Investment Research · 7906 東証スタンダード · 2026.10.07 · 株価 2,390円(10/7終値)

ヨネックス (7906)
統合投資分析レポート

バドミントン用品が売上の6割。売上は4年で2.2倍、ROEは5期続けて13〜16%
中国向けが売上の半分近く。株価は高値から半値近くに。値札・稼ぐ力・TOPIXの買い需要を一次資料で数えた

B+幅・小/確度9点
PBR2.39倍・PER14.4倍・利回り1.17%
上値2,051円(▲14.2%)/下値202円(▲92%)。
株価は高値4,505円から▲47%。
TOPIXの買い需要は売買代金の9〜22日分。
株価(10/7終値)
2,390円
8月末から▲14.0%
時価総額
2,220億円
売買代金は1日13.3億円
PBR
2.39倍
5年レンジ1.06〜4.79倍
PER/利回り
14.4倍/1.17%
配当28円(予想)
ネットキャッシュ
172億円
時価総額の8%
TOPIXの買い需要
126〜297億円
売買代金の9〜22日分(概算)
01

結論 ── 伸びている会社。半値になっても、まだ安くはない

B+
結論 01 · 事業
🏸
バドミントンが売上の62%。5期続けて増収増益
売上は745億円(2022年3月期)から1,636億円(2026年3月期)へ4年で2.2倍、純利益は58億円から121億円。ROEは13.6%→16.2%。今期も8月に上方修正し、売上1,810億円(+10.6%)・営業利益189億円(+14.2%)を見込む。
結論 02 · 値札
🏷️
高値から半値近く。それでもPBR2.39倍
2025年8月の高値4,505円から2,390円まで下げ、基準日の8月末からも▲14.0%。業績は上方修正が続いているのに株価だけが下がった。PERは14.4倍まで下がったが、PBRは同業の中央値2.06倍より上で、規則どおりの上値は2,051円(▲14.2%)。
結論 03 · 中国
🌏
中国向けが売上の47.5%
中国向けの売上は611億円から778億円へ1年で27%伸び、連結の半分近くになった。アジアセグメントの営業利益119億円は全体の7割。伸びの源泉と、いちばん大きいリスクが同じ場所にある。
📌 当商会の採点はB+(幅・小/確度9点)。採点した6社の中でいちばん成長していて、3年後の試算もいちばん高い。ただ当商会の規則は「いまの純資産に、過去や同業の倍率を掛ける」ので、成長を先に払う値札には上値が出ない。還元の方針が薄く配当も低いので、確度も伸びなかった。同じ確度のまま幅が「中」になるのは941円、「大」になるのは664円。
株価は2026年10月7日の終値2,390円(株探の確定値)。TOPIXへの新規採用は10月7日の取引終了後に公表された。貸借対照表は2026年6月末。海外子会社は12月決算のため3か月ずれて連結されている。
02

値札と貸借対照表

PBR2.39倍
項目数字中身
株価(2026年10月7日終値)2,390円52週の高値4,190円・安値2,181円
時価総額2,220億円自己株式を除くと2,045億円(8,555万株)
PBR2.39倍1株純資産998円。直近5年のレンジは1.06〜4.79倍
PER(会社予想)14.4倍1株利益166.0円
配当利回り1.17%年28円の予想。配当性向は約17%
現預金・有価証券 − 借入金172億円時価総額(自己株式を除く)の8%。現預金等336億円、借入金165億円
投資有価証券2億円ほとんど持っていない(1.6億円)
清原式ネットキャッシュ比率0.21倍(流動資産911億円+投資有価証券×70%−負債478億円)÷時価総額
📌 現預金336億円、借入金165億円で、ネットキャッシュは172億円(時価総額の8%)。前期は事業拠点の不動産とテニスラケットの新工場に投資し、有利子負債が102億円から174億円に増えた。資産の厚みで買う株ではなく、利益の伸びで評価される株である。
03

稼ぐ力 ── 5期続けて増収増益

ROE16%
決算期売上高営業利益純利益EPSROE
2022年3月期745億円—57.8億円66.1円13.6%
2023年3月期1,070億円—73.3億円84.1円14.9%
2024年3月期1,164億円—88.6億円102.5円15.6%
2025年3月期1,383億円141.8億円105.9億円123.0円16.3%
2026年3月期1,636億円165.5億円120.9億円141.4円16.2%
2027年3月期(予)1,810億円189.0億円142.0億円166.0円—
2024年3月期以前の営業利益は今回の資料で確認していない。2027年3月期の予想は8月10日に上方修正されたもの(売上1,780億円→1,810億円、営業利益178億円→189億円)。第1四半期(4〜6月)は売上455億円(+14.1%)、営業利益68.7億円(+9.4%)。
地域別のセグメント
セグメント(2026年3月期)売上高営業利益利益率中身
アジア856億円118.6億円13.9%中国・台湾・インド・タイの子会社。売上+25.8%、利益+22.2%。中国向けの売上は778億円(連結の47.5%)
日本641億円39.6億円6.2%国内と、海外代理店向け(東南アジア・インド・韓国・フランスなど)。新潟・東京の工場
北米74億円2.6億円3.5%米国・カナダ
ヨーロッパ61億円5.1億円8.3%ドイツ・英国
スポーツ施設5.5億円▲0.2億円—ゴルフ場・練習場・テニスクラブ
📌 利益の7割をアジアが稼いでいる。日本セグメントの利益率は6.2%、アジアは13.9%。種目別では、バドミントン1,017億円(+19.6%)、テニス220億円(+17.1%)、ウェアなどその他379億円(+17.5%)、ゴルフ15億円(▲11.7%)。前期は粗利率が下がり、広告宣伝費が43億円、人件費が9億円増えたが、増収で吸収した。
04

事業の強み ── バドミントンのブランド

売上の62%
項目中身
製品バドミントンのラケット・シャトルコック・ストリング・シューズが売上の62.2%。テニス13.4%、ウェア・バッグなどその他23.2%、ゴルフ0.9%
地域2026年3月期の売上1,636億円のうち、アジア994億円(うち中国778億円)、日本419億円、ヨーロッパ121億円、北米74億円。海外が74%
つくる新潟と東京の自社工場、台湾・インド・タイの製造子会社。インドには2017年から工場を持つ。テニスラケットの新工場に投資中
売る契約選手と国際大会を軸にしたマーケティング。2026年7月に台北で世界4店舗目のショールームを開いた。9月にはインドの販売代理店の株式50%を取得すると決議
会社の目線中長期ビジョンGGS:2031年3月期に向けて営業利益率10%以上、売上の年成長率7〜10%、ROE13%以上。2026〜2031年3月期の6年で成長投資700〜800億円、株主還元150〜200億円
📌 バドミントンという競技の広がりと一緒に伸びてきた会社で、アジアの競技人口がそのまま市場になっている。ROEが5期続けて13〜16%という数字は、今回採点した6社の中で、5期を通していちばん安定して高い。
バドミントン用品の世界シェアの数値は、今回読んだ開示資料(決算短信・決算説明会資料・有価証券報告書)には書かれておらず、当商会では確認できていない。
05

還元と資本政策 ── 配当性向17%、資金は成長投資へ

利回り1.17%
項目中身
配当方針DOE(純資産配当率)3%程度を目安に、中長期的な安定配当。実績は2.9%
配当の推移2025年3月期22円 → 2026年3月期25円 → 2027年3月期28円(予想)。配当性向は約17〜18%
自社株買い取締役会決議による取得の開示は、確認した2025年10月以降の一覧にない。自己株式は7,318,047株(発行済みの7.9%)
資本配分(2026〜2031年3月期)営業キャッシュ・フロー800〜1,000億円と借入50〜100億円を、成長投資700〜800億円・株主還元150〜200億円・手元資金の積み増しに配る。適正な現預金は月商の2か月程度
統治2026年1月に指名・報酬諮問委員会を設置、4月に業績連動型の株式報酬の導入を決議。買収への対応方針は導入していない
大株主ヨネックススポーツ振興財団11.06%、米山修一氏4.93%、新潟県スポーツ振興米山稔財団4.66%、取引先持株会3.71%、米山勉氏2.97%、米山英明氏2.24%
📌 稼いだ現金の大半を工場・拠点・ITへの投資に回す方針で、株主還元は6年で150〜200億円、営業キャッシュ・フローのおよそ2割にとどまる。ROEが16%ある会社が内部に再投資するのは理にかなうが、配当や自社株買いを材料に株価が見直される形にはなりにくい。
06

TOPIX採用と買い需要 ── 売買代金の何日分か

当商会の概算
2026年10月7日、JPX総研がTOPIXの初回定期入替の結果を公表した。新規に追加されたのは35銘柄(スタンダード23、グロース12)で、実施は10月30日。ヨネックスはその一つである。
項目数字出所・前提
TOPIXに連動する資産 ÷ 構成銘柄の浮動株時価総額20.6%約160兆円÷775兆円(JPX総研の別紙)。割り算は当商会
追加基準の下限(浮動株時価総額)約610億円累積比率の上位96%以内
浮動株時価総額(当商会の置き)約1,440億円自己株式を除く時価総額×70%。大株主のうち固定的とみた株主(ヨネックススポーツ振興財団 11.06%、米山修一氏 4.93%、新潟県スポーツ振興米山稔財団 4.66%、取引先持株会 3.71%、米山勉氏 2.97%、米山英明氏 2.24%)を引いただけの粗い置き
買い需要の概算126〜297億円下限は基準の610億円、上側は当商会の置きに20.6%を掛けた
1日の売買代金に対して9〜22日分直近40営業日の平均は1日13.3億円
基準日(8月31日)からの値動き▲14.0%2,780円 → 2,390円
📌 需要は売買代金に対して大きいが、この数字をそのまま値上がりの幅と読むことはできない。①連動資産のすべてが10月30日の引けで指数どおりに買うわけではない。②選定ルールは2024年9月に公表済みで、先回りの買いがある。③実施日を過ぎると買いは止まる。この会社は基準日から▲14.0%と、新規追加35銘柄の中でも大きく下げている。1日の売買代金は13億円あり、買い需要の日数は中位である。
07

3年後の3ケース ── ベア・ベース・ブル

2029年
3年後(2029年秋)の株価を1株純資産×PBRで3通りに置く。1株純資産は、いまの998円に3年分の内部留保(1株利益−配当)を足す。確率は当商会の置きである。
ケース前提3年後の1株純資産PBR株価騰落配当込み
ベア(25%)中国のバドミントン需要が一巡し、純利益94億円/年へ。PBRは2025年3月期の安値1.34倍1,244円1.34倍1,667円▲30%▲27%
ベース(50%)今期予想並みの純利益145億円/年が続く。PBRはスポーツ・レジャー8社の中央値2.06倍1,412円2.06倍2,909円+22%+26%
ブル(25%)売上が年7〜10%で伸び、純利益180億円/年。PBRは2023年3月期の高値2.77倍1,508円2.77倍4,178円+75%+80%
📌 3ケースを確率で均すと2,916円(+22.0%)、3年分の配当を足して+26.1%。ベースで2割強の上昇、均した数字は6社の中でいちばん高い。利益の8割を内部に残すので、1株純資産が3年で4割増える計算になるためである。規則どおりの上値(2,051円)と3年後の試算がこれほど離れるのは、この会社だけだった。当商会の物差しが、成長する会社には厳しく出ることを示している。
08

検証済みレンジとランク

B+
軸点根拠
🦦安さ1点PERは14.4倍で、直近5年の中では低いほう。PBRは2.39倍で、スポーツ・レジャー8社の中央値2.06倍より高い。高値4,505円からは半値近いが、純資産や現金に対して安いわけではない
🦉財務3点自己資本比率64.0%。現預金336億円に対し借入金165億円。前期は工場と拠点への投資でフリー・キャッシュ・フローが小幅のマイナス
🦫モート3点バドミントンが売上の62%。ROEは5期続けて13〜16%、売上は4年で2.2倍。国際大会と契約選手で築いたブランド
🐊触媒1点還元はDOE3%程度の配当が目安で、確認した範囲に自社株買いの開示はない。2026年1月に指名・報酬諮問委員会を設置。買収への対応方針は導入していない。資金は成長投資(6年で700〜800億円)に回す方針
🐝インカム0点利回り1.17%。配当は22円→25円→28円(予想)と増えているが、配当性向は約17%
🦞リスク1点中国向けが売上の47.5%。海外売上は74%で為替の影響が大きい。株価は高値から半値近くまで下げている。広告宣伝費と人件費の増加で利益率は横ばい
確度9点18点満点。13点以上が「高」、8点以上が「中」
上値と下値
上値の置き方PBR株価いまから
同業の中央値2.06倍(規則で採用)2.06倍2,051円▲14.2%
直近5年の高値4.79倍4.79倍4,782円+100.1%
下値の置き方株価下値非対称比幅ランク
52週安値2,181円▲9%-1.62小B+
PER下限8.38倍×予想EPS1,391円▲42%-0.34小B+
PBR下限1.06倍×BPS1,058円▲56%-0.25小B+
床(1株あたり金融資産)(規則で採用)202円▲92%-0.15小B+
上値は「1株純資産×min(直近5年のPBRの高値、同業の中央値)」。同業はミズノ 1.82倍、アシックス 8.65倍、ゴールドウイン 2.29倍、シマノ 1.67倍、ヤマハ 1.05倍、ゼビオホールディングス 0.37倍、タカラトミー 3.22倍、バンダイナムコホールディングス 4.00倍(株探・10月7日)。下値は、株価より下にある候補のうち最も深いもの。
📌 規則どおりの上値は2,051円で、いまの株価より▲14.2%。直近5年のPBRの高値は4.79倍だが、同業8社の中央値2.06倍のほうが低いので、規則では同業を採る。同業は0.37倍(ゼビオ)から8.65倍(アシックス)まで幅が広く、中央値に強い意味はない。下値は規則どおり1株あたり金融資産の202円で極端に出ており、PBRの安値で置けば1,058円(▲56%)。幅は「小」、確度9点でB+。
株価幅ランク備考
2,390円(いま)小B+—
941円中B++2025年3月期の安値1,089円より下
664円大A-2023年3月期の安値772円より下
09

リスクと検算メモ

6つのリスク
リスク中身
中国中国向けの売上が連結の47.5%。競技の人気、消費、現地ブランドとの競争のどれが変わっても影響が大きい
為替海外売上74%。会社の想定は1ドル155円、1人民元23.0円、1ユーロ180円。円高は売上と利益の両方を減らす
株価の下げ2025年8月の高値4,505円から▲47%。業績は上方修正が続いており、下げの理由は決算からは読み取れない
費用の増加広告宣伝費と人件費が増え、営業利益率は10%前後で横ばい。会社は第1四半期に「販管費を計画に対して抑制した」と書いている
情報管理2026年8月に台湾子会社への不正アクセスを開示
TOPIXの需給10月30日を過ぎると指数連動の買いは止まる
検算メモ(沼底バリュー商会・2026年10月)
  • 株価2,390円は2026年10月7日の終値(株探の確定値)。10月8日の前場は2,330円前後(場中の参考値)
  • 発行済92,870,800株、自己株式7,318,047株(株式給付信託口を含む)、自己資本854.05億円、現金及び預金336.46億円、借入金(1年内13.18億円・長期151.70億円)は2027年3月期第1四半期決算短信(2026年8月10日)
  • 通期予想(売上1,810億円・営業利益189億円・純利益142億円・1株利益165.98円)は8月10日の業績予想の修正。配当28円は同短信
  • セグメント別・種目別の売上と利益、海外売上高比率、資本配分計画、GGSの数値目線、営業利益の増減要因、有利子負債は2026年3月期決算説明会資料(5月19日)
  • 5期の業績とROE、地域別の売上(中国向け777.56億円)、大株主は有価証券報告書(2026年3月期)。買収への対応方針はコーポレート・ガバナンス報告書(7月1日)。インドの販売会社の株式取得は9月16日の開示
  • 直近5年のPBRの高値4.79倍・安値1.06倍、PERの安値8.38倍はIRBANK。この期間に株式分割はなく、補正はしていない
  • 同業8社は当商会が選んだスポーツ・レジャー用品。顔ぶれで中央値は大きく変わる
  • 当商会の置き:浮動株比率70%(海外の保管口座NATIONAL FINANCIAL SERVICES 6.77%は固定株主に入れていない)、連動資産の比率20.6%、3ケースの1株利益・PBR・確率
  • 未確認:バドミントン用品の世界シェア、株価が半値近くまで下げた理由、2024年3月期以前の営業利益、中国の足元の販売動向、JPXが使う浮動株比率、10月8日の終値以降の値動き
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