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口座の残高
2026年9月末時点
4,423万円
1億
02億
資産推移チャート

📅 画面は2026年9月末に撮影

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🧑‍💼 筆者

沼田課長
沼田課長
課長・プレイングマネージャー
野村信用を活用したバリュー株×TOB待ち伏せ戦略。TOBヒット20件超。【目標】4,308万円 → 2億円(2030年)

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コラム|2026年9月の権利、またぐべきか降りるべきか——配当落ちは『損』なのか、優待だけ取りに行く価値はあるのか。紹介33社を全数点検し、9月権利の17社を並べた【権利付最終日は9月28日(月)】


🐝 「高配当担当の花岡です。9月が近づくと、毎年この質問が来ます——『権利、またいだほうがいいですか?』」

花岡「先に、身も蓋もない答えを言っておきます。配当だけを目的にまたぐなら、それは理論上、期待値マイナスから始まる行為です」

沼田「ただし、それで話は終わらない。優待が絡むと非対称が生まれるし、そもそも売る気がない人にとっては、この問い自体が的外れになる。今日はそこを分けて考える」


🔴 その前に|8月末の権利は、別稿で片づけた

花岡「9月に入る前に、8月末の権利があります。権利付最終日は8月27日(木)で、こちらは別稿にまとめました」

📌 2026年8月の権利、またぐか降りるか|決めるのは配当の損得ではなく『需給の歪み』 ・日本BS放送は8月期決算で年間配当30円が一括で落ちる——含み益が厚いなら降りて、権利落ちで拾い直すほうが賢い ・ダイケンは中間配当3期連続ゼロで8月末に取れるものが何もない——それでも売られるなら、そこに網を張る ・岡谷鋼機の米は8月末だけ400株以上(2月末は100株)、図書カードは3年以上の継続保有が条件——結論は何もしない ・判断したのは配当の損得ではなく、機械的に売られる銘柄をどう拾うかだった

沼田「判断軸は8月も9月も同じだ。『含み損益』『目標株価までの距離』『優待価値』の3つ。今日はそれを、金額の大きい9月に当てはめる」


窓辺の観葉植物にじょうろで水をやるミツバチの花岡
🐝 花岡利次郎 ——配当は、育てるものです

📅 次に9月|権利付最終日は9月28日(月)

夜見「財務分析担当の夜見です。日付を間違えると全部が無駄になるので、最初に確定させます」

日付曜日意味
2026年9月28日月権利付最終日——この日の大引けまでに買えば権利が取れる
2026年9月29日火権利落ち日——この日に売っても権利は残る
2026年9月30日水権利確定日(株主名簿の基準日)

夜見「受渡は約定の2営業日後なので、9月28日に買えば9月30日に受け渡され、名簿に載ります。9月29日に買っても間に合いません」

守田「リスク番から一点。この日程は毎年ずれる。『去年は9月26日だったから今年も』という覚え方をするな。必ずその年のカレンダーで確認しろ」


🐝 前提の整理|配当落ちは「損」なのか

花岡「権利落ち日には、理論上、配当額だけ株価が下がります。これは需給ではなく、会社から現金が出ていくぶん1株の価値が減るという理屈です」

花岡「問題は、受け取る配当のほうには20.315%が課税されることです」

⚖️ またぐだけで何が起きるか(半期利回り2.0%の銘柄) ・株価は理論上 2.0% 下がる ・受け取る配当は 2.0%、そこから課税されて手取り 1.59% ・差し引き マイナス0.41% からのスタート ・落ちた分がそのまま戻って、ようやくトントンではなく“やや負け”

花岡「つまり『配当を取って、落ちた分が戻るのを待つ』という発想は、税のぶんだけ最初から不利です。それでも権利を取る意味があるとしたら、理由は別のところにあります」


港の見える市場で、はかりに金貨をのせるミツバチの花岡と、野菜のかごを提げたフラミンゴの優田
🐝 花岡利次郎 + 🦩 優田 ——受け取る実りを、量ってみる

🦩 優待は、落ちに織り込まれにくい

優田「優待担当の優田です。ここが今日いちばん面白いところです」

優田「配当は金額が明示されているので、落ちに正確に反映されます。ところが優待は、金額が明示されていません。米2kgの価値がいくらかは、市場が合意していない」

🎁 優待が生む非対称 ・落ちには織り込まれにくい——金額が定義されていないため ・源泉徴収されない(雑所得。給与所得者なら他の所得と合算して年20万円以下は申告不要となるケースが多い) ・つまり、配当と違って「税で目減りしてから戻りを待つ」構造にならない ・ただし人気優待は権利日前に買われ、落ち後に売られる。“織り込まれない”のは価値であって、需給ではない

優田「そして長期保有優遇のある銘柄では、もう一段別の理由が生まれます。権利を継続すること自体が、翌年以降の優待を育てるからです」

優田「たとえば昭和化学工業(4990)は、あきたこまちが1年未満2kg・1年以上4kg・2年以上6kgと、保有期間だけで3倍になります。ここで一度権利を落とすと、育てた継続がリセットされる設計が一般的です。またぐ・またがないという判断が、価格変動とはまったく別の軸で効いてきます」


🦉 【本題】紹介33社のうち、9月に権利が来るのは17社

夜見「当商会が紹介してきた33銘柄を、全数で点検しました。すべて2026年8月25日終値ベースです。ただし東部ネットワークだけは8月25日に出来高がゼロで値がつかなかったため、8月24日終値を使っています」

① 中間配当の権利が来る 15社

銘柄株価中間配当半期利回り税引後
三協フロンテア(9639)2,332円50円2.14%1.71%
東洋テック(9686)1,670円35円2.10%1.67%
東海エレクトロニクス(8071)3,010円57円1.89%1.51%
菱友システムズ(4685)2,712円50円1.84%1.47%
パンチ工業(6165)561円10.05円1.79%1.43%
新晃工業(6458)1,268円20円1.58%1.26%
遠藤照明(6932)2,559円40円1.56%1.25%
群栄化学工業(4229)4,375円65円1.49%1.18%
テレビ東京HD(9413)3,495円50円1.43%1.14% +優待
広済堂HD(7868)553円6.67円1.21%0.96%
日鉄ソリューションズ(2327)3,931円43.5円1.11%0.88%
藤倉化成(4620)951円10円1.05%0.84%
東部ネットワーク(9036)1,249円10円0.80%0.64%
昭和化学工業(4990)502円3円0.60%0.48% +優待
日本ギア工業(6356)1,311円5円0.38%0.30%

② 中間配当はゼロだが、9月に優待の権利がある 1社

銘柄株価中間配当9月の権利
京阪ホールディングス(9045)3,246円0円(期末一括)株主優待乗車証(300株以上=約97.4万円)

③ 9月期決算のため、9月末が「期末配当」の権利日 1社

銘柄株価年間配当年利回り
トスネット(4754)1,487円37円(26/9期予想)2.49%

夜見「トスネットだけ性格が違います。9月期決算なので、9月末は中間ではなく期末の権利確定日です。同時に決算期末でもあるため、11月の本決算発表が次の山になります」

9月に権利が来ない16社

夜見「3月期決算でも、中間配当を出さない会社があります。『3月期=9月に権利』と機械的に考えると外します」

🚫 3月期だが期末一括(中間配当ゼロ)= 5社 ・神栄(3004)/ヤマウHD(5284)/TANAKEN(1450)/北里コーポレーション(368A)/櫻島埠頭(9353)

🗓️ そもそも決算期が違う = 11社 ・12月期:片倉工業(3001)/EMシステムズ(4820)/星和電機(6748)/日本フェンオール(6870)/日本ホスピスHD(7061)/応用地質(9755) ・2月期:ダイケン(5900)/岡谷鋼機(7485) ・6月期:第一カッター興業(1716)/タウンズ(197A) ・8月期:日本BS放送(9414)


🦉 この表を、どう読むか

夜見「半期利回りで並べると、はっきり分かれます」

夜見「上位の三協フロンテア2.14%・東洋テック2.10%でも、税引後は1.71%・1.67%。配当落ちがきれいに埋まったとしても、半年でこれだけ、という話です」

夜見「逆に日本ギア工業の0.38%は、権利取りの対象として考える水準ではありません。ただしこれは欠点ではなく、稼ぎの92%を社内に残している設計の裏返しです。配当を取りに行く銘柄ではない、というだけのこと」

花岡「私の担当領域から見て、9月の権利日を意識する価値があるのは上位5社くらいでしょうね。それ以下は、権利日を理由に売買を動かす必要がない」


🧓 つなぎ売り(クロス取引)という手はあるが

野村「レバレッジ担当の野村じゃ。『落ちるのが嫌なら、現物買いと信用売りを同時に建てればよい』——これがつなぎ売り、いわゆるクロス取引じゃ」

🔀 つなぎ売りの仕組み ・権利付最終日までに現物買いと信用売りを同数建てる ・株価がどう動いても、両建てなので損益はほぼ相殺される ・権利落ち後に現渡しで解消し、優待だけが手元に残る ・ただし配当は取れない——受け取った配当とほぼ同額を配当落調整金として支払うため

野村「ここを勘違いする者が多い。クロスで取れるのは優待だけじゃ。配当は相殺される。つまりクロスは『配当取り』の手法ではなく、『優待取り』の手法じゃな」

守田「そしてコストの話をする。クロスの最大の敵は逆日歩だ」

⚠️ クロスで失敗する3パターン ・制度信用で建てて逆日歩を食らう——人気優待銘柄では1日あたり数百円〜数千円/単元に膨らむことがあり、優待価値を超える場合すらある ・一般信用の在庫が取れない——逆日歩のない一般信用(短期)は枠の争奪戦で、人気銘柄は開始数秒で消える ・現渡しを忘れて両建てのまま持ち越す——貸株料と金利が積み上がり続ける

守田「今回の17社は、いずれも優待の人気度が極端に高い銘柄ではない。逆日歩リスクは相対的に低いが、京阪HDの優待乗車証は例外だ。鉄道の優待は毎年取り合いになる——やるなら一般信用の在庫を早めに押さえること」

野村「もう一つ実務を置いておく。配当落調整金は、受取配当(配当所得)ではなく譲渡損益として扱われる。損益通算の計算が変わるので、クロスを多用する者は覚えておいたほうがよい」


全世界坊主の全身イラスト
全世界坊主、会議に参加。

🧘 乱入|「権利取りとか、小賢しいことしてないで」

オルカン教祖「……まあまあ、みなさん。カレンダーを睨んで、逆日歩を気にして、在庫の争奪戦に参加して。その労力、時給に換算したことあります?」

オルカン教祖「半期1.7%のために、9月28日という日付を覚えて、クロスの手数料を計算して。オルカンを積み立てて寝ていれば、その時間はゼロですよ。それ、投資じゃなくて“作業”では?」

花岡「……教祖、今日はあなたが7割正しい」

教祖「えっ、認めるんですか」

花岡「認めます。半期0.36%や0.60%の銘柄で権利日を意識するのは、明確に労力の無駄です。今日の表を作った目的の半分は、『気にしなくていい銘柄』を14社ぶん特定することでした」

沼田「残り3割について言っておく。我々がこの表を作る本当の理由は、権利取りで儲けるためではない」

🎯 この表の使い道 ・9月末に意味もなく株価が下がる銘柄を、事前に知っておくため ・落ちを「悪材料」と誤読して狼狽しないため ・逆に、落ちた日に買い増すという選択肢を用意しておくため

沼田「配当落ちは、業績悪化ではない。単なる計算上の調整だ。それを知らずにチャートだけ見ると、9月29日は『急に下がった日』に見える」

教祖「……あー。それは、たしかに積立勢でも知っておいて損はないですね(ぐぬぬ)」

日向「あっ、教祖さんの茶々、そのまま判断フローになりますね。整理するとこうです」

✅ 教祖の茶々→9月の権利をどうするか、5つの確認 ・そもそも売る気があるか? → ないなら、この議論は無関係。またぐ/降りるは短期の話 ・半期利回りは何%か? → 1%を切るなら、権利日を意識する価値はほぼない ・優待はあるか? → あるなら非対称が残る。長期保有優遇があるなら、権利の継続自体に価値 ・クロスするなら一般信用の在庫は? → 制度信用の逆日歩は優待価値を超えることがある ・権利落ち日に下げても慌てないか? → 配当落ちは業績悪化ではない。ここを混同しないことが最大の実利


🧑‍💼 実務では、含み損益で決めている

沼田「ここまで一般論を書いてきたが、当商会が実際にどう判断しているかを開示しておく。結論から言うと、権利をまたぐかどうかは、その銘柄の含み損益で決めている」

🧭 当商会の判断ルール ・含み益がたっぷり乗っていて、取得単価が安い → そもそも売る理由がないので、基本はまたぐ ・含み損を抱えていて、まだ下がるリスクが高そう → いったん売却するのは合理的

花岡「感覚的なルールに見えますが、数字にすると、これはかなり厳密な話になります」

夜見「計算します。現値1,000円・半期配当20円(2.0%)の株を、権利落ちを避けるために売った場合です」

取得単価含み損益売却時にかかる税避けたい落ち差し引き
1,200円▲200円0円20円売却が有利(損出しにもなる)
1,000円±0円0円20円売却が有利
900円+100円20.3円20円ほぼ互角
800円+200円40.6円20円売却コストが落ちの2.0倍
600円+400円81.3円20円同 4.1倍
400円+600円121.9円20円同 6.1倍

夜見「取得単価400円まで下がると、20円の落ちを避けるために121.9円の税を払うことになります。6倍のコストです」

沼田「つまりこの判断ルールは、感覚ではなく税の構造から出てくる。含み損益とは、その銘柄を売るときの“出口コスト”のことだ」

💡 言い換えると ・含み益が厚い=出口コストが高い=またぐ側に強く傾く ・含み損=出口コストがゼロ、むしろ損出しの原資になる=降りる選択肢が現実的になる ・同じ「下がりそうだ」という見立てでも、含み損益によって最適解が反転する


🦉 もう一つ|取得単価が安いほど、配当そのものが厚い

夜見「見落とされやすい点をもう一つ。配当利回りは現在の株価で語られますが、あなたが実際に受け取っている利回りは、取得単価に対する比率です」

取得単価簿価ベースの半期利回り現値ベース
1,200円1.67%2.00%
1,000円2.00%2.00%
800円2.50%2.00%
600円3.33%2.00%
400円5.00%2.00%

夜見「安く仕込めている銘柄は、権利日に受け取る現金の“自分にとっての利回り”が高い。売って買い直せば、その簿価利回りは現値ベースまで下がります」

花岡「高配当担当として、ここは強調しておきたいところです。安く買えたポジションは、それ自体が資産です。権利落ちの数%を避けるために手放すようなものではありません」


🦞 ただし、ここに一つだけ罠がある

守田「リスク番として、この判断ルールに釘を刺しておく。『含み損だから売る』という部分だ」

守田「含み損は、あなたの買値の話であって、会社の状態の話ではない。同じ会社を、隣の人は含み益で持っているかもしれない。買値は、その会社が今後どうなるかについて、何も教えてくれない」

沼田「だから今日のルールは、正確には『含み損だから売る』ではない。『下がるリスクが高いと判断し、かつ売却の出口コストがゼロだから、売る』だ。2つの条件が要る」

⚠️ 順番を間違えないための整理 ・先に判断するのは「この会社は、ここからさらに下がるリスクが高いか」——これは業績と価格の話 ・後で効いてくるのが「売るとしたら、いくら税を払うか」——これが含み損益の役割 ・含み損益は、判断の入口ではなく、実行コストの計算に使う ・この順番が逆になると、「含み損だから損切り」「含み益だから利確」という、買値に振り回される判断になる

守田「この論点は別稿で扱っている。含み損を抱えたとき、何を基準に持ち続けるかを先に読んでおいてほしい」

野村「それと、9月に含み損を整理するなら、12月まで待つ手もあるぞ。年内の利益が確定してから損を出したほうが、通算の効率がよい場合がある。ただし『下がるリスクが高い』という判断が本物なら、税を待って値下がりを食らうのは本末転倒じゃ。税は判断の後に来る、という順番は、ここでも同じじゃな」


🐊 三つ目の軸|目標株価まで、あとどれだけ残っているか

待伏「イベント担当の待伏です。ここまでの話には、まだ変数が足りません」

待伏「含み益が厚いことは、『またぐ理由』にも『利確する理由』にもなります。出口コストが高いから持つ、という理屈と、大きく乗ったから一度降りる、という理屈は、同じ事実から出ています。では何が分けるのか」

沼田「残りの上値だ。目標株価までの距離が、その2つを分ける」

夜見「計算にします。持ち続ける価値と、降りるコストを並べます」

⚖️ 比べるもの ・持ち続ける価値 = 残りの上値 + 配当 + 優待(非課税なのでそのまま乗る) ・降りるコスト = 含み益 × 20.315% ・この2つを比べて、大きいほうを選ぶ

夜見「出口コストを、現値に対する比率で出しておきます」

含み益取得単価(現値1,000円のとき)出口コスト(現値比)
+5%952円0.97%
+10%909円1.85%
+20%833円3.39%
+30%769円4.69%
+50%667円6.77%
+100%500円10.16%

夜見「ここで一つ、きれいな閾値が出ます。出口コストは、含み益がどれだけ膨らんでも20.315%を超えられません。取得単価がゼロに近づく極限でも、税率そのものが上限だからです」

🎯 残り上値 20.3% という分岐点 ・目標株価まで20.3%以上残っている → どれだけ含み益が乗っていても、税だけを見れば「持つ」が有利 ・20.3%を切っている → 含み益の厚さ次第で、利確が有利に反転しうる

沼田「これで判断が機械的になる。まず残り上値を見て、20.3%を超えているなら考えるまでもない。切っているなら、そこで初めて含み益の厚さを持ち出す」


🦉 9月権利の17社を、目標株価までの距離で並べる

夜見「先ほどの17社を、残り上値の小さい順に並べ替えます。目標株価は各紹介記事のカードに置いたもので、株価は2026年8月25日終値です」

残り上値が20.3%を切る=利確を検討しうる 5社

銘柄評価現値目標残り上値
新晃工業(6458)B++1,268円1,300円+2.5%
藤倉化成(4620)A−951円1,100円+15.7%
三協フロンテア(9639)B++2,332円2,700円+15.8%
遠藤照明(6932)B2,559円3,050円+19.2%
東洋テック(9686)B++1,670円2,000円+19.8%

残り上値が20.3%以上=税だけを見れば「持つ」側 12社

銘柄評価残り上値
日鉄ソリューションズ(2327)B+++22.1%閾値まで1.8pt
昭和化学工業(4990)B+++25.5%+優待
テレビ東京HD(9413)B++26.2%+優待
東海エレクトロニクス(8071)A++26.2%
トスネット(4754)B+++28.1%
菱友システムズ(4685)A−+31.5%
群栄化学工業(4229)B+++32.6%
京阪HD(9045)B+38.0%+優待
パンチ工業(6165)B++60.4%
広済堂HD(7868)A++62.7%
日本ギア工業(6356)A+83.1%
東部ネットワーク(9036)A+++157.2%

夜見「新晃工業が突出しています。残り2.5%です。11日前の点検では+5.5%でしたが、株価が1,232円から1,268円へ上がった分だけ、余地が半分以下に縮みました。拮抗する含み益を逆算すると、以前は37%必要でしたが、いまは14%で並びます。この一枚は、9月の権利より前に、そもそも保有量を見直す対象です」

夜見「もう一つ、閾値の手前に来た銘柄があります。日鉄ソリューションズは+25.1%から+22.1%へ縮み、20.3%まであと1.8ポイントです。この分岐点は固定された線ではなく、株価が動くたびに銘柄が出入りする境界だということです」

夜見「逆に東部ネットワークの残り157.2%は、出口コストの上限20.3%の7.7倍です。含み益がどれだけ乗っていても、税を理由に降りる意味はありません。ちなみにこの銘柄は8月25日に一度も約定していません——出来高ゼロです。降りたくても降りられない日がある、という別種の話でもあります」


🦩 優待が乗ると、「持つ」側にさらに傾く

優田「そしてもう一段、優待が効きます。優待は源泉徴収されないので、持ち続けるリターンにそのまま乗ります」

優田「昭和化学工業で言えば、1,000株保有で年7,550円=1株あたり7.55円。現値502円に対して年1.50%です。残り上値25.5%に、これが毎年上乗せされる。しかも2年持てば米が6kgへ育つので、この1.52%自体が増えていきます」

優田「つまり優待銘柄では、判定が二重に「持つ」側へ傾きます。①残りの上値に非課税のインカムが上乗せされる ②長期保有優遇があれば、降りた瞬間にその積み上げがリセットされる」


🧓 ただし出口コストは、固定ではない

野村「ここまで『出口コスト=含み益×20.315%』として話してきたが、これは固定値ではないぞ」

野村「同じ年に損失を確定させていれば、譲渡益と通算されて税はその分だけ消える。損出しで枠を作ってあれば、目標に近づいた銘柄のスライス利確を、実質無税で実行できる」

🔁 損出し枠があると、判定が変わる ・通常:残り上値 2.5% vs 出口コスト 3.39%(含み益20%の場合)→ 利確側が上回る ・損出し枠あり:残り上値 2.5% vs 出口コスト 0% → 迷わず利確 ・つまり「いつ降りるか」は、「いつ損を確定させるか」とセットで決まる

野村「9月の権利判断と、12月の損出し計画は、別々に考えるものではない。年内にどれだけの損を出す予定があるかで、9月に降りるべきかどうかが変わる」

守田「リスク番から最後に一つ。ここまでの計算はすべて『売って現金にする』前提だ。売って別の銘柄に乗り換えるなら、比べる相手は税ではなく、乗り換え先の期待リターンになる。残り上値5.5%の銘柄を降りて、残り30%の銘柄に移すなら、出口コストを払う価値は十分にある」


🦦 権利がないのに落ちる日|ダイケンを拾いたい理由

河内「割安発掘担当の河内です。ここに、私が毎年ひそかに待っている現象があります」

河内「ダイケン(5900)は2月期決算です。それを見た人の一部は『2月期なら8月末が中間配当の権利日だ』と考えます。ところがこの会社は、中間配当を3期連続でゼロにしています」

🔍 ダイケンの中間配当(上期=3-8月) ・23年3-8月 … 0円 ・24年3-8月 … 0円 ・25年3-8月 … 0円 ・26年3-8月(予想)… 0円 ・優待の権利確定月も2月のみ——8月末に取れるものは、何もない

河内「それでも権利付最終日に向けて買われ、権利落ち日に売られることがあります。取れるものが何もない銘柄で、需給だけが動く」

沼田「こういう日は、拾いに行く日だ。配当落ちなら、下げには理屈がある。だが取れるものがない銘柄の権利落ち売りには、理屈がない。単なる勘違いによる需給の歪みだ」

夜見「数字も添えておきます。ダイケンは現値891円に対し目標1,160円で、残り上値は+30.2%。先ほどの20.3%の分岐点を上回っており、税を理由に降りる水準ではありません。PBR0.36倍(修正PBR0.28倍)、配当利回り2.81%」

守田「ただし『毎年必ず起きる』とは思うな。起きたら拾う、というだけの話だ。起きることを前提に事前に仕込むと、それは別の賭けになる」


🐊 TOB期待について|経験則をひとつ置いておく

待伏「イベント担当の待伏です。日本BS放送(9414)については、当商会はいったん全株を利確しました。その理由と、拾い直す条件を書いておきます」

待伏「この銘柄は以前から『親会社によるTOBがあるのでは』と言われ続けてきました。そして8月末は決算期末でもあり、期待が集まりやすいタイミングです」

待伏「ここで、私が長く観察してきて感じていることを書きます」

🎯 待伏の経験則 ・期待され、警戒されているタイミングでは、TOBやMBOは出てこないことが多い ・とくに昔から「あるかもあるかも」と言われ続けている銘柄ほど、その傾向が強い ・むしろ期待が外れて株価が下がり、誰も見ていない何でもないタイミングで発表されることが多い

堀田「モート担当だが、この観察には構造的な裏付けがあると思う」

🧩 なぜ「期待されている時」に出ないのか ・買う側にとって、期待で上がった株価は不利——プレミアムを上乗せする基準そのものが高くなる ・特別委員会の設置、第三者算定機関の評価、交渉——公表までのプロセスは数か月かかる。その間に情報が漏れるリスクを、株価が動いている局面で負いたくない ・観測報道が出たあとは、株価変動との関係を説明する責任が重くなる ・逆に、期待が剥落して出来高が枯れ、株価が下がった局面は——買う側にとって最も条件がいい

待伏「つまり『TOB期待で買う』は、構造的にいちばん効率の悪い買い方です。期待が乗った価格で買い、期待が剥落したところで売る——買収側が最も動きやすい水準で、こちらが降りてしまう」

待伏「だから当商会の運用としては、こうします」

📋 日本BS放送の扱い(当商会の方針) ・8月末の権利・決算期末に向けた期待の盛り上がりでは、いったん降りる(実行済み) ・権利落ち後、TOBが出ないまま、いつも通り株価が下がってきたところで拾い直す ・現値926円に対し目標1,240円、残り上値+33.9%——資産バリューとしての論拠は変わっていない ・TOBは「拾い直したあとに、忘れた頃に来るもの」として扱う


🦞 ただし、これは経験則であって法則ではない

守田「リスク番として、ここは強く釘を刺しておく」

守田「『期待されているときは出ない』という観察は、検証が難しい。出なかった事例は記憶に残らず、外したときだけ強く印象に残る。サンプルも少ない」

⚠️ この経験則を、こう使ってはいけない ・✗ 「期待が剥落したから、今度こそ来る」——これは同じ賭けの裏返しでしかない ・✗ TOBを主因に買う——期待していても、していなくても、これは変わらず危険 ・◯ 「TOB期待では買わない」理由として使う——これが正しい使い方 ・◯ 期待が剥落して下げたときに、狼狽しない根拠として使う

守田「日本BS放送を拾い直す根拠は、TOBの確率ではない。修正PBR0.51倍・利回り3.24%という資産と配当のほうだ。TOBはあくまで、待っている間に来るかもしれないオプションであって、シナリオではない」


🧑‍💼 取り逃したら、それはそれでいい

沼田「最後に、この判断でいちばん大事な部分を書いておく」

沼田「降りたあとにTOBが出る可能性は、当然ある。そのときは、それはそれとして諦める」

沼田「取り逃しを恐れて降りられなくなるのが、いちばん高くつく。『これを逃したら二度とない』と思った瞬間、判断は歪む」

🧭 なぜ諦められるのか ・当商会が追っている銘柄は、まだいくらでもある ・紹介済みだけで33社、平均修正PBRは0.96倍、うち22社が1倍割れ ・機会が有限だと思うから、悪い価格でも掴んでしまう。機会が十分にあると知っていれば、待てる ・これは強がりではなく、候補リストの厚さがそのまま規律になるという実務の話だ

沼田「権利をまたぐかどうかも、TOBを待つかどうかも、根っこは同じだ。『この一枚を逃せない』という前提を捨てられるかどうか」


まとめ|結局、またぐべきか

沼田「今日の話を、一枚に畳む」

状況判断
長期保有のつもりで持っているそのまま持つ。またぐ/降りるという問い自体が的外れ
配当だけが目的で、短期でまたぐ理論上は不利。落ちる分が配当額で、その配当に20.315%課税される
優待がある銘柄非対称が残る。金額が定義されていないぶん落ちに織り込まれにくく、源泉徴収もされない
長期保有優遇がある銘柄権利の継続そのものに価値。一度落とすとリセットされる設計が一般的
含み益が厚く、取得単価が安いまたぐ。売却時の税が落ちの2〜6倍になり、簿価利回りも下がる
含み損があり、下落リスクも高いと判断降りる合理性がある。出口コストがゼロで、損出しの原資にもなる
目標株価まで20.3%以上残っている持つ。出口コストは税率20.315%を超えられないため、含み益がどれだけ乗っていても税では覆らない
目標株価まで20.3%未満+含み益が厚いスライス利確の検討対象。損出し枠があれば実質無税で実行できる
半期利回り1%未満の銘柄権利日を理由に動かす必要はない。中間配当のある15社のうち3社が該当(東部ネットワーク0.80%・昭和化学0.60%・日本ギア0.38%)
クロス取引で優待だけ取る成立するが、取れるのは優待のみ。配当は落調整金で相殺される。逆日歩に注意

💬 沼田より 「毎年9月になると、権利日のカレンダーが出回る。だが我々が今日いちばん時間をかけたのは、『権利が来る17社』を数えることではなく、『来ない16社』を特定するほうだった。3月期決算でも中間配当を出さない会社が5社あった。決算期がそもそも違う会社が11社あった。『3月期だから9月に権利がある』という思い込みで動くと、5社ぶん外す。そして半期利回りが1%を切る3社では、そもそも権利日を意識する意味がない。結局のところ、権利取りで得られるのは半年ぶんの配当の、税を引いた残りでしかない。それを取りに行くために保有方針を曲げるなら、順番が逆だ。——ただし、8月28日や9月29日に株価が下がったとき、それが業績悪化ではなく計算上の調整だと知っているかどうかは、別の価値がある。慌てて売らずに済むという、それだけの価値が」


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※本稿は投資助言ではありません。TOBやMBOの公表タイミングに関する記述は当方の観察に基づく経験則であり、統計的に検証されたものではありません。特定の企業について買収等の計画があることを示唆するものでも、実現を保証するものでもありません。目標株価は各紹介記事の執筆時点で一定の前提を置いた暫定値であり、その後の決算や株価変動で妥当性を失うことがあります。残り上値はその目標株価と2026年8月25日終値から算出した単純な差です。売却時の税負担・簿価利回りの試算は、特定口座・申告分離課税(20.315%)を前提とした単純計算です。NISA口座では課税されず損益通算もできないため、前提が異なります。株価および株価から導いた指標は2026年8月25日終値を基準にしています。ただし東部ネットワークは8月25日に出来高がなく値がつかなかったため、8月24日終値を用いています。いずれも時点によって異なります。中間配当・年間配当はいずれも会社予想であり、今後修正される可能性があります。半期利回りは中間配当を株価で割った単純計算、税引後は20.315%を控除した概算です。権利付最終日・権利落ち日・権利確定日は2026年9月の営業日に基づく記載ですが、取引所の休業日変更等により変わる可能性があるため、必ずご自身でご確認ください。株主優待の内容・継続保有の判定基準は変更されることがあります。つなぎ売りの逆日歩・貸株料・手数料は証券会社や銘柄により大きく異なります。投資はご自身の判断と責任でお願いします。