バリュー投資の通信簿|紹介45銘柄を全部答え合わせしたら、A評価はB評価に勝てたのか【平均+2.41%・日経超過+1.82pt・勝率67.5%/日経超過で見た最大の当たりも最大の外しも同じランクから出た】
🦎 「課長。ずっと気になってたことがあるんですけど」
沼田「言え」
日向「うち、銘柄にA++とかB+とかランクを付けてるじゃないですか。あれ、当たってるんですか」
沼田「……」
日向「あっ、いま黙りましたね」
沼田「黙ったんじゃない。数えていた。45銘柄だ」
日向「え」
沼田「5月8日から今日まで、45銘柄を紹介した。紹介したときの株価は全部、記事に書いてある。つまり——逃げ場がない」
日向「自分で証拠を残してたんですね」
沼田「今日は全部、答え合わせをする。外したやつから出す」
📊 第1章|紹介45銘柄の成績を全部出す──平均+2.41%、勝率67.5%
夜見「財務分析担当の夜見です。条件を先に固めます」
🧮 集計のルール ・対象 … 2026年5月8日〜9月8日に紹介した45銘柄 ・比較 … 記事に書いた紹介時の株価 vs 2026年9月7日の確定終値 ・紹介から7日未満の5銘柄(ナンシン・川崎設備工業・サンコー・大伸化学・南海化学)は判定前として除外 ・配当は含まない。株価の騰落だけ ・実際に建てたロットは反映していない。全銘柄を同額買った前提
夜見「残った40銘柄の結果です」
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 単純平均リターン | +2.41% |
| 中央値 | +2.60% |
| 勝率(プラスで終えた割合) | 67.5%(27/40) |
| 同期間の日経平均(各保有期間の平均) | +0.60% |
| 日経超過 | +1.82pt |
| 日経に勝った割合 | 62.5%(25/40) |
日向「……日経、+0.60%しか動いてないんですね」
堀田「モート担当だ。そこはむしろ都合がいい。相場が助けてくれない期間だったということだからな。上げ相場で+2.4%なら『日経のおかげ』で片づく。日経が横ばいの中での+2.4%は、少なくとも銘柄選択の結果ではある」
墨田「AIバックチェック担当の墨田です。先に釘を刺しておきます。40銘柄・最長122日では、統計的には何も証明できません。この記事は『証明』ではなく『記録』です」
日向「1行目から水を差しますね」
墨田「最後にもう一度差します」
🏆 第2章|A評価はB評価に勝てたのか──ランク別リターンの検証
沼田「本題はここだ。うちは7段階のランクを付けている。それが機能しているかどうか」
夜見「ランク別に並べます」
| ランク | 本数 | 平均 | 中央値 | 日経超過 | 勝率 |
|---|---|---|---|---|---|
| A++ | 1本 | +2.91% | +2.91% | ▲2.97% | 100% |
| A+ | 2本 | +6.23% | +6.23% | +5.87% | 100% |
| A | 3本 | +8.04% | +8.72% | +6.62% | 67% |
| A− | 6本 | +1.80% | +1.83% | +1.84% | 67% |
| B++ | 15本 | +2.51% | +2.59% | +2.08% | 73% |
| B+ | 11本 | +1.19% | +2.60% | +1.39% | 64% |
| B | 2本 | ▲2.25% | ▲2.25% | ▲6.74% | 0% |
日向「……Bランク、0勝2敗」
守田「リスク管理担当の守田だ。そこは胸を張っていい。Bはうちのランクの最下層で、『妙味はあるが構造的な蓋がある』という意味だ。京阪ホールディングスと遠藤照明の2本で、どちらも下げた。日経超過は▲6.74%」
守田「評価が低い銘柄がちゃんと低い成績になるのは、ランクが機能している証拠だ。『全部上がりました』のほうが、よほど怪しい」
夜見「A系とB系でまとめると、こうなります」
| 区分 | 本数 | 平均 | 中央値 | 日経超過 | 勝率 |
|---|---|---|---|---|---|
| A系(A++〜A−) | 12本 | +4.19% | +3.02% | +3.30% | 75% |
| B系(B++〜B) | 28本 | +1.65% | +1.92% | +1.18% | 64% |
沼田「平均としては、機能している。A系がB系を、リターンでも勝率でも上回った」
日向「よかったじゃないですか」
沼田「それがそうでもない」
😐 最上位ランクが、いちばん地味だった
夜見「A++は1銘柄だけです。東部ネットワーク(9036)」
🥇 A++|東部ネットワーク(9036) ・紹介から 122日、1,203円 → 1,238円 ・騰落 +2.9%(プラスではある) ・日経超過 ▲3.0%
日向「……うちの最高評価が、日経に負けてる」
河内「割安発掘担当の河内です。ただし、この銘柄は1日まるごと出来高がゼロになる日がある会社です。動かないことは想定内で、そもそもそういう理由で買っています」
沼田「言い訳としては正しい。だが記録としては、負けは負けだ。A++が唯一のマイナス超過という事実は、そのまま残す」
日向「……この会社、自分に厳しいですね」
墨田「1銘柄しかないので、統計的な意味はありません。ただし『言い訳できる材料があるときほど書き残す』というのは、方針の問題です」
🎲 第3章|大きく動いた5銘柄のうち、4本が下位ランクだった
待伏「待ち伏せ担当の待伏です。ここがいちばん面白い結果でした」
待伏「騰落率が上下どちらかに10%以上動いた銘柄は、40本中5本です。そのランク内訳を見てください」
🎯 ±10%以上動いた5銘柄のランク ・B+ … 2本 ・B++ … 2本 ・A … 1本 ・A++・A+・A−・B … 0本
日向「……8割が下のほうから出てる」
待伏「日経超過で見ると、上下の両端がどちらも同じランクです」
| 銘柄 | ランク | 経過 | 日経超過 | |
|---|---|---|---|---|
| 最大の当たり | EMシステムズ(4820) | B+ | 60日 | +18.3% |
| 最大の外し | 日本ホスピスHD(7061) | B+ | 97日 | ▲20.3% |
日向「……同じB+から、日経超過の最高と最低が出てる」
沼田「これが今日いちばんの発見だ」
沼田「うちのランクは『どれだけ上がるか』を予想していない。『どれだけ下がりにくいか』を予想している。だからA系は静かに勝ち、B系は派手に動く」
堀田「言い換えると、こうなる。ランクは平均を説明したが、値幅は説明しなかった」
守田「これは実務に直結する。ロットの決め方だ。A系を厚く、B系を薄く——という配分は、この結果と整合している。B系は当たりも外れも大きいのだから、薄く広く持つのが筋になる」
📈 上位と下位、全部出す
夜見「上位7銘柄です」
| 銘柄 | ランク | 経過 | 紹介時 → 現在 | 騰落 | 日経超過 |
|---|---|---|---|---|---|
| 北里コーポレーション(368A) | A | 112日 | 1,206 → 1,418 | +17.6% | +8.4% |
| EMシステムズ(4820) | B+ | 60日 | 504 → 586 | +16.3% | +18.3% |
| 日鉄ソリューションズ(2327) | B++ | 90日 | 3,423 → 3,859 | +12.7% | +11.2% |
| 片倉工業(3001) | B++ | 47日 | 2,640 → 2,920 | +10.6% | +10.2% |
| 岡谷鋼機(7485) | A | 99日 | 4,700 → 5,110 | +8.7% | +8.6% |
| 東海エレクトロニクス(8071) | A+ | 98日 | 2,800 → 3,025 | +8.0% | +8.8% |
| 五洋建設(1893) | B+ | 19日 | 1,367 → 1,465 | +7.2% | +5.5% |
夜見「下位7銘柄です。こちらも全部出します」
| 銘柄 | ランク | 経過 | 紹介時 → 現在 | 騰落 | 日経超過 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本ホスピスHD(7061) | B+ | 97日 | 596 → 472 | ▲20.8% | ▲20.3% |
| 群栄化学工業(4229) | B++ | 42日 | 4,670 → 4,285 | ▲8.2% | ▲10.5% |
| テレビ東京HD(9413) | B+ | 46日 | 3,630 → 3,390 | ▲6.6% | ▲6.6% |
| 遠藤照明(6932) | B | 35日 | 2,606 → 2,527 | ▲3.0% | ▲7.2% |
| 日神グループHD(8881) | B++ | 16日 | 683 → 663 | ▲2.9% | ▲3.5% |
| 日本ギア工業(6356) | A | 82日 | 1,378 → 1,348 | ▲2.2% | +2.8% |
| 第一カッター興業(1716) | B+ | 61日 | 1,418 → 1,397 | ▲1.5% | ▲0.9% |
日向「日本ギア工業、株価はマイナスなのに日経超過はプラスなんですね」
夜見「紹介した82日前から、日経のほうが下げているからです。『下げ相場で下げなかった』は、資産バリューの働き方としてはむしろ正常です」
📉 第4章|値動きの分布──4割が「0〜+5%」に固まっている
河内「分布を見ると、この手法の性格がはっきり出ます」
| 騰落率の帯 | 本数 | 主な銘柄 |
|---|---|---|
| +10%以上 | 4本 | 北里コーポレーション/日鉄ソリューションズ/EMシステムズ/片倉工業 |
| +5〜+10% | 7本 | 岡谷鋼機/東海エレクトロニクス/TANAKEN/櫻島埠頭/星和電機 |
| 0〜+5% | 16本 | 東部ネットワーク/神栄/パンチ工業/菱友システムズ/広済堂HD ほか |
| ▲5〜0% | 10本 | 京阪HD/日本BS放送/日本ギア工業/第一カッター興業 ほか |
| ▲10〜▲5% | 2本 | テレビ東京HD/群栄化学工業 |
| ▲10%未満 | 1本 | 日本ホスピスHD |
河内「4割が『0〜+5%』の帯に固まっています。退屈です」
日向「身も蓋もない」
沼田「だが、これが正常だ。資産バリューは、上がるまで動かない。3か月で3%という退屈さに耐えられないから、この土俵には人が来ない。来ないから、安いままでいてくれる」
夜見「経過日数で切ると、時間が味方している気配はあります」
| 経過日数 | 本数 | 平均 | 日経超過 | 勝率 |
|---|---|---|---|---|
| 7〜29日 | 11本 | +1.54% | +1.93% | 64% |
| 30〜59日 | 12本 | +1.75% | +0.17% | 67% |
| 60〜89日 | 5本 | +4.17% | +6.92% | 60% |
| 90日以上 | 12本 | +3.14% | +1.23% | 75% |
墨田「これを『時間が味方する証拠』と読むのは早すぎます。各帯が5〜12本しかなく、1銘柄で平均が数ポイント動きます」

🐒 乱入|レバナス小猿「4か月で2.4%?」
レバナス小猿「ちょっと待ってくださいよォ〜。4か月かけて、平均+2.41%?」
日向「……はい」
小猿「ボクのレバナス、いい日は1日で2.4%動きますけど。1日ですよ。4か月ぶんが、1日」
日向「……返せません」
花岡「配当担当の花岡です。1つだけ添えさせてください。この+2.41%には、配当が1円も入っていません」
小猿「え」
花岡「紹介銘柄の多くは利回り3〜5%の水準にあります。株価の騰落だけを比べた数字です」
小猿「……いや、それでも遅いですって」
沼田「遅い。認める」
小猿「認めるんだ」
沼田「だがお前に1つ聞きたい。お前の4か月で、いちばん悪い日はどれくらい下げた」
小猿「……えっと、8%くらい……いや、12%の日もあったかな……」
沼田「うちの40銘柄で、いちばん悪かったのは日本ホスピスHDの▲20.8%だ。4か月で、だ。お前の悪い2日ぶんに、うちの最大の失敗が収まる」
小猿「……あ」
沼田「速さが違うんじゃない。振れ幅が違う。だから同じ土俵で速さを比べても、あまり意味がない」
小猿「……じゃあ、どこで比べるんですか」
守田「『何年続けられるか』だ。速い手法は、速く降りることになりやすい」
小猿「……それ、地味に効くやつじゃないですか」
日向「小猿さん、いつも最後に良いこと言われて帰りますね」
小猿「ボクの役割それなんですか?」
⚠️ 第5章|この数字で言えないこと
墨田「最後にもう一度、水を差します。この記事の数字で言えないことを、全部並べます」
🚧 この通信簿の限界 ・①期間が短すぎる … 最長でも122日。平均すれば2か月程度。統計的には何も証明できない ・②母数が小さい … 40銘柄。A++は1本、A+は2本、Bは2本。ランク別の数字は1銘柄で大きく動く ・③配当を含んでいない … 株価の騰落だけ。実際の受取は別にある ・④実際のロットではない … 全銘柄を同額買った前提。当商会の実際の建玉とは違う ・⑤売った銘柄が入っていない … 紹介後に手放したものも、紹介時からの騰落として計上している ・⑥生存バイアスの逆 … 日経が+0.60%という凪の期間だった。上げ相場でも下げ相場でも、結果は変わりうる
日向「……①から⑥まで並べると、何も言えてない気がしてきました」
墨田「言えることは3つだけあります」
✅ この40銘柄で、言えること ・①最下層のBランクは、実際に成績が悪かった(0勝2敗・日経超過▲6.74%) ・②A系はB系より、リターンでも勝率でも上だった(+4.19% vs +1.65%、75% vs 64%) ・③値幅の大きい銘柄は、ランクの低いほうから出た(±10%の5本中4本)
沼田「③がいちばん実務に効く。うちのランクは『上がる順』ではなく『下がりにくい順』だと、数字が示した」

📋 まとめ|通信簿の要点
| 論点 | 結論 |
|---|---|
| 全体成績 | 40銘柄・平均+2.41%・勝率67.5%。同期間の日経+0.60%に対し超過+1.82pt |
| ランクは機能したか | 平均としては機能。A系+4.19% vs B系+1.65%、勝率も75%対64% |
| 最下層の答え合わせ | Bランク2本は0勝2敗、日経超過▲6.74%。低評価が低成績になったのは健全 |
| 最大の発見 | ±10%以上動いた5本のうち4本が下位ランク。日経超過で見た最大の当たりも最大の外しも同じB+から出た |
| その意味 | ランクは「どれだけ上がるか」ではなく「どれだけ下がりにくいか」を予想している |
| 実務への反映 | A系は厚く、B系は当たりも外れも大きいので薄く広く。この配分は結果と整合している |
| 値動きの性格 | 4割が「0〜+5%」に集中。退屈だが、退屈だから人が来ない |
| いちばん重要な注記 | 最長122日・40銘柄では統計的に何も証明できない。これは証明ではなく記録 |
沼田より 「答え合わせをして、いちばん収穫があったのは成績のほうではなかった。最上位に置いた銘柄が日経に負けていて、日経超過で見た最大の当たりが下から2番目のランクから出た——この2つだ。ランクが当たっていたのではない。ランクが何を測っていたのかが、4か月経ってようやく分かった。測っていたのは値幅ではなく、下値の堅さだった」
日向「じゃあ、ランクの説明を書き換えるんですか」
沼田「書き換える。次の記事からは『上がりやすさ』ではなく『下がりにくさ』と書く」
日向「……4か月かけて、看板を直すことになりましたね」
沼田「それが答え合わせというものだ」
この検証は3か月ごとに更新します。次回は12月、母数が70銘柄前後になる予定です。
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※本稿は投資助言ではありません。株価は2026年9月7日の確定終値、紹介時株価は各記事のstockCardに記載した値です。騰落率は配当を含まない株価のみの比較で、実際の売買・保有ロットを反映したものではありません。日経平均の比較は各銘柄の紹介日から2026年9月7日までの騰落率を単純平均したものです。紹介から7日未満の5銘柄は判定前として集計から除外しています。過去の成績は将来の成果を保証するものではありません。個別銘柄は分析の対象として記載したものであり、推奨ではありません。投資はご自身の判断と責任でお願いします。









