「人の行く裏に道あり花の山」を実際に執行できるのは、大型株が投げ売られる日だけ|急落日に大型ニッチトップを8枚拾った記録と、損切りしても損益通算の枠が残る『ダメ元トレード』の設計【サテライト枠限定】
🦦 「割安発掘担当の河内です。今日は、銘柄紹介ではありません。実際に買った日の、実験記録です」
🦦河内「2026年8月19日。日本株が広く売られた日に、当商会が普段はまったく扱わない大型のテーマ株を8枚拾いました」
🧑💼沼田「先に断っておく。これはコア(資産バリュー)の話ではない。サテライト枠の、実験的なトレードだ」
🧑💼沼田「そして、まだ下げる可能性は普通にある。それでも試せる理由が1つだけあって、今日の記事はそこが本題になる」
📉 拾った8枚と、今日の下げ
🦉夜見「財務分析担当の夜見です。2026年8月19日の終値で並べます」
| 分野 | 銘柄 | 終値 | 前日比 | PER | PBR |
|---|---|---|---|---|---|
| ロボティクス | ファナック(6954) | 6,063円 | ▲3.53% | 28.6倍 | 2.99倍 |
| 日本トムソン(6480) | 1,687円 | ▲8.22% | 12.4倍 | 1.35倍 | |
| ミネベアミツミ(6479) | 3,412円 | ▲5.59% | 15.7倍 | 1.48倍 | |
| 大型建設 | 五洋建設(1893) | 1,367円 | ▲4.97% | 10.6倍 | 1.93倍 |
| 半導体化学 | デクセリアルズ(4980) | 2,853.5円 | ▲6.53% | 17.4倍 | 4.29倍 |
| テクセンドフォトマスク(429A) | 3,570円 | ▲7.15% | 15.0倍 | 2.00倍 | |
| 割安防衛 | カーリットHD(4275) | 2,001円 | ▲4.76% | 14.7倍 | 1.16倍 |
| 新明和工業(7224) | 1,965円 | ▲2.53% | 12.4倍 | 1.05倍 |
🦞守田「リスク番の守田だ。この並びを見て『バリュー商会がどうした』と思った読者は、正しい。PBR4.29倍も、PER28.6倍も、うちが普段どころか一度も触らない領域だ」
🦫 共通点は、業種でも時価総額でもない
🦫堀田「モート担当だ。8社に共通するのは1つだけだ。全部、自分の土俵でトップシェアを持っている」
🏆 8社のニッチトップ性 ・ファナック——FA用CNC装置で世界シェア首位級。工作機械の頭脳そのもの ・日本トムソン(IKO)——ニードルベアリングと直動案内機器の専業。汎用品では戦っていない ・ミネベアミツミ——極小径ボールベアリングで世界シェア6割超。代替が効かない部類 ・五洋建設——マリコン(海洋土木)首位。陸のゼネコンが入れない領域 ・デクセリアルズ——異方性導電膜(ACF)と光学弾性樹脂で世界シェア首位級 ・テクセンドフォトマスク——半導体向け外販フォトマスクで世界トップシェア ・カーリットHD——産業用爆薬・ロケット推進薬。国内で数少ない担い手 ・新明和工業——特装車で国内首位。救難飛行艇US-2は世界に他がない
🦫堀田「つまり、うちの型から外れているのは『大型であること』と『割安でないこと』だけだ。ニッチトップという軸だけは、いつもどおり守っている」
🧑💼沼田「ここは意図的だ。急落で拾うなら、拾った後に『なぜ持っているか』を説明できる会社でなければ、握力が続かない。シェアは、その説明になる」
📊 なぜ「今日」だったのか|30日レンジの、どこにいるか
🧓野村「レバレッジ担当の野村じゃ。ここからが実務の話じゃ。今日買った根拠は、割安さではない。位置じゃ」
🧓野村「直近30営業日の高値と安値でレンジを作り、今日の終値がその何%の位置にあるかを見た。0%なら30日の底、100%なら30日の天井ということになる」
| 銘柄 | 終値 | 30日安値 | 安値までの距離 | レンジ内の位置 |
|---|---|---|---|---|
| デクセリアルズ | 2,853.5円 | 2,844円 | ▲0.3% | 0.7% |
| カーリットHD | 2,001円 | 1,996円 | ▲0.2% | 0.8% |
| 五洋建設 | 1,367円 | 1,359.5円 | ▲0.5% | 1.8% |
| ミネベアミツミ | 3,412円 | 3,385円 | ▲0.8% | 2.3% |
| テクセンドフォトマスク | 3,570円 | 3,395円 | ▲4.9% | 14.3% |
| ファナック | 6,063円 | 5,808円 | ▲4.2% | 16.3% |
| 日本トムソン | 1,687円 | 1,516円 | ▲10.1% | 24.3% |
| 新明和工業 | 1,965円 | 1,821円 | ▲7.3% | 48.2% |
🧓野村「上の4枚が、今日の主役じゃ。デクセリアルズ・カーリット・五洋建設・ミネベアミツミ——この4社は、今日の終値が30日レンジの底とほぼ重なっておる」
🧓野村「戻るなら、ここで一度は反発するはずのラインじゃ。そして割れるなら、割れたことがすぐ分かる。判定が早く出る位置だから、実験に向いておる」
🦞守田「誤解のないように補足する。『30日安値だから底』ではない。30日安値は、ただの30日安値だ。明日には31日安値になる」
🦞守田「この水準を使う理由は、当たるからではない。近いから、外れたときにすぐ分かるからだ」
🦉夜見「補足すると、下げ幅とPBRの相関はほとんどありませんでした。相関係数は▲0.14で、『高PBRほど売られた』という単純な説明は成り立ちません。最も下げた日本トムソンはPBR1.35倍・PER12.4倍と、8社のなかでは安い側です」
🌸 「人の行く裏に道あり花の山」——ただし、道幅の話が抜けている
🧑💼沼田「相場の古い格言に、こういうのがある」
🌸 人の行く 裏に道あり 花の山 ——みんなが向かう表通りではなく、誰も行かない裏道にこそ、満開の花がある
🧑💼沼田「この格言には、書かれていない前提が1つある。裏の道に、実際に入れるだけの幅が要るということだ」
🦎日向「……幅、ですか」
🧑💼沼田「小型の割安株で『総悲観の日に大きく拾う』のは、実は物理的にできない。板が薄いからだ。売り物がそもそも出てこないし、自分の買いで値が飛ぶ」
🦉夜見「数字にすると、はっきりします。今日の売買代金です」
| 銘柄 | 本日の売買代金 | 約定回数 |
|---|---|---|
| ファナック | 422.6億円 | 21,648回 |
| ミネベアミツミ | 126.2億円 | 8,106回 |
| デクセリアルズ | 70.1億円 | 9,735回 |
| 五洋建設 | 43.9億円 | 5,597回 |
| テクセンドフォトマスク | 37.3億円 | 2,132回 |
| 日本トムソン | 23.6億円 | 3,765回 |
| カーリットHD | 5.3億円 | 1,030回 |
| 新明和工業 | 4.8億円 | 767回 |
| 8銘柄 合計 | 約733.8億円 | — |
| (参考)うちが普段書く小型株の一例 | 100万円 | 6回 |
🦉夜見「ファナック1銘柄の売買代金は、その小型株のおよそ4万2,000倍です」
🧑💼沼田「ここが今日の要点だ。『人の行く裏』に道があっても、その道が細ければ、そもそも通れない」
🚪 格言が執行できる条件 ・小型の割安株は常に裏道——だが道幅が狭く、大きくは通れない。時間をかけて少しずつ入るしかない ・大型ニッチトップは普段は表通り——人が多く、値段も常に少し高い ・そして年に数回、市場が理由なく全部を投げる日に、表通りが一瞬だけ裏道になる ・そのとき板は厚いまま、値段だけが裏道になっている——格言を実際に執行できるのは、この瞬間だけだ
🧓野村「逆に言えば、平時に大型ニッチトップを買う意味はほとんどない。あれは人が多い場所じゃからな。安くなるのは、今日のように全部が一緒に叩き売られる日だけじゃ」
🦞守田「ただし、格言に酔うな。『人の行く裏』が正しいのは、裏に行った理由が説明できるときだけだ。今日の8枚は全部ニッチトップで、シェアは今日1日では変わっていない——それが説明になる」
🦞守田「説明のない逆張りは、ただの反射だ。それは花の山ではなく、崖の下に落ちる」
🐒 乱入|「それ、俺のやり方じゃん」
🐒レバナス小猿「……ちょっと待ってよ。急落した日に、テーマの大型株を、チャートの節目で拾った? それ完全に僕のやり方じゃん」
🦦河内「……否定しづらいですね」
🐒小猿「いつも『資産の裏づけが』とか『解散価値が』とか言ってたよね? PBR4.29倍のデクセリアルズ、解散価値どこいったの?」
🧑💼沼田「今日は、お前の指摘が半分正しい。手つきは確かに似ている」
🐒小猿「半分?」
🧑💼沼田「違うのは、枠と降り方だ」
⚖️ 同じ「急落で買う」でも、設計が違う ・コア(資産バリュー)——資産が下値を支えるので、価格では切らない。年単位で抱える。主力はこちら ・サテライト(今日の8枚)——資産の裏づけは薄いので、損切りを前提に置く。枚数は小さく、期間も短い ・混ぜないこと——同じ口座で混ぜると、コアのつもりで買った株をうろたえて切り、サテライトのつもりの株を塩漬けにする。これが最悪の結果になる
🧑💼沼田「そしてもう1つ、お前と決定的に違う点がある。今日の8枚は、全部ニッチトップだ。下げ続けたときに『それでも世界シェアは変わっていない』と言える会社しか入れていない」
🐒小猿「……いや、それレバレッジETFには言えない理屈だな(ぐぬぬ)」
💸 ダメ元の正体|損切りしても、損は8割に圧縮される
🦉夜見「ここが、この設計を成り立たせている一点です」
🦉夜見「損切りした損失は、同じ年の譲渡益と通算できます。つまり他で利益が出ていれば、損失額の20.315%が税として戻ってきます」
| 損切り額 | 通算で戻る税 | 実質の損失 |
|---|---|---|
| ▲100,000円 | +20,315円 | ▲79,685円 |
| ▲300,000円 | +60,945円 | ▲239,054円 |
| ▲500,000円 | +101,575円 | ▲398,425円 |
🦉夜見「つまり下値の約2割は、税が肩代わりします。損失が確定しても、それは同時に『今年の利益を圧縮する枠』を手に入れたということでもあります」
🧑💼沼田「これが『ダメ元』の中身だ。当たれば戻り、外れても2割は返ってくる。この非対称があるから、実験ができる」
🦞守田「前提を3つ、必ず添えろ」
⚠️ この理屈が成り立たない3つの場合 ・NISA口座では損益通算ができない——損失はただの損失になる。この設計は特定口座に限る ・その年に譲渡益がないと、すぐには効かない——確定申告すれば3年間の繰越控除は使えるが、効果は先送りになる ・2割戻るからといって、損失が小さくなるわけではない——▲30万円は、税を戻しても▲23.9万円だ。枚数を増やす理由には決してならない
🦞守田「『損益通算できるから』は、買う理由にはならない。買う理由はニッチトップと位置であって、通算は外れたときの後始末が少し軽いという話にすぎん」
🧭 拾った後の運用|3つに分岐させる
🧓野村「買ったあとの判定を、先に決めておく。これを決めずに拾うと、ただの塩漬けになる」
🔀 3分岐のルール ・①ホールド——30日安値を割らずに反発した場合。ここが機能したという確認になるので、そのまま持つ ・②買い増し——割ったが、下げの理由が個別ではなく市場全体のとき。シェアが無事なら、安くなったぶんだけ拾う ・③損切り——割ったうえに個別の悪材料が出たとき。業績の下方修正、シェアを脅かす競合の動き、需要そのものの消失
🧑💼沼田「②と③を分けるのは価格ではなく理由だ。同じ『安値を割る』でも、市場に引きずられたのか、その会社が壊れたのかで、答えが逆になる」
🦎日向「今日の五洋建設が、まさに前者でしたね。▲4.97%でしたが、同業の東亜建設工業も▲5.15%、鹿島建設▲3.86%、大成建設▲3.94%とセクター全体が同じだけ下げていました」
🦞守田「そのとおりだ。だから今日の下げは、どの銘柄も③には該当しない。個別の悪材料は、今のところ1社も出ていない」
🧩 同じ五洋建設を、2つの枠で持つことについて
🦎日向「1つ整理させてください。五洋建設は、本日コア視点の銘柄紹介を出したばかりです。あちらは『価格では切らない』と書きました。今日のサテライトは『損切りあり』です。矛盾しませんか」
🧑💼沼田「いい質問だ。矛盾しない。ただし条件がつく」
🗂️ 同じ銘柄を2つの枠で持つときの条件 ・記録を分ける——どの株数がコアで、どの株数がサテライトかを、買った時点で書き残す ・コア分はEPS・受注残・還元が壊れたときだけ降りる(価格では切らない) ・サテライト分は30日安値と個別材料で判定する(損切りあり) ・分けられないなら、片方だけにする——曖昧なまま両方持つと、都合のいいほうのルールを後から選んでしまう
🧑💼沼田「最後の行がいちばん大事だ。枠を分ける目的は、あとから自分に言い訳をさせないことにある」
まとめ
🧑💼沼田「今日の実験を、一枚に畳む」
| 論点 | 結論 |
|---|---|
| これは何か | 銘柄紹介ではなく、サテライト枠の実験記録。コア(資産バリュー)とは別のルールで運用する |
| 何を買ったか | ロボティクス3・大型建設1・半導体化学2・割安防衛2の計8枚 |
| 共通点 | 全部ニッチトップ。業種も時価総額もPBRもバラバラだが、シェアだけは全社が持っている |
| なぜ今日か | デクセリアルズ・カーリット・五洋・ミネベアの4社が、終値と30日安値がほぼ重なった(距離0.2〜0.8%) |
| 位置を使う理由 | 当たるからではない。近いから、外れたときにすぐ分かる |
| ダメ元の根拠 | 損切りしても損益通算で20.315%が戻り、実質の損は約8割に圧縮される。ただしNISAでは不可 |
| 降り方 | 安値を割っても市場要因なら買い増し、個別の悪材料なら損切り。価格ではなく理由で分ける |
| なぜ大型か | 「人の行く裏に道あり花の山」を実際に執行できるのは、板が厚いまま値段だけが裏道になる日。8銘柄で本日733.8億円が動いた |
| 前提 | まだ下げる可能性は普通にある。だからサテライト枠で、枚数は小さく |
💬 沼田より 「うちは普段、資産で守られた株しか書かない。今日の8枚には、その守りがない。デクセリアルズはPBR4.29倍、ファナックはPER28.6倍だ。それでも拾ったのは、悲観が強い日にしか買えない種類の株があるからだ。ニッチトップの大型は、平時には常に少し高い。人が多い表通りだからだ。安くなるのは、市場が理由なく全部を投げる日だけで、そのときだけ表通りが一瞬、裏道になる。人の行く裏に道あり花の山——この格言には、道幅という前提が抜けている。細い裏道は、そもそも大きくは通れない。板が厚いまま値段だけが裏になる日は、年に数回しかない。そして今日、4社の終値が30日レンジの底とぴたりと重なった。当たるかどうかは分からない。だが外れたことがすぐ分かる位置ではある。損切りになっても、その損は今年の利益を圧縮する枠として残る。実質の負担は8割だ。当たれば戻り、外れても2割は返る——この非対称があるから、実験として成立する。——ただし、これはコアではない。うちの中心は今後も、資産で守られた小型株だ。サテライトはあくまでサテライトとして、枚数を小さく、記録を分けて持つ」
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※本稿は投資助言ではありません。特定銘柄の売買を推奨するものではなく、当方が実際に行った取引の記録と、その設計意図を共有するものです。株価および指標は2026年8月19日終値を基準としており、時点によって異なります。30日レンジおよびレンジ内の位置は直近30営業日の日足高値・安値から算出した数値であり、将来の支持・抵抗を保証するものではありません。本稿で「30日安値とほぼ重なった」と記した水準は、単に直近30営業日で最も安い価格というだけであり、それ以上の意味はありません。株価がさらに下落する可能性は十分にあります。各社のシェアに関する記述は各社開示および一般に報じられている情報に基づく概括であり、算定基準や時点によって異なります。損益通算に関する記述は個人の特定口座・申告分離課税を前提とした一般的な説明であり、NISA口座では損益通算および繰越控除は適用されません。個別の税務判断については税理士等の専門家にご確認ください。投資はご自身の判断と責任でお願いします。