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2026年8月時点
4,308万円
1億
02億
資産推移チャート

📅 画面は2026年8月に撮影

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🧑‍💼 筆者

沼田課長
沼田課長
課長・プレイングマネージャー
野村信用を活用したバリュー株×TOB待ち伏せ戦略。TOBヒット20件超。【目標】4,308万円 → 2億円(2030年)

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シケモク株選手権2026|マイナーで、地味で、下値が堅い。グレアム流に『不動産含み益』と『配当・優待』を足して23銘柄を採点した【含み益部門・下値部門・利回り部門/3条件を通ったのは6社、惜敗枠が7社/水準訂正だけで+233%の起爆剤】


🦎 「あの、ずっと気になってたんですけど。『シケモク株』って、なんでそんな汚い名前なんですか」

沼田「名前のとおりだからだ。道端に落ちている葉巻の吸い殻——それがシケモクだ」

日向「……拾うんですか」

沼田「拾えば、もう一口だけ吸える。うまいから吸うんじゃない。タダだから吸う」

沼田「この、聞いた瞬間に誰もやりたくなくなる手法が——投資の歴史でいちばん確実に儲かってきた手法の一つだ」

沼田「今日はその手法に、うちのやり方を2つ足す。そして紹介してきた23銘柄を、全部採点する」


🚬 第1章|誰が使ってきた手法なのか

河内「割安発掘担当の河内です。この考え方を体系化したのは、ベンジャミン・グレアムです」

📐 グレアムの物差し|NCAV(正味流動資産価値) ・NCAV = 流動資産 − 負債総額(固定資産はすべてゼロ評価) ・土地も建物も工場も、価値ゼロとみなす ・その上でなお、株価がNCAVの3分の2未満なら買い

河内「『いい会社かどうか』は聞きません。『いくらの資産を、いくらで買えるか』しか聞かない」

堀田「モート担当だ。意外に思われるが、いまの『優良企業を永久保有』のバフェットは後半生の姿だ。若い頃の彼は、グレアムの弟子として徹底的にシケモクを拾っていた」

堀田「地図会社、風車の会社、そして——繊維会社。バークシャー・ハサウェイだ。いま世界最大級の投資会社になっているあの名前は、もともと斜陽の繊維メーカーで、彼がシケモクとして拾った銘柄の名前だ」

沼田「そして彼はこの手法を卒業した。だが理由を間違えるな。『効かなくなったから』ではない」

🚪 バフェットがシケモクを捨てた理由 ・運用額が大きくなりすぎた … 時価総額数十億円の会社を拾っても、全体に影響しない ・手法の欠陥ではなく、規模の問題 ・つまり「金が少ないうちは、こちらのほうが有利」という話でもある

沼田「個人投資家は、この制約を受けない。バフェットが泣く泣く手放した土俵に、私たちはまだ立っていられる」

待伏「待ち伏せ担当の待伏です。現代日本で近い発想を実践してきた人としては、清原達郎氏の名前が挙がります。タワー投資顧問でファンドを運用し、2024年に投資術の書籍を出した方です。軸はネットキャッシュ比率の高い小型株で、定義はグレアムより厳しく、投資有価証券を7掛けし負債を全額引きます」

運用期間年率
グレアム=ニューマン社1936〜1956年20%前後
バフェット・パートナーシップ1957〜1969年29.5%(手数料差引後で23.8%)
(参考)同時期のダウ平均—7〜9%程度

墨田「AIバックチェック担当の墨田です。この表と清原氏の定義には注記が要ります。いずれも広く引用される数字ですが、当商会が原典で検証したものではありません。二次情報として扱ってください」


🔧 第2章|グレアム流だけでは、日本株では足りない

沼田「ここからが今日の本題だ。グレアムの物差しには、日本株で使うときに大きな穴がある」

夜見「財務分析担当の夜見です。NCAVは固定資産をすべてゼロ評価します。つまり、土地の価値を一切数えません」

日向「……それ、日本だと大変なことになりませんか」

沼田「そうだ。日本には『昭和に買った土地を、その値段のまま持っている会社』が山ほどある。グレアム流はそれを、まるごと取りこぼす」

🧰 バリュー商会流|グレアムに2つ足す ・①不動産・簿外の含み益 … 昭和期取得の土地、政策保有株。簿価と時価の差 ・②配当と優待 … 安いまま何年も動かないのがこの手法の宿命。待つ間に受け取れるものが要る ・この2つを足して、はじめて「マイナーだが下値が堅く、長く持てる」という条件になる

⚠️ ただし、含み益は額面で数えてはいけない

墨田「先に釘を刺します。当商会自身がこれまで、含み益を『公示地価 × 面積 − 簿価』で推計し、税引後を出して終わっていました」

墨田「その甘さが、実売価格で露呈した事例があります」

🧾 南海化学(4040)の実測|2025年11月・遊休地の売却 ・売却額 … 65.00億円(時価総額の約7割に相当) ・△ 土壌対策費用・解体費等 … 約33.00億円(売却額の51%) ・△ 土地簿価・税金等 ・実質手取り益 … 約12〜16.65億円

日向「65億円で売れて、手元に残るのは12億円ですか」

墨田「製造拠点の含み益には、土壌対策費という控除が入ります。今日の採点でも、この点を頭に置いて読んでください」

沼田「それでも含み益を数える価値はある。額面の半分でも、時価総額を超えている会社があるからだ」


川辺で虫眼鏡をのぞきこみ、石のあいだの小箱を見つけたカワウソの河内
🦦 河内拾造 ——値札の裏に、拾えるものが落ちていないか

🏆 第3章|部門①|簿外の含み益は、時価総額の何%か

待伏「1つ目の部門です。土地と政策保有株の含み益を、時価総額と比べます」

順位コード銘柄含み益/時価総額中身
🥇9045京阪ホールディングス約176%含み益5,000〜7,000億円。大阪・京都の都心に集中保有
🥈9036東部ネットワーク154.5%含み益110.0億円(帳簿比+130%)。横浜・海老名
🥉3577東海染工93.5%修正NAV3,960円に対し株価は23.9%
43001片倉工業87.7%含み益約915億円(時価1,257億/簿価342億)
55900ダイケン81.7%含み益42億円。現金+政策保有45.7億円
67399ナンシン78.5%印西「データセンター銀座」に8万㎡、簿価2008年のまま
76748星和電機78.0%政策保有株の含み益率78%

待伏「上位2社は、含み益だけで時価総額を超えています。会社を丸ごと買って土地だけ売っても、お釣りが来る計算です」

守田「リスク管理担当の守田だ。そこに水を差しておく。京阪も片倉も、その土地の上で本業をやっている。稼働中の資産は、事業を畳まない限り換金できない。この含み益は解散価値としての意味にとどまる」

堀田「ただし、含み益は毎年増える。公示地価が上がれば、何もしなくても数字が積み上がる。時間が味方になる資産という点は、他の指標にはない性質だ」


🛡️ 第4章|部門②|下値の堅さ。現金は株価の何%か

河内「2つ目の部門です。含み益は推計ですが、こちらは貸借対照表に額面で載っている数字です」

順位コード銘柄現金・金融資産/株価中身
🥇7485岡谷鋼機約170%投資有価証券が時価総額の1.7倍。357年創業の専門商社
🥈3577東海染工161.2%ネット金融資産1,499円 vs 株価930円
🥉8071東海エレクトロニクス125.7%純キャッシュ3,783円 vs 株価3,010円
46964サンコー121.6%ネット金融資産843円 vs 株価693円
57399ナンシン99.4%現金及び預金619円 vs 株価623円
64990昭和化学工業98.7%金融資産521円 vs 株価528円
73004神栄91.0%政策保有株が時価総額の91%
85900ダイケン88.9%現金+政策保有45.7億円

河内「上位4社は、株価より現金のほうが多い会社です。買った瞬間に、払った以上の金融資産がついてくる形になります」

墨田「1点だけ補足します。この部門の数字は、会社ごとに定義が違います。現金だけを数えたもの、有利子負債を引いたもの、政策保有株を含めたもの——横並びで見るときは、その差を意識してください」

夜見「なお、当商会が9月に紹介した3社を厳しい定義で測り直すと、順位は入れ替わります。投資有価証券を7掛けし負債を全額引く清原式で見ると、ナンシンは1株261円で株価の42.8%を保つ一方、サンコーは1株37円・5.2%まで落ちます。サンコーの負債合計65.98億円のうち仕入債務が43.71億円あるためです。『実質無借金』という言葉は、けっこう危ない」


砂時計の置かれた机で資料を読みながら考えこむワニの待伏
🐊 待伏静江 ——待つのも、仕事のうち

💴 第5章|部門③|待つ間に、いくら受け取れるか

花岡「配当担当の花岡です。ここが、グレアム流にいちばん足りない部分です」

花岡「この手法の宿命は『安いまま何年も動かない』ことです。だとすれば、待っている間に何を受け取れるかが、続けられるかどうかを決めます」

順位コード銘柄配当利回り優待
🥇8881日神グループHD5.52%プレミアム優待倶楽部(2,500株で総合6.5%)
🥈3004神栄5.28%—
🥉9686東洋テック4.15%優待倶楽部(500株で5.0%、2,500株で5.6%)
48071東海エレクトロニクス3.79%QUOカード
56165パンチ工業3.62%—
69414日本BS放送3.31%—
77399ナンシン3.21%なし
85607中央可鍛工業3.06%あり(300株が最効率)

優田「優待担当の優田です。この部門は、株数によって答えが変わります」

🎁 優待は「最適株数」がある ・日神グループHD … 2,500株で配当+優待6.5% ・東洋テック … 500株で5.0%、2,500株で5.6% ・中央可鍛工業 … 300株が最効率 ・昭和化学工業 … 区分は1,000株の一段だけ。増やすほど希薄化する ・トーソー … 1年以上の継続保有が条件。制度が「長く持て」と言っている

優田「逆に、優待が無い会社もはっきりしています。ナンシンとサンコーと片倉工業には優待がありません。この3社で待つ燃料は、配当だけです」

花岡「南海化学と櫻島埠頭は、最近になって優待を新設しました。還元姿勢が動き始めたサインとして見ています」


🏅 第6章|3つを掛け合わせる。通ったのは6社

沼田「部門別の1位を並べても、それは『どこかが尖っている会社』でしかない。今日ほしいのは、3つとも合格している会社だ」

🎯 バリュー商会流・3条件スクリーン ・①PBR 0.5倍以下 … ディープバリューの入場券 ・②配当利回り 2.5%以上 … 待つ間の報酬 ・③現金・金融資産、または含み益が時価総額の50%以上 … 下値の裏付け

夜見「23銘柄に当てました。通過は6社です」

コード銘柄PBR配当資産/株価含み益/時価総額優待
8071東海エレクトロニクス0.333.79%126%—QUOカード
7399ナンシン0.333.21%99%79%なし
5900ダイケン0.352.91%89%82%—
3577東海染工0.352.69%161%94%あり
6964サンコー0.382.89%122%—なし
6748星和電機0.492.56%—78%—

日向「23社のうち6社ですか。思ったより少ないですね」

沼田「条件を3つ重ねると、そうなる。PBRが低くても配当が薄い会社、配当は厚いが資産の裏付けがない会社——どちらかで落ちる」

👑 2部門で入賞した「二冠」は2社だけ

待伏「さらに厳しく見ます。3部門のいずれか2つで、上位5位に入った銘柄です」

👑 二冠 ・3577 東海染工 … 含み益部門🥉(93.5%)+ 下値部門🥈(161.2%)。PBR0.35倍・配当2.69%・優待あり ・8071 東海エレクトロニクス … 下値部門🥉(125.7%)+ 利回り部門4位(3.79%)。PBR0.33倍・QUOカード優待

河内「性格はまったく違います。東海染工は『資産で守り、優待で待つ』型。東海エレクトロニクスは『現金で守り、配当で待つ』型です」

守田「両方に共通する弱点も言っておく。どちらも板が薄い。東海染工は時価総額33.6億円、東海エレクトロニクスは71.4億円だ。この選手権で上位に来る銘柄は、例外なく流動性が悪い」

沼田「それは欠点ではなく、順位が付いた理由そのものだ。買える人が少ないから、安いまま残っている」


🥈 第7章|惜敗枠|1条件だけで落ちた7社

沼田「6社で切ると、こぼれるものがある。そこも載せる」

夜見「3条件のうち、たった1つだけで落ちた銘柄が7社あります」

コード銘柄PBRPER配当資産/株価含み益/時価総額不通過の理由
3004神栄0.736.55.28%91%—PBRのみ
9045京阪ホールディングス0.9411.12.70%—176%PBRのみ
9036東部ネットワーク0.3226.11.62%—154%配当のみ
7485岡谷鋼機0.417.11.68%170%—配当のみ
5607中央可鍛工業0.306.13.06%—28%資産のみ
8881日神グループHD0.458.95.52%——資産のみ
4229群栄化学工業0.4916.42.86%—26%資産のみ

👀 気づいたこと|金メダリストが、全員ここにいる

待伏「この表を見て、おかしいと思いませんか」

日向「……あっ。部門1位の会社が、3つとも並んでます」

🏅 3部門の🥇は、全員が総合スクリーンで落ちた ・京阪ホールディングス … 含み益部門🥇(176%)→ PBR0.94倍で不通過 ・岡谷鋼機 … 下値部門🥇(170%)→ 配当1.68%で不通過 ・日神グループHD … 利回り部門🥇(5.52%)→ 資産の裏付けで不通過

沼田「これは偶然ではない。一芸に尖った会社と、3つとも及第点の会社は、別物だということだ」

沼田「3条件スクリーンは総合力を測る道具で、その代わりに『いちばん強い一芸』を落とす。だから両方載せる。どちらが正しいという話ではない」

🦦 厳密なシケモクではない。だが割安性は上位

河内「この7社は、グレアム流の厳密なシケモクではありません。ですが割安性の絶対水準で見ると、むしろ上位に来ます」

📉 PERの安い順(23社中の上位8) ・5607 中央可鍛工業 6.1倍(PBR0.30倍=23社で最安) ・4040 南海化学 6.3倍 ・3004 神栄 6.5倍(配当5.28%) ・7485 岡谷鋼機 7.1倍(資産170%) ・6748 星和電機 7.6倍 / 4629 大伸化学 8.2倍 ・8881 日神グループHD 8.9倍(配当5.52%) ・5956 トーソー 9.1倍

河内「中央可鍛工業はPBR0.30倍・PER6.1倍で、23社中どちらも最安です。含み益が時価総額の28%にとどまるため総合スクリーンでは落ちましたが、値段の絶対水準では文句の付けようがありません。優待もあり、300株が最効率です」

花岡「神栄と日神グループHDは、配当利回りが5%を超えています。資産の裏付けという条件では落ちましたが、『待つ間の報酬』という点では23社で1位と2位です」

守田「ただし惜敗枠は、落ちた理由をそのままリスクとして持つ。京阪と東部ネットワークは配当が薄いから待つのが辛い。日神と群栄は下値の裏付けが薄いから、悪材料が出たときに支えがない。『惜しい』は『通った』ではない」


📋 第8章|全23銘柄(2026年9月4日終値)

夜見「採点対象の全数です。PBRの低い順」

コード銘柄株価PBRPER配当時価総額
5607中央可鍛工業620円0.306.13.06%99.3億円
9036東部ネットワーク1,238円0.3226.11.62%71.2億円
5956トーソー573円0.329.12.27%57.3億円
8071東海エレクトロニクス3,010円※0.3314.23.79%71.4億円
7399ナンシン623円0.3316.03.21%48.0億円
5900ダイケン860円0.3513.52.91%51.4億円
3577東海染工930円0.3511.72.69%33.6億円
6964サンコー693円0.3811.02.89%62.4億円
7485岡谷鋼機5,130円0.417.11.68%1,995億円
8881日神グループHD670円0.458.95.52%315億円
6748星和電機782円0.497.62.56%104億円
4229群栄化学工業4,195円0.4916.42.86%377億円
9353櫻島埠頭2,990円0.5117.61.81%46.1億円
4620藤倉化成931円0.5110.02.15%287億円
4990昭和化学工業528円0.5612.81.14%63.3億円
4629大伸化学2,301円0.598.21.96%106億円
6165パンチ工業555円0.6312.83.62%153億円
9414日本BS放送905円0.6512.43.31%161億円
4040南海化学3,990円0.696.31.63%93.0億円
3004神栄2,084円0.736.55.28%86.9億円
9686東洋テック1,710円0.7814.44.15%196億円
3001片倉工業2,962円0.9412.62.03%1,043億円
9045京阪ホールディングス3,189円0.9411.12.70%3,406億円

墨田「※東海エレクトロニクスのみ、kabutanが気配を配信していないため8月28日終値です。上場は継続しています(名証メイン)」

夜見「PBR0.5倍以下が12社、0.4倍以下が8社です。純資産の半値以下で買える会社が、いまの日本にこれだけ実在します」


😴 第9章|なぜ「地味」だと勝ちやすいのか

沼田「この手法の成績を、うちの実測で出しておく」

📉 紹介から80日以上が経過した7社 ・平均騰落 +3.32%(平均経過97.3日) ・年率に換算すると 13.0%

墨田「この換算には注意書きが要ります。97日を年率換算するのは統計的に乱暴で、サンプルも7社です。『実績』ではなく『途中経過』として書きます」

沼田「そのうえで一つ。『3か月で+3.3%』と『年率13%』は、同じ事実の別の言い方だ。前者だけを見て退屈だと判断するのは、後者を見落としているだけかもしれない」

🔒 地味さが、そのまま参入障壁になる ・機関投資家が入れない … 時価総額33億〜100億円、売買代金が1日数百万円の板では、ファンドは買えない ・個人が待てない … 3か月で+3%では、多くの人が飽きて降りる ・話題にならない … 車輪、カーテンレール、染色、埠頭。テーマ性がゼロ ・結果、「安いから買う」という主体が、市場にほとんどいない

沼田「安いのではない。買い手がいないから安い」


🚀 第10章|この23銘柄は、普通のバリュー株ではない

沼田「ここまで『地味だ』『退屈だ』と言い続けてきた。だが最後に、決定的な違いを一つ言っておく」

沼田「一般的なバリュー株と、この23銘柄には、はっきりした差がある。——起爆剤があることだ」

💥 業績が1円も増えなくても、値段の付け方が変わるだけで飛ぶ

夜見「PBRが低いということは、こういう意味です」

銘柄現在のPBR0.5倍まで戻ると0.8倍まで戻ると1.0倍まで戻ると
中央可鍛工業0.30+67%+167%+233%
東部ネットワーク0.32+56%+150%+212%
トーソー0.32+56%+150%+212%
東海エレクトロニクス0.33+52%+142%+203%
ナンシン0.33+52%+142%+203%
ダイケン0.35+43%+129%+186%
東海染工0.35+43%+129%+186%
サンコー0.38+32%+111%+163%
岡谷鋼機0.41+22%+95%+144%

夜見「この表には、増益が1円も入っていません。売上も利益も横ばいのまま、市場の値付けが『解散価値の3割』から『半値』に変わるだけで、株価は6割上がります」

日向「……PBR1倍は、そんなに高い水準じゃないですよね」

沼田「純資産と同じ値段だ。褒められた評価ですらない。そこまで戻るだけで2倍から3倍になる——それが、この土俵にいる意味だ」

堀田「普通のバリュー株、たとえばPBR0.8倍の会社なら、1.0倍に戻っても+25%だ。同じ『水準訂正』でも、出発点が違えば結果の桁が違う」

🔥 そして、これは理屈だけの話ではない

待伏「待ち伏せ担当の待伏です。ここ数年で、日本の小型株の景色は変わりました」

💥 低PBR × 資産が厚い × 小型 に、何が起きているか ・MBO・非公開化 … 成熟産業で低PBRに放置された会社が、プレミアムを乗せて市場から退場する ・アクティビスト・PEファンドの参入 … 大量保有報告書が出た瞬間に、需給が一変する ・同業・取引先による資本参加 … 顧客が株主になり、再編の布石が置かれる ・東証のPBR是正要請 … 増配・自社株買い・自己株消却が、開示を迫られる形で動く

待伏「この4つが、いま同時に走っています。数年前なら『いつか誰かが気づくかもしれない』で済ませていた話が、実際に決着する頻度が上がりました」

沼田「個人的な話をすると、3年か5年のつもりで買ったものが、1年ほどで決着したことが、ここ数年で何度もあった」

墨田「課長、そこは止めます。当商会として個別の取引記録は出しません」

沼田「構わない。言いたいのは『当てた』ではない。『こういう決着が、いまの日本の小型株では珍しくなくなった』——それだけだ」

🦞 ただし、外圧を当てにいくのではない

守田「ここで冷や水を差す。『外圧が来た』は、握力の理由にはならない」

🧊 起爆剤に賭けてはいけない理由 ・純投資止まりの可能性 … 5%を握られたまま、目的変更が来なければ株価は動かない ・支配株主の壁 … 創業家やオーナーが過半を握っていれば、外圧が強くても強制的な変革はできない ・高値づかみ … 参入が報じられて急騰した後を追うのが、いちばん悪い ・安値でのMBO … 非公開化が「上値を奪われる形の悪い決着」になることもある

守田「だから順序が逆なんだ。『外圧が来る銘柄を当てにいく』のではない。『来やすい構造で、来なくても下値が堅い銘柄に、静かに座っておく』」

沼田「今日の選手権は、まさにその『来なくても下値が堅いか』を測る作業だった。含み益と現金と配当・優待——この3つは、起爆剤が不発でも残る。起爆剤は、当たったときのおまけだ」


机をはさんで資料を見ながら話し合うザリガニの守田と、トカゲの日向
🦞 守田退三 + 🦎 日向昇 ——外れる側から、先に見る

🚨 第11章|守田「この選手権の順位は、リスクの順位でもある」

守田「表彰台に上がった銘柄ほど、板が薄い。それは偶然ではない」

🚨 シケモク投資のリスク ・バリュートラップ … 安いまま10年が普通に起きる。23銘柄の大半は、まだ判定されていない ・流動性 … 上位ほど売買代金が細い。降りたいときに降りられない ・収益性が低い … 安い会社の多くはROEが資本コストを下回る。安さは「市場の間違い」ではなく「正当な減点」であることも多い ・含み益は換金しにくい … 稼働中の資産は事業を畳まない限り売れない。売っても土壌対策費で半分消えることがある ・分散が前提 … グレアム自身、この手法は数十銘柄に分散して初めて機能するとしていた

守田「最後の一行を強調しておく。シケモクは、当たりを引く手法ではない。外れを混ぜても平均で勝つ手法だ。1銘柄に集中した時点で、この手法の前提が壊れる」


🦜 乱入

オルカン鸚鵡「ハイどうもー、布教係のオルカン鸚鵡でーす。聞いてましたけどね、23銘柄を3部門で採点して、通ったのが6社ですか。その作業、何時間かかりました? で、成果が『年率13%(ただし途中経過)』。全世界株式は年率7〜8%を、寝てるだけで出しますよ。差額5%のために決算を23社ぶん読むって、時給いくらの仕事です?」

沼田「鸚鵡、その計算は正しい。手間を時給に直したら、割に合わないことはある」

鸚鵡「えっ、認めるんですか」

守田「認めたうえで、2つ言う。一つ目。年率5%の差は、20年で複利で2.6倍の差になる。『たった5%』が効いてくるのが、この手法の唯一の取り柄だ」

鸚鵡「……2つ目は?」

守田「二つ目のほうが大事だ。あなたが正しい人は、こちらをやるべきではない。23社の決算を読むのが苦痛なら、その時点で向いていない。苦痛な作業を続けられる人だけが、この歪みを取れる」

鸚鵡「……それ、布教しに来た側としては、けっこう困る返し方なんですけど」

日向「あっ、鸚鵡さんの茶々、そのまま向き不向きの判定リストになりますね」

✅ 鸚鵡の茶々を、質問に変える ・①3か月で+3%を、退屈だと思うか … 思うなら向いていない。年率13%だと読み替えられるなら向いている ・②何銘柄に分散できるか … 5銘柄では足りない。この手法は数を前提にしている ・③決算を読む時間が、苦痛か娯楽か … 苦痛なら鸚鵡が正しい。インデックスのほうが確実に良い

鸚鵡「……③で正直に『苦痛』って答える人、けっこういると思いますよ。そういう人はうちに来てくださいね」

沼田「それでいい。奪い合う気はない」


📋 まとめ

論点結論
シケモクとは落ちている吸い殻を拾って一口吸う。うまいから吸うのではなく、タダだから吸う
誰がやったかグレアムが体系化し、若きバフェットが年率23.8%(手数料後)を出した。現代日本では清原達郎氏の手法にも通じる
グレアム流の穴NCAVは固定資産をすべてゼロ評価する。日本株の「昭和に買った土地」を取りこぼす
バリュー商会流グレアムに①不動産の簿外含み益 ②配当・優待を足す
含み益の扱い額面で数えない。南海化学は売却額65億円のうち51%が土壌対策費で消えた
部門①含み益🥇京阪HD176%/🥈東部ネットワーク154.5%/🥉東海染工93.5%
部門②下値🥇岡谷鋼機170%/🥈東海染工161.2%/🥉東海エレクトロニクス125.7%
部門③利回り🥇日神HD5.52%(優待込6.5%)/🥈神栄5.28%/🥉東洋テック4.15%(優待込5.6%)
3条件通過23社中6社:東海エレ・ナンシン・ダイケン・東海染工・サンコー・星和電機
惜敗枠1条件だけで落ちたのが7社。しかも3部門の🥇(京阪HD・岡谷鋼機・日神HD)は全員ここ——一芸と総合力は別物
割安性の絶対水準PBR最安は中央可鍛工業0.30倍・PER6.1倍。厳密なシケモクではないが、値段では上位
二冠東海染工(含み益・下値)/東海エレクトロニクス(下値・利回り)
起爆剤業績が横ばいでもPBRが0.30倍→0.5倍で+67%、1.0倍なら+233%。水準訂正だけで飛ぶ
頻度MBO・アクティビスト参入・同業の資本参加・PBR是正要請が同時に走っている。決着はもう珍しくない
ただし外圧を当てにいかない。「来なくても下値が堅い銘柄に座る」——起爆剤はおまけ
最大のリスク上位ほど板が薄い。そして分散が前提——1銘柄に賭けた時点で手法が壊れる

🧑‍💼 「シケモクという名前は、正直だと思う。拾うのは吸い殻だ。きれいなものではないし、一口しか吸えない。だからこそ誰も拾わないし、だからこそ落ちている。グレアムがこれを物差しにし、若いバフェットが実際に稼ぎ、バークシャーという社名そのものが拾った吸い殻の名前として残った。彼が卒業したのは手法が壊れたからではない。手が大きくなりすぎて、小さな吸い殻をつまめなくなったからだ。私たちの手は、まだ小さい。——そのうえで、グレアムの物差しをそのまま日本株に当ててはいけない。彼は固定資産をゼロと数えた。日本には、昭和に買った土地を昭和の値段のまま持っている会社が山ほどある。だからうちは、そこに含み益と配当・優待を足す。含み益は下値を厚くし、配当と優待は待つ時間の報酬になる。この2つが無いと、この手法は続かない——安いまま10年という時間に、人間のほうが先に負けるからだ。3条件を全部通ったのは23社中6社、二冠は2社だった。少ないと思うかもしれない。だが年に数社見つかれば、それで足りる」

積立ひつじ「めえ(……ぼくは、鸚鵡さんの③で『苦痛』に丸をつけました)」


免責事項:本記事は特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株価・指標は2026年9月4日終値時点で、東海エレクトロニクス(8071)のみkabutanが気配を配信していないため8月28日終値です(同社の上場は継続しています)。各銘柄の含み益・ネット金融資産・修正NAVは、当商会が過去記事で算出した推計値であり、開示値ではありません。 算出時点が銘柄ごとに異なるため、部門別ランキングは厳密な同一基準の比較ではなく、おおよその大小関係を示すものとしてお読みください。特に土地の含み益は公示地価等からの推計であり、実際の売却時には土壌対策費・解体費・大規模画地の減価・税金が控除されます。グレアム=ニューマン社およびバフェット・パートナーシップの運用成績、清原達郎氏のネットキャッシュ比率の定義は、いずれも広く引用される内容を紹介したもので、当商会が原典で検証したものではありません。 本文中の年率換算は平均経過97.3日・7社という限られた標本に基づく途中経過であり、将来の成績を示すものでも保証するものでもありません。本記事で取り上げた銘柄の多くは売買代金が細く、想定した価格で売買できない可能性があります。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。