銘柄紹介|ナンシン(7399)— 車輪をつくる会社が、10年まったく転がらなかった。それでも株主名簿だけは動いている【現預金619円>株価618円/印西「データセンター銀座」に8万㎡/光通信16.4%・自己株13.3%】
🧑💼 「今日は車輪の会社だ。台車、カゴ車、病院のベッド、店の什器——下についている、あのキャスターをつくっている」
沼田「1947年創業、キャスター専業77年。上場しているキャスター専業は、実質この1社しかない。ハンマーキャスター、ユーエイ、シシクアドクライス、東邦キャスター——競合は全部、非上場だ」
日向「ニッチトップってことですね。いい会社じゃないですか」
沼田「売上は10年近く、98億から110億のレンジで動いていない。営業利益率2.2%。ROE1.9%」
日向「……えっ」
沼田「車輪をつくる会社が、10年まったく転がらなかった。——それでも、この会社の株主名簿だけは動き続けている。今日はその話だ」
💰 第1章|値札を見る前に、財布の中身を数える
河内「割安発掘担当の河内です。ナンシン(7399)、東証スタンダード、2026年9月1日終値618円」
河内「この会社の説明は、順番を間違えると意味が通じません。先に、貸借対照表の現金だけを見てください」
🏦 2026年3月期末の現金(1株あたりは自己株控除後6,681,980株ベース) ・現金及び預金 41.39億円 → 1株 619円 ・株価 618円 ・現金のほうが、まだ1円高い
日向「……買った瞬間に、払った以上の現金がついてくるってことですか」
河内「理屈の上ではそうなります。ただし借金を引かないと正確ではありません」
| 項目 | 金額 | 1株あたり |
|---|---|---|
| 現金及び預金 | 41.39億円 | 619円 |
| 有利子負債(短期借入3.5億+リース0.38億) | ▲3.88億円 | ▲58円 |
| ネットキャッシュ | 37.51億円 | 561円 |
| 株価に占める比率 | — | 90.8% |
河内「株価618円のうち、561円は現金の裏付けです。残り57円が、事業の値段ということになります」
🦉 EVは3.78億円。売上97.8億円の会社に
夜見「財務分析担当の夜見です。いまの話を、企業価値(EV)で言い直します」
🧮 EVの計算 ・自己株控除後の時価総額(=実質の買収コスト) … 41.29億円(618円 × 6,681,980株) ・ネットキャッシュ … ▲37.51億円 ・EV = 3.78億円
夜見「売上97.8億円、営業利益2.11億円の事業に、市場は3.78億円の値段をつけています。EVを営業利益で割ると1.79倍です」
日向「1.79年分……?」
夜見「はい。売上に対しては0.04倍です。誤植ではありません」
📉 グレアム流でも通る
河内「ここまで来たら、正味流動資産価値(NCAV)も見ておくべきです」
📐 NCAV検証(流動資産から負債を全額引く) ・流動資産合計 101.41億円(流動比率 636%) ・負債合計 ▲24.80億円(全額控除) ・NCAV = 76.61億円 = 1株1,146円 ・株価618円 ÷ NCAV1,146円 = 53.9%
河内「グレアムの原典基準は『株価がNCAVの3分の2未満』です。66.7%が基準で、ナンシンは53.9%——基準を通ります」
墨田「AIバックチェック担当の墨田です。流動資産をそのまま額面で数えるのは甘いので、厳しくしてみます」
| 評価方法 | NCAV | 1株 | 株価/NCAV |
|---|---|---|---|
| 額面どおり | 76.61億円 | 1,146円 | 53.9% |
| 厳格版(売掛85%・棚卸67%) | 60.4億円 | 904円 | 68.4% |
墨田「棚卸資産を3分の1切り捨て、売掛金を15%引いても、まだ904円あります。土地も建物も海外子会社も、全部ゼロ評価した上での数字です」
🏭 第2章|貸借対照表に載っていないもの
待伏「待ち伏せ担当の待伏です。ここからが本題です。この会社のいちばん面白い資産は、簿価では見えません」
🗾 保有土地の明細(2026年3月31日・有価証券報告書)
| 物件 | 所在地 | 面積 | 簿価 | 簿価単価 | 取得 |
|---|---|---|---|---|---|
| 千葉ニュータウン工場 | 千葉県印西市緑台 | 79,960㎡ | 17.99億円 | 22,500円/㎡ | 2008年 |
| 西新井店舗 | 東京都足立区 | 2,552㎡ | 0.07億円 | 2,710円/㎡ | 1958年 |
| 大阪支店(2筆) | 大阪市東成区 | 380㎡ | 2.63億円 | 692,642円/㎡ | バブル期と推定 |
| 合計 | — | 82,892㎡ | 20.69億円 | 24,962円/㎡ | — |
待伏「面積合計82,892㎡は約25,075坪です。国内の簿価平均は坪82,500円」
日向「……印西って、あの印西ですか」
待伏「そうです。日本最大級のデータセンター集積地です。堅い地盤・都心近接・大容量電力の3条件が揃っていて、事業者の用地取得競争が続いている場所です」
📍 2026年(令和8年)公示地価のアンカー ・千葉県 工業地 平均 … 107,500円/㎡(前年比 +9.3%) ・印西市 工業地 平均 … 86,000円/㎡ ・印西市高花5丁目 … 70,500円/㎡(+10.5%) ・足立区 西新井エリア 平均 … 364,000円/㎡(+4.0%) ・大阪市東成区 商業地 平均 … 450,000円/㎡
待伏「印西の簿価は22,500円/㎡。公示の工業地平均は86,000円/㎡です。2008年の取得価格で18年間止まっています」
堀田「モート担当だ。79,960㎡は約24,200坪。大型データセンターのキャンパスがそのまま乗る規模だ。都心圏でこの面積の工業用地は、まず出てこない」
🐊 含み益は3ケースで置く
待伏「推計なので、幅を持たせます」
| ケース | 印西の単価 | 評価額合計 | 含み益(税前) | 含み益(税後30.6%) |
|---|---|---|---|---|
| 保守 | 4.0万円/㎡ | 40.1億円 | +19.4億円 | +13.5億円 |
| 中立(推奨) | 6.0万円/㎡ | 58.5億円 | +37.7億円 | +26.2億円 |
| 強気 | 8.6万円/㎡ | 81.9億円 | +61.1億円 | +42.4億円 |
待伏「中立ケースの含み益37.7億円は、自己株控除後の時価総額41.3億円の91.3%に相当します」
日向「土地の含み益だけで、会社が丸ごと買える金額……」
🧾 修正純資産(NAV)の積み上げ・中立ケース
| 項目 | 金額 | 1株 |
|---|---|---|
| 連結純資産(26/3期末) | 121.3億円 | 1,816円 |
| + 土地含み益(税後) | +26.2億円 | +392円 |
| + 投資有価証券含み益(税後) | +0.2億円 | +2円 |
| 修正純資産(NAV) | 147.7億円 | 2,210円 |
| 現在株価 | 41.3億円 | 618円 |
| NAVディスカウント | — | ▲72% |

🦞 第3章|守田の反対尋問。この含み益は換金できるのか
守田「リスク管理担当の守田だ。待伏、いい話ばかりだったな。3つ潰す」
待伏「……どうぞ」
守田「一つ目。印西の8万㎡は、主力生産拠点だろう」
待伏「……そうです」
守田「つまり売却=工場移転だ。代替地の取得と新工場の建設費を引いたら、手取りは推計値をかなり下回る。十数億円規模の支出になる。『明日換金できる資産』ではない」
守田「二つ目。この評価は公示地価ベースの推計だ。会社は賃貸等不動産の時価注記を出していない。大規模画地の補正、土壌調査、用途制限、引渡条件——実際の鑑定では下振れする要素が並んでいる」
墨田「その点は私も確認しました。時価の直接開示は当社開示上、確認できていません。本稿の含み益は全て推計値です。検証済みの数字ではありません」
守田「三つ目。大阪支店は含み損だ」
待伏「……はい。そこは正直に書きます」
⚠️ 唯一の含み損物件 ・大阪支店の簿価は 692,642円/㎡(バブル期取得と推定) ・現在の東成区 商業地平均は 450,000円/㎡ ・保守・中立ケースでは小幅な含み損として処理している
守田「そこを隠さないなら、残りの数字は信用する」
🦑 持ち合い解消のシナリオは、この会社には無い
墨田「もう一つ、期待してはいけない項目があります」
墨田「投資有価証券は1.24億円しかありません。その他有価証券評価差額金は16百万円(税効果後)で、税前の含み益は2,400万円程度です」
墨田「つまり『政策保有株の解消で含み益が出る』という筋書きは、この会社では成立しません。資産価値の主戦場は、土地と現金だけです」
河内「そこは、かえって分かりやすいと思います。論点が2つに絞られますから」
🦫 第4章|では、事業は何なのか
堀田「キャスターというのは、摩耗を前提にした消耗部品だ。台車もカゴ車も医療用ベッドも、設置ベースが積み上がるほど、交換と補修の需要が出る」
堀田「契約型のリカーリングではない。だが『置き換えられ続ける準ストック型』であることは間違いない。売上が10年98〜110億円で大崩れしていないのは、その証明だ」
堀田「——そして同時に、成長しない証明でもある」
🔩 ストック性を分解する ・交換・補修需要(設置ベース依存) … 強い ・顧客の乗り換えコスト(設計組込) … 中〜強 ・価格転嫁力(部品サプライヤー) … 弱い ・数量成長(国内成熟市場) … 弱い ・景気変動耐性(消耗品比率) … 中
堀田「『売上が減らない』という意味でのストック性は本物だ。だが『値上げできる』という意味でのストック性は乏しい。トップシェアと価格支配力は、別物だ」
日向「シェアがあるのに、値上げできないんですか」
堀田「顧客が大手の物流機器メーカーと医療機器メーカーだからだ。交渉力は顧客側にある。営業利益率2.2%が、その答えだ」
🦉 セグメントを開けると、もっと悪い
夜見「ここは投資判断上、いちばん重要な数字です」
| セグメント | 売上高 | 前期比 | 利益 | 利益率 |
|---|---|---|---|---|
| 日本 | 92.7億円 | ▲0.4% | 0.57億円 | 0.6% |
| マレーシア | 29.9億円 | ▲7.0% | ▲0.33億円 | 赤字 |
| 中国(蘇州) | 17.5億円 | ▲10.6% | 1.95億円 | 11.2% |
| 連結(内部消去後) | 97.8億円 | ▲0.4% | 2.11億円 | 2.2% |
夜見「連結営業利益2.11億円のうち、1.95億円は中国子会社が稼いでいます。日本は売上の大半を占めながら利益率0.6%、マレーシアは赤字です」
沼田「『日本のニッチトップ』が、利益を生んでいない。ここは強調しておく」
堀田「数少ない明るい部分も挙げておく。静音台車『サイレントマスター』だ。深夜配送の騒音規制という社会要請と、真正面から噛み合っている数少ない成長ポケットだ」
📊 第5章|BSはA、PLはD
夜見「この会社の性格を、一枚で表すとこうなります」
| 強さ | 弱さ | |
|---|---|---|
| 財務 | 自己資本比率83.0%(26/6末85.5%) | — |
| 流動性 | 流動比率636%・実質無借金 | — |
| 内部留保 | 利益剰余金 90.4億円 | — |
| 収益性 | — | ROE 1.9%・営業利益率2.2% |
| セグメント | — | 日本 0.6% |
夜見「倒産リスクは事実上ゼロで、10年単位で待つことに耐えられる貸借対照表です。同時に、資本コスト6〜8%を大幅に下回る収益性が、PBR0.34倍というディスカウントの『正当な理由』になっています」
⚠️ 今期1Qは、赤字スタート
守田「短期の最大リスクはここだ」
| 期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 |
|---|---|---|---|
| 2025年3月期 | 98.2億円 | 1.22億円 | 2.13億円 |
| 2026年3月期 | 97.8億円 | 2.11億円 | 2.32億円 |
| 2027年3月期 1Q | 21.7億円(▲6.2%) | ▲0.55億円 | ▲0.23億円 |
| 2027年3月期 会社予想 | 100.0億円 | 3.00億円 | 2.50億円 |
守田「通期3.00億円に届かせるには、残り9か月で3.55億円が必要だ。前年同期の実績は2.17億円。前年も1Qは営業▲0.06億円と季節的に弱いが、今回は▲0.55億円と桁が違う。売上も前年同期比▲6.2%で、数量面も弱い」
守田「下方修正が出れば、PER15.9倍という『利益で見れば割安ですらない』事実が表面化する。500円台前半への調整は、十分あり得る」
墨田「会社の為替前提はUSD160円です。前期実績は150円でした。円高に振れれば計画未達に直結するうえ、為替換算調整勘定389百万円(1株58円)も剥落します」

💴 第6章|配当は、ネットキャッシュの3.5%しか出ていない
花岡「配当担当の花岡です。年20円、株価618円で利回り3.24%。配当性向は57.4%です」
日向「57%なら、けっこう出してるほうじゃないですか」
花岡「分母の利益が小さすぎて、意味をなしていません」
💰 還元の実態 ・配当総額 1.33億円 ・ネットキャッシュ 37.51億円 ・配当総額 ÷ ネットキャッシュ = 3.5%
花岡「そして現金は、毎年積み上がり続けています」
🔄 現金が増える構造(26/3期) ・営業CF +6.49億円 ・設備投資 ▲2.76億円 ・配当 ▲1.33億円 ・差引 年+2〜3億円のペースで現金が積み上がる
花岡「放置すれば、分母の自己資本が膨らんでROEはさらに下がります。裏を返せば、還元強化の原資は十分にあるということです」
優田「優待担当の優田です。先に言っておきますが、ナンシンに株主優待はありません。待つ間の燃料は、配当3.24%だけです」
🎯 第7章|動いているのは、株主名簿のほうだ
待伏「ここが、この銘柄の核心です。業績は10年動いていません。ですが株主名簿は、ずっと動いています」
👥 大株主(2026年3月31日・自己株控除後ベース)
| # | 株主 | 千株 | 比率 | 属性 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 齋藤 邦彦 | 902 | 13.50% | 創業家と推定 |
| 2 | INTERACTIVE BROKERS LLC | 713 | 10.68% | 名義株・実質保有者不明 |
| 3 | UH Partners2 | 500 | 7.49% | 光通信グループ |
| 4 | 光通信KK | 429 | 6.43% | 光通信グループ |
| 5 | 田中 園枝 | 401 | 6.01% | 創業家周辺と推定 |
| 6 | 商工組合中央金庫 | 225 | 3.37% | 政策保有・解消候補 |
| 7 | エスアイエル | 163 | 2.44% | 光通信グループ |
| 8 | 有限会社フジシゲ | 159 | 2.38% | 創業家資産管理会社と推定 |
| 光通信グループ3組合 計 | 1,092 | 16.36% | ||
| 創業家・関係先(推定) | 1,462 | 21.89% |
待伏「別途、会社が自己株式1,026,020株——発行済の13.31%を保有しています。取得平均は約538円。自社株を安値で拾ってきた実績があります」
📅 光通信の足跡
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2020年9月 | 大量保有報告書を初回提出、9.41%。目的は「純投資に基づく長期保有」 |
| 2022年11月 | 変更報告書No.4 → 10.34% |
| 2025年6月 | 変更報告書No.7 → 増加 |
| 2025年9月 | 変更報告書No.8 → さらに増加。期末名簿で16.36% |
待伏「光通信は『純投資』を標榜しながら、割安でキャッシュリッチな小型株に張り、増配・自社株買い・MBOの局面で報われる投資を積み重ねてきた主体です。議決権16%は、経営陣が資本政策を無視できない水準です」
墨田「一点だけ、公平のために付け加えます。2020年9月には9.08%→0.00%という変更報告も存在します。グループ内ビークル間の移管とみられますが、『出入りする主体』であることは記憶しておくべきです」
🤝 MBOの数理
待伏「なぜこの株主構成が効くのか、計算で示します」
🧮 もし40%プレミアム(865円)でMBOするなら ・実質買収コスト(自己株除く全株) … 41.3億円 ・40%プレミアムを乗せる … 57.8億円 ・対象会社のネットキャッシュ … ▲37.5億円 ・実質的に必要な自己資金・借入 = 約20.3億円 ・担保に立つ土地(中立評価) … 58.5億円
沼田「対象会社の現金で、対象会社をほぼ買える。MBOやLBOの教科書に載っている成立条件そのものだ」
守田「ただし、確度は中だ。3年内の実現確率は15〜20%と置いている。そしてMBOがNAVから大きく割り引いた価格で提示される可能性も、同じだけある。資産価値と提示価格が一致する保証はどこにもない」
🚨 第8章|買わない理由も、同じくらい強い
守田「最大のリスクは『株価下落』ではない。『何年も何も起きないこと』だ」
⚠️ リスクの一覧 ・バリュートラップ(最大) … ROE1.9%は資本コストを大幅に下回る。PBR0.34倍は市場の「間違い」ではなく「合理的な減点」でもある ・今期計画の未達 … 1Q営業▲0.55億円。残り9か月で3.55億円が必要 ・利益の中国依存 … 連結営業利益2.11億円のうち1.95億円が蘇州。関税・通商摩擦・人民元がダイレクトに効く ・円高 … 前提USD160円(前期実績150円) ・含み益は換金しにくい … 印西は主力工場。売却=移転 ・流動性 … 時価総額47億円。機関投資家は入れない
守田「そして、これだけは言っておく」
🧊 「床がある」という安心は、すでに一度裏切られている ・下値の理屈は「ネットキャッシュ561円/株」 ・だが株価618円は、現預金619円/株を既に割り込んでいる ・つまり床は機能していない。「大損しない」という理由でポジションを大きくしすぎないこと
沼田「そこが今日いちばん大事な一行だ。資産の裏付けは『いつか報われる根拠』であって、『下がらない保証』ではない」

📈 第9章|3年後の見取り図
夜見「2029年3月期を終点に、3つ置きます」
| シナリオ | 確率 | 中身 | 3年後株価 | 配当込 |
|---|---|---|---|---|
| Bear|停滞継続 | 35% | 円高・中国減速・カタリスト不発。売上95億・営業1.5億 | 510円 | 570円(▲7%) |
| Base|資本政策が動く | 45% | 配当30円へ増配+自己株5億円取得・消却 | 875円 | 950円(+56%) |
| Bull|MBO・土地売却 | 20% | 支配権移転または大型特別配当。NCAV1,146円が価格交渉の下限論拠 | 1,700円 | 1,740円(+185%) |
| 確率加重期待値 | 100% | — | 912円 | 975円 |
夜見「618円に対して、株価のみで+49.3%、配当込で+59.6%。3年の年率換算では14%前後です」
⚖️ リスク・リワードの構造 ・下値余地(Bear中心510円まで) … ▲101円 ・期待上値(912円まで) … +301円 ・およそ 1 : 3 ・Bull到達時(1,700円) … +1,089円 = 約1 : 10.8
花岡「Bearでも配当3.24%を受け取りながら待てます。待機コストがほぼゼロという点は、この設計の数少ない優しさです」
🦍 乱入
テック番長「おいちょっと待て。印西のデータセンターの話をしておいて、なんで車輪屋を買うんだよ。素直にデータセンター銘柄買えよ。電力、サーバー、光ファイバー、いくらでもあるだろ。お前らがやってるのは『AIブームの隣の土地を持ってる会社』を買うっていう、二段階も遠回りした投資だぞ。ROE1.9%だぞ? 正気か?」
沼田「番長、後半は正しい。ROE1.9%は擁護しない」
番長「だろ」
堀田「前半に答える。データセンター本体の銘柄は、期待が既に値段に入っている。ナンシンの株価に、印西の地価は1円も入っていない。簿価は2008年で止まったままだ」
番長「……いや、それは『入っていない』んじゃなくて『関係ない』からじゃないのか。工場が建ってる土地の地価が上がっても、会社の利益は1円も増えないだろ」
守田「その指摘は、この記事でいちばん鋭い」
番長「えっ」
守田「実際そのとおりだ。地価が上がっても、売らなければ利益にならない。そして印西は主力工場だから、簡単には売れない。だから当商会は、この銘柄を『成長で報われる株』とは位置づけていない。報われるとしたら資本政策が動いたときだけだ——そこは番長の言うとおりだ」
番長「……なんかお前ら、最近やたら素直だな。反論してこいよ」
日向「あっ、番長のツッコミ、そのまま点検リストになりますね。この銘柄を買う前の3つの問いです」
✅ 番長の茶々を、質問に変える ・①その含み益は、誰がいつ現金に変えるのか … 答えられないなら、それは資産ではなく風景 ・②収益性が改善しなくても成立する話か … ナンシンは「しない前提」で組む。改善したら儲けもの ・③3年何も起きなかったら、どうするか … これを買う前に決めていないなら、買わない
番長「……③がいちばん効くな。俺、それ決めてない銘柄いっぱい持ってるわ」
📋 まとめ
| 論点 | 結論 |
|---|---|
| 値段 | 株価618円 < 現預金619円/株。EVは3.78億円(売上97.8億円の事業) |
| グレアム基準 | NCAV1,146円に対し株価は53.9%。厳格版904円でも68.4%——原典基準を通る |
| 簿外の資産 | 印西に79,960㎡、簿価は2008年の22,500円/㎡。公示の工業地平均は86,000円/㎡ |
| 修正PBR | 中立で0.28倍、NAVディスカウント▲72% |
| 弱点 | ROE1.9%・営業利益率2.2%・日本0.6%。連結営業利益の92%が中国子会社。1Qは営業赤字 |
| なぜ安いか | 市場の間違いではなく、収益性への正当な減点。PBR0.3倍台は10年以上続いている |
| 何に賭けるか | 成長ではなく資本政策の転換。光通信16.36%・創業家21.89%・自己株13.31% |
| 待つ間の燃料 | 配当3.24%のみ(優待なし) |
| 最大のリスク | 何年も何も起きないこと。そして床は既に一度割れている |
🧑💼 「車輪をつくる会社が、10年転がらなかった。売上も、利益率も、株価も、ほとんど同じところにいる。だが貸借対照表の現金は毎年2〜3億円ずつ増え、印西の地価は年5〜10%で上がり、株主名簿では光通信が9.41%から16.36%まで買い上がってきた。つまり『何も起きていない』のは損益計算書の中だけだ。この銘柄を買うというのは、業績を買うことではない。現金と土地と株主構成という3つの静かな圧力が、いつか資本政策を動かすほうに賭けることだ。——ただし、その『いつか』が3年以内に来る保証はどこにもない。だから小さく持ち、年単位で待ち、来なかったときに撤退する条件を、買う前に決めておく。安さは、それ自体ではカタリストにならない。10年それを証明してきた会社だ」
積立ひつじ「めえ(……車輪なのに、10年その場にいるんですね)」
免責事項:本記事は特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株価・指標は2026年9月1日終値時点のものです。財務数値は2026年3月期決算短信および有価証券報告書、2027年3月期第1四半期決算に基づきます。土地の含み益は有価証券報告書「第3 設備の状況」の簿価・面積と2026年公示地価を突き合わせた推計値であり、会社による賃貸等不動産の時価注記は確認できていません。実際の鑑定評価では大規模画地補正・土壌調査・用途制限等により上下します。大株主構成および光通信グループの保有比率は2026年3月31日現在の株主名簿および大量保有報告書に基づく記載で、その後の異動は反映していません。シナリオ分析および確率は当商会の想定であり、将来を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。











