置
9期連続
日邦産業のDOE(5年)
1.0→8.1%
作成 2026年9月17日 データ基準 2026年9月14〜17日 出所 各社有価証券報告書・決算短信・大量保有報告書

「一生還元されないのか」への答え

仮説:佐々木ベジ氏が関与する銘柄は超低配当性向ぞろい。ならば永久に還元されないのでは?

結論

半分は正しく、半分は逆だった。経営権を握られた会社では、還元は10年単位で名目額に凍結される。だがまだ握られていない会社では、むしろ佐々木氏の存在そのものが増配の引き金を引いている。還元を生むのは彼の意思ではなく、彼に対する防衛反応だ。

DOEで並べると、境界線は25%にある

配当性向は利益の振れで動くので比較に向かない。株主資本に対していくら払っているかを見る純資産配当率(DOE)で並べると、10社が二つの塊に割れた。

25%は定款変更の拒否権ラインであり、実務上は取締役会を動かせるかどうかの分水嶺でもある。「握られる前」と「握られた後」で、還元の世界がまるごと入れ替わっている。

3社の判定

B+

8040東京ソワール

非支配・防衛中

無配(2020-21年)から20→30→45円へ3期連続増配。買収防衛策を継続し、株主総会検査役まで選任して抵抗している最中。抵抗が続く限り還元も続く構図で、グループ内で最も投資妙味が明確。

PBR 0.33利回り 4.34%DOE 1.5%
D

9647協和コンサルタンツ

実質支配(48.1%)

配当総額1,754万円が13年間ほぼ1円も動いていない。利益は伸びたので配当性向だけが69.6%→2.9%へ一直線に低下。還元凍結の完成形。PBR0.8で資産面の割安感も薄い。

PBR 0.80利回り 0.45%DOE 0.4%
C

8025ツカモトコーポレーション

非支配(17.33%)

PBR0.30はグループ最安値。だが配当30円が13期不変で、フリージアが5年かけて5%→17.33%まで買い上がっても動いていない。問題は還元姿勢よりROE 0.86%。支配到達か資産再評価待ちの塩漬け。

PBR 0.30利回り 2.29%DOE 0.7%

「動きはじめれば全部面白い」は、半分当たっている

すでに一度完全に動いた実例がある。日邦産業(9913)だ。フリージアが19.68%を握った2021年前後から、無配 → 10円 → 22円 → 33円 → 74円 → 76円 → 154円と増配が続き、DOEは1.0%から8.1%へ。株価はPBR0.19倍の水準から1.91倍まで買われ、時価総額329億円とグループ最大になった。

ただし注意すべきは、その日邦産業でフリージアの持株比率は2021年6月から一度も動いていないという点だ。彼らは支配しなかった。だから増配が起きた。裏返せば、支配が完成した瞬間にこの物語は終わる。

本レポートは公開情報の整理であり、投資助言ではありません。筆者は金融商品取引業者ではなく、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値は各社の開示に基づきますが、投資判断の前に必ず一次資料(有価証券報告書・決算短信・大量保有報告書)をご確認ください。