Investment Research · 7599 東証プライム · 2026.09.24 · 株価 1,194円(9/18終値)

IDOM (7599)
統合投資分析レポート

会社予想PER8.44倍・PBR1.32倍・配当利回り3.55%/優待込みの額面利回りは1,000株・条件充足で8.58%
ガリバーの中古車小売は伸びている。重いのは在庫1,073億円・売掛金400億円・有利子負債1,010億円のほう

B++当商会の採点
当商会の検証済み上値基準 1,825円 / 下値基準 847円
非対称比1.82(幅・中)×確度12点(中)=B++。
上値下値とも、過去5年の年末PERの帯(5.99〜12.91倍)で置いた。
1銘柄の上限は2.5%=933株。1,000株の優待枠には届かない。
現在株価
1,194円
時価総額 1,264億円(発行済106,888,000株)
会社予想EPS 141.4円
PER 8.44倍
同業ネクステージは12.9倍
配当だけの利回り
3.55%
1株42.43円・純利益の30%方針
優待込み(1,000株・条件充足)
8.58%
優待は年6万円。対象は3回連続保有から
自己資本比率
33%
有利子負債1,010億円・売掛金400億円
当商会ランク
B++
6軸12点・非対称比1.82・上限2.5%
01

なぜ今、IDOMなのか

3つの見どころ
見どころ 01 · 値札
🏷️
会社予想PER8.44倍。利益が2割下振れしても10.6倍
2027年2月期の会社予想はEPS141.4円・営業利益240億円。株価1,194円に対しPER8.44倍。同業ネクステージは12.9倍で、指標だけなら明確に安い。ただしPBRは1.32倍で、資産の裏付けで買う銘柄ではない。
見どころ 02 · 受け取る側
🎁
優待込み8.58%は「1,000株・3回連続・年2回」の条件つき
2026年2月に新設された優待は、1,000株以上で1回3万円・年6万円。配当42.43円(3.55%)と足すと額面で8.58%になる。ただし継続保有は同一株主番号で3回以上連続が条件で、いま買って対象になるのは2028年2月末から。
見どころ 03 · 重いところ
⚖️
自己資本比率33%、有利子負債1,010億円、売掛金400億円
在庫と割賦債権を借入で回す事業。第1四半期は在庫を7%圧縮した一方、売掛金が78億円増えて400億円。会社は第2四半期に流動化を予定している。中期計画の営業利益300億円に対し、会社予想は240億円。
📌 当商会のランクはB++。上値1,825円(+53%)・下値847円(▲29%)・非対称比1.82・確度12点。1銘柄の上限は2.5%=933株で、1,000株の優待枠には67株届かない。
02

値札 ── PER8.44倍の中身

同業比較つき
項目数字中身
株価(2026/9/18 終値)1,194円株探の確定値
時価総額1,264億円発行済106,888,000株
予想PER8.44倍2027年2月期 会社予想EPS141.4円
PBR1.32倍資産の裏付けは薄い。中身は在庫と割賦債権
予想配当42.43円利回り3.55%。方針は連結当期純利益の30%
52週981〜1,567円安値2025/10/3・高値2026/2/6
出来高(20営業日平均)101万株約12億円/日。流動性は十分
同業と並べる(同じ2026年9月28日終値)
項目IDOM(7599)ネクステージ(3186)
株価1,194円2,823円
時価総額1,264億円2,283億円
予想PER8.44倍12.9倍
PBR1.32倍2.61倍
予想配当利回り3.55%1.77%
📌 指標は明確に安い。ただし事業の中身を同じ定義で並べたわけではない(決算期も異なる)。台数・1台粗利・既存店・在庫回転・割賦債権・有利子負債まで揃えるまで、「ネクステージより割安」とは書かない。
業績の推移(株探)
決算期売上高営業利益EPS1株配当
2023年2月期4,165億円186.8億円141.5円42.5円
2024年2月期4,198億円161.2億円114.0円34.19円
2025年2月期4,966億円198.9億円133.9円40.18円
2026年2月期5,627億円202.1億円118.7円35.6円
2027年2月期(会社予想)6,290億円240億円141.4円42.43円
売上は4期で4,165億円→5,627億円へ伸びたが、営業利益は186.8億円→202.1億円で、伸び方が違う。台数と単価が増えても、出店・人件費・在庫の費用が先に乗る構造がここに出ている。
03

中古車屋は何で儲けているのか

4つの物差し
IDOMは買取・卸売・小売を自前で回し、ローン・保証・車検・整備といった付帯事業を持つ。投資家向けに単純化すると、利益はこう分解できる。
営業利益 ≒ 小売台数 × 1台あたりの粗利 + 卸売などの粗利 − 人件費・家賃・広告費
付帯商品の利益が1台粗利に含まれる場合は、別に足すと二重計上になる。会社の定義を確認したうえで使う。
見るところ確かめること
小売台数新規出店に頼らず伸びているか。既存店の動きと分けて見る
1台あたり粗利値上げなのか、付帯商品なのか、仕入れの巧さなのか
在庫回転売れるまで、仕入れた金は車の形で寝ている。相場が下がれば評価も下がる
代金の回収割賦販売が増えると、売上の計上と現金の回収に時間差が出る
📌 中古車株は、台数と粗利だけでは足りない。在庫回転と代金回収を足した4点で見ると、売上の勢いだけに引っ張られにくくなる。IDOMの第1四半期は、まさにこの4点が別々の方向に動いた四半期だった(次のタブ)。
災害需要をどう扱うか
2025年8月6〜12日の大雨について、日本損害保険協会は車両保険の支払台数・件数17,779、支払保険金約264.7億円と公表している(2026年3月末時点の集計、販売店の商品車と見込みを含む)。
この件数を、そのまま買い替え台数に置き換えることはできない。修理、新車への乗り換え、販売店自身の被害が混ざる。修理より買い替えを選ぶ人が増えれば在庫を持つ販売店には追い風だが、将来の買い替えを前倒しする面もある。当商会は災害需要を利益予想に足していない。
04

第1四半期 ── 良いところと重いところ

営業益+15%
2027年2月期 第1四半期(2026年3〜5月)。会社の決算説明資料(2026年7月14日)から。
項目数字会社の説明
連結営業利益44億円前年同期比+15%。ただし上期予想119億円に対しては「やや出遅れ」
小売台数45,558台前年同期比+4%
小売1台あたり粗利指数110前年同期比+10%
在庫2月末比 −7%期待する粗利を取りにくい車両をオークションで売却。卸の台粗利が一時的に低下し、利益の押し下げ要因に
総資産2,721億円前期末比+113億円
売掛金400億円割賦販売等により+78億円。第2四半期に流動化を予定
有利子負債1,010億円+56億円
純資産/自己資本比率916億円/33%+13億円
キャッシュフローの中身(ここが第1四半期の肝)
項目金額中身
在庫・売掛金の増減前のキャッシュイン+63億円本業が生んだ現金
在庫の減少+118億円在庫を7%圧縮した効果
売上債権の増加−128億円割賦債権などの増加
営業キャッシュフロー+53億円上の3つの合計
投資キャッシュフロー−19億円大型店・整備工場・IT投資
フリーキャッシュフロー+35億円プラスだが、在庫圧縮という一度きりの効果を含む
📌 冷蔵庫の中身を売って作った現金が、そのままローンの立て替えに出ていった四半期。在庫圧縮は毎期は打てない手なので、フリーキャッシュフローのプラスだけで資金効率の改善が定着したとは読まない。答え合わせは、売掛金の流動化が実行されたかどうか(2026年10月14日の上期決算)。
05

シェアと中期計画

6.5%とA社7%
国内シェアは約6.5%。ただし同じ図にA社7%が載っている
項目数字出所と読み
国内中古車小売市場250万台矢野経済研究所調べ(2024年)
IDOMのシェア約6.5%2012年2月期の約1%から14年で上昇
A社7%会社資料が同じ図に併記。IDOMより大きい
その他210万台以上約2万社。寡占ではない市場
直営店舗数444店2026年2月期
Gulliverブランド認知率94.9%会社資料
会社資料の見出しは「国内中古車市場トップシェア」だが、同じページにA社7%が並ぶ。当商会は「非寡占市場での6.5%」と読み、モート(堀)の点は2点に置いた。大型店と整備工場で買った後の付き合いを長くする戦略は、堀を作る方向ではある。
中期経営計画の最終年度に、60億円足りない
2027年2月期数字備考
中期計画の目標(営業利益)300億円210億円から上方修正した新目標
会社予想(営業利益)240億円2026年4月13日発表
前期実績(2026年2月期)202億円—
中計の小売台数目標17〜19万台1台粗利は44〜41万円
中計のROIC目標8%以上前期実績6.8%
📌 目標と予想の差は、そのままPER8倍台の理由の一部と見る。計画を信じて買うのではなく、会社予想の240億円が出るかを見て買う——これが当商会の置き方。
06

優待と配当 ── 8.58%の条件

3回連続
株主優待(2026年2月新設)
保有株数1回あたり年間(2月末・8月末)投資額配当+優待の額面利回り
100〜500株未満2,500円5,000円121,900円7.58%
500〜1,000株未満13,500円27,000円609,500円7.91%
1,000株以上30,000円60,000円1,194,000円8.58%
2,000株30,000円60,000円2,438,000円5.94%
税引前の配当と優待額面を投資額で割った単純計算。税金・手数料・株価の変動は含まない。優待は年6万円で頭打ちなので、株数を増やすほど利回りが上がる制度ではない。
継続保有条件——いま買うと、対象は2028年2月末から
条件は「同一株主番号で、2月末または8月末の株主名簿に100株以上の保有記録が3回以上連続」。初回の2026年2月末・8月末のみ期間制限がなかった。2026年9月に新規で買う場合、名簿に載るのは2027年2月末・2027年8月末・2028年2月末で、3回目の2028年2月末がはじめての対象基準日になる。
買い増しにも条件がかかる。株数要件と期間要件は別々に判定されるため、500株へ買い増しても、期間要件を100株分でしか満たしていなければ優待額は100株分(2,500円)のままになる。会社の株主還元ページに買い増しの例が図で載っている。
優待が変わったときの値札(1,000株)
仮定年間の配当+優待取得額121.9万円に対する利回り
会社予想どおり維持102,430円8.58%
配当維持・優待半減72,430円5.94%
配当維持・優待廃止42,430円3.55%
📌 配当方針は連結当期純利益の30%という業績連動。利益が落ちれば配当も落ちる。優待の負担はこの30%の外側にあり、対象者数も会社の費用計上額も開示されていないので、継続性は「負担が読めない」ところまでしか言えない。制度が変わるときは株価も動くため、上の表は利回りの下限を示すものではない。
07

なぜ安いのか

候補は6つ
「優待の継続性が疑われているから安い」という仮説から入った。一次資料で追える範囲では、それを主因だと特定できる資料はない。安い理由の候補を並べておく。
① 中計との60億円
最終年度の目標300億円に対し、会社予想240億円。前期202億円からの伸びは見込むが、計画には届かない。
② 資金効率
ROIC6.8%(目標8%以上)。在庫1,073億円・売掛金400億円・有利子負債1,010億円を回す事業で、自己資本比率33%。
③ 利益の振れ
EPSは141.5→114.0→133.9→118.7円と上下してきた。会社予想141.4円が2割下振れすれば113.1円で、株価が同じならPERは10.6倍になる。
④ 業界の評判リスク
中古車販売は、業界全体として販売手法や保険・付帯商品の扱いが問われた経緯がある。内部管理は継続的な確認項目。
⑤ 優待への不安
仮説としては残る。ただし証拠はない。新設から日が浅く、対象者数も費用も開示されていない。
⑥ 見直される条件
台数と1台粗利がそろって伸び、在庫と売掛金が現金に戻り、上期予想119億円に届くこと。資金効率が改善すれば、8倍台の値札は動く余地がある。
年末PERの推移(IRBANK)
年20222023202420252026
PER6.11倍5.99倍7.95倍8.26倍12.91倍
PBR1.22倍1.37倍1.32倍1.40倍1.75倍
この5年、IDOMはおおむねPER6〜13倍の帯で取引されてきた。いまの8.44倍は帯の下半分。当商会はこの帯の上限と下限を、そのまま上値と下値の置き方に使っている(次のタブ)。
08

検証済みレンジとランク

B++
当商会の採点(6軸×非対称比)── 総合 B++

ランクは幅(上値÷下値)×確度(6軸・18点)のマトリクスで決まる。ランクは下がりにくさの指標であって、上がりやすさの順位ではない。

軸点根拠
🦦安さ2会社予想PER8.44倍は市場平均より低い。ただしPBR1.32倍で資産の裏付けは薄く、在庫1,073億円と割賦売掛金400億円が資産の中身。資産バリューではなく収益バリュー
🦉財務1自己資本比率33%(2026年5月末)。有利子負債1,010億円に対し純資産916億円。在庫と割賦債権を借入で回している構造で、金利と在庫評価の影響を受ける
🦫モート2Gulliverブランドの国内認知率94.9%、直営444店舗、国内小売シェア約6.5%。ただし会社資料は同じページにA社7%を併記しており、市場は約2万社・210万台が残る非寡占。ROIC6.8%
🐊触媒12026年2月に株主優待を新設。中期計画は2027年2月期の営業利益300億円を掲げるが会社予想は240億円。売掛金の流動化を第2四半期に予定。明確な一発のイベントはない
🐝インカム3会社予想配当42.43円で利回り3.55%。方針は連結当期純利益の30%(業績連動)。1,000株・継続保有条件を満たせば優待6万円が乗り、額面ベースの総合利回りは8.58%
🦞リスク3直近20営業日の平均出来高101万株=約12億円。時価総額1,264億円。想定した価格・数量で売買が成立する

上値:収益基準(会社予想EPS141.4円 × 到達を見込むPER12.91倍)=1,825円・+53%。12.91倍は過去5年の年末PERの上限で、同業ネクステージの12.9倍より低いので低いほうを採った。
下値:過去5年の年末PERの下限5.99倍 × 同じEPS=847円・▲29%。52週安値981円(▲19%)より深い。
非対称比 1.82(幅・中)× 確度 12点(中)→ B++。リスク軸は3点なので、流動性による天井(調整ルール①)には当たらない。

建てられる量と、1,000株の優待枠
項目数字根拠
1銘柄の上限2.5%B++の設計値
金額約114万円純資産4,547万円(2026/9/18)に対して
株数933株1,194円で計算。1,000株の優待枠に67株届かない
売り切り日数1日未満20営業日平均出来高101万株の2割で計算
優待の枠に合わせて上限を超えるのは、順番が逆になる。枠が先、優待は後。1,000株を建てたいなら、ランクが上がる材料(資金効率の改善、中計との差の解消)を先に確認することになる。10月14日の上期決算で在庫と売掛金が現金に戻り始めていれば、財務と触媒の点は動く。
09

リスクと検算メモ

6つのリスク
① 在庫と相場
在庫は売れるまで現金に戻らず、中古車相場が下がれば評価も下がる。第1四半期は選別処分で卸の台粗利が一時的に低下した。
② 割賦債権と金利
売掛金400億円(+78億円)。有利子負債1,010億円で自己資本比率33%。金利が上がれば資金コストが増える。流動化の実行が確認点。
③ 出店の固定費
大型店と整備工場は先に費用が立つ。人員は平均355人増、単価も上昇。売場の拡大が利益に届くかは別問題。
④ 優待の継続性
対象者数も費用も未開示。配当方針(純利益の30%)の外側にある負担で、制度変更時は株価も動く。
⑤ 災害需要の扱い
上振れ要因になりうるが、台数も利益寄与も定量化できていない。当商会は予想に足していない。
⑥ 海外事業
米国のGulliver USA、豪州のマッチング事業がある。過去に売却した豪州の新車ディーラー事業と混同しない。利益貢献は未検証。
検算メモ(沼底バリュー商会・2026年9月24日)
  • 株価1,194円・PBR1.32倍・時価総額1,264億円・発行済106,888,000株は株探の2026年9月28日確定値。PER8.44倍と利回り3.55%は同日終値と会社予想(EPS141.4円・配当42.43円)から算出
  • 52週高値1,567円(2026/2/6)・安値981円(2025/10/3)、20営業日平均出来高1,013,395株は株探の時系列
  • 第1四半期(営業利益44億円・+15%、小売45,558台・+4%、台粗利指数110、在庫2月末比7%圧縮、売掛金400億円・+78億円、有利子負債1,010億円、自己資本比率33%、営業CF+53億円、FCF+35億円、売掛金の流動化予定)はIDOM「2027年2月期第1四半期決算説明資料」(2026年7月14日)で一致
  • シェア約6.5%・A社7%・その他210万台(約2万社)・市場250万台(矢野経済研究所2024年)・店舗444・認知率94.9%・ROIC6.8%・中計目標(営業利益300億円、小売17〜19万台、台粗利44〜41万円、ROIC8%以上)はIDOM「新規投資家向け資料」(2026年4月27日)
  • 優待の金額(1回2,500円/13,500円/30,000円)と継続保有条件(同一株主番号で3回以上連続、初回のみ制限なし、買い増しは株数要件と期間要件を別々に判定)、配当方針(連結当期純利益の30%)はIDOMの株主還元ページ
  • 年末PER(2022年6.11倍〜2026年12.91倍)と年末PBRはIRBANK
  • ネクステージ(3186)の株価2,823円・時価総額2,283億円・PER12.9倍・PBR2.61倍・利回り1.77%は株探の同日値
  • 車両保険の支払(17,779件・約264.7億円)は日本損害保険協会の公表資料(2025年8月6〜12日の大雨、2026年3月末時点の集計)
  • 未検証:A社の特定、水害による販売・利益の寄与、優待の対象者数と費用、海外事業の利益貢献、ネクステージとの事業指標の同一定義での比較
  • 公開前にやること:公開日の確定終値で株価・PER・利回り・上値下値・上限株数を取り直す。2026年10月14日の上期決算が出ていれば、第1四半期の数字を入れ替える
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