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結論 ── 高配当と資本政策の会社。値札は同業より高い
B++結論 01 · 事業
🚗
ドアのシール部品。日系4グループ向けが売上の7割
主力はドアウェザーストリップなどのシール部品。2026年3月期は売上1,221億円・営業利益90.5億円(利益率7.4%)で、売上と経常利益・純利益は過去最高。2年前まで赤字だった北米が17.8億円の黒字になった。今期は自動車の減産と材料高を前提に、営業利益17%減・純利益41%減の予想。
結論 02 · 値札
🏷️
PBR1.43倍は同業の中央値1.08倍より上
2024年3月期のPBRは0.26〜0.51倍だった。DOE8%の配当と自社株買いで1年あまりに評価が変わり、いまは直近5年のレンジ(0.26〜1.87倍)の上寄り。規則どおりの上値は2,594円(▲24.6%)で、いまの株価より下になる。下値は625円(▲82%)。
結論 03 · 還元とリスク
⚠️
利回り5.35%。ただし配当は純利益より多い
今期の配当184円は1株利益179円を上回る(配当性向103%)。会社は自己資本比率を55%まで下げる方針で、意図した還元である。一方、メキシコ子会社は約110億円の更正決定通知を受けており、引当は計上していない。
📌 当商会の採点はB++(幅・小/確度12点)。高い配当と資本政策は本物だが、値札はそれを織り込んで同業より高い位置にある。規則で数える上値がないので、ランクは伸びない。同じ確度のまま幅が「中」になるのは1,412円、「大」になるのは1,117円。
株価は2026年10月7日の終値3,440円(株探の確定値)。TOPIXへの新規採用は10月7日の取引終了後に公表された。貸借対照表は2026年6月末(2027年3月期第1四半期決算短信)。
02
値札と貸借対照表
PBR1.43倍| 項目 | 数字 | 中身 |
|---|---|---|
| 株価(2026年10月7日終値) | 3,440円 | 52週の高値4,545円・安値2,785円 |
| 時価総額 | 1,273億円 | 自己株式を除くと1,247億円(3,625万株) |
| PBR | 1.43倍 | 1株純資産2,402円。直近5年のレンジは0.26〜1.87倍 |
| PER(会社予想) | 19.2倍 | 1株利益179.3円 |
| 配当利回り | 5.35% | 年184円の予想。配当性向は約103% |
| 現預金・有価証券 − 借入金 | 279億円 | 時価総額(自己株式を除く)の22%。現預金等520億円、借入金241億円 |
| 投資有価証券 | 262億円 | ダイキョーニシカワ590万株(3月末49億円)、トヨタ自動車32億円、ハイレックス29億円、住友不動産28億円など。時価で計上済み |
| 清原式ネットキャッシュ比率 | 0.34倍 | (流動資産792億円+投資有価証券×70%−負債555億円)÷時価総額 |
📌 現預金と有価証券が520億円、借入金が241億円で、ネットキャッシュは279億円(時価総額の22%)。投資有価証券を7割で足した清原式は0.34倍。資産の厚みはあるが、PBRが1倍を超えているので「資産より安い株」ではない。
03
稼ぐ力 ── 北米が黒字化、今期は減益予想
ROE12.5%→今期は低下| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 | EPS | ROE |
|---|---|---|---|---|---|
| 2022年3月期 | 845億円 | — | 21.1億円 | 53.7円 | 3.1% |
| 2023年3月期 | 982億円 | ▲1.1億円 | 11.7億円 | 30.4円 | 1.7% |
| 2024年3月期 | 1,179億円 | 65.6億円 | 50.4億円 | 130.7円 | 6.4% |
| 2025年3月期 | 1,206億円 | 73.2億円 | 39.6億円 | 102.5円 | 4.6% |
| 2026年3月期 | 1,221億円 | 90.5億円 | 109.6億円 | 293.8円 | 12.5% |
| 2027年3月期(予) | 1,180億円 | 75.0億円 | 65.0億円 | 179.3円 | — |
2026年3月期の純利益109.6億円には、政策保有株式の売却益44億円(特別利益)が入っている。一方で、2016年の米国反トラスト法違反に関連する顧客との和解金約12億円を特別損失に計上した。2025年4月1日に1株を2株に分割しており、1株あたりの数字は分割後に直してある。2027年3月期第1四半期(4〜6月)は売上301億円(+4.0%)、営業利益22.0億円(+25.0%)。
地域別のセグメント
| セグメント(2026年3月期) | 売上高 | 営業利益 | 利益率 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 579億円 | 41.0億円 | 7.1% | 価格改定で微増収。人的資本投資で減益。利益率は2年前の9.4%から低下 |
| 北米 | 476億円 | 17.8億円 | 3.7% | 2年前は▲17.1億円の赤字。メキシコ拠点の原価改善で黒字化 |
| 東アジア(中国) | 105億円 | 6.3億円 | 6.0% | 日本車のシェア低下で減収。内陸の新工場へ生産を移す |
| 東南アジア | 122億円 | 24.3億円 | 20.0% | タイ・インドネシア。利益率は高いが日本車のシェア低下で減収 |
📌 利益の柱は日本と東南アジア、変化が大きいのは北米。北米は中国子会社から生産改善チームをメキシコに送り込み、2024年3月期▲17.1億円→2025年3月期▲1.5億円→2026年3月期+17.8億円と黒字になった。日本は利益率が9.4%→8.3%→7.1%と下がっている。
04
事業の強み ── ドアまわりのシール部品
日系4社で7割| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 製品 | ドアウェザーストリップ、ボディーサイドウェザーストリップ、グラスランチャンネルなど、ドアと窓のまわりで水・風・音を止めるシール部品。合成ゴムと熱可塑性樹脂を使う |
| 顧客 | トヨタ自動車グループ307億円、本田技研工業グループ265億円、マツダグループ170億円、日産自動車グループ144億円(2026年3月期)。4グループで売上の約72% |
| 差別化製品 | 軽量・静音の技術ブランド「ESquare(イースクエア)」。EVで静粛性と軽さの要求が高まることへの対応。海外子会社へ技術を移している |
| 新しい顧客 | 欧州の自動車メーカー向けに第二営業本部を置き、2026年8月にドイツ支店を設立。中国の自動車メーカーへも営業を強化 |
| 会社の目標 | 2030年度に売上1,300億円・営業利益130億円・ROE9%・ROIC8%。「グローバルニッチトップ企業を目指す」 |
📌 自動車1台に必ず付く部品で、国内の主要メーカーに広く納めている。ただし顧客は日系メーカーに偏り、中国と東南アジアでは日本車のシェア低下がそのまま減収になっている。会社は欧州・中国メーカーへの拡販でこの偏りを直そうとしている段階。
国内・世界のシェアの数値は、今回読んだ開示資料(有価証券報告書・決算説明補足資料)には書かれておらず、当商会では確認できていない。
05
還元と資本政策 ── DOE8%、純利益より多い配当
利回り5.35%| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 配当方針 | 最適な自己資本比率を55%と定め、連結の株主資本配当率(DOE)を年8%程度。2025年3月期から毎期実施。2026年3月期は183円、2027年3月期は184円の予想 |
| 自社株買い | 2025年9月にToSTNeT-3で240万株・74.0億円(発行済みの約6%)。同年10月に299万株(7.48%)を消却。自己株式は発行済みの2%程度を目安とし、超える分は消却する方針 |
| 政策保有株式 | ROE9%に向け、2028年3月期までに100億円規模で売却する計画。2026年3月期は約49億円(純資産の約5%)を売却。2026年1月にダイキョーニシカワ株355万株を28億円で売り出した |
| 買収への対応方針 | 2011年に導入した買収防衛策を、2026年6月の定時株主総会で一部変更のうえ継続 |
| 大株主 | 西川記念財団8.44%、ハイレックスコーポレーション6.85%、取引先持株会5.85%、西川正洋氏5.54%、広島銀行5.11%、山口銀行3.00% |
📌 還元は強い。ただし、いまの配当は利益から出しているのではなく、厚すぎた自己資本を55%まで減らす途中の配当である。自己資本比率は6月末で59.3%。55%に届いたあとも1株184円を続けるには、純利益が年約67億円を超え続ける必要がある。今期の予想は65億円。
06
TOPIX採用と買い需要 ── 売買代金の何日分か
当商会の概算2026年10月7日、JPX総研がTOPIXの初回定期入替の結果を公表した。新規に追加されたのは35銘柄(スタンダード23、グロース12)で、実施は10月30日。西川ゴム工業はその一つである。
| 項目 | 数字 | 出所・前提 |
|---|---|---|
| TOPIXに連動する資産 ÷ 構成銘柄の浮動株時価総額 | 20.6% | 約160兆円÷775兆円(JPX総研の別紙)。割り算は当商会 |
| 追加基準の下限(浮動株時価総額) | 約610億円 | 累積比率の上位96%以内 |
| 浮動株時価総額(当商会の置き) | 約762億円 | 自己株式を除く時価総額×61%。大株主のうち固定的とみた株主(西川記念財団 8.44%、ハイレックスコーポレーション 6.85%、取引先持株会 5.85%、西川正洋氏 5.54%、広島銀行 5.11%、山口銀行 3.00%、社員持株会 2.18%、西川泰央氏 1.91%)を引いただけの粗い置き |
| 買い需要の概算 | 126〜157億円 | 下限は基準の610億円、上側は当商会の置きに20.6%を掛けた |
| 1日の売買代金に対して | 28〜34日分 | 直近40営業日の平均は1日4.6億円 |
| 基準日(8月31日)からの値動き | ▲8.3% | 3,750円 → 3,440円 |
📌 需要は売買代金に対して大きいが、この数字をそのまま値上がりの幅と読むことはできない。①連動資産のすべてが10月30日の引けで指数どおりに買うわけではない。②選定ルールは2024年9月に公表済みで、先回りの買いがある。③実施日を過ぎると買いは止まる。この会社は基準日から▲8.3%で、新規追加35銘柄の中では下げているほうに入る。
07
3年後の3ケース ── ベア・ベース・ブル
2029年3年後(2029年秋)の株価を1株純資産×PBRで3通りに置く。1株純資産は、いまの2,402円に3年分の内部留保(1株利益−配当)を足す。確率は当商会の置きである。
| ケース | 前提 | 3年後の1株純資産 | PBR | 株価 | 騰落 | 配当込み |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ベア(25%) | メキシコの税務で約110億円を負担(1株あたり約303円)、利益は純利益44億円/年へ。DOE8%の配当は続く。PBRは2026年3月期の安値0.74倍 | 1,907円 | 0.74倍 | 1,411円 | ▲59% | ▲43% |
| ベース(50%) | 今期予想並みの純利益65億円/年。配当184円で1株純資産は横ばい。PBRは現状のまま | 2,390円 | 1.43倍 | 3,418円 | ▲1% | +15% |
| ブル(25%) | 2030年度の目標(営業利益130億円・ROE9%)に近づき純利益94億円/年。PBRは直近5年の高値1.87倍 | 2,612円 | 1.87倍 | 4,885円 | +42% | +59% |
📌 3ケースを確率で均すと3,283円(▲4.6%)、3年分の配当を足して+11.6%。ベースでは株価は動かず、配当のぶんだけという形になる。下は、メキシコの税務で負担が生じ、利益が落ちても配当を続けて純資産が減っていく場合。上は、2030年度の目標に沿って利益が伸び、いまの評価が保たれる場合。
08
検証済みレンジとランク
B++| 軸 | 点 | 根拠 |
|---|---|---|
| 🦦安さ | 1点 | PBR1.43倍で、同業のゴム・自動車部品7社の中央値1.08倍より高い。直近5年のレンジ0.26〜1.87倍の上寄り。PERは減益予想で19.2倍。ネットキャッシュは時価総額の22% |
| 🦉財務 | 3点 | 自己資本比率59.3%。現預金等520億円に対し借入金241億円。会社は最適な自己資本比率を55%と定めている |
| 🦫モート | 2点 | ドアまわりのシール部品(ウェザーストリップ)が主力で、トヨタ・ホンダ・マツダ・日産の4グループ向けが売上の7割。営業利益率7.4%、東南アジアは20%。北米は黒字化したばかり |
| 🐊触媒 | 2点 | DOE8%の配当、2025年9月に74億円の自社株買いと消却、政策保有株を2028年3月期までに100億円規模で売却する計画、ROE9%目標。一方で買収への対応方針は2026年6月に継続 |
| 🐝インカム | 3点 | 利回り5.35%。DOE8%程度を2025年3月期から毎期実施。今期は1株利益179円に対し配当184円 |
| 🦞リスク | 1点 | メキシコ子会社が約110億円の更正決定通知を受領(引当なし・不服申し立て予定)。今期は純利益41%減の予想。日系4社への依存、中国・東南アジアで日本車のシェア低下 |
| 確度 | 12点 | 18点満点。13点以上が「高」、8点以上が「中」 |
上値と下値
| 上値の置き方 | PBR | 株価 | いまから |
|---|---|---|---|
| 同業の中央値1.08倍(規則で採用) | 1.08倍 | 2,594円 | ▲24.6% |
| 直近5年の高値1.87倍 | 1.87倍 | 4,492円 | +30.6% |
| 下値の置き方 | 株価 | 下値 | 非対称比 | 幅 | ランク |
|---|---|---|---|---|---|
| 52週安値 | 2,785円 | ▲19% | -1.29 | 小 | B++ |
| 床(1株あたり金融資産) | 1,313円 | ▲62% | -0.40 | 小 | B++ |
| PER下限4.35倍×予想EPS | 780円 | ▲77% | -0.32 | 小 | B++ |
| PBR下限0.26倍×BPS(規則で採用) | 625円 | ▲82% | -0.30 | 小 | B++ |
上値は「1株純資産×min(直近5年のPBRの高値、同業の中央値)」。同業はブリヂストン 1.25倍、住友ゴム工業 0.71倍、フコク 0.67倍、ニッタ 1.15倍、三ツ星ベルト 1.13倍、バンドー化学 1.07倍、豊田合成 1.08倍(株探・10月7日)。下値は、株価より下にある候補のうち最も深いもの。
📌 規則どおりの上値は2,594円で、いまの株価より▲24.6%。直近5年のPBRの高値(1.87倍)は2026年2月に付けたもので、同業の中央値1.08倍のほうが低いため、規則では同業の水準を採る。幅は「小」、確度12点でB++。利回り5%台という分かりやすい魅力の裏で、値札は同業より3割ほど高い。
| 株価 | 幅 | ランク | 備考 |
|---|---|---|---|
| 3,440円(いま) | 小 | B++ | — |
| 1,412円 | 中 | B++ | 2025年3月期の高値2,515円より下 |
| 1,117円 | 大 | A- | 1株あたり金融資産1,313円より下 |
09
リスクと検算メモ
6つのリスク| リスク | 中身 |
|---|---|
| メキシコの税務 | 子会社が2021年12月期の申告について約110億円(1,189百万メキシコペソ)の更正決定通知を2026年5月28日に受領。会社は「メキシコ税法に反する不合理なもの」として不服申し立てを行う予定で、引当金は計上していない。自己資本871億円の約13%に当たる |
| 今期の減益 | 会社予想は営業利益75億円(▲17%)、純利益65億円(▲41%)。前期の純利益には株式売却益44億円が入っていた |
| 配当の持続性 | 配当184円は1株利益179円を上回る。DOE8%は自己資本比率55%までの圧縮と一体の方針で、届いたあとの水準は利益次第 |
| 顧客の偏り | 日系4グループで売上の約72%。中国・東南アジアで日本車のシェア低下が続く |
| 過去の法令違反 | 2016年に米国司法省と罰金1.3億ドルで合意(反トラスト法)。2026年1月にも関連する和解金約12億円を計上 |
| TOPIXの需給 | 10月30日を過ぎると指数連動の買いは止まる。買収への対応方針を持つ会社である点も、評価が分かれる |
検算メモ(沼底バリュー商会・2026年10月)
- 株価3,440円は2026年10月7日の終値(株探の確定値)。PBR・PERは当商会の計算(自己資本870.90億円÷36,254,967株、会社予想EPS179.29円)
- 6月末の現金及び預金499.34億円・有価証券21.00億円、借入金(短期89.80億円・1年内長期60.82億円・長期90.65億円)、投資有価証券262.45億円は2027年3月期第1四半期決算短信(2026年8月6日)
- セグメント別の業績、ROE12.5%、政策保有株式の売却49億円・自社株買い74億円、DOE8%の方針は2026年3月期決算説明補足資料(5月14日)と配当の開示
- 主要顧客の売上高、大株主、特定投資株式、2030年度の目標は有価証券報告書(2026年3月期)
- メキシコ税務当局からの更正決定通知は6月19日の開示、和解金は1月19日の開示、ダイキョーニシカワ株の売却は1月19日の開示、自己株式の消却は2025年10月15日の開示、買収への対応方針は5月14日の開示
- 直近5年のPBRの高値1.87倍・安値0.26倍、PERの安値4.35倍はIRBANK。同業7社は当商会が選んだゴム製品・自動車部品(住友理工は株探に指標の表示がなく除いた)
- 当商会の置き:浮動株比率61%、連動資産の比率20.6%、3ケースの1株利益・PBR・確率、ベアでメキシコの税務を全額負担とした仮定
- 未確認:シール部品の国内・世界シェア、JPXが使う浮動株比率、メキシコの不服申し立ての進み具合、10月8日以降の値動き