銘柄紹介|遠藤照明(6932)— 星和電機とは真逆、含み益ゼロでも買える『資本イベント株』。商業施設のトータル照明ソリューションで稼ぎ、PEファンド13%+創業家33%が非公開化を狙う【照明インフラ株シリーズ②】
🦦 「前回の星和電機は“政策保有株の含み益が45%も詰まった、静かな資産バリュー”でした。今日の遠藤照明は——その真逆。掘っても含み益はほぼ出てこない。なのに、買える理由がちゃんとある。同じ“照明の2枚看板”でも、買う理由がまるで違うんです」
この銘柄、一言でいうと
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 現在株価 | 2,606円(時価総額 約385億円/希薄化後443億円) |
| 予想PER(希薄化後) | 10.1倍(表面は8.75倍) |
| PBR | 0.81倍(為替・のれん控除後の実質PBRは1.00倍) |
| ネットキャッシュ | 137億円(希薄化後時価総額の30.9%=財務は厚い) |
| 営業利益率(FY26) | 10.4%(売上554.7億・営業益57.4億・+16.5%) |
| 配当 | 88円 / 3.38%(配当性向29.9%・増配余地あり) |
| PEファンド保有 | 潜在13.01%(アドバンテッジパートナーズ系AAGS) |
| バリュー商会評価 | 近況B/長期枠ならB+(現値は“打診”、主力化は2,300円以下) |
🦦河内「先に結論の“形”を言います。遠藤照明は、星和や群栄のような“資産の含み益で買う株”ではありません。投資有価証券はわずか1.06億円、掘っても隠れ資産は出てこない。買う理由は2つ——①商業施設向けの“光の演出”で稼ぐ堅実な本業 ②PEファンドと創業家が握った“非公開化の素地”。今日は、この“別の性質”を開けます」
まず対比|星和は“静のバリュー”、遠藤は“動のイベント”
🧑💼沼田「照明インフラ株シリーズの2枚を並べると、性格がきれいに分かれる。同じ照明でも、買う理由がまったく違う」
| 星和電機(6748) | 遠藤照明(6932) | |
|---|---|---|
| 主戦場 | プラント防爆・官需インフラ | 商業施設・店舗・オフィス |
| 買う理由 | 政策保有株の含み益(時価総額の45%)=資産 | 本業(光の演出)+資本イベント |
| バリュー | PBR0.49倍=素直に安い | 実質PBR1.00倍=バーゲンではない |
| 財務 | ネットキャッシュ実質ゼロ | ネットキャッシュ137億=厚い |
| カタリスト | 弱い(安定株主45.6%) | 強い(PE13%+創業家33%=46%) |
| 性格 | 静のバリュー | 動のイベント |
🧑💼「星和は“資産が下値を守る静かな一枚”。遠藤は“含み益はないが、稼ぐ本業とPEファンドという動く要素がある一枚”。どちらが上ということではなく、役割が違う。だからうちは、この2枚を性格の違う保険のように組み合わせる」
本業|“照明を売る”のではなく“光の演出を売る”トータルソリューション
🦫堀田「遠藤の本業は、侮れない。この会社は“照明器具というモノ”を売っているというより、“空間をどう照らすか=光の演出”を売っている」
🦫「その象徴がSmart LEDZだ。配線工事なしで、無線でひとつひとつの照明を調光・調色・スケジュール制御できるシステムで、発売10年以上・国内で1万施設超に導入された“無線照明制御の定番”。店舗なら時間帯や季節で光を変え、オフィスなら細かな調光で電気代を下げる。単なる器具の置き換えより、単価も粗利も取れる」
🦦河内「数字で効いています。Smart LEDZ関連は売上の約24%(132億円)、その粗利率は41%。この高付加価値化が効いて、全社の売上総利益率は前期38.7%→41.0%へ改善、営業利益率は10.4%。星和の“全社6〜7%”と比べると、遠藤は全社ベースで安定して二桁の利益率を出せる。ここがユーザーの言う“光の演出で高利益率”の実態です」
🦎日向(見習い)「じゃあ、これって“毎月お金が入るサブスク”みたいなもんすか?」
🦞守田「そこは正直に補正する。違う。Smart LEDZは“システム同梱の器具販売”であって、月額課金のストック収益ではない。遠藤全体でもリカーリング(レンタル等)は売上の8.6%だけで、残り91.4%は案件ごとのフロー型だ。しかもそのレンタル事業は、年33億円の設備投資を食う割に利益率8.6%と重く、EV/EBITDA3.3倍という見かけの安さを割引いて見る必要がある。“単価アップで粗利を上げる高付加価値フロー”であって、SaaS的なストックを期待すると評価を誤る。ここは冷静に見ておけ」
正直に|これは“資産バリュー”ではない
🦉夜見「星和と決定的に違う点を、数字で潰します。遠藤に“隠れ資産”はありません」
⚠️ 含み益の在り処を、ひとつずつ潰す
・有価証券の含み益=実質ゼロ——投資有価証券は1.06億円(総資産の0.14%)。政策保有株の売却という定石カードが、そもそも切れない ・実質PBRは1.00倍——表面PBRは0.81倍だが、自己資本から為替換算調整勘定91.9億円(英国子会社の円換算差額)とのれん23億円を引くと、実質BPSは2,608円=株価2,606円とほぼ同値 ・転換社債の希薄化が“前提”——2025年発行のCB(転換価額2,230.5円)は株価2,606円に対し16.8%イン・ザ・マネー。潜在株224万株の希薄化で、表面PER8.75倍は実質10.1倍 ・売上の26.5%が英国——2014年買収の英Ansell社。自己資本の18.4%を占める為替換算益は、円高になれば剥落する
🦉「つまり“PBR0.8倍だから割安”という見方は成立しにくい。市場は遠藤を、ほぼ実質簿価どおりに評価しています。この株を“バリュー株”として下値の含み益に期待して買うと、当てが外れる——ここは星和との最大の違いです」
本当の妙味|PEファンド13%+創業家33%=“非公開化の素地”
🐊待伏「では、なぜ買えるのか。私の領分——資本イベントです。ここが遠藤の一番の色気です」
💡 遠藤照明に組み上がった“非公開化の方程式”
・① PEファンドが潜在13.01%を取得=2025年11月、アドバンテッジパートナーズ系のAAGSが転換社債50億円(利率0%)を引受。大量保有報告の目的は「純投資」だが、同時に事業提携(DX推進・M&A支援)も公表。国内大手バイアウトファンドが潜在13%を握った意味は小さくない ・② 創業家系アーバン33.4%と合算で46.4%=スクイーズアウトに必要な2/3まで、買い集めるべき浮動株は限定的。時価総額385億円は国内PEの射程内 ・③ 同業・岩崎電気という“生きた前例”=アクティビスト先回りでいう“型”そのもの。岩崎電気(旧6924)は2023年、カーライル系とMBOで非公開化——TOB価格は前日終値に83%のプレミアムを乗せた4,460円だった
🐊「成熟産業・低PBR・事業承継——この3条件が揃うと“上場している意味”が薄れ、非公開化が選ばれる。岩崎電気がそれを実演し、遠藤にはPEが入り、星和は自社株買いを続けている。照明セクターの本質は、実は“成長テーマ”ではなく“成熟産業の再編”なんです。遠藤は、その再編の方程式が最も組み上がった一枚です」
🦎「なるほど……“光の演出で稼ぐ本業”を土台に、“PEファンドが非公開化で一気に見直す”上振れが乗ってる、と」
🐊「そういうことです。ただし——目的は今のところ“純投資”。動くかどうか、いつ動くかは読めない。そこは次に守田が釘を刺します」
更新needs|追い風は本物、ただし“谷”も来る
🦉夜見「業界の追い風も確認します。直管形蛍光ランプの製造禁止は2027年末——オフィス・店舗・工場で使われる最大市場がここで終わる。更新needsは、まさに今がピーク帯。器具ごと更新が推奨されるので、遠藤のような器具+制御を売れるメーカーには追い風です」
🦞守田「だが時間軸を区切れ。2029年以降は“先食いの反動”=需要の谷が来る。しかも遠藤自身が『国内LED照明市場は少子化で長期的に成長が鈍化する』と資料で認めている。“2028年までに勝負がつくテーマ”と割り切り、それ以降も持つなら理由は業績ではなく資本イベントに置く——この整理が要る」
星和とどっちが優勢か|“回転で遠藤優勢”を精査する
🦞守田「ここは、当初の見立てを精査した結果を正直に共有する。『更新の回転で遠藤が優勢かもしれない』という仮説は、数字で見ると必ずしも支持されない」
📊 3年期待リターン(配当込み・確率加重/完全版試算)
・遠藤照明=+23.3%(CAGR +7.2%)——希薄化を織り込むと控えめ ・星和電機=+34.5%(CAGR +10.4%)——PBR0.48倍の下値の浅さが効く ・期待リターンだけなら、むしろ星和がやや上
🦞「じゃあ遠藤の強みは何か。“安定”だ。ネットキャッシュ137億の厚い財務、時価総額385億で星和より流動性がある、営業利益率10.4%と業績が安定、配当利回り3.38%。星和は期待値は高いが、流動性が薄く(出来高数千株)案件期ズレでブレる。だから“主軸は安定の遠藤、値幅は小型の星和”——配分は遠藤70%/星和30%が座りが良い。ユーザーの“遠藤が優勢かも”は、『リターンで優勢』ではなく『安定・主軸として優勢』と読み替えるのが正確だ」
評価と持ち方|近況B/長期B+、現値は“打診”
🧑💼沼田「整理して評価する。近況B/長期枠ならB+。星和(B+)より近況を一段慎重にするのは、①実質PBR1.00倍でバリューの下値クッションが薄い ②転換社債の希薄化 ③英国26.5%の為替リスク——この3点だ」
🦞守田「だから買い方はこうだ。現値2,606円は“バーゲン”ではないので、主力では入らない。打診でコアの入口だけ作る。主力化するのは2,300円以下——できれば転換価額の2,230円近辺、実質BPS(≒2,608円)を割って下値クッションが生まれてからだ。上振れの本命は、PEファンドが“純投資→非公開化”に動く日。それが来たら、岩崎電気の83%プレミアムのような一撃がある。来なくても、配当3.38%をもらいながら堅実な本業の成長を待てる——“下は打診で待ち、上はイベントで跳ねる”非対称を、身の丈で取りにいく一枚だ」
ライバル乱入|「PBR1倍の株を“割安”とか言うなよ?」
🧘オルカン教祖「……実質PBR1.00倍。それを“妙味”と呼ぶのは、もはやバリュー投資ですらない。ただのイベント期待の博打では?」
🐊待伏「教祖、鋭い。だからうちは、これを“バリュー株”とは呼んでいません。“資本イベント株”だと最初に宣言している。PBR1倍でも、①配当3.38%をもらいながら②営業利益率10.4%の本業が育ち③PE非公開化の上振れがタダで付く——下値は本業と配当が支え、上値はイベントが作る。これは“PBRの是正”に賭ける博打ではなく、“複数の勝ち筋を、実質簿価という妥当な値段で束ねて買う”設計です」
🦍テック番長「照明の“制御システム”? そんなもん、スマホのアプリで十分だろ。わざわざ専用システムなんか要らねえ」
🦫堀田「番長、商業施設をなめてはいけない。何百灯を、配線し直さずに一括で調光・調色・スケジュール制御する——これは家庭のスマホ照明とは規模が違う。しかも一度その空間に組み込まれると、更新のたびに同じシステムで揃える。“光の演出”は、単価も継続性も取れる立派なモートだ。粗利率41%がその証拠だよ」
🐒レバナス小猿「ウキーッ! CAGR+7%!? しょぼすぎ! 星和のほうが期待値上なんだろ!?」
🦞守田「小猿、そこは正直、お前の言うとおりだ。期待値だけなら星和が上。だが遠藤は財務が厚く、流動性があり、業績が安定している。期待値の高さと、安心して主力に置ける安定は別物だ。全力レバレッジで“期待値だけ”を追うお前とは、そもそも土俵が違う。うちは“主軸は安定の遠藤、値幅は星和”で束ねるんだよ」
🦎「……今日もライバルの茶々が、全部そのまま論点になってるっすね。教祖の“PBR1倍で博打”=資本イベント株だと宣言済み、番長の“アプリで十分”=規模が違うモート、小猿の“期待値しょぼい”=安定と期待値は別軸……」
🧑💼「そうだ。遠藤は“安く放置された資産”ではなく、“妥当な値段で束ねられた複数の勝ち筋”を買う株だ。星和とは、同じ照明でも買う理由がまるで違う——だからこそ、2枚で持つ意味がある」
まとめ
🧑💼「整理する」
| 論点 | 結論 |
|---|---|
| 性質 | 資産バリューではない(含み益ゼロ・実質PBR1.00倍)。星和とは真逆の“動のイベント株” |
| 本業 | 商業施設のトータル照明ソリューション(Smart LEDZ・粗利41%)で営業利益率10.4%と堅実 |
| 妙味の核 | PEファンド潜在13%+創業家33%=46%の非公開化の素地。岩崎電気MBO(プレミアム83%)の前例 |
| 星和との優劣 | 期待リターンは星和がやや上(星和CAGR+10.4%/遠藤+7.2%)。遠藤の優位は財務・流動性の“安定” |
| 最大の留保 | 実質PBR1倍でバーゲンでない・CB希薄化・英国26.5%の為替・2029年の需要の谷 |
| 評価 | 近況B/長期B+。現値は“打診”、主力化は2,300円以下。配分は遠藤70%/星和30% |
💬 待伏より 「遠藤照明は、星和電機と並べて初めて面白い一枚です。星和が“資産の含み益に守られて、静かにBPSが複利で増えるのを待つ”株なら、遠藤は“含み益はないが、光の演出で稼ぐ本業に、PEファンドの非公開化という起爆装置が仕込まれた”株。同じ照明セクターで、これほど性格が違う2枚も珍しい。だから私たちは、星和で“下値の堅い資産”を、遠藤で“財務の厚い本業+資本イベント”を——役割を分けて持つ。ただし遠藤は実質PBR1倍でバーゲンではないので、焦って主力にはしません。下は打診で待ち、2,300円以下で厚くし、上はPEが動く日を待つ。岩崎電気は、その日にプレミアム83%を実演してみせました。——次回はこのシリーズの締め、[照明業界そのものの総括](カタリスト・底堅い需要・配当と配当性向の余地)で、2枚をどう束ねるかを語ります」
照明インフラ株シリーズ:①星和電機(6748)=静のバリュー/②遠藤照明(本記事)=動のイベント/③照明業界の総括(業界そのものの妙味)(完)
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