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結論 ── 伸びている会社。半値になっても、まだ安くはない
B+結論 01 · 事業
🏸
バドミントンが売上の62%。5期続けて増収増益
売上は745億円(2022年3月期)から1,636億円(2026年3月期)へ4年で2.2倍、純利益は58億円から121億円。ROEは13.6%→16.2%。今期も8月に上方修正し、売上1,810億円(+10.6%)・営業利益189億円(+14.2%)を見込む。
結論 02 · 値札
🏷️
高値から半値近く。それでもPBR2.39倍
2025年8月の高値4,505円から2,390円まで下げ、基準日の8月末からも▲14.0%。業績は上方修正が続いているのに株価だけが下がった。PERは14.4倍まで下がったが、PBRは同業の中央値2.06倍より上で、規則どおりの上値は2,051円(▲14.2%)。
結論 03 · 中国
🌏
中国向けが売上の47.5%
中国向けの売上は611億円から778億円へ1年で27%伸び、連結の半分近くになった。アジアセグメントの営業利益119億円は全体の7割。伸びの源泉と、いちばん大きいリスクが同じ場所にある。
📌 当商会の採点はB+(幅・小/確度9点)。採点した6社の中でいちばん成長していて、3年後の試算もいちばん高い。ただ当商会の規則は「いまの純資産に、過去や同業の倍率を掛ける」ので、成長を先に払う値札には上値が出ない。還元の方針が薄く配当も低いので、確度も伸びなかった。同じ確度のまま幅が「中」になるのは941円、「大」になるのは664円。
株価は2026年10月7日の終値2,390円(株探の確定値)。TOPIXへの新規採用は10月7日の取引終了後に公表された。貸借対照表は2026年6月末。海外子会社は12月決算のため3か月ずれて連結されている。
02
値札と貸借対照表
PBR2.39倍| 項目 | 数字 | 中身 |
|---|---|---|
| 株価(2026年10月7日終値) | 2,390円 | 52週の高値4,190円・安値2,181円 |
| 時価総額 | 2,220億円 | 自己株式を除くと2,045億円(8,555万株) |
| PBR | 2.39倍 | 1株純資産998円。直近5年のレンジは1.06〜4.79倍 |
| PER(会社予想) | 14.4倍 | 1株利益166.0円 |
| 配当利回り | 1.17% | 年28円の予想。配当性向は約17% |
| 現預金・有価証券 − 借入金 | 172億円 | 時価総額(自己株式を除く)の8%。現預金等336億円、借入金165億円 |
| 投資有価証券 | 2億円 | ほとんど持っていない(1.6億円) |
| 清原式ネットキャッシュ比率 | 0.21倍 | (流動資産911億円+投資有価証券×70%−負債478億円)÷時価総額 |
📌 現預金336億円、借入金165億円で、ネットキャッシュは172億円(時価総額の8%)。前期は事業拠点の不動産とテニスラケットの新工場に投資し、有利子負債が102億円から174億円に増えた。資産の厚みで買う株ではなく、利益の伸びで評価される株である。
03
稼ぐ力 ── 5期続けて増収増益
ROE16%| 決算期 | 売上高 | 営業利益 | 純利益 | EPS | ROE |
|---|---|---|---|---|---|
| 2022年3月期 | 745億円 | — | 57.8億円 | 66.1円 | 13.6% |
| 2023年3月期 | 1,070億円 | — | 73.3億円 | 84.1円 | 14.9% |
| 2024年3月期 | 1,164億円 | — | 88.6億円 | 102.5円 | 15.6% |
| 2025年3月期 | 1,383億円 | 141.8億円 | 105.9億円 | 123.0円 | 16.3% |
| 2026年3月期 | 1,636億円 | 165.5億円 | 120.9億円 | 141.4円 | 16.2% |
| 2027年3月期(予) | 1,810億円 | 189.0億円 | 142.0億円 | 166.0円 | — |
2024年3月期以前の営業利益は今回の資料で確認していない。2027年3月期の予想は8月10日に上方修正されたもの(売上1,780億円→1,810億円、営業利益178億円→189億円)。第1四半期(4〜6月)は売上455億円(+14.1%)、営業利益68.7億円(+9.4%)。
地域別のセグメント
| セグメント(2026年3月期) | 売上高 | 営業利益 | 利益率 | 中身 |
|---|---|---|---|---|
| アジア | 856億円 | 118.6億円 | 13.9% | 中国・台湾・インド・タイの子会社。売上+25.8%、利益+22.2%。中国向けの売上は778億円(連結の47.5%) |
| 日本 | 641億円 | 39.6億円 | 6.2% | 国内と、海外代理店向け(東南アジア・インド・韓国・フランスなど)。新潟・東京の工場 |
| 北米 | 74億円 | 2.6億円 | 3.5% | 米国・カナダ |
| ヨーロッパ | 61億円 | 5.1億円 | 8.3% | ドイツ・英国 |
| スポーツ施設 | 5.5億円 | ▲0.2億円 | — | ゴルフ場・練習場・テニスクラブ |
📌 利益の7割をアジアが稼いでいる。日本セグメントの利益率は6.2%、アジアは13.9%。種目別では、バドミントン1,017億円(+19.6%)、テニス220億円(+17.1%)、ウェアなどその他379億円(+17.5%)、ゴルフ15億円(▲11.7%)。前期は粗利率が下がり、広告宣伝費が43億円、人件費が9億円増えたが、増収で吸収した。
04
事業の強み ── バドミントンのブランド
売上の62%| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 製品 | バドミントンのラケット・シャトルコック・ストリング・シューズが売上の62.2%。テニス13.4%、ウェア・バッグなどその他23.2%、ゴルフ0.9% |
| 地域 | 2026年3月期の売上1,636億円のうち、アジア994億円(うち中国778億円)、日本419億円、ヨーロッパ121億円、北米74億円。海外が74% |
| つくる | 新潟と東京の自社工場、台湾・インド・タイの製造子会社。インドには2017年から工場を持つ。テニスラケットの新工場に投資中 |
| 売る | 契約選手と国際大会を軸にしたマーケティング。2026年7月に台北で世界4店舗目のショールームを開いた。9月にはインドの販売代理店の株式50%を取得すると決議 |
| 会社の目線 | 中長期ビジョンGGS:2031年3月期に向けて営業利益率10%以上、売上の年成長率7〜10%、ROE13%以上。2026〜2031年3月期の6年で成長投資700〜800億円、株主還元150〜200億円 |
📌 バドミントンという競技の広がりと一緒に伸びてきた会社で、アジアの競技人口がそのまま市場になっている。ROEが5期続けて13〜16%という数字は、今回採点した6社の中で、5期を通していちばん安定して高い。
バドミントン用品の世界シェアの数値は、今回読んだ開示資料(決算短信・決算説明会資料・有価証券報告書)には書かれておらず、当商会では確認できていない。
05
還元と資本政策 ── 配当性向17%、資金は成長投資へ
利回り1.17%| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 配当方針 | DOE(純資産配当率)3%程度を目安に、中長期的な安定配当。実績は2.9% |
| 配当の推移 | 2025年3月期22円 → 2026年3月期25円 → 2027年3月期28円(予想)。配当性向は約17〜18% |
| 自社株買い | 取締役会決議による取得の開示は、確認した2025年10月以降の一覧にない。自己株式は7,318,047株(発行済みの7.9%) |
| 資本配分(2026〜2031年3月期) | 営業キャッシュ・フロー800〜1,000億円と借入50〜100億円を、成長投資700〜800億円・株主還元150〜200億円・手元資金の積み増しに配る。適正な現預金は月商の2か月程度 |
| 統治 | 2026年1月に指名・報酬諮問委員会を設置、4月に業績連動型の株式報酬の導入を決議。買収への対応方針は導入していない |
| 大株主 | ヨネックススポーツ振興財団11.06%、米山修一氏4.93%、新潟県スポーツ振興米山稔財団4.66%、取引先持株会3.71%、米山勉氏2.97%、米山英明氏2.24% |
📌 稼いだ現金の大半を工場・拠点・ITへの投資に回す方針で、株主還元は6年で150〜200億円、営業キャッシュ・フローのおよそ2割にとどまる。ROEが16%ある会社が内部に再投資するのは理にかなうが、配当や自社株買いを材料に株価が見直される形にはなりにくい。
06
TOPIX採用と買い需要 ── 売買代金の何日分か
当商会の概算2026年10月7日、JPX総研がTOPIXの初回定期入替の結果を公表した。新規に追加されたのは35銘柄(スタンダード23、グロース12)で、実施は10月30日。ヨネックスはその一つである。
| 項目 | 数字 | 出所・前提 |
|---|---|---|
| TOPIXに連動する資産 ÷ 構成銘柄の浮動株時価総額 | 20.6% | 約160兆円÷775兆円(JPX総研の別紙)。割り算は当商会 |
| 追加基準の下限(浮動株時価総額) | 約610億円 | 累積比率の上位96%以内 |
| 浮動株時価総額(当商会の置き) | 約1,440億円 | 自己株式を除く時価総額×70%。大株主のうち固定的とみた株主(ヨネックススポーツ振興財団 11.06%、米山修一氏 4.93%、新潟県スポーツ振興米山稔財団 4.66%、取引先持株会 3.71%、米山勉氏 2.97%、米山英明氏 2.24%)を引いただけの粗い置き |
| 買い需要の概算 | 126〜297億円 | 下限は基準の610億円、上側は当商会の置きに20.6%を掛けた |
| 1日の売買代金に対して | 9〜22日分 | 直近40営業日の平均は1日13.3億円 |
| 基準日(8月31日)からの値動き | ▲14.0% | 2,780円 → 2,390円 |
📌 需要は売買代金に対して大きいが、この数字をそのまま値上がりの幅と読むことはできない。①連動資産のすべてが10月30日の引けで指数どおりに買うわけではない。②選定ルールは2024年9月に公表済みで、先回りの買いがある。③実施日を過ぎると買いは止まる。この会社は基準日から▲14.0%と、新規追加35銘柄の中でも大きく下げている。1日の売買代金は13億円あり、買い需要の日数は中位である。
07
3年後の3ケース ── ベア・ベース・ブル
2029年3年後(2029年秋)の株価を1株純資産×PBRで3通りに置く。1株純資産は、いまの998円に3年分の内部留保(1株利益−配当)を足す。確率は当商会の置きである。
| ケース | 前提 | 3年後の1株純資産 | PBR | 株価 | 騰落 | 配当込み |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ベア(25%) | 中国のバドミントン需要が一巡し、純利益94億円/年へ。PBRは2025年3月期の安値1.34倍 | 1,244円 | 1.34倍 | 1,667円 | ▲30% | ▲27% |
| ベース(50%) | 今期予想並みの純利益145億円/年が続く。PBRはスポーツ・レジャー8社の中央値2.06倍 | 1,412円 | 2.06倍 | 2,909円 | +22% | +26% |
| ブル(25%) | 売上が年7〜10%で伸び、純利益180億円/年。PBRは2023年3月期の高値2.77倍 | 1,508円 | 2.77倍 | 4,178円 | +75% | +80% |
📌 3ケースを確率で均すと2,916円(+22.0%)、3年分の配当を足して+26.1%。ベースで2割強の上昇、均した数字は6社の中でいちばん高い。利益の8割を内部に残すので、1株純資産が3年で4割増える計算になるためである。規則どおりの上値(2,051円)と3年後の試算がこれほど離れるのは、この会社だけだった。当商会の物差しが、成長する会社には厳しく出ることを示している。
08
検証済みレンジとランク
B+| 軸 | 点 | 根拠 |
|---|---|---|
| 🦦安さ | 1点 | PERは14.4倍で、直近5年の中では低いほう。PBRは2.39倍で、スポーツ・レジャー8社の中央値2.06倍より高い。高値4,505円からは半値近いが、純資産や現金に対して安いわけではない |
| 🦉財務 | 3点 | 自己資本比率64.0%。現預金336億円に対し借入金165億円。前期は工場と拠点への投資でフリー・キャッシュ・フローが小幅のマイナス |
| 🦫モート | 3点 | バドミントンが売上の62%。ROEは5期続けて13〜16%、売上は4年で2.2倍。国際大会と契約選手で築いたブランド |
| 🐊触媒 | 1点 | 還元はDOE3%程度の配当が目安で、確認した範囲に自社株買いの開示はない。2026年1月に指名・報酬諮問委員会を設置。買収への対応方針は導入していない。資金は成長投資(6年で700〜800億円)に回す方針 |
| 🐝インカム | 0点 | 利回り1.17%。配当は22円→25円→28円(予想)と増えているが、配当性向は約17% |
| 🦞リスク | 1点 | 中国向けが売上の47.5%。海外売上は74%で為替の影響が大きい。株価は高値から半値近くまで下げている。広告宣伝費と人件費の増加で利益率は横ばい |
| 確度 | 9点 | 18点満点。13点以上が「高」、8点以上が「中」 |
上値と下値
| 上値の置き方 | PBR | 株価 | いまから |
|---|---|---|---|
| 同業の中央値2.06倍(規則で採用) | 2.06倍 | 2,051円 | ▲14.2% |
| 直近5年の高値4.79倍 | 4.79倍 | 4,782円 | +100.1% |
| 下値の置き方 | 株価 | 下値 | 非対称比 | 幅 | ランク |
|---|---|---|---|---|---|
| 52週安値 | 2,181円 | ▲9% | -1.62 | 小 | B+ |
| PER下限8.38倍×予想EPS | 1,391円 | ▲42% | -0.34 | 小 | B+ |
| PBR下限1.06倍×BPS | 1,058円 | ▲56% | -0.25 | 小 | B+ |
| 床(1株あたり金融資産)(規則で採用) | 202円 | ▲92% | -0.15 | 小 | B+ |
上値は「1株純資産×min(直近5年のPBRの高値、同業の中央値)」。同業はミズノ 1.82倍、アシックス 8.65倍、ゴールドウイン 2.29倍、シマノ 1.67倍、ヤマハ 1.05倍、ゼビオホールディングス 0.37倍、タカラトミー 3.22倍、バンダイナムコホールディングス 4.00倍(株探・10月7日)。下値は、株価より下にある候補のうち最も深いもの。
📌 規則どおりの上値は2,051円で、いまの株価より▲14.2%。直近5年のPBRの高値は4.79倍だが、同業8社の中央値2.06倍のほうが低いので、規則では同業を採る。同業は0.37倍(ゼビオ)から8.65倍(アシックス)まで幅が広く、中央値に強い意味はない。下値は規則どおり1株あたり金融資産の202円で極端に出ており、PBRの安値で置けば1,058円(▲56%)。幅は「小」、確度9点でB+。
| 株価 | 幅 | ランク | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2,390円(いま) | 小 | B+ | — |
| 941円 | 中 | B++ | 2025年3月期の安値1,089円より下 |
| 664円 | 大 | A- | 2023年3月期の安値772円より下 |
09
リスクと検算メモ
6つのリスク| リスク | 中身 |
|---|---|
| 中国 | 中国向けの売上が連結の47.5%。競技の人気、消費、現地ブランドとの競争のどれが変わっても影響が大きい |
| 為替 | 海外売上74%。会社の想定は1ドル155円、1人民元23.0円、1ユーロ180円。円高は売上と利益の両方を減らす |
| 株価の下げ | 2025年8月の高値4,505円から▲47%。業績は上方修正が続いており、下げの理由は決算からは読み取れない |
| 費用の増加 | 広告宣伝費と人件費が増え、営業利益率は10%前後で横ばい。会社は第1四半期に「販管費を計画に対して抑制した」と書いている |
| 情報管理 | 2026年8月に台湾子会社への不正アクセスを開示 |
| TOPIXの需給 | 10月30日を過ぎると指数連動の買いは止まる |
検算メモ(沼底バリュー商会・2026年10月)
- 株価2,390円は2026年10月7日の終値(株探の確定値)。10月8日の前場は2,330円前後(場中の参考値)
- 発行済92,870,800株、自己株式7,318,047株(株式給付信託口を含む)、自己資本854.05億円、現金及び預金336.46億円、借入金(1年内13.18億円・長期151.70億円)は2027年3月期第1四半期決算短信(2026年8月10日)
- 通期予想(売上1,810億円・営業利益189億円・純利益142億円・1株利益165.98円)は8月10日の業績予想の修正。配当28円は同短信
- セグメント別・種目別の売上と利益、海外売上高比率、資本配分計画、GGSの数値目線、営業利益の増減要因、有利子負債は2026年3月期決算説明会資料(5月19日)
- 5期の業績とROE、地域別の売上(中国向け777.56億円)、大株主は有価証券報告書(2026年3月期)。買収への対応方針はコーポレート・ガバナンス報告書(7月1日)。インドの販売会社の株式取得は9月16日の開示
- 直近5年のPBRの高値4.79倍・安値1.06倍、PERの安値8.38倍はIRBANK。この期間に株式分割はなく、補正はしていない
- 同業8社は当商会が選んだスポーツ・レジャー用品。顔ぶれで中央値は大きく変わる
- 当商会の置き:浮動株比率70%(海外の保管口座NATIONAL FINANCIAL SERVICES 6.77%は固定株主に入れていない)、連動資産の比率20.6%、3ケースの1株利益・PBR・確率
- 未確認:バドミントン用品の世界シェア、株価が半値近くまで下げた理由、2024年3月期以前の営業利益、中国の足元の販売動向、JPXが使う浮動株比率、10月8日の終値以降の値動き