銘柄紹介|中央可鍛工業(5607)— 601円の値札を分解したら、508円が現金と株だった。残り93円で買えるのは売上387億・EBITDA39.7億の鋳造事業。EV/EBITDA1.23倍、PBR0.30倍【資産バリューの極北/名証単独】
🦦 「割安発掘担当の河内です。今日は、いつもの順番を変えてみます。財務諸表からではなく、値札から入ります」
🦦河内「中央可鍛工業(5607)の株価は601円です。この601円で、私たちは何を買っているのか——レシートみたいに分解してみましょう」
🧾 601円のレシート|内訳は、こうなっています
🦉夜見「財務分析担当の夜見です。2026年3月期のバランスシートから、1株あたりに割り戻します」
🧾 お買い上げ明細(1株601円) ・現預金 80.65億円 − 有利子負債 34.47億円 = ネットキャッシュ 46.18億円 … 293円 ・投資有価証券(時価)34.02億円 … 215円 ・金融資産の小計 … 508円(株価の84.5%) ・───────────────── ・差引き、本業に払っている値段 … 93円
🦦河内「601円払って、508円ぶんは現金と株が入っています。事業そのものに払っているのは、残りの93円だけです」
🦉夜見「総額で言い直すと、こうなります。時価総額94.9億円(自己株控除後15,785,499株)から金融資産を引いた実質的な企業価値(EV)は48.7億円」
| その48.7億円で買えるもの(26/3期実績) | |
|---|---|
| 売上高 | 387.2億円(前期比+7.7%) |
| 営業利益 | 18.9億円(前期比+59.5%・利益率4.89%) |
| EBITDA | 39.7億円(営業利益18.9億+減価償却20.8億) |
| EV / EBITDA | 1.23倍 |
| EV / 営業利益 | 2.6倍(営業利益の0.8年分) |
🦉夜見「EV/EBITDA1.23倍です。投資有価証券まで控除すればEVは14.7億円まで下がり、EV/EBITDAは0.37倍になります。理屈上ありえない水準で、だからこそ何かが引っかかっているはずだ、と考えるのが健全です」
🦞守田「ネットキャッシュの定義も、保守側を併記しておく」
⚖️ ネットキャッシュを2つの定義で ・借入金ベース(主系列)… 現預金80.65億 − 借入金34.47億 = 46.19億円=1株293円 ・リース債務まで含める保守ケース… さらに6.34億を控除して 39.84億円=1株252円 ・どちらで見ても、ネットキャッシュだけで株価の42〜49%を占める ・26/3期は減価償却20.8億円が設備投資15.6億円を上回っており、キャッシュが自然に積み上がる局面にある
🦉夜見「もう一つ、レシートの215円の中身も割っておきます。投資有価証券34.02億円は時価計上ですが、その原価がいくらだったのかを2つの経路で検算しました」
| 経路① 評価差額金から逆算 | 金額 |
|---|---|
| 投資有価証券(BS計上額=時価) | 34.02億円 |
| その他有価証券評価差額金(税効果後) | 19.73億円 |
| → 税前の含み益(実効税率30%で還元) | 約28.2億円 |
| → 逆算される取得原価 | 約5.8億円(時価は原価の約5.8倍) |
| 経路② 実際に売った株で検算 | 金額 |
|---|---|
| 投資有価証券の売却による収入(CF計算書) | 6.63億円 |
| 投資有価証券売却益(特別利益) | 5.63億円 |
| → 売却した株の簿価 | 1.01億円(売却額は簿価の6.59倍) |
🦉夜見「評価差額金から逆算した『原価の5.8倍』と、実際の売却で実現した『簿価の6.59倍』が整合しました。独立した2つの経路で同じ結論が出たので、含み益が約28億円あるという点は信頼できます」
🦞守田「留保を1つ。評価差額金は時価評価対象(上場株等)にのみ発生し、非上場株式は原価計上のままだ。34.02億円に非上場分が含まれていれば、逆算した原価5.8億円はその分ずれる」
🦦河内「引っかかりの話は、記事の後半で正面から扱います。先に、93円で買っている事業の中身を見ておきましょう」
🦫 93円で買う事業|「参入されない産業」に80年居座る
🦫堀田「モート担当だ。この会社の堀は、業種そのものに埋め込まれている」
🦫堀田「1944年創業。可鍛鋳鉄(マレアブル)を社名に冠する国内数少ない専業メーカーだ。名証上場は1961年——80年超の歴史そのものが、この産業の参入障壁の証明になっている」
🏭 なぜ誰も入ってこないのか ・装置:溶解炉・造型ラインという巨額の設備が要る ・金型:車種ごとの金型・木型が資産として積み上がっている ・技能:熟練の鋳造技能は買ってこられない ・そして鋳造は騒音・粉じん・高温の典型的な3K産業——新規参入は事実上存在しない
🦫堀田「面白いのは、市場が縮んでも個社シェアが上がる構造になっていることだ。国内の鋳物業者は高齢化・後継者難・環境規制で廃業と集約が続いている。生き残った側に発注が集中する——いわゆる残存者利益だな」
🦫堀田「加えて資本でも紐づいている。トヨタ自動車4.94%、豊田自動織機3.87%が株主に並ぶ。単なる取引先ではなく、供給網の一部として資本関係がある。簡単に切り替えられる立場ではない」
🦉夜見「受注の性質もストックに近いものがあります。自動車部品は量産採用が決まると、その車種のモデルライフ(概ね6〜10年)にわたり発注が続きます。生産終了後も補給部品の供給が長期間続くため、実質的に10年超の受注が積み上がる契約型ビジネスです」
🦫堀田「切替コストも高い。鋳造品の変更は型の再製作・工程認証・品質保証のやり直しを伴う。特に保安部品では、自動車メーカー側が変更を嫌う」
🦞 EV化リスクは、思われているほど大きくない
🦞守田「リスク番だが、ここは逆に擁護側に回る。『自動車部品=EVで終わる』という反射的な減点は、この会社には当てはまりにくい」
⚡ 3つの理由 ・①商用車比率が高い——トラックは積載・航続・充電インフラの制約から乗用車より電動化が構造的に遅い。ICE部品の需要が最も長く残る領域 ・②BEVでも要る部品が多い——デフケース、キャリパーサポート、各種ブラケット、サスペンション関連は駆動方式に関係なく必要。消えるのはタービンハウジング等の一部 ・③BEVは重い——電池搭載で車重が増えるぶん、シャシー・足回りの鋳造部品はむしろ大型化・高強度化する。単価上昇要因になりうる
🦞守田「ただし弱点も置く。営業利益率4.89%は『回復した』のであって『高い』わけではない。26/3期の改善は値上げ浸透によるもので、原材料が再騰すれば同じ苦しさが戻る。価格決定権の弱さは構造的だ」
🐊 簿外に一つだけ|熊本工場は、TSMCの隣にある
🐊待伏「イベント担当の待伏です。今日は珍しく、私に良い報告があります」
🐊待伏「まず会計上の整理から。上場有価証券は貸借対照表に時価で載っているので、その含み益は既にBPS2,034円に反映済みです。『有価証券の含み益』を上乗せ要因として数えるのは二重計上になります」
🐊待伏「簿外の含み益が眠っているのは、土地だけです。簿価28.1億円、取得は1944年から1973年が中心」
🗾 拠点別に見ると、一つだけ様子が違う ・熊本工場(熊本県菊池郡大津町/1973年設立)… 含み益ポテンシャル 極大 ・本社・日進工場(愛知県日進市/1944年〜)… 大 ・岐阜久尻工場・土岐可鍛工業ほか … 小
🐊待伏「大津町は、TSMCの子会社JASMが立地する菊陽町の隣接自治体です。令和7年の地価公示で、大津町の工業地標準地は71,601円/㎡から95,500円/㎡へ——前年比プラス33.3%、熊本県内で最高の上昇率。報道ベースでは工業地の上昇率が全国1位(+29.7%)とされています」
🐊待伏「1973年取得の簿価に対して、時価は桁で違う可能性があります。ただし各工場の土地面積は有価証券報告書にしか開示がなく、今回は確認できていません。そこで、簿価から面積を逆算しました」
| 仮定する国内土地面積 | 逆算される取得単価 | 時代整合性 |
|---|---|---|
| 10万㎡ | 28,055円/㎡ | 高すぎ(1944〜73年の工業地としては不自然) |
| 20万㎡ | 14,028円/㎡ | 整合的 |
| 30万㎡ | 9,352円/㎡ | 整合的(昭和期取得の中心帯) |
| 40万㎡ | 7,014円/㎡ | ありうる(ただし工場規模に対し大きい) |
🐊待伏「昭和期に取得した工業用地の簿価が㎡あたり9,000〜14,000円というのは、時代と整合します。従業員970名・3拠点+子会社という規模も踏まえると、国内土地は20〜30万㎡程度と推定するのが最も自然です」
🦉夜見「面積と単価の両方に幅を持たせて、感応度表にします。数万㎡規模の一団の工業用地は標準地の単価どおりには売れず、実務上は5〜7割で評価されるため、実現可能単価は控えめに置いています」
| 面積\実現可能単価 | 25,000円/㎡ | 40,000円/㎡ | 60,000円/㎡ |
|---|---|---|---|
| 10万㎡ | ▲3億(1株▲14円) | +12億(1株+53円) | +32億(1株+142円) |
| 20万㎡ | +22億(1株+97円) | +52億(1株+230円) | +92億(1株+408円) |
| 30万㎡ | +47億(1株+208円) | +92億(1株+408円) | +152億(1株+674円) |
🦞守田「ここで気持ちよくなる前に、割引要因を3つ置く」
⚠️ 土地の含み益は「いつでも取り出せる価値」ではない ・土壌汚染リスク——鋳造工場は水質汚濁防止法・土壌汚染対策法上の特定施設に該当しやすく、売却時に調査・対策費用が発生しうる ・用途制限——工業専用地域なら住宅・商業への転用が不可で、買い手は同業に限られる ・事業継続前提では換金されない——操業中の主力工場を売れば、事業そのものが止まる ・したがって、あくまでNAVの安全余裕として割り引いて評価すべき
| 土地の前提 | 含み益(税前) | 修正純資産 | NAV / 株 | 株価/NAV |
|---|---|---|---|---|
| 含み益ゼロ(簿価どおり) | 0 | 321.1億円 | 2,034円 | 29.5% |
| 保守(20万㎡×2.5万円) | 22億円 | 336.5億円 | 2,131円 | 28.2% |
| 中立(20万㎡×4.0万円) | 52億円 | 357.4億円 | 2,264円 | 26.5% |
| 強気(30万㎡×4.0万円) | 92億円 | 385.5億円 | 2,442円 | 24.6% |
🦉夜見「重要なのは、土地の含み益をゼロと置いてもNAVが2,034円あることです。株価601円は、その29.5%。面積が確定していないことは、この銘柄の投資判断を止める理由にはなりません——土地含み益は判断を左右する変数ではなく、安全余裕の上積みです」
🦉 その2,034円は、どこまで硬いのか
🦉夜見「ここは見落とされやすいので、必ず分解しておきます。『PBR0.3倍だから安全』と言うのは、雑です」
| 純資産2,034円の構成 | 1株換算 | 構成比 |
|---|---|---|
| 株主資本(資本金・剰余金等) | 1,572円 | 77.3% |
| 為替換算調整勘定 | 309円 | 15.2% |
| その他有価証券評価差額金 | 125円 | 6.1% |
| 退職給付に係る調整累計額 | 28円 | 1.4% |
🦉夜見「BPS2,034円のうち462円(22.7%)は、稼いで積み上げたものではなく『評価・換算差額』です」
🦞守田「とくに為替換算調整勘定309円が重い。これは中国(蘇州)・台湾の海外子会社の純資産を円換算した際の差額で、円高が進めば目減りする。1Qで為替差損0.77億円が出たのと同じ力学が、バランスシート側でも働いているということだ」
🦦河内「では、いちばん保守的に測るとどうなるか。評価・換算差額を全額剥がして、純粋に稼いで積み上げた株主資本だけで見ると1株1,572円です」
🎯 最も保守的な尺度でも ・株主資本のみ(評価・換算差額をゼロ扱い)… 1株1,572円 ・株価601円は、その38% ・どの角度から測っても割安、という結論は変わらない——ただし安全域の実体は2,034円ではなく1,572円のほうにある
🦉 直近の決算|「経常39%減益」の中身は為替差損だった
🦉夜見「2026年8月6日に27/3期1Qが出ています。見出しは『4-6月期(1Q)経常は39%減益』でした」
| 27/3期 1Q | 実績 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 売上高 | 99.54億円 | +9.4% |
| 営業利益 | 3.48億円 | ▲14.3% |
| 経常利益 | 4.43億円 | ▲38.9% |
| 純利益 | 3.32億円 | ▲47.5% |
🦉夜見「営業▲14%が、なぜ経常▲39%まで増幅したのか。営業外収支が+3.20億円から+0.95億円へ、2.25億円落ちたためです」
🔍 1Qの営業外損益の内訳 ・受取利息 +0.04億円/受取配当金 +0.57億円/持分法投資利益 +0.65億円 ・為替差損 ▲0.77億円 ・営業段階の悪化は、わずか0.58億円にとどまる ・主力の可鍛事業(売上の97%)はセグメント利益▲5.8%、売上は+9.5%
🦞守田「『一過性だから無視』とは言わない。この会社は営業利益率5%前後の薄利型で、円高・原材料高・トヨタの減産という3つの外部変数に業績が振られやすい。1Qの為替差損は、その感応度が実際に効くことを示した。『毎期こうしたブレが起きる会社』と理解しておけ」
🦉夜見「通期予想の減益(純利益▲27.6%)についても補足します。大部分は26/3期に計上した投資有価証券売却益5.63億円の剥落です。実力の悪化ではありません。そして裏を返せば、残り34億円の政策保有株は『将来の利益と現金の在庫』ということになります」
🦦河内「株価の動きも、正確に書いておきます。発表日の8月6日は高値621円から安値587円まで突っ込みましたが、終値は602円。出来高41,900株は平時(1〜2万株)の3〜5倍でしたが、売り一巡後の値持ちは悪くありません。年初来高値750円(2/9)からは▲20%で、これは決算1本で作られた下げではなく、2月以降の緩やかな水準訂正の一環です」
🦞 では、なぜ安いのか|6年間、誰も買わなかった
🦞守田「ここからが本題だ。ここまでの話が本当なら、この株はとっくに買われているはずだ。買われていない理由を、正面から書く」
🦞守田「第一に、実績がある。この株は2019年から2024年までの6年間、PBR0.2倍台に放置され続けた」
⏳ 放置の記録 ・2022年の年間値幅は390円〜434円——わずか44円 ・2020年の安値302円時点でも、PBRは0.2倍台前半 ・「割安である」ことは「上がる」ことを意味しない——カタリストが5年来なかった歴史が、実際にある
🦞守田「第二に、流動性が薄い。ここが最大の実務的制約だ」
| 流動性の実態 | |
|---|---|
| 2026年 年初来出来高(8/14まで) | 195万株 ÷ 発行済1,602万株 = 回転率12% |
| 2025年 通年 | 回転率 9.3% |
| 1日平均出来高 | 約1.28万株 |
| 1日平均の売買代金 | 約770万円 |
🦞守田「300株(18万円)なら何の問題もない。だが300万円を超えるポジションは分割執行が必須で、1,000万円超は出口に数日から数週かかる。成行は厳禁、指値必須だ」
🦞守田「第三に、BPSは床にならない。PBR0.30倍で買っても、0.25倍・0.20倍まで下がりうる。需給が薄い銘柄では、理論値は機能しない」
🦞守田「そして第四に、変化を強制する主体が現状どこにもいない。上位株主に銀行・生保が並ぶ持ち合い構造、名証単独上場で東証の資本コスト経営要請の直接対象外、配当性向12.8%、アクティビスト不在。ディスカウントの最大の根拠は、ここだ」
🐊 だが、条件は揃っている|MBOの教科書に載っている型
🐊待伏「先に釘を刺しておきます。現時点でMBO・TOB・アクティビスト参入に関する報道・観測・大量保有報告は、いずれも確認されていません。以下は『構造的に該当しやすい条件を満たしている』という分析であり、進行中の案件を示すものではありません」
🎯 近年の日本のMBOが狙い撃ちしてきた条件 ・PBR0.30倍(解散価値を大きく下回る)… ◯ ・創業家が経営を握る(社長は武山豊氏、武山尚生氏2.63%、子会社に武山鋳造)… ◯ ・名証単独上場(上場維持コストに対する便益が薄い)… ◯ ・低流動性(1日770万円)… ◯ ・そして実質的な買収額は約50億円——時価総額96億円からネットキャッシュ46億円を引いた額。買収資金の半分は、会社自身の現金で賄える
🐊待伏「動きうる引き金は、他にもあります」
| 触媒 | 中身 |
|---|---|
| 政策保有株の相互解消 | 同社は既に売却を開始(26/3期に売却益5.63億円)。残34億円。保有される側も三菱UFJ4.12%・三井住友3.75%・第一生命3.43%・名古屋銀行2.71%の計14.0%が解消候補 |
| 次期中期経営計画 | 中計2025は26/3期で期間終了、次期は未発表。ROE・PBR・還元方針が入れば再評価のトリガー、入らなければ追認 |
| 還元政策の転換余地 | 配当性向12.8%→30%なら1株30.4円=利回り5.07%。DOE2%なら40.7円=6.78%。自社株買いならネットキャッシュ46.2億円で時価総額の約49%を買える |
| 名証単独という伸びしろ | 東証の要請対象外だから改善が遅い=まだ何も織り込まれていない。圧力が名証に波及すれば、出発点が低いぶん変化幅は大きい |
🦩 優待|9月28日が権利付最終日、そして300株が最適解
🦩優田「優待担当の優田です。この銘柄には、待つ間の燃料があります」
🦩優田「2026年5月11日に、株主優待の拡充と増配(18円→19円)を同時発表しました。長期保有特典の新設は、会社が安定株主づくりに舵を切ったシグナルです。小粒ですが、方向としては還元強化の一歩」
| 保有株数 | 投資額 | 配当(19円) | 優待 | 総合利回り |
|---|---|---|---|---|
| 100株 | 60,100円 | 1,900円 | 500円 | 3.99% → 3.99% |
| 300株 | 180,300円 | 5,700円 | 1,500円→2,000円 | 3.99% → 4.27% |
| 1,000株 | 601,000円 | 19,000円 | 2,000円→3,000円 | 3.49% → 3.66% |
🦩優田「1,000株は投資額が3.3倍になるのに、優待は1.5倍にしかなりません。総合利回りは逆に下がります。利回り効率だけを見れば、300株が最適解です」
🦩優田「優待はQUOカード、権利確定は9月末の年1回、贈呈は毎年12月。権利付最終日は2026年9月28日(月)です——この日程の考え方は8月・9月の権利をまたぐべきかにまとめてあります」
🧑💼沼田「ここが設計上の美点だ。配当と優待で年4.0〜4.3%が積み上がる。つまり待っている間、こちらは損をしていない。6年放置された歴史がある銘柄で、これは効く」
🦅 乱入|「名証の鋳物屋に、円建てで金を縛るの?」
🦅ドル建て鷹「……面白い分析だ。だが一つ聞いていいか。お前たち、その株を売れるのか?」
🦅鷹「1日の売買代金770万円。名証単独。円建て。私なら同じ資金でS&P500に置く。年8%の期待値が、板を気にせず、いつでも現金化できる形で手に入る。PBR0.3倍が0.2倍になる可能性がある株に、出口の効かない状態で金を縛る意味がどこにある」
🦞守田「鷹、今日はお前が正しい。少なくとも半分は。流動性はこの銘柄の最大の実務的制約で、私も同じことを言った」
🦅鷹「認めるのか」
🦞守田「認めたうえで、条件を付ける。お前の指摘が効くのは『大きく持つ』場合だけだ」
⚖️ 流動性の制約は、サイズの関数でしかない ・300株=18万円 … 1日の売買代金の2.3%。出口は一瞬 ・300万円 … 分割執行が必須 ・1,000万円超 … 出口に数日〜数週。ここから先は鷹の言うとおり
🧑💼沼田「つまりこの銘柄は、『いくらで買うか』より先に『いくらまでなら持てるか』を決める種類の株だ。順番が逆になっている投資家が、たいてい出口で詰まる」
🦅鷹「……サイズを先に決める、か。それは認めよう。ただし私は、それでもS&P500を選ぶがな」
🦎日向「あっ、鷹さんの茶々、そのままエントリー前の確認事項になりますね」
✅ 鷹の茶々→買う前の5つの確認 ・いくらまでなら持てるか、先に決めたか? → 1日の売買代金770万円。300万円超は分割執行、1,000万円超は出口が数日〜数週 ・成行で入ろうとしていないか? → 厳禁。指値必須 ・PBR0.3倍を「床」だと思っていないか? → 0.2倍まで下がった実績がある。床ではない ・6年待てるか? → 実際に6年放置された。ただし待つ間、配当+優待で年4.0〜4.3%は入る ・MBOを主因にしていないか? → 報道・観測はゼロ。構造的条件を満たすだけ。これを主因に買うのは危険
🦅鷹「……最後の一つは、私も同意する(ぐぬぬ)」
買い方|サイズを先に決める、という順番
🦉夜見「シナリオ別の水準です」
| シナリオ | 確率 | 株価 | 601円比 | 前提 |
|---|---|---|---|---|
| ベア(放置継続) | 30% | 480〜560円 | ▲20〜▲7% | 還元不変+業績下振れ。PBR0.24〜0.28倍 |
| ベース(現状維持) | 35% | 600〜750円 | 0〜+25% | 計画線・還元も横ばい。年初来高値750円への復元 |
| ブル(資本政策転換) | 25% | 900〜1,100円 | +50〜+83% | 増配・自社株買い・新中計。PBR0.44〜0.54倍 |
| MBO / TOB | 10% | 1,200〜1,601円 | +100〜+166% | 創業家MBO・事業会社TOB(現状は報道・観測なし) |
🦉夜見「確率加重の期待株価は782円、現値比プラス30%。リスク・リワードは約1対2.2です。加えて保有中は配当+優待で年4.0〜4.3%が積み上がるので、3年保有なら累計12〜13%が上乗せされます」
🧱 握り方の設計(現値601円) ・最初にサイズを決める——300株(18万円)なら出口の心配は不要。300万円を超えるなら分割執行の前提で ・指値のみ。成行は使わない ・600円前後で1/3、556円(52週安値)圏で1/3、残りは次期中計の発表を見てから ・優待の権利を取るなら9月28日(月)まで。300株が利回り効率の最適解 ・再評価の合図は次期中計にROE・PBR・還元方針が入るか、そして出来高が日次3万株超で定着するか ・1,260〜1,510円(EV/EBITDA3〜4倍換算のフェアバリュー帯)では利確を検討 ・撤退基準:次期中計に資本効率目標が入らず、かつ営業利益率が3%を割ったら、論拠が2本とも折れる
🧑💼沼田「評価はB++とする。期待値プラス30%、NAV比▲73%、EV/EBITDA1.23倍という数字だけならA−でもおかしくない。そこまで上げないのは、6年間放置された実績と、変化を強制する主体が今どこにもいないという二点が重いからだ」
まとめ|「安い」と「上がる」のあいだにある距離
🧑💼沼田「今日の中央可鍛工業を、一枚に畳む」
| 論点 | 結論 |
|---|---|
| 値札の内訳 | 601円のうち508円(84.5%)が現金と有価証券。本業に払っているのは93円 |
| その93円で買うもの | 売上387.2億・営業利益18.9億・EBITDA39.7億の鋳造事業。EV/EBITDA1.23倍、EV/営業利益2.6倍(営業利益の0.8年分) |
| 事業の質 | 1944年創業の可鍛鋳鉄専業。3K産業で新規参入なし、廃業と集約が進むなかの残存者利益。トヨタ4.94%・豊田自動織機3.87%と資本で紐づく |
| 簿外の含み益 | 土地簿価28.1億のみ。熊本工場はTSMC隣接の大津町で公示地価+33.3%。面積は簿価から20〜30万㎡と逆算し感応度表で提示(NAV 2,034〜2,442円)。土壌汚染・用途制限・事業継続前提という3つの割引要因あり |
| NAVの硬さ | BPS2,034円のうち462円(22.7%)は評価・換算差額(為替換算調整309円が中心)で円高に弱い。全額剥がした株主資本1,572円で見ても、株価はその38% |
| 直近決算 | 1Q経常▲38.9%の主犯は為替差損0.77億。営業段階の悪化は0.58億にとどまり、主力の可鍛事業は増収+9.5% |
| なぜ安いのか | 6年間PBR0.2倍台で放置された実績(2022年の年間値幅44円)。1日の売買代金770万円。名証単独で東証の要請対象外。変化を強制する主体が不在 |
| 触媒 | MBOの構造的条件を完全に満たす(実質買収額50億円)。政策保有株の相互解消は両サイドで進行中。次期中計が最大の注目点。ただし報道・観測はゼロ |
| 待つ間 | 配当+優待で年4.0〜4.3%(300株が最適)。権利付最終日は9月28日 |
| 握り方 | 先にサイズを決める。300株なら出口は一瞬、1,000万円超は数日〜数週。指値必須 |
💬 沼田より 「601円の値札を割ってみたら、508円が現金と株だった。残りの93円で、売上387億・EBITDA39.7億の鋳造事業が付いてくる。EV/EBITDA1.23倍、営業利益の0.8年分——数字だけ見れば、これは異常だ。だが我々は、こういう数字を何度も見てきた。そして『異常に安い』ことと『いつか適正になる』ことのあいだには、たいてい長い距離がある。この会社の場合、その距離は実測されている。6年だ。2019年から2024年まで、PBR0.2倍台で放置された。2022年の年間値幅は44円しかない。だから今日は、いつもより長く『なぜ安いのか』に紙幅を割いた。安い理由を説明できない割安株は、ただの見落としではなく、たいてい理由のある放置だからだ。それでも書いたのは、待っている間に配当と優待で年4%が入るからだ。6年待っても、累計24%は受け取れている計算になる。そして買収するなら実質50億円で済み、その半分は会社の現金で賄える——これを見つけた誰かが動く可能性は、ゼロではない。——ただし、動くかどうかは我々に決められない。決められるのは、いくらまで持つかだけだ。だから今日の記事は、値段の話ではなくサイズの話で終える」
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※本稿は投資助言ではありません。評価ランク・目標株価・下値めどは一定の前提を置いた暫定値です。現預金・有利子負債・投資有価証券・土地の簿価、その他有価証券評価差額金・減価償却費・自己株式数は2026年3月期決算短信の連結貸借対照表・キャッシュフロー計算書・純資産の部から実額を確認しています。株価および株価から導いた指標は2026年8月20日終値601円を基準にしており、時点によって異なります。土地の含み益は各工場の土地面積を有価証券報告書で確認できていないため、金額を断定せず簿価倍率のシナリオとして提示しています(税効果30%控除後)。修正純資産(NAV)はその前提に依存する概算値です。シナリオ確率は当方の主観的判断であり、統計的に推定されたものではありません。MBO・TOB・アクティビスト参入について、現時点で報道・観測・大量保有報告はいずれも確認されておらず、実現を示唆・保証するものではありません。本銘柄は1日平均の売買代金が770万円前後と流動性が低く、まとまった金額の売買は価格に影響します。株主優待の内容・継続保有の判定基準は変更されることがあります。投資はご自身の判断と責任でお願いします。