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2026年8月時点
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📅 画面は2026年8月に撮影

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🧑‍💼 筆者

沼田課長
沼田課長
課長・プレイングマネージャー
野村信用を活用したバリュー株×TOB待ち伏せ戦略。TOBヒット20件超。【目標】4,308万円 → 2億円(2030年)

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2026年12月31日という期限|ミニマムタックス強化で、大株主が『今年のうちに売る』理由ができた——個人が大株主の紹介銘柄14社を名簿から洗い出す【税制×ディープバリュー】


🧑‍💼 「来年から、大株主の税金が上がる。だから今年のうちに動く人が出る」

日向(見習い)「税金の話っすか。株と関係あります?」

沼田「大ありだ。大株主がいつ売るかは、少数株主の出口に直結する」


📜 第1章|制度の中身

墨田「AIバックチェック担当の墨田です。解釈は後回しにします。決まったことから」

📜 ミニマムタックス(極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置) ・2023年度の税制改正で導入され、2025年分の所得税から適用されている ・仕組みは「(基準所得金額 − 特別控除3.3億円)× 22.5%」を計算し、通常の所得税額より高ければ、その差額を追加で納める ・2025年12月19日公表の与党2026年度税制改正大綱を経て、2026年3月31日に改正法が成立・公布 ・2027年分(令和9年分)の所得から、特別控除は1.65億円へ、税率は30%へ

夜見「財務分析担当の夜見です。控除が半分になって、税率が上がる。対象になる人の範囲が広がる改正です。大和総研の試算では、超富裕層の株の売却益にかかる税率は、ミニマムタックス込みで最高35.63%になります。いまの20.315%から見ると、ずいぶん上です」

河内「割安発掘担当の河内です。日本M&Aセンターの税理士による解説では、現行制度について財務省が確定申告データで試算したところ、所得が約30億円の超富裕層から影響が出る水準だったとあります。そして改正後は『金融所得の比率が高い人で、数億円台から追加負担が発生するケースが増える』との指摘を紹介しています」


🧮 第2章|いくらから効くのか(当商会の簡易試算)

墨田「ここから先は試算です。どこまでが事実か、先に区切っておきます」

⚠️ 試算の前提 ・上場株の売却益だけがあり、ほかの所得や控除はないものとする ・上場株の売却益にかかる所得税は15%。ミニマムタックスはこの所得税の部分どうしで比べる(復興特別所得税2.1%と住民税5%は、どちらにも別に上乗せされる) ・取得価額はゼロ(=売った金額がそのまま利益)とする ・実際の税額は所得の組み合わせで変わります。税務の判断は必ず税理士へ

夜見「この前提で、『ミニマムタックスの額が通常の所得税額を超える』分岐点を解きます」

🧮 追加負担が出始める売却益(当商会の試算) ・現行(控除3.3億円・税率22.5%) … 約9.9億円 ・2027年分から(控除1.65億円・税率30%) … 約3.3億円

日向「10億円が3億円台に……3分の1っすか」

沼田「これまでは、ひと握りの超富裕層の話だった。これからは、会社を売るオーナーの話になる」

河内「だから、いずれ売るつもりの人には期限ができました。2026年12月31日です」


机をはさんで資料を見ながら話し合うザリガニの守田と、トカゲの日向
🦞 守田退三 + 🦎 日向昇 ——外れる側から、先に見る

✂️ 第3章|誰に効いて、誰に効かないか

守田「リスク担当の守田だ。ここを間違えると全部が狂う。この制度は個人の所得税だ」

✂️ 効く人/効かない人 ・効く … 個人の大株主が株を売って、大きな売却益が出るとき(事業承継のM&A、市場での売却、自社株買いへの応募、TOBへの応募) ・効かない … 法人が株を売買するとき。親会社が子会社株を買うTOBは、この話とは別の理屈で動く ・効かない … 売らずに相続で渡すとき。相続では譲渡益への課税は生じず、取得価額は引き継がれる

堀田「モート担当の堀田だ。だからこの記事は『親子上場の解消』とは別の話をしている。前回はそっちを書いた。今回は名簿に個人の名前が並んでいる会社の話だ」

守田「そして忘れるな。高齢の大株主が『売らずに相続させる』と決めれば、この期限は関係なくなる。前倒しが起きるのは『どのみち売る』と決めている人だけだ」


📈 第4章|市場はもう動いているのか

墨田「TOBの件数です。M&A Onlineの集計から」

年TOBの件数メモ
2023年—この年を境に増加に転じた
2024年100件2007年以来17年ぶりの大台
2025年136件過去最多
2026年上期55件前年同期比13件減。ただし上期として過去2番目

墨田「2026年上期の55件の内訳は、子会社化・非公開化が34件、MBOが10件、親子上場の解消が5件、持分法適用関連会社化が2件、その他4件です」

日向「増えてるっすね。やっぱり税制のせいっすか?」

墨田「断定できません。TOBが増えたのは2023年からで、ミニマムタックスの改正が決まる前です。東証の要請、金利、円安、アクティビストの増加——理由は複数あります。『税制が効いている』という証拠にはなりません」

沼田「だが、背中を押す材料が1つ増えたとは言える。今日はそこまでだ」


🔤 第5章|まず、2つのタイプに分ける

堀田「紹介してきた銘柄を、名簿の顔ぶれで2つに分ける。ここを混ぜると話が濁る」

🔤 タイプA|個人が大株主 … この制度の当事者。売れば個人の所得税がかかる 🔤 タイプB|法人が大株主 … 親会社・資産管理会社・自己株が中心。この制度は直接は効かない

待伏「外すほうから見せます。当てはまらない会社を残したまま進むと、あとで必ず話が混ざるので」

銘柄時価総額筆頭株主(法人)比率
日鉄ソリューションズ(2327)6,875億円日本製鉄63.42%
日本BS放送(9414)177億円ビックカメラ61.29%
ニフティライフスタイル(4262)89億円ニフティ64.96%
川崎設備工業(1777)281億円関電工49.95%
日本ギア工業(6356)198億円成和39.45%
遠藤照明(6932)383億円アーバン33.38%
テーオーシー(8841)962億円ニュー・オータニ22.64%
藤倉化成(4620)313億円フジクラ21.32%
広済堂ホールディングス(7868)794億円R&Lホールディングス19.60%
櫻島埠頭(9353)47億円埠頭ジャスタック18.83%

守田「はっきり言っておく。広済堂ホールディングスはタイプBだ。筆頭株主は法人で19.60%、自己株も10.02%ある。ミニマムタックスの話を広済堂に乗せるのは筋が悪い」

日向「でも課長、広済堂は商会の主力っすよね……?」

沼田「主力だ。だが買う理由は税制じゃない。広済堂の記事で書いたとおり、中身に対して株価が安いこと、東京博善の扱いがどうなるか。そっちは税制と関係なく立つ」

守田「追い風を探して話を盛るのが、いちばんやってはいけないことだ。タイプBはタイプBとして、別の理屈で持つ」

堀田「ただし、タイプBが無関係というわけでもない。法人の大株主の背後には個人がいることがある。資産管理会社がその例だ。そこまでは名簿からは読めないので、今回は『直接は効かない』までにしておく」


🗂️ 第6章|タイプA——紹介銘柄の「個人大株主マップ」

待伏「これまで紹介した銘柄の大株主名簿を、全部めくりました。個人とみられる名前が3%以上で載っていたのは、次の14社です。持ち分の時価も出しています」

銘柄時価総額個人の筆頭個人の合計持ち分の時価
岡谷鋼機(7485)1,956億円4.97%4.97%97.2億円
三協フロンテア(9639)556億円14.21%16.98%94.4億円
応用地質(9755)696億円6.06%6.06%42.2億円
第一カッター興業(1716)165億円13.67%13.67%22.6億円
東部ネットワーク(9036)70億円24.61%26.70%18.8億円
大伸化学(4629)116億円13.15%13.15%15.3億円
ダイケン(5900)52億円18.69%25.84%13.5億円
東海エレクトロニクス(8071)69億円8.30%14.44%10.0億円
トスネット(4754)71億円11.66%11.66%8.3億円
ナンシン(7399)48億円11.70%16.90%8.0億円
昭和化学工業(4990)62億円11.85%11.85%7.3億円
パンチ工業(6165)150億円3.29%3.29%4.9億円
サンコー(6964)62億円5.56%5.56%3.4億円
日本ホスピスホールディングス(7061)42億円3.55%3.55%1.5億円

🔍 個人名はここには載せません。名簿は公開情報ですが、当商会は個人の氏名を並べて論じる書き方をとりません。比率と金額だけで十分に話ができます。持株比率は各社の直近の有価証券報告書等(株探の大株主ページ)、時価は2026年9月18日終値(株探の確定値)によります。

夜見「持ち分の時価が3.3億円を超えるのは14社中13社です。取得価額がゼロに近い創業者なら、売却益はこの金額に近くなります。改正後の目安をまたぐ会社が、これだけあるということです」

守田「もちろん、一度に全部売るとは限らない。何年かに分けて売れば、1年あたりの所得は下がる。そこも含めて、これは『可能性の話』だ」

テック番長「税制で株を選ぶんですか。本業と関係ないじゃないですか」

堀田「関係ないと思うなら、それは株主を人間だと思っていないからだ。会社を持っているのは人で、人には都合がある。都合が変わる日付が分かっているなら、それは情報だ」


🚚 第7章|東部ネットワークと、割安分析で測った会社たち

待伏「タイプAの代表として、商会が前から見ている会社を1つ」

🚚 東部ネットワーク(9036) ・時価総額 70億円 / PBR 0.32倍 / 予想配当利回り 1.63% ・個人の筆頭株主が 24.61%、個人合計で 26.70% ・その持ち分の時価は 18.8億円。改正後の目安(約3.3億円)を大きく超える

河内「東部ネットワークの銘柄記事で書いたとおり、不動産の含みが厚く、株価は中身より安いというのが元々の話でした。そこに『個人が4分の1を持っている』が重なります」

沼田「ここからが今日の追加だ。銘柄記事にしていない会社にも、同じ物差しを当てる」

夜見「ネットキャッシュ比率21社の選別とインフレに強いディープバリューで清原式を測った会社のうち、個人が3%以上で名簿に載っている13社です。株価は2026年9月18日の終値に揃えました」

銘柄時価総額PBR清原式52週個人の合計持ち分の時価
丸尾カルシウム(4102)34億円0.31倍1.56倍52%28.41%9.8億円
日亜鋼業(5658)212億円0.34倍1.47倍86%22.56%47.9億円
三京化成(8138)47億円0.39倍1.43倍22%8.21%3.8億円
植松商会(9914)17億円0.49倍1.40倍15%42.04%7.2億円
セキ(7857)58億円0.32倍1.40倍22%22.17%12.9億円
HKS(7219)39億円0.31倍1.39倍56%9.00%3.5億円
ツツミ(7937)401億円0.58倍1.39倍29%70.78%283.8億円
アトムリビンテック(3426)54億円0.49倍1.35倍15%32.46%17.4億円
兼房(5984)112億円0.34倍1.26倍43%34.70%38.8億円
フクビ化学工業(7871)209億円0.48倍1.18倍33%6.91%14.5億円
ムサシ(7521)217億円0.50倍1.09倍66%23.31%50.6億円
太洋基礎工業(1758)61億円0.50倍1.09倍53%25.42%15.5億円
アトミクス(4625)63億円0.41倍0.86倍57%5.33%3.4億円

日向「清原式が1倍超えって……時価総額より財布のほうが大きいやつっすよね」

夜見「そうです。そこに『個人が大量に持っている』が重なります。安く買える資産を、個人が抱えているという状態です」

待伏「3つが重なる会社を挙げます。清原式1倍超・個人合計20%以上・52週の位置が半分より下。5社あります」

🎯 3つが重なった会社 アトムリビンテック(52週15%・清原式1.35倍・個人計32%)、植松商会(52週15%・清原式1.40倍・個人計42%)、セキ(52週22%・清原式1.40倍・個人計22%)、ツツミ(52週29%・清原式1.39倍・個人計71%)、兼房(52週43%・清原式1.26倍・個人計35%)

守田「言い添えておく。この13社は、当商会が『買え』と言っている会社ではない。安さと名簿の形が重なっているだけだ。小さい会社が多く、1日の売買代金が細い。買うにも売るにも時間がかかる」

堀田「それでも意味はある。持っている人が個人で、税の期限が決まっていて、株価が中身より安い。この3つが揃った会社は、動くときに動く」


🧭 第8章|逆に転ぶ場合

レバナス小猿「ウキッ。年末まであと3か月ちょっとですよね。全部買っておけばいいじゃないですか!」

待伏「落ち着いてください。前倒しの売りは、こちらに有利とは限りません」

⚖️ どちらに転ぶか分からない ・有利 … TOBやMBOで買い取られる。上乗せが乗る ・不利 … 市場で大口が売られる。需給が悪化して株価は下がる ・無風 … 相続で渡す。何も起きない

レバナス小猿「じゃあ意味ないじゃないですか!」

待伏「意味はあります。安いから買う。期限はきっかけであって、買う理由そのものではない。順番を逆にすると事故ります」

沼田「小猿の言うことにも一理ある。ただ、期限は何も保証しない。買う理由は、いつも値札の側にある」

🔍 この見立てが外れる条件 ① 大株主が「売らずに相続」を選ぶ(期限は関係なくなる) ② 売るとしても数年に分けて売る(1年あたりの所得が下がり、税の前倒し効果が薄まる) ③ 売り方が市場売却になる(上乗せではなく、需給の悪化として出る) ④ 制度がさらに変わる。税制は毎年見直される

✅ 買う前に見るところ ☐ 名簿の大株主は個人か法人か。法人ならこの話は効かない ☐ 個人の持ち分の時価は、改正後の目安(約3.3億円)を超えているか ☐ その会社は、税制と関係なく安いか。期限を理由にしていないか ☐ 売り方が「買い取り」か「市場売却」かで、こちらの損得は逆になると理解しているか ☐ 相続という選択肢があることを、見立てに織り込んだか

日向「番長と小猿に突っつかれたおかげで、見るところがはっきりしたっすね」

沼田「最後に一つだけ。税金の話は、税理士の領分だ。当商会は株主の行動を読むだけで、誰かの税務を判断する立場にはない」


関連:インフレに強いディープバリューを清原式と大株主名簿で選り分ける/東部ネットワーク(9036)/広済堂ホールディングス(7868)/TOBで報われる株の選び方

免責事項:本記事は投資助言ではなく、税務に関する助言でもありません。制度の内容は2026年3月31日に成立・公布された改正および公表資料に基づく当商会の理解であり、個別の税額や適用関係は所得の構成によって変わります。必ず税理士等の専門家にご相談ください。第2章の分岐点は、上場株の売却益のみ・ほかの所得や控除なし・取得価額ゼロ・所得税のみ(比較は所得税の本体15%どうし、復興特別所得税と住民税は含まない)という単純化した前提での当商会の試算です。大株主の比率は各社の直近の有価証券報告書等に基づく株探の大株主ページ、持ち分の時価は比率×時価総額(2026年9月18日終値)で計算したもので、実際の保有株数や取得価額とは一致しません。TOBの件数はM&A Onlineの集計によります。個人の大株主が売却を計画しているという事実を当商会が把握しているわけではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。