01
結論 ── 変わろうとしている会社。値札はもうその分だけ上がった
B++結論 01 · 事業
🏍️
二輪車用計器とヘッドアップディスプレイで世界首位。稼ぎ頭は二輪
二輪車用計器は売上823億円・営業利益率11.6%で、インド・アセアン・ブラジルで伸びている。一方、売上の半分を占める四輪車用計器は3期続けて営業赤字。全社のROEは3.7%にとどまる。
結論 02 · 値札
🏷️
PBR0.62倍は1倍割れだが、直近5年のレンジの上寄り
1年前のPBRは0.3倍前後だった。直近5年のレンジは0.22〜0.72倍で、いまはその上寄り。規則どおりの上値は2,988円(+16.4%)、下値は913円(▲64%)。6月末にあった約448億円のネットキャッシュは、買収と自社株買いで借入超過に変わった。
結論 03 · 触媒
📈
還元・買収・TOPIX採用が3週間に重なった
9月18日に発行済みの6.27%を買い入れ、10月1日に東洋電装を約498億円で買収、10月7日にTOPIXへの新規採用が決まった。指数連動の買い需要は当商会の概算で126〜249億円、1日の売買代金の24〜48日分。
📌 当商会の採点はB++(幅・小/確度11点)。会社が変わろうとしている材料は揃っているが、値札はすでにその分だけ上がっている。規則で数える上値が小さいので、ランクは伸びない。同じ確度のまま幅が「中」になるのは1,743円、「大」になるのは1,431円。
株価は2026年10月9日の終値2,568円(株探の確定値)。TOPIX採用が公表されたのは10月7日で、10月7日の終値は2,825円、夜間PTSは2880円(参考)。株数・純資産は6月末の決算から9月の自社株買いを引いた当商会の概算。
02
値札と貸借対照表 ── 6月末と、そのあと
PBR0.62倍| 項目 | 6月末の決算 | 出来事のあと(概算) | 中身 |
|---|---|---|---|
| 株数(自己株式を除く) | 5,748万株 | 5,387万株 | 9月18日に361万株を買い入れ |
| 自己資本 | 2,336億円 | 2,236億円 | 買い入れ額100億円を引いた |
| 1株純資産 | 4,063円 | 4,150円 | 簿価より安く買い入れたので1株あたりは増える |
| PBR | — | 0.62倍 | 株価2,568円。株探の表示は0.59倍(10月9日) |
| PER(会社予想) | — | 13.8倍 | 純利益100億円を買い入れ後の株数で割った1株185.6円。会社の公表は191.38円 |
| 配当利回り | — | 3.50% | 年90円の予想(前期80円) |
| 現金同等物+流動の金融資産 − 借入金 | +448億円 | ▲158億円 | 自社株買い100億円と買収506億円を引いた。東洋電装が持つ現金・借入金は開示がなく入れていない |
| 時価総額 | 1,648億円(自己株式を除くと1,519億円) | 発行済58,471,299株 | |
📌 9月の記事で清原式のネットキャッシュ比率を並べたときの見方をそのまま当てると、この会社は6月末までは「現金が時価総額の約3割ある会社」だったが、10月からは違う。現金を事業の買収と株主還元に使い切り、さらに500億円を借りた。資産バリューの銘柄から、事業と資本政策で評価される銘柄に変わった。
業績の推移(IFRS)
| 決算期 | 売上収益 | 営業利益 | 純利益 | EPS | ROE |
|---|---|---|---|---|---|
| 2022年3月期 | 2,236億円 | — | ▲51.8億円 | ▲85.9円 | ▲2.8% |
| 2023年3月期 | 2,758億円 | 27.3億円 | 13.1億円 | 21.7円 | 0.7% |
| 2024年3月期 | 3,124億円 | 84.8億円 | 53.0億円 | 88.0円 | 2.5% |
| 2025年3月期 | 3,164億円 | 95.8億円 | 61.2億円 | 104.9円 | 2.8% |
| 2026年3月期 | 3,279億円 | 116.2億円 | 82.2億円 | 143.2円 | 3.7% |
| 2027年3月期(予) | 3,200億円 | 140.0億円 | 100.0億円 | — | — |
2027年3月期の予想(売上3,200億円・営業利益140億円・純利益100億円)には、東洋電装の子会社化の影響は入っていない。会社は「判明次第速やかに開示」としている。第1四半期(4〜6月)は売上832億円(+9.2%)、営業利益21.9億円(+44.0%)。
資産の中身(6月末)
| 項目 | 金額 | 備考 |
|---|---|---|
| 現金及び現金同等物 | 527億円 | ほかに流動の金融資産120億円 |
| 棚卸資産 | 962億円 | 流動資産の4割。会社は「棚卸資産の縮減」を資本効率の施策に挙げている |
| 政策保有株式(単体・3月末の時価) | 207億円 | 自己資本の8.9%。本田技研工業76億円、日亜化学工業65億円、アルプスアルパイン54億円、ヤマハ発動機23億円。IFRSで時価計上済み |
| 土地 | 含み益は数えない | 本社・高見・R&Dセンター(新潟県長岡市)で計12.1万㎡・簿価43.5億円(1㎡あたり2.6万〜5.6万円)。公示価格との照合はしていない |
03
6月末のあとの3つの出来事
9/18・10/1・10/76月末の決算だけを見て採点すると、この会社は読み違える。四半期決算のあとの3週間に、貸借対照表と需給を変える出来事が3つ続いた。
| 日付 | 出来事 | 中身 | 何が変わるか |
|---|---|---|---|
| 9/18 | 自己株式の買い入れ | ToSTNeT-3で361万株(発行済みの6.27%)を2,764円で取得。100億円 | 株数が6%減る。3年累計の総還元性向80%の公約を、この1回で超えた |
| 9/28 | 借入 | 三菱UFJ銀行から500億円。無担保、期限は2027年9月28日。財務上の特約は「税引前利益を2期連続で赤字にしない」 | 1年のつなぎ融資。会社は期限内に長期資金へ切り替えるとしている |
| 10/1 | 東洋電装の完全子会社化 | 株式取得額498億円(ほかに費用約7億円)。売上1,000億円・従業員8,716名のスイッチメーカー | 売上は3割増える。時価総額の33%に当たる買収 |
| 10/7 | TOPIXへの新規採用 | 初回の定期入替で追加された35銘柄の一つ。実施は10月30日 | 指数に連動する資金が、10月30日に向けて買う |
| 2027/2/26(予定) | デンソーのHUD事業の譲受 | 生産設備と知的財産を譲り受ける。対価は連結純資産の1%以下。「業績への影響は軽微」 | 世界首位のHUDで、国内の競合が1社減る |
📌 9月18日に買い入れた361万株の売り手は開示されていない。ただし、アルプスアルパインは持っていた300万株(5.21%)を「今後市場で売却を行う方針」と、1月の資本提携解消のときに確認されている。日本精機もアルプスアルパイン株260万株を売る方針で、持ち合いを双方でほどいている最中である。
2026年3月期には20億円の自社株買い枠を決議したが、取得はゼロだった。会社の説明は「インサイダー取引規制への抵触を回避する観点から、結果的に期間中に取得することができませんでした」。東洋電装の買収交渉の時期と重なっている。
04
稼ぐ力 ── 二輪が稼ぎ、四輪は赤字
ROE3.7%| セグメント(2026年3月期) | 売上収益 | 営業利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|
| 四輪車用計器(HUDを含む) | 1,743億円 | ▲17.9億円 | ▲1.0% |
| 二輪車用計器 | 823億円 | 95.6億円 | 11.6% |
| 車載部品その他 | 106億円 | 7.4億円 | 7.0% |
| 民生部品 | 139億円 | ▲3.1億円 | ▲2.2% |
| 樹脂コンパウンド | 84億円 | 5.7億円 | 6.8% |
| 自動車販売 | 270億円 | 13.3億円 | 4.9% |
決算説明会資料(2026年5月28日)。ほかに「その他」と全社の調整がある。連結の営業利益は116.2億円。
📌 利益のほとんどを二輪車用計器が稼ぎ、売上のいちばん大きい四輪車用計器は赤字。四輪は2023年3月期▲43.8億円、2024年3月期▲1.1億円、2025年3月期▲6.7億円、2026年3月期▲17.9億円。会社は、中国で日系・欧州系の自動車メーカーのシェアが下がったことと、北米でのHUDの販売減を理由に挙げている。
二輪車用計器の伸び
| 決算期 | 売上収益 | 営業利益率 |
|---|---|---|
| 2023年3月期 | 519億円 | 8.6% |
| 2024年3月期 | 558億円 | 10.6% |
| 2025年3月期 | 706億円 | 10.7% |
| 2026年3月期 | 823億円 | 11.6% |
| 2027年3月期(見込み) | 840億円 | — |
地域別(2026年3月期)
| 地域 | 売上収益 | 営業利益 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 日本 | 1,234億円 | 11.9億円 | 前期29.7億円から6割減 |
| 米州 | 893億円 | 55.6億円 | ブラジルの二輪が好調 |
| 欧州 | 286億円 | ▲35.8億円 | 赤字が続く。9月にポーランドのソフトウェア開発事業を譲渡すると開示 |
| アジア | 866億円 | 86.1億円 | 前期51.5億円から+67%。インド・アセアンの二輪 |
本田技研工業グループ向けの売上は971億円で、連結売上の30%(有価証券報告書)。
05
ニッチトップ ── 二輪メーターとHUDで世界首位
会社資料| 製品 | 位置 | 中身 |
|---|---|---|
| 二輪車用計器 | 世界シェア1位(会社資料) | 1959年にホンダ・スーパーカブ用を受注したのが始まり。振動・雨・熱・埃に耐える気密性が強み。液晶(TFT)化でソフトウェアが載り、1台あたりの単価が上がる見込み。会社の見通しでは二輪メーターに占めるTFTの比率は2026年度18%→2030年度22% |
| ヘッドアップディスプレイ(HUD) | 世界シェア1位(会社資料) | 1999年に量産開始、2004年に世界初のカラーHUD。2026年3月期の生産は約210万台。凹面鏡を内製する。顧客はBMW・アウディ・GM・クライスラー・マツダ、2025年12月にトヨタの新型RAV4に初採用。2027年2月にデンソーのHUD事業を譲り受ける予定 |
| 四輪車用計器 | — | 売上は最大だが赤字。メーターの大型液晶化で、表示器のメーカーや車載ソフトの会社と競合する領域 |
📌 世界首位の製品を2つ持ちながら、ROEは3.7%。堀がある製品(二輪)と、首位でも儲かっていない製品(HUDを含む四輪)が同居している。会社の目標はこの中期計画でROE5%、2030年3月期に8%。2030年3月期の売上目標4,000億円は、東洋電装を足すと数字の上では前倒しで届く。
「世界シェア1位」は決算説明会資料の会社紹介(注記に「HUD、2輪メータ」)による。シェアの数値(%)と調査元は資料に書かれておらず、当商会では確認できていない。HUDの世界市場は2024年に搭載率が10%を超え、2035年に約2,100万台という見通しを会社が引用している。
06
東洋電装の買収 ── 500億円、全額借入
時価総額の33%| 項目 | 数字 | 中身 |
|---|---|---|
| 取得額 | 498億円 | 全株式。ほかにアドバイザリー費用など約7億円。全額を借入で調達し、「エクイティファイナンスの実施予定はなし」 |
| 東洋電装の売上高(2025年3月期) | 1,000億円 | 四輪車用が約70%、二輪車用が25%。スイッチ類とHMIシステム |
| 営業利益/純利益 | 25.3億円/26.9億円 | 営業利益率2.5%。前の期は3.2% |
| 純資産 | 513億円 | 総資産801億円 |
| 買った値段の倍率 | PBR0.97倍・PER18.5倍 | 純資産とほぼ同じ値段。のれんは大きくならない計算だが、取得原価の配分は未開示 |
| ホンダ向けの比率 | 80%超 | 東洋電装の売上に占める割合。旧株主にも本田技研工業(14.89%)がいた |
単純に足すとどうなるか(当商会の概算)
| 項目 | 日本精機(今期予想) | 東洋電装(2025年3月期) | 単純合算 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 3,200億円 | 1,000億円 | 4,200億円 |
| 営業利益 | 140億円 | 25.3億円 | 165億円 |
| 純利益(借入の利息を引く) | 100億円 | 26.9億円 | 約122億円 |
| 1株利益/PER | 185.6円/13.8倍 | — | 約226円/11.4倍 |
| ホンダグループ向けの比率 | 30% | 80%超 | 約41% |
当商会の置き:借入500億円の利息を年1.5%(7.5億円)、税率30%。東洋電装の利益は2025年3月期の実績をそのまま使い、会計基準の違い(日本基準とIFRS)、取得原価の配分、統合費用、相乗効果は入れていない。ホンダ向け比率は、東洋電装の80%を当てはめた計算で、80%「超」の部分は入っていない。会社の業績予想ではない。
📌 純資産と同じ値段で、営業利益率2.5%の会社を買った。利益は足し算で2割ほど増えるが、取引先はホンダに寄る。会社が挙げる狙いは、表示(メーター・HUD)と操作(スイッチ)を合わせた提案、共同購買、海外工場の生産連携の3つ。相乗効果の検討は「買収手続きの完了後に開始する」としており、数字はまだ出ていない。
07
還元と資本政策 ── 公約の80%はもう超えた
総還元103%| 年度 | 配当総額 | 自己株式の取得 | 1株配当 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 29.0億円 | 27.0億円 | 50円 |
| 2026年3月期 | 45.9億円 | 0円(20億円の枠は未実行) | 80円 |
| 2027年3月期(予想) | 約50億円 | 100億円 | 90円 |
| 3年の合計 | 約252億円(3年の純利益の合計243億円に対して103%) | — | |
公約は「2025年3月期〜2027年3月期の純利益合計に対して総還元性向80%」(約195億円)。2027年3月期の純利益は会社予想の100億円、配当は中間45円を買い入れ前の株数、期末45円を買い入れ後の株数で計算した当商会の概算。
📌 公約は9月の買い入れで達成済みになった。売る側から見れば、今期中の追加の自社株買いは公約からは出てこない。次の方針は、2027年5月に開示される新しい中期経営計画(2028年3月期〜2030年3月期)で示される。機関投資家との対話では「売上目標ではなく、収益性と資本効率の改善を明確に」という意見が出たと会社が開示している。
資本政策で出ている事実
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 目標 | 「PBR1倍水準の早期達成」。3月末のPBRは0.58倍で「道半ば」(決算説明会)。ROEはこの中期計画で5%、2030年3月期に8% |
| 政策保有株式 | 単体の時価で207億円(自己資本の8.9%)。2026年3月期の売却はゼロ。2027年3月期はアルプスアルパイン株(260万株・3月末54億円)の売却を進める |
| 買収防衛策 | 導入していない(ガバナンス報告書) |
| 大株主 | 本田技研工業6.53%、アルプスアルパイン5.21%(3月末。売却方針)、三菱UFJ銀行3.09%、従業員持株会3.09%、日亜化学工業2.93%、第四北越銀行2.72%、ヤマハ発動機2.11%。外国人の保有は20%以上30%未満 |
| 対話 | 2026年3月期に機関投資家・アナリストとの個別対話124回、議決権行使担当者との対話11回 |
08
TOPIX採用と買い需要 ── 売買代金の何日分か
当商会の概算2026年10月7日、JPX総研がTOPIXの初回定期入替の結果を公表した。プライム以外の市場からも流動性で銘柄を選ぶ新しいルールの最初の回で、新規に追加されたのは35銘柄(スタンダード23、グロース12)。実施は10月30日。
| 項目 | 数字 | 出所・前提 |
|---|---|---|
| TOPIXに連動する資産 | 約160兆円 | JPX総研の別紙(2026年6月時点) |
| 構成銘柄の浮動株時価総額 | 775兆円 | 同(2026年8月末) |
| 割り算 | 20.6% | 浮動株のおよそ2割を連動資産が持つ計算。当商会の単純な割り算で、JPXの数字ではない |
| 追加基準の下限(浮動株時価総額) | 約610億円 | 累積比率の上位96%以内。別紙の注記 |
| 日本精機の浮動株時価総額(当商会の置き) | 約1,208億円 | 自己株式を除く時価総額1,519億円×80%。大株主のうち事業会社・銀行・持株会の6者を引いただけの粗い置き |
| 買い需要の概算 | 126〜249億円 | 下限は基準の610億円、上側は当商会の置きに20.6%を掛けた |
| 1日の売買代金に対して | 24〜48日分 | 直近40営業日の平均は1日5.2億円(19万株) |
📌 需要は売買代金に対して大きい。ただしこの数字をそのまま値上がりの幅と読むことはできない。理由は3つある。①連動資産160兆円のすべてが、10月30日の引けで指数どおりに買うわけではない。②選定のルールは2024年9月に公表済みで、基準日(8月末)の数字から採用を予想して先に買っている資金がある。③実施日を過ぎると買いは止まる。
| 時点 | 株価 | 備考 |
|---|---|---|
| 8月31日(基準日) | 2,740円 | — |
| 9月17日 | 2,764円 | 自社株買いの買付価格 |
| 10月6日(公表の前日) | 2,568円 | 基準日から+2.9% |
| 10月7日(公表日) | 2,825円 | 夜間PTSは2880円(19時22分・株探) |
基準日から公表前日までの値上がりは+2.9%で、新規追加35銘柄の中では動いていないほうに入る。公表日の終値もほぼ変わらず、公表は取引終了後だったとみられる(当商会の読み取り)。新ルールでは採用は年1回(10月末)で、継続の基準は年間売買代金回転率0.14以上・累積97%以内。
09
3年後の3ケース ── ベア・ベース・ブル
2029年3年後(2029年秋)の株価を、1株純資産×PBRで3通りに置く。1株純資産は、いまの4,150円に3年分の内部留保(1株利益−配当)を足す。確率は当商会の置きである。
| ケース | 前提 | 3年後の1株純資産 | PBR | 株価 | 騰落 | 配当込み |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ベア(25%) | 四輪の赤字が続き、買収の効果が出ず純利益60億円/年。配当は90円を維持。PBRは0.35倍(直近5年の安値0.22倍は赤字の時期なので、そこまでは置かない) | 4,210円 | 0.35倍 | 1,474円 | ▲43% | ▲32% |
| ベース(50%) | 今期予想に東洋電装の利益が少し乗って純利益108億円/年。PBRは10月上旬の0.68倍のまま | 4,465円 | 0.68倍 | 3,036円 | +18% | +29% |
| ブル(25%) | 二輪の伸びと東洋電装の統合効果で純利益160億円/年(ROE7%前後)。PBRは同業の中央値0.88倍 | 4,690円 | 0.88倍 | 4,104円 | +60% | +70% |
📌 3ケースを確率で均すと2,912円(+13.4%)、3年分の配当を足して+24%。ベースでは配当のぶんだけ、という形になる。上に抜けるには、ROEが7%前後まで上がって同業並みのPBRが付く必要がある。下は、四輪の赤字が続いたまま買収の効果が出ない場合で、1年前の水準(PBR0.3倍前後)に戻る。
為替の変動、東洋電装の取得原価の配分、今後の自社株買いによる株数の変化は入れていない。ベアのPBR0.35倍は、直近5年の安値0.22倍が最終赤字やROE1%未満の時期だったことを踏まえた当商会の置き。
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検証済みレンジとランク
B++| 軸 | 点 | 根拠 |
|---|---|---|
| 🦦安さ | 1点 | PBR0.62倍・PER13.8倍。1倍は割れているが、直近5年のPBRレンジ(0.22〜0.72倍)の上寄りにいる。土地の含み益は数えておらず、買収と自社株買いのあとはネットキャッシュでもない |
| 🦉財務 | 2点 | 6月末の自己資本比率は67.6%。ただし10月に買収資金500億円を1年のつなぎ融資で借りた。2020年3月期と2022年3月期は最終赤字 |
| 🦫モート | 2点 | ヘッドアップディスプレイと二輪車用計器で世界シェア1位(会社資料)。二輪は営業利益率11.6%。一方で四輪車用計器は3期続けて営業赤字、全社のROEは3.7% |
| 🐊触媒 | 3点 | PBR1倍の早期達成を掲げ、3年累計の総還元性向80%を公約。9月に発行済みの6.27%(約100億円)を買い入れ、政策保有株は双方向で解消中。10月30日にTOPIXへ新規採用、2027年5月に新中期経営計画 |
| 🐝インカム | 2点 | 利回り3.50%。配当は40円→45円→50円→80円→90円(予想)と増えている。配当性向は約48% |
| 🦞リスク | 1点 | 本田技研工業グループ向けが売上の約3割で、東洋電装(ホンダ向け8割超)を足すと約4割に上がる。中国で四輪が不振。買収は時価総額の3割に当たる規模で、効果も資金の借り換えもこれから |
| 確度 | 11点 | 18点満点。13点以上が「高」、8点以上が「中」 |
上値と下値
| 上値の置き方 | 株価 | 上値 | 非対称比 |
|---|---|---|---|
| 直近5年の高値0.72倍(規則どおり) | 2,988円 | +16.4% | 0.25 |
| 同業12社の中央値0.88倍 | 3,652円 | +42.2% | 0.66 |
| 会社が掲げる1倍 | 4,150円 | +47.2% | 0.70 |
| 下値の置き方 | 株価 | 下値 | 非対称比 | 幅 | ランク |
|---|---|---|---|---|---|
| 52週安値 | 1,671円 | ▲41% | 0.15 | 小 | B++ |
| PER下限6.4倍×予想EPS | 1,188円 | ▲58% | 0.10 | 小 | B++ |
| PBR下限0.22倍×BPS(規則で採用) | 913円 | ▲64% | 0.25 | 小 | B++ |
上値は「実質純資産×min(直近5年のPBRの高値、同業の中央値)」。実質純資産は1株純資産4,150円をそのまま使った(土地の含み益は数えず、有価証券は時価計上済み)。同業は自動車部品12社のPBR(株探・10月7日):スタンレー電気 0.94倍、ミツバ 0.55倍、今仙電機製作所 0.36倍、デンソー 0.90倍、テイ・エス テック 0.66倍、エフ・シー・シー 0.94倍、愛三工業 0.85倍、市光工業 0.64倍、アルプスアルパイン 0.96倍、武蔵精密工業 1.62倍、エクセディ 1.08倍、曙ブレーキ工業 0.56倍。中央値は0.88倍。下値は、株価より下にある候補のうち最も深いもの。
📌 規則どおりだと上値+16.4%・下値▲64%で、非対称比は0.25。幅は「小」、確度11点でB++になる。上値を同業の中央値で置けば+42.2%、会社が掲げる1倍なら4,150円だが、いずれも幅は「小」のまま変わらない。株価がこの1年で大きく上がり、過去のレンジの上端にいるためである。
同じ確度のまま、幅が変わる株価
| 株価 | 幅 | ランク | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2,568円(いま) | 小 | B++ | 52週の高値2,884円に近い |
| 1,743円 | 中 | B++ | 52週の安値1,671円の近く |
| 1,431円 | 大 | A- | 2025年3月期の高値1,553円より下 |
11
リスクと検算メモ
6つのリスク| リスク | 中身 |
|---|---|
| 取引先の集中 | 本田技研工業グループ向けが売上の30%。東洋電装を足すと当商会の計算で約41%。ホンダの四輪・二輪の生産と調達方針の影響が大きくなる |
| 四輪車用計器の赤字 | 3期続けて営業赤字。中国での日系・欧州系メーカーのシェア低下、欧州拠点の赤字(▲35.8億円) |
| 買収の統合 | 時価総額の33%に当たる買収。従業員は8,716名で、日本精機グループ(13,246名)の3分の2。相乗効果の数字は未公表 |
| 借入の借り換え | 500億円は期限1年。長期資金への切り替えの条件は未定。金利が上がれば利息の負担が増える |
| コスト | 会社は今期、メモリー価格の高騰と原油高を理由に、営業利益の目標を165億円から140億円へ下げた |
| TOPIXの需給 | 10月30日を過ぎると指数連動の買いは止まる。継続の基準(売買代金回転率0.14以上など)を満たせなくなると、将来の定期入替で外れる |
検算メモ(沼底バリュー商会・2026年10月)
- 株価2,568円は2026年10月9日の終値(株探の確定値)。10月7日の終値2,825円と夜間PTS2880円は株探の表示で参考値
- 6月末の貸借対照表(親会社所有者帰属持分2,335.65億円、現金同等物527.42億円、借入金200.06億円、発行済58,471,299株、自己株式988,879株)は2027年3月期第1四半期決算短信(IFRS・2026年8月7日)
- 出来事のあとの数字は当商会の概算:自己株式3,610,000株・99.78億円(9月18日の開示)を株数と自己資本から引いた。ネットの金融資産は、さらに東洋電装の取得額498.5億円と費用約7億円を引いた。東洋電装の資産・負債、7月の譲渡制限付株式報酬の処分は入れていない
- 東洋電装の業績(2025年3月期:売上1,000.38億円、営業利益25.30億円、純利益26.95億円、純資産513.40億円)と取得額、ホンダ向け売上比率80%超は「株式取得(子会社化)についての株式譲渡契約締結に関するお知らせ」(4月20日)と添付の説明資料。取得完了は10月1日の開示、借入は9月14日の開示
- セグメント・地域別の業績、二輪車用計器の推移、総還元性向の方針、政策保有株式の時価、PBRとROEの推移、世界シェア1位の記述は2026年3月期決算説明会資料(5月28日)と書き起こし(6月1日)
- 本田技研工業グループ向け売上971.33億円、土地の面積と簿価、大株主は有価証券報告書(2026年3月期)。買収防衛策なし・外国人保有比率はコーポレート・ガバナンス報告書(6月30日)
- TOPIXの新規追加35銘柄、連動資産約160兆円、浮動株時価総額775兆円、追加基準の下限約610億円はJPX総研の公表資料(10月7日)。日本精機の採用は同社の開示(10月7日)でも確認
- 直近5年のPBRの高値0.72倍・安値0.22倍、PERの安値6.4倍はIRBANK。同業12社のPBRと売買代金は株探
- 当商会の置き:浮動株比率80%、連動資産の比率20.6%、借入の利率1.5%と税率30%、東洋電装の利益の単純合算、3ケースの1株利益・PBR・確率、同業12社の選び方
- 未確認:JPXが使う日本精機の浮動株比率、9月18日の買い入れの売り手、東洋電装の現金と借入金・取得原価の配分・のれん、HUDと二輪メーターの世界シェアの数値と調査元、長岡の土地の公示価格との比較、10月8日以降の値動き