TOPIXに新しく入る35銘柄を全部並べた|指数の買いが重いのは16銘柄、PBR1倍割れは2銘柄。「指数が買う」と「安い」は別の列に置く【採点した6社はすべて幅・小】
🦎 「課長。TOPIXに新しく入る35銘柄が出ました。指数に連動する資金が買うなら、安い株を先に持っておけば、と思って全部並べてみたんです」
沼田「10月7日の公表だな。それで、どうだった」
日向(見習い)「先に結論を言うと、『指数が買う』と『安い』の両方がそろう株は、ほとんどありませんでした」
守田「リスク管理担当の守田だ。今日のは銘柄の推奨ではない。数え方の記録だ」
📥 指数の買いは、いくらあるのか
待伏「イベント担当の待伏です。JPX総研の資料から、材料になる数字を3つ拾います」
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| TOPIXに連動する資産(2026年6月) | 約160兆円 |
| 構成銘柄の浮動株時価総額(2026年8月末) | 775兆円 |
| 追加基準の下限(浮動株時価総額) | 約610億円 |
待伏「上の2つを割ると約2割です。指数に入る銘柄は、市場で動いている株のおよそ2割を、連動する資金が持つことになる計算です。これは私たちの割り算で、JPXが出している数字ではありません」
墨田「AIバックチェック担当の墨田です。35銘柄それぞれについて、時価総額から大株主の固定的な持ち分を引いて浮動株を置き、2割を掛けました。合計は約11,579億円になります」
日向「それを、ふだんの1日の売買代金で割ったのがこの表です」
| 銘柄 | 買い需要(概算) | 売買代金/日 | 何日分か | 8月末から | PBR | PER |
|---|---|---|---|---|---|---|
| サン電子(6736) | 235億円 | 4.7億円 | 50日分 | +15.8% | 4.29倍 | 27.8倍 |
| 日本精機(7287) | 255億円 | 5.2億円 | 49日分 | +3.1% | 0.65倍 | 15.2倍 |
| フクダ電子(6960) | 361億円 | 7.5億円 | 48日分 | ▲3.3% | 1.66倍 | 18.0倍 |
| 沖縄セルラー電話(9436) | 312億円 | 6.5億円 | 48日分 | ▲1.6% | 3.78倍 | 28.2倍 |
| ナカニシ(7716) | 386億円 | 9.2億円 | 42日分 | ▲3.3% | 2.03倍 | 18.3倍 |
| ヱスビー食品(2805) | 230億円 | 5.9億円 | 39日分 | ▲0.7% | 1.67倍 | 20.3倍 |
| テクノ菱和(1965) | 172億円 | 4.8億円 | 36日分 | +2.6% | 2.16倍 | 12.4倍 |
| 西川ゴム工業(5161) | 162億円 | 4.6億円 | 35日分 | ▲8.3% | 1.43倍 | 19.2倍 |
| 上村工業(4966) | 456億円 | 13.6億円 | 34日分 | +10.8% | 3.08倍 | 24.3倍 |
| 東映アニメーション(4816) | 422億円 | 12.7億円 | 33日分 | ▲4.2% | 3.55倍 | 33.0倍 |
墨田「20日分を超える銘柄が16あります。もともと売買が少なく、浮動株の時価総額が大きい会社ほど、買いが重くなります。太字は、このあと開いて採点した銘柄です」

🦍 乱入|テック番長「上がってるのは半導体だろ。指数の買いは成長株に来るんだよ」
テック番長「おいおい、地味な銘柄ばっかり並べやがって。実際に上がってるのを見ろ。半導体とバイオじゃねえか。指数の買いは成長株に来るんだよ」
墨田「番長、基準日の8月末から10%以上、先に上がった銘柄は10あります。上から並べます」
| 銘柄 | 8月末から | 売買代金/日 | 指数の買いは何日分か |
|---|---|---|---|
| オンコリスバイオファーマ(4588) | +36.6% | 92.5億円 | 4日分 |
| AIメカテック(6227) | +35.9% | 71.5億円 | 3日分 |
| フェローテック(6890) | +30.7% | 112.2億円 | 12日分 |
| santec HD(6777) | +29.3% | 26.9億円 | 10日分 |
| 精工技研(6834) | +25.1% | 61.0億円 | 7日分 |
| ジーエヌアイグループ(2160) | +22.8% | 36.8億円 | 11日分 |
番長「ほら見ろ、言ったとおりだ」
墨田「右の列を見てください。先に大きく上がった銘柄は、指数の買いが多くても12日分しかありません。ふだんから売買が多い銘柄だからです。この上昇は、指数の採用とは別の理由で起きています」
番長「……じゃあ指数の買いが効くのはどっちなんだ」
夜見「数字の上では、売買の少ないスタンダードの銘柄です。グロースの12銘柄のうち11銘柄は、買い需要が15日分に届きません。ただし『効く』といっても、買いが入るのは10月30日までです」
守田「番長の見方にも一理ある。指数に入るのは、流動性と時価総額で選ばれた会社だ。つまり、もう買われてきた会社が多い。35銘柄のうちPBRが1倍を割っているのは2つしかない」
番長の乱入から、指数の入れ替えを見るときの確認項目として残したのは3つです。
- 上がった理由は指数か、別の材料か(先に上がった上位6銘柄は指数の買いが3〜12日分)
- 買い需要は銘柄ごとに数えたか(浮動株の時価総額が大きいほど買いは重い)
- 実施日のあとに持つ理由が残るか(指数の買いは10月30日で終わる)
📉 公表の翌日、35銘柄のうち32が下げた
墨田「公表の翌日、10月8日の値動きです(2026年10月8日の終値)。35銘柄のうち32が前日より安く、上げているのは3だけです。下げが大きいのはジーエヌアイグループ(▲8.8%)、Synspective(▲8.4%)、テクノ菱和(▲8.1%)でした」
日向「指数に入ると決まった翌日に、ほとんど全部が売られたんですね」
守田「理由は決算書には書いていない。相場全体が弱い日だったのか、採用を見越して先に買っていた資金が売ったのか、それはうちには判定できない。言えるのは、『指数が買う』と決まっても翌日に上がるとは限らなかった、という事実だけだ」

🏆 需給と値札を足した順位
河内「安さ担当の河内です。指数の買いが20日分を超える16銘柄について、需給の順位と値札の順位を足して並べました。値札の順位は、PBRの低い順とPERの低い順の平均です。数字が小さいほど『買いが重く、値札が低い』側になります」
| 順位 | 銘柄 | 指数の買い | PBR | PER | 利回り | 8月末から | 10月8日 | 当商会の採点 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 日本精機(7287) | 49日分(2位) | 0.65倍 | 15.2倍 | 3.19% | +3.1% | ▲7.7% | B++・幅小 |
| 2 | フクダ電子(6960) | 48日分(3位) | 1.66倍 | 18.0倍 | 1.95% | ▲3.3% | ▲4.3% | B++・幅小 |
| 3 | テクノ菱和(1965) | 36日分(7位) | 2.16倍 | 12.4倍 | 2.50% | +2.6% | ▲8.1% | B++・幅小 |
| 4 | ナカニシ(7716) | 42日分(5位) | 2.03倍 | 18.3倍 | 1.99% | ▲3.3% | ▲4.1% | B++・幅小 |
| 5 | ヱスビー食品(2805) | 39日分(6位) | 1.67倍 | 20.3倍 | 0.88% | ▲0.7% | ▲2.8% | 未採点 |
| 6 | 西川ゴム工業(5161) | 35日分(8位) | 1.43倍 | 19.2倍 | 5.35% | ▲8.3% | ▲1.2% | B++・幅小 |
| 7 | サン電子(6736) | 50日分(1位) | 4.29倍 | 27.8倍 | — | +15.8% | ▲1.9% | 未採点 |
| 8 | 沖縄セルラー電話(9436) | 48日分(4位) | 3.78倍 | 28.2倍 | 1.71% | ▲1.6% | ▲6.8% | 未採点 |
| 9 | 中央自動車工業(8117) | 21日分(15位) | 1.85倍 | 12.3倍 | 2.97% | ▲3.9% | ▲4.8% | 未採点 |
| 10 | 日本電技(1723) | 31日分(11位) | 3.18倍 | 17.2倍 | 2.38% | ▲0.5% | ▲5.1% | 未採点 |
河内「これは指標を機械的に足しただけの順位です。太字の6社は開いて採点しましたが、6社とも幅は『小』でした。順位が上でも、当商会の物差しで上値が数えられたわけではありません」
日向「今日みたいに下がった日に、少しずつ拾うという考え方はどうですか」
沼田「うちは銘柄を勧めない。代わりに、物差しの目盛りを置いておく。採点した6社について、幅が『中』になる株価と、今日の値からそこまでの距離だ」
| 銘柄 | 10月7日終値 | 10月8日の値 | 幅が「中」になる株価 | そこまでの距離 | 幅が「大」になる株価 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本精機 | 2,825円 | 2,608円(▲7.7%) | 1,743円 | ▲33% | 1,431円 |
| フクダ電子 | 11,820円 | 11,310円(▲4.3%) | 6,170円 | ▲45% | 5,050円 |
| ナカニシ | 1,511円 | 1,449円(▲4.1%) | 635円 | ▲56% | 449円 |
| テクノ菱和 | 2,374円 | 2,183円(▲8.1%) | 949円 | ▲57% | 741円 |
| 西川ゴム工業 | 3,440円 | 3,400円(▲1.2%) | 1,412円 | ▲58% | 1,117円 |
| ヨネックス | 2,390円 | 2,361円(▲1.2%) | 941円 | ▲60% | 664円 |
夜見「いちばん近い日本精機でも、今日の値から▲33%です。1日に数%下げた程度では、6社とも目盛りには届きません。この1年の上昇のほうが、はるかに大きかったからです」
守田「逆に言えば、この表は『ここまで来たら物差しの上で景色が変わる』という位置を先に書いてある。指数の買いは10月30日で終わる。そのあとに値札がどこにいるかを、この目盛りと比べればいい」
🧮 需給の大きい側から6社を開いた
河内「安さ担当の河内です。需給の大きい側から6社を選んで、有価証券報告書と決算短信と適時開示を読み、当商会の規則で採点しました」
| 銘柄 | 株価 | PBR | PER | 利回り | 確度 | ランク | 規則どおりの上値 | 幅が「中」になる株価 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 日本精機 | 2,819円 | 0.68倍 | 15.2倍 | 3.19% | 11 | B++ | 2,988円(+6%) | 1,743円 |
| フクダ電子 | 11,820円 | 1.66倍 | 18.0倍 | 1.95% | 11 | B++ | 10,651円(▲10%) | 6,170円 |
| ナカニシ | 1,511円 | 2.10倍 | 18.5倍 | 1.99% | 11 | B++ | 1,380円(▲9%) | 635円 |
| テクノ菱和 | 2,374円 | 2.16倍 | 12.4倍 | 2.50% | 11 | B++ | 1,780円(▲25%) | 949円 |
| 西川ゴム工業 | 3,440円 | 1.43倍 | 19.2倍 | 5.35% | 12 | B++ | 2,594円(▲25%) | 1,412円 |
| ヨネックス | 2,390円 | 2.39倍 | 14.4倍 | 1.17% | 9 | B+ | 2,051円(▲14%) | 941円 |
日向「6社とも幅は『小』です。ランクは5社がB++、ヨネックスがB+でした」
河内「はい。日本精機は上値が+6%、残りの5社は規則どおりの上値が株価より下になりました。会社の中身が悪いのではありません。5社はこの1年で株価が大きく上がり、過去のレンジか同業の水準の上にいます。ヨネックスだけは高値から半値近くまで下げていますが、それでも同業の中央値より上でした」
堀田「モート担当の堀田だ。開いてみて分かったことを1行ずつ言う」
| 銘柄 | 良いところ | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 日本精機 | 二輪車用計器とHUDで世界首位(会社資料)。総還元の公約を実行 | 6月末のあとに500億円の買収。ネットキャッシュが借入超過に |
| フクダ電子 | 利益率が5期続けて18〜19%。自己資本比率84% | PBRが自社の5年高値を上回る。第三者委員会の報告が未公表 |
| ナカニシ | 歯科事業の利益率33%。総還元性向70% | 138億円を減損した翌年に、買収でのれんが179億円へ |
| テクノ菱和 | 営業利益が3年で5倍。手持工事は売上の1年分超 | 利益率16%は過去の3倍。会社の今期予想は横ばい |
| 西川ゴム工業 | DOE8%で利回り5%台。北米が黒字化 | 配当が純利益より多い。メキシコの税務で約110億円(引当なし) |
| ヨネックス | 売上が4年で2.2倍、ROEは5期13〜16% | 中国向けが売上の47.5%。還元は薄い |
堀田「6社とも、指標の一覧だけでは見えない事情を一つずつ抱えていた。日本精機は、最初は『PBR1倍割れでネットキャッシュが厚い』ように見えた。四半期決算のあとの開示を読んだら、現金はもう使われていた」

🔁 買われる35、売られる683
待伏「最後に、反対側の数字です。今回の入れ替えで、継続の基準を満たさなかった構成銘柄が683あります。これらは2026年10月から四半期ごとに8回、ウエイトを下げられます」
| 時点 | TOPIXの銘柄数 |
|---|---|
| 入替前(2026年8月末) | 1,636 |
| 入替後(2026年10月末) | 1,669(うち移行措置683) |
| 移行完了時(2028年7月末) | 986+再評価で残る銘柄 |
待伏「指数に連動する資金は、35銘柄を買う一方で、683銘柄を2年かけて売っていきます。2027年10月に再評価があり、基準を満たせば低減は止まります。今回の資料は買われる側しか扱っていません」
沼田「売られる側に、うちの持ち株や候補が入っていないかは別に確かめる。それは次の宿題だ」
📋 まとめ
| 見るところ | 数字 |
|---|---|
| 新規追加 | 35銘柄(スタンダード23・グロース12)。実施は10月30日 |
| 買い需要 | 連動資産160兆円÷浮動株時価総額775兆円=約2割(当商会の割り算)。35銘柄の合計で約11,579億円 |
| 需給が大きい銘柄 | 売買代金の20日分以上が16銘柄。上位はサン電子(50日分)、日本精機(49日分)、フクダ電子(48日分) |
| 公表の翌日 | 35銘柄のうち32が下落(2026年10月8日の終値) |
| 需給×値札の順位 | 上位は日本精機、フクダ電子、テクノ菱和 |
| 幅が出る株価 | 採点した6社でいちばん近い日本精機でも、10月8日の値から▲33% |
| 先に上がった銘柄 | 8月末から10%以上が10銘柄。上位6銘柄は指数の買いが3〜12日分 |
| 値札 | PBR1倍割れは2銘柄(日本精機・Jトラスト) |
| 採点した6社 | 日本精機・フクダ電子・ナカニシ・テクノ菱和・西川ゴム工業・ヨネックス。6社とも幅・小(B++が5社、B+が1社) |
| 反対側 | ウエイトを下げられる移行措置銘柄が683 |
日向より 「『指数が買うのに安い株』を探して、35銘柄を並べ、6社を開きました。見つかったのは、指数が買う株と、もう安くない株でした。需給の列と値札の列を、足し算しないで並べておく。今回の表はそのためのものです」
📊 一覧資料(タブ式・7章)
TOPIX新規採用35銘柄 需給と値札の一覧——35銘柄すべての買い需要・売買代金・日数・8月末比・PBR・PER、需給×値札の表、先に上がった銘柄と動いていない銘柄、採点した6社の比較と6軸の内訳、入替のルールと日程、検算メモまで。
免責事項:本記事は投資助言ではありません。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。新規追加の35銘柄、基準、銘柄数、連動資産と浮動株時価総額はJPX総研の公表資料(2026年10月7日)によります。株価は2026年10月7日の終値(採点した日本精機のみ10月6日終値)、PER・PBR・利回り・時価総額は株探の表示、売買代金は直近40営業日の平均です。買い需要の概算(連動資産と浮動株時価総額の割り算、株探の大株主から置いた浮動株比率)、ランク・上値・幅が変わる株価は当商会の計算で、JPXの浮動株比率や将来の株価を示すものではありません。需要の日数は値上がりの幅ではありません。採点した6社以外の29銘柄は、決算書や開示を読んでいません。投資判断はご自身の責任でお願いします。







