Investment Research · 8040 東証スタンダード · 2026.09.24 · 株価 1,041円(9/18終値・9/21〜23は現物市場休業)

東京ソワール (8040)
統合投資分析レポート

1株あたりの金融資産1,818円に対し株価1,041円/清原式ネットキャッシュ比率1.57倍・PBR0.33倍
フリージア・マクロス16.72%に対し、買収防衛策は5年連続で継続。増配のもう一つの理由は上場維持基準だった

B++当商会の採点
当商会の検証済み上値基準 1,560円 / 下値基準 852円
非対称比2.75(幅・中)×確度12点(中)=B++。
リスク軸0点(1日の売買代金78万円)のため、調整ルールでB++が上限。
1銘柄の上限は1%(約400株)。
現在株価
1,041円
時価総額 40.2億円(自己株控除では36.2億円)
1株あたり純資産 3,120円
PBR 0.33倍
2026年6月末の自己資本108.5億円
清原式ネットキャッシュ
1,818円/株
比率1.57倍。株価の1.7倍の金融資産
金融資産床
852円/株
現金−借入金等+有価証券75%
配当+優待
5.28%
45円+e-GIFT1,000円(100株)
当商会ランク
B++
6軸12点・非対称比2.75・上限1%
01

なぜ今、東京ソワールなのか

3つの見どころ
見どころ 01 · 値札
🏷️
1株あたりの金融資産1,818円に対し、株価1,041円
流動資産82.1億円+投資有価証券20.9億円×0.7−負債33.6億円=63.2億円。自己株を除く347.8万株で割ると1株1,818円。時価総額40.2億円に対する清原式ネットキャッシュ比率は1.57倍。PBRは0.33倍で、本業はおまけの値段になっている。
見どころ 02 · 続いている対立
🛡️
買収防衛策は5年連続で継続、総会検査役は4年連続
フリージア・マクロスが2021年5〜6月に0→16.72%。会社は同年6月16日に防衛策を導入し、2026年2月13日まで毎年「継続」を開示。株主総会検査役の選任申立ては2023年から4年連続で、2024年には株主提案も出ている。5年前の出来事ではなく、現在進行形の攻防。
見どころ 03 · もう一つの動機
🏛️
増配と優待拡充には、上場維持基準という期限つきの理由があった
2024年12月末の流通株式時価総額は9.92億円で基準10億円に不足。2025年3月に適合計画(配当性向40%以上・優待の拡充)、10月に優待拡充、株主数は1,578人→2,391人。2026年1月23日に全項目適合。動機の片方は、すでに消えている。
📌 当商会のランクはB++。上値1,560円(+50%)・下値852円(▲18%)・非対称比2.75倍・確度12点。ただしリスク軸が0点(1日の売買代金78万円)のため、調整ルールによりB++より上には付かない。1銘柄の上限は1%。
02

値札とNAV ── 時価総額40億円の中身

清原式1.57倍
項目数字中身
株価(2026/9/18 終値)1,041円9/21〜23は現物市場が休業。公開日時点の直近確定値
時価総額40.2億円発行済3,860,000株。自己株381,568株を除くと36.2億円
PBR0.33倍1株あたり純資産3,120円(2026年6月末の自己資本108.5億円÷347.8万株)
PER(会社予想)10.3倍2026年12月期 予想EPS100.6円
配当利回り4.32%年45円。優待を含めた実質は5.28%
清原式ネットキャッシュ比率1.57倍流動資産82.1億+投資有価証券20.9億×0.7−負債33.6億=63.2億円
1株あたりの金融資産(床)852円現預金19.6億−借入金等5.65億+投資有価証券20.9億×0.75
52週908〜1,303円安値2025/9/26・高値2025/10/17。現在は下から33%の位置
貸借対照表の中身(2026年6月末・中間決算短信)
科目金額備考
総資産142.1億円前期末から2.75億円増
うち現金及び預金19.6億円前期末から1億円減
うち投資有価証券20.9億円前期末から4.23億円増
負債合計33.6億円うち借入金等5.65億円
純資産108.5億円自己資本比率76.4%(前期末75.3%)
📌 時価総額40.2億円に対し、純資産は108.5億円、金融資産だけで63.2億円。本業の価値をゼロと置いても、株価は金融資産の6割以下。ただし換金の道筋(投資有価証券の売却や資本政策)は会社から示されていない。
03

1か月で0→16.72% ── 買い上がりの記録

8回の届出
フリージア・マクロスは2021年5月27日から6月24日までの1か月間に8回の変更報告書を出し、0から16.72%まで買い上がった。届出はすべて大量保有報告書・変更報告書による。
義務発生日保有比率株数増分
2021/5/275.95%229,800株+5.95pt
2021/6/17.75%299,300株+1.80pt
2021/6/310.27%396,300株+2.52pt
2021/6/811.76%454,000株+1.49pt
2021/6/1512.98%500,900株+1.22pt
2021/6/1814.22%549,000株+1.24pt
2021/6/2315.48%597,600株+1.26pt
2021/6/2416.72%645,300株+1.24pt
保有報告に出ている主体(IRBANK・直近提出値)
主体比率備考
フリージア・マクロス16.72%2021年6月24日以降、変更報告書は出ていない
草野 圭司 氏6.25%大量保有報告書の提出者
草野 絹子 氏3.12%同上。個人2名で合計9.37%
三菱UFJ銀行4.25%2024年1月に0→4.25%、7月に横ばいの報告
みずほ銀行2.95%2021年11月に3.9%→2.95%へ減少
みずほ信託銀行1.29%同上
📌 フリージアの比率は2021年6月24日から5年以上動いていない。買い増しも売却も届け出られていない。同じ型の日邦産業(9913)でも比率は2021年6月から不動で、その間に還元だけが伸びた。
04

会社の応戦 ── 防衛策5年、検査役4年

適時開示の年表
日付会社が出した開示読み
2021/6/11主要株主である筆頭株主の異動買い上がりの途中で筆頭株主が入れ替わった
2021/6/15臨時株主総会招集のための基準日設定臨時総会の準備に入る
2021/6/16大規模買付行為等の対応策(買収防衛策)の導入フリージア・マクロス及びその関係者を名指しした表題
2021/6/30〜7/29臨時株主総会の開催/付議議案の決定/一部取下げ議案の一部を取り下げている
2021/10/14希望退職者募集同年はコロナ禍で無配。守りの局面だった
2023/2/14買収防衛策の継続ここから毎年の「継続」が始まる
2023/3/2株主総会検査役の選任申立て総会の手続に裁判所が選ぶ第三者の目を入れる
2024/2/14買収防衛策の継続/株主提案に対する当社取締役会意見株主提案が出された事実が会社側の開示で残っている
2024/3/5・3/21検査役の選任申立て/選任2年連続
2025/2/14買収防衛策の継続/中期経営計画の策定2027年度を最終年度とする中計
2025/3/4・3/17検査役の選任申立て/選任3年連続
2026/2/13買収防衛策の継続(直近)導入から5年、いまも外していない
2026/3/4・3/19検査役の選任申立て/選任4年連続
📌 防衛策の継続は取締役会決議で足りるが、検査役の選任申立てを4年続けている会社は多くない。総会の議事進行そのものが争われうると会社側が見ている状態が、いまも解けていない。
05

上場維持基準 ── 増配のもう一つの理由

2026年1月に適合
2025年3月31日「上場維持基準への適合に向けた計画について」と、2026年1月23日「上場維持基準への適合に関するお知らせ」から。増配と優待拡充には、防衛反応とは別の、期限つきの動機があった。
項目2024年12月末2025年12月末上場維持基準
株主数1,578人2,391人400人
流通株式数12,859単位12,768単位2,000単位
流通株式時価総額9.92億円13.70億円10億円
流通株式比率33.3%33.0%25%
会社が計画に書いたこと(2025年3月31日)
「2024年12月期の期末配当については、1株につき45円、2025年12月期の期末配当予想についても45円を計画しており、配当性向40%以上を目安とし、株主優待の拡充も含めて株主還元の充実及び資本効率の向上を意識した経営を実施してまいります」
不足していたのは流通株式時価総額だけで、株主数400人の基準はもともと満たしていた。会社は「情報発信が十分でなかったことにより、市場における認知度や期待度が低迷している」ことを不足の理由に挙げている。
日付打った手
2025/3/31適合に向けた計画を開示(計画期間は2026年12月末まで)
2025/10/14株主優待制度の拡充
2026/1/23上場維持基準のすべての項目に適合したと開示
2026/2/132026年12月期の配当予想は45円で据え置き(適合の3週間後)
📌 理由が2つある話は、片方が消えたときが問題になる。適合直後の予想が45円据え置きだったのは事実だが、答えが出るのは次の期の予想が出るとき。当商会はここを最大の監視点に置く。
06

還元と優待 ── 無配から45円へ

実質5.28%
配当と純資産配当率(DOE)
決算期1株配当EPS配当性向DOE
2020年12月期無配———
2021年12月期無配———
2022年12月期20円152.6円13.1%0.8%
2023年12月期30円233.4円12.9%1.1%
2024年12月期45円145.4円31.0%1.5%
2025年12月期45円68.5円65.7%1.5%
2026年12月期(予)45円100.6円44.7%1.4%
2025年12月期は2026年1月30日に経常を26.25%下方修正し、実績は経常2億9,557万円(前期比14.97%減)。配当は45円を維持したため、配当性向は65.7%まで上がった。会社の目安は「40%以上」なので、方針としては満たしている。
株主優待(100株以上・年2回)
内容中身現金換算
選べるe-GIFT100株以上は500円相当、1,000株以上は1,000円相当。6月末・12月末の年2回年1,000円
オンライン20%割引公式オンラインストア・formforma・kuros'・キャナルジーン・レンタルドレス。期間中3回まで、1回30万円まで算入せず
直営店の割引券20%割引券3枚算入せず
100株の受取合計配当4,500円+e-GIFT1,000円。投資額10万4,100円に対して5.28%
📌 割引券は使わなければ価値がゼロなので、当商会は現金同等のe-GIFTだけを利回りに算入している。1名義では100株がいちばん効率が良い設計で、これは株主数を増やす設計でもある(上場維持基準の株主数・流通株式時価総額に効く)。
07

フリージア系10社の地図(参考)

未再検証
📎 元になった特集レポートを別ページに置いています → フリージア銘柄の還元地図(2026年9月17日)
当商会の特集レポート「フリージア銘柄の還元地図」(2026年9月17日作成)の整理。この表は10社すべてを一次資料で再検証したものではないため、参考として置く。東京ソワールの数字は本レポートで取り直した値に差し替えている。
コード銘柄PBRDOEフリージア系の保有区分
9913日邦産業1.918.1%19.68%非支配
6958日本シイエムケイ0.661.8%5%未満非支配
8040東京ソワール0.331.5%16.72%非支配・防衛中
9767日建工学0.591.2%2.77%(縮小)保有縮小
8025ツカモト0.300.7%17.33%非支配
9867ソレキア0.710.5%30.02%実質支配
9647協和コンサルタンツ0.800.4%48.10%実質支配
1443技研ホールディングス0.340.1%27.25%実質支配
読み取れること(と、読み取れないこと)
保有が25%を超えた3社のDOEは0.1〜0.5%で、配当が円単位で固定されている例が目立つ。25%未満の会社は0.7〜8.1%と幅がある。ただし「買われたから増配した」という因果は証明されていない。コロナ後の復配、業績の回復、そして東京ソワールの場合は上場維持基準という別の動機も同時に存在する。
日邦産業のDOE8.1%は、1株配当154円を出した期の数字。1株配当の並びは33円→74円→76円→154円で、2027年3月期の会社予想は79円。跳ね上がった年を基準に読まないこと(株探で確認)。
08

検証済みレンジとランク

B++
当商会の採点(6軸×非対称比)── 総合 B++

ランクは幅(上値÷下値)×確度(6軸・18点)のマトリクスで決まる。ランクは下がりにくさの指標であって、上がりやすさの順位ではない。

軸点根拠
🦦安さ3PBR0.33倍。清原式ネットキャッシュ比率1.57倍で、1株あたりの金融資産1,818円に対し株価1,041円。中身は現金19.6億円と投資有価証券21.0億円
🦉財務3自己資本比率76.4%(2026年6月末)。借入金等5.65億円に対し現預金19.6億円。総資産142.1億円に対し負債33.6億円
🦫モート1婦人フォーマル専業。百貨店チャネルが主戦場で市場は縮小傾向。国内シェアの一次資料は確認できず、ニッチトップの裏付けは取れていない
🐊触媒3フリージア・マクロスが16.72%。買収防衛策は2021年6月の導入から毎年継続(直近2026年2月13日)、株主総会検査役の選任申立ては2023年から4年連続、2024年には株主提案も出ている
🐝インカム2配当利回り4.32%+優待(年1,000円のe-GIFTと20%割引)で合計5.28%。配当性向40%以上を目安とする方針を開示。ただし2020・2021年は無配で、減配の実績がある
🦞リスク0直近10営業日の平均出来高750株=約78万円。流通株式時価総額13.7億円。想定した数量では売買が成立しない

上値:資産基準(1株あたり純資産3,120円 × 到達を見込むPBR0.50倍)=1,560円・+50%。0.50倍は過去5年の年末PBRの上限で、フリージアが買い上がった2021年末に実際に付いた水準(IRBANK)。同業中央値は未確認のため使っていない。
下値:株価より下の候補のうち深いほう。床(1株あたり金融資産)852円・▲18%。52週安値908円(▲13%)より深い。
非対称比 2.75(幅・中)× 確度 12点(中)→ マトリクスはB++。

PER下限を下値に採らなかった理由
この会社の年末PERの下限は3.51倍(2023年末)だが、これは固定資産の売却益などでEPSが膨らんだ年の裏返しで、株価が安かったことを示す倍率ではない。通常のEPSに当てると二重に割り引くことになる。仮に採って下値を▲66%としても、幅が「小」に落ちるだけで確度12点(中)との組み合わせはB++のままで、結論は動かない。
調整ルールと建てられる量
リスク軸が0点の銘柄は、幅と確度が何点であってもB++より上には付けない——当商会の調整ルール①に当たる。今回はマトリクスの下書きが既にB++なので、天井には当たっていない。裏を返せば、この銘柄はどう転んでもB++より上には行かない。
項目数字根拠
1銘柄の上限1%リスク軸0点はランクに関係なく1%に切り替わる
金額約45万円純資産4,547万円(2026/9/18)に対して
株数約400株1,041円で計算
売り切り日数約3日直近10営業日の平均出来高750株の2割を毎日取れたとして
09

リスクと検算メモ

6つのリスク
① 流動性
直近10営業日の平均出来高は750株(約78万円)、20営業日でも1,130株(約118万円)。1日200株しか出来ない日もある。流通株式時価総額13.7億円。想定した価格・数量で売買が成立しない前提で建てる。当商会がリスク軸を0点にした理由。
② 動機が消えた後の還元
上場維持基準に2026年1月23日で適合した。増配と優待拡充の動機の片方は消えている。適合直後の予想は45円据え置きだったが、次の期の予想が答え合わせになる。
③ 本業の縮小と利益の振れ
婦人フォーマルは市場そのものが縮んでいる。営業利益は2023年12月期5.2億→2024年2.4億→2025年1.7億と落ち、2026年予想3.5億は倍増の戻しを前提にする。中間の1株利益は58.56円(前年同期117.49円)。
④ 支配が完成する側のリスク
フリージア系の保有が25%を超えた会社では、配当が円単位で固定された例が並ぶ。支配が完成すると、この物語は逆回転する。変更報告書の提出が合図になる。
⑤ 低PBRでの非公開化
完全子会社化やMBOが起きた場合、少数株主が受け取る価格は低いPBR水準に張り付くことがある。PBR0.33倍は、そのときに必ずしも武器にならない。
⑥ 因果の不確かさ
「買われたから増配した」は証明されていない。コロナ後の復配、業績回復、上場維持基準——説明は複数ある。当商会が言えるのは相関まで。
検算メモ(沼底バリュー商会・2026年9月24日)
  • 株価1,041円・PBR0.33倍・PER10.3倍・配当利回り4.32%・時価総額40.2億円は株探の2026年9月18日確定値で一致。9月21〜23日は現物市場が休業
  • 総資産142.1億円・純資産108.5億円・自己資本比率76.4%・現預金19.6億円・投資有価証券20.9億円・負債33.6億円は2026年12月期中間決算短信(6月末)で一致
  • 1株あたり純資産3,120円=自己資本108.5億円 ÷(発行済3,860,000株−自己株381,568株)。株探のPBR0.33倍と整合
  • フリージア・マクロスの8回の届出(2021/5/27〜6/24・16.72%・645,300株)はIRBANKの大量保有一覧で一致
  • 買収防衛策の継続(直近2026/2/13)、検査役の選任申立て(2023〜2026の4年連続)、株主提案に対する取締役会意見(2024/2/14)は、いずれも会社の適時開示のタイトルで確認
  • 流通株式時価総額9.92億円→13.70億円、株主数1,578人→2,391人は「上場維持基準への適合に関するお知らせ」(2026/1/23)の表で一致
  • 配当性向40%以上を目安とする方針は「上場維持基準への適合に向けた計画について」(2025/3/31)の記載
  • 優待の内容と5.28%は株探の優待ページ(2026/6/30更新)で確認。割引券は利回りに算入していない
  • 年末PBR(2021年0.50倍〜2025年0.34倍)と年末PER(2023年3.51倍)はIRBANK
  • 出来高は株探の時系列(直近10営業日平均750株、20営業日平均1,130株)
  • 参考扱い:フリージア系10社の一覧は当商会の特集レポート(2026/9/17)の整理で、10社すべてを一次資料で再検証したものではない