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2026.06.11
【広済堂HD(7868)|A+→A++に格上げ】株価が更に下落し、NAV1,021円との乖離が一段拡大。ダウンサイドはBPS床のみ・アップサイドは据え置きで非対称性が改善。「下げが投資妙味を高めた」格好。売却検討は継続中、ポジション積み増し検討。
— 待伏
2026.06.09
【NSSOL(2327)】アクティビスト3D の動向を注視中。6/19総会後の防衛策消滅で買い増し解禁へ。変更報告書に即反応できる体制を維持。
— 待伏
2026.05.29
TOB件数が加速中。日本の割安ニッチトップが今熱い!
— 沼田

🧑‍💼 筆者

沼田 堅一
課長・プレイングマネージャー
野村信用を活用したバリュー株×TOB待ち伏せ戦略。TOBヒット20件超。【目標】4,201万円 → 2億円(2030年)

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SpaceX(SPCX)IPOは買うべきか見送りか|適正価値63ドル vs 公開価格135ドル、低浮動株の需給とロックアップを徹底分解【2026年6月上場】


本記事は2026年6月11日時点の情報に基づく情報提供であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で。

「SpaceXは偉大な会社かもしれない。だが、この価格では買えない」——会社の偉大さと、投資の妙味は、別物だ。


SpaceX IPOとは?史上最大級、公開価格135ドル・時価総額1.77兆ドル

バリュー商会のオフィスに、米国株陣営が3匹そろって乗り込んできた。

🐒レバナス小猿「沼田さーん!大ニュースっす!SpaceXが上場するっすよ!ティッカーSPCX、ロケットっす、ロケット!これはもうガチホ一択っす!」

🦅ドル建て鷹「ふん、たまにはいいことを言う。公開価格135ドル、売出5.55億株、調達額約750億ドル、時価総額約1.77兆ドル——2026年6月12日にNASDAQ上場、史上最大級のIPOだ。日本からもSBI・楽天・みずほ経由でブックビルディングに参加できる。ドル建て資産の祭りだよ」

🦍テック番長「マスクだぞ?AI、ロケット、衛星通信、軌道上データセンター——未来の全部入りだ。こんなの目をつぶってでも買いだろ。バリューがどうとか言ってる場合か?」

🧑‍💼沼田「……米国組が雁首そろえて他社に営業しに来たか。テック番長まで。まあいい、座れ。お前らは今、3つの全く違う問いをごちゃ混ぜにしている」

🐒「3つ…?っす」

🧑‍💼「①良い会社か ②割安か ③上がるか。この3つは別の概念だ。SpaceXは①かもしれん。だが②と③は全く別の話だ。順に分解するぞ」


なぜバリュー投資家はSpaceX IPOを「見送り」と判断するのか

🦞守田「私から言わせてください。バリューの観点では、これは見送り一択です」

🐒「ええっ、なんでっすか!ロケットっすよ!」

理由1:適正価値63ドルに対し、公開価格135ドルは2倍超

🦞「Morningstarの確率加重DCFによる適正価値は1株63ドル。公開価格135ドルは、その2倍超です」

🦉夜見「しかもこの135ドルが正当化されるには、“迅速に再使用可能なStarship上段”と”商業的に成立する軌道上データセンター”——2つの未実証技術が高確率で実現する必要がある。成否が見えるのは早くて2028年以降です」

🐒「2028年…まだ証明されてないんすか?」

🦉「ええ。IPO評価額は2025年売上の約95倍。“今ある利益”ではなく、“将来実現するか不明な巨大市場”への期待だけで価格が立っています」

理由2:価値の裏付けがStarlinkに偏りすぎている

🦦河内「分解すると面白いですよ。打ち上げ事業とStarlinkで説明できる価値は1株あたり約40ドル。残りの大半は、AI・軌道上データセンターという”将来仮説”頼みです」

🦦「135ドルで買う人は、40ドルの実体に、95ドルの夢を乗せて買うことになる」

理由3:巨額CAPEXが稼ぎを先食いしている

🦉「財務を見ましょう。2025年の純損失は約49億ドルCAPEXは約207億ドル。Starlinkが約44億ドルの営業利益を稼ぐ一方で、AI部門は約64億ドルの営業赤字。AI向けCAPEXだけで127億ドルです」

🦞「稼ぎ頭の利益が、リターンの見通しが立たない巨大投資に丸ごと吸い込まれている構図ですね」

理由4:キーマンリスクとガバナンス

🦞「マスク氏が議決権の85.1%を支配するデュアルクラス構造(クラスB株は1株10議決権)。少数株主の安全装置は弱い。Tesla・X・xAI・Neuralinkへの関心分散や、政治的論争のリスクも株主に波及します」

理由5:政府依存と政策リスク

🦉「売上の30〜40%がNASA・国防総省・宇宙軍など公的需要に依存。予算・政権・規制の都合で、業績の前提が動きます」

理由6:下振れ余地が上振れ余地より大きい「非対称性」

🦞「そして決定的なのがこれです。Morningstarベースなら公開価格から約53%の下落余地。最悪、“すでに証明された事業だけ”で評価し直されれば、理論上85〜90%級のドローダウンもありうるという分析すらある」

🦞「私たちが最も嫌うのは、この”上より下が大きい”非対称性です。下がった時のこと、考えましたか?」

🐒「うっ…考えてなかったっす…」

🦅「…………」(急に黙る)

🦞「ドル建て鷹さん、下値の話になると静かになりますね」

🦅「う、うるさい。下げの話なんてしてないで、上がる話をしようじゃないか」


それでも「初動は強い」と言われる理由|Nasdaq-100・Russellの需給

🦍テック番長「——まあまあ、バリューおじさんたち。お前ら、需給を分かってないな?」

🐒「さすがテック番長っす!」

🦍「いいか小猿。バリューの話と、株価が上がるかの話は、完全に別物だ。そして初動に関しては、俺が正しい。低浮動株にインデックスの買いが殺到するんだよ」

🦅「そうとも。どうせS&P500にもNASDAQにも組み入れられて爆上げさ。日本のPBR0.3倍を拾ってる場合じゃない。黙ってドル建てにしときなよ」

🐊待伏「……それは、半分正しいです」

🦍「お、ワニの姉さんも認めるか」

🐊「買いの壁は本物です。Nasdaqは2026年5月1日発効のルール変更で、時価総額上位40位の新規上場企業のNasdaq-100組み入れを、従来3ヶ月から15営業日に短縮しました。最低浮動株比率の要件は撤廃、低浮動株には最大3倍の調整係数で実効ウェイトが膨らみます」

🦉「Nasdaq-100には約1.4兆ドルが連動している。Bloomberg Intelligenceの推計では、Russell 1000とNasdaq-100の連動ファンドだけで公開浮動株の約24%を吸収する必要がある。アクティブまで含めると浮動株の半分超です」

🐊「売出5.55億株は総株式のごく一部に過ぎない超低浮動株。機械的な買い需要が、極小のフロートに衝突する——これがブルケースの構造的な根拠です」

🦍「だろ?買いが薄い板にぶつかれば、株価は跳ねる。初動は強いに決まってる」

🧑‍💼「——だが待伏、お前さっき”半分”と言ったな。残りの半分は?」

🐊「はい。最大の買い手が、来ません


最大の落とし穴:S&P500は組み入れに「来ない」(2026年6月確定)

🐊「ここが決定的です。S&P Dow Jones Indicesは2026年6月4日、ルール変更を行わないと発表しました」

🦍「……は?」

🐊「12ヶ月のシーズニング期間、GAAP利益要件、浮動株要件——すべて維持。即時組み入れなら約140億ドルの強制パッシブ買いが発生するはずでした。それが、消えました」

🦉「しかもS&P500入りは早くて2027年半ば。2025年が赤字である以上、利益要件のクリア自体が不確実です」

🐒「世界で一番お金が連動してるインデックスが…来ない…?っす」

🦅「……S&P500が、来ない、だと……」(また黙る)

🧑‍💼「そうだ。最大の”需要の壁”が、少なくとも1年以上不在。需給論を語るなら、この事実を外しちゃいけない。鷹、さっきの”S&P500で爆上げ”は前提が崩れたな」

🦍「ぐぬぬ…」


「じゃあオルカンは?」全世界株インデックス(MSCI・FTSE)はどうか

🐒「待ってください…!じゃあオルカンは!?日本人が一番買ってる全世界株っす!あれがSpaceX買うなら需給は復活っす!」

🐊「いい着眼点です。でも——S&P500とは別ルールだと、まず分けて考えてください」

🦉「オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)が連動するのはMSCI ACWI。S&P Dow Jonesとは運営会社が違います。そしてMSCIには利益要件がありません

🐒「利益要件ない!?じゃあ赤字でもOKっすか!」

🐊「ええ。さらにMSCIには”大型IPOの早期組み入れ”ルールがある。巨大IPOは上場後約10営業日、または直近の四半期見直し(2・5・8・11月)で組み入れられ得ます。SpaceXは1.77兆ドル——サイズ基準は楽々クリアです」

🦍「ほら見ろ!やっぱり買いは来るんだよ!」

🐊「ただし——テック番長、喜ぶのは早いです。買いのインパクトは、見た目の時価総額ほど大きくありません

オルカン(MSCI)からの買いが限定的な2つの理由

  1. 自由浮動株(フリーフロート)調整:MSCIは時価総額ではなく”実際に市場で流通する株”だけを重みづけに使う。SpaceXはマスク氏が大半を握る超低浮動株なので、ACWI内のウェイトは1.77兆ドルベースではなく、ごく一部の浮動株ベースに大幅縮小される
  2. そもそもACWI内の比率が小さい:ACWIは約2,600銘柄の塊。巨大企業でも全体に占める割合は数%未満で、オルカンの資金がSpaceXに向かう額は全体のごくわずか

🦉「補足すると、“楽天・オールカントリー”などFTSE Global All Cap連動の商品は、FTSEが5営業日のファストトラックを導入済みなので、組み入れはもっと早い可能性があります」

🧑‍💼「まとめるぞ。S&P500の壁は来ない。だがオルカン(MSCI)とFTSE系は来る可能性が高い。S&P500不在の穴を”部分的に”埋める。ただし自由浮動株調整で金額インパクトは限定的——“需給で青天井”にはならないということだ」

🐒「来るけど、思ったより小さい…っすね」

🦞「念のため言っておくと、これはMSCI・FTSEの一般的な方法論からの推論です。S&Pのような個別の確定アナウンスではない。実際の組み入れ判断とタイミングは各社の発表待ちです」


異例のロックアップ設計|「上がるほど売りが増える」価格連動トリガー

🐊「さらに、供給側にも仕掛けがあります。需給は買いだけでなく、売りも見ないと」

🐊「SpaceXは従来の”180日ロックアップ”を採用せず、段階的解除方式を導入しました」

異例のロックアップ解除条件

  • 最短2026年6月30日(第2四半期決算直後)に、マスク氏以外の制限付き株式の最大20%が解除
  • さらに株価がIPO価格から30%以上上昇したら、追加で10%が解除

🦞「……これは、ブルケースに構造的に不利ですね」

🐊「ええ。Nasdaq-100組み入れが15営業日後(7月初旬頃)なのに、最初のロックアップ解除は6月30日——組み入れとほぼ同時か、それより早い。しかも”上がるほど供給弁が開く”価格連動トリガーは——」

🦞「スクイーズが起きるほど、売れる株が増える。発行体が意図的に上値をキャップしている、と読めます」

🦍「……おい、待て。それじゃ俺の”初動爆上げ”シナリオが——」

🧑‍💼「否定はされてない。制約されているんだ。続けるぞ」

その他の警戒シグナル

🦉「補足しておきます。Nasdaq Private Marketの5月20日時点の株価推定は119.81ドル。公開価格135ドルは、直近のプライベート市場推定より約13%高い。通常の”IPOディスカウント”とは逆方向です」

🦞「当初の2兆ドル超目標から1.77兆ドルに着地したのも、需要が無限ではなかった示唆。著名空売り投資家ジム・チャノス氏も評価額を批判しています」


SpaceX株 上場後の需給タイムライン4フェーズ(2026年6月〜2027年)

🧑‍💼「両方の論理を統合すると、上場後の価格形成は4段階で考えられる」

🐊「整理しました」

フェーズ1(6/12〜7月初旬)|追い風が最も強い窓 低浮動株 × 個人のFOMO × Nasdaq-100・Russell組み入れ先回り買い。初動が強いとすれば、ここ。

フェーズ2(6/30前後)|買いと売りの正面衝突 第1次ロックアップ解除(最大20%)到来。組み入れ需要と解除売りがぶつかる。

フェーズ3(公開価格+30%=175.5ドル到達時)|上値の天井 追加10%解除トリガー作動。価格上昇そのものが供給増を呼ぶため、構造的レジスタンスに。

フェーズ4(組み入れ完了後〜2027年半ば)|ファンダへの回帰 需給イベントが枯れ、S&P500不在のまま、Starlink偏重・巨額CAPEX・Starship実証の進捗が価格決定要因に戻る。適正価値63ドル説が効いてくるのはこの局面。

🐒「フェーズ3の175.5ドル…ここで売りが増えるんすね…ガチホ一択じゃ危ないっす…」

🐊「カレンダーに入れておくべき2つの日付と1つの価格——6/30の解除日組み入れ前後、そして175.5ドルのトリガーです」


結論:SpaceX IPOは「イベントトレード」、長期投資ではない

🧑‍💼「結論を言う。2つの論理を、混ぜるな

バリュー投資の問い:「135ドルで買って5〜10年持って、内在価値に対する安全余裕はあるか」 → No寄り。“偉大な会社”と”投資妙味”は別物。「この価格では買えない」という見送りには十分な合理性がある。

需給トレードの問い:「上場後数週間、買い圧力が売り圧力を上回るか」 → Yes寄り、だが一方的ではない。S&P500の不在と、価格連動型ロックアップという2つの構造要因が、上値と持続性を制約する。

🧑‍💼「もし参加するなら、それは長期投資じゃない。出口を決めたイベントトレードだ。前提は3つ——」

(a) 公開価格での配分を取れること (b) Nasdaq-100組み入れ前後という明確な出口を持つこと (c) 6/30の解除日と175.5ドルのトリガーをカレンダーに入れておくこと

🦞「逆に初値で飛び乗るのは危険です。低浮動株ゆえに初値自体が需給で吊り上がっており、その後の供給増を正面から受ける立場になります」

🐒「……沼田さん。オレ、“ロケットだから買い”って思ってたっすけど、全然違ったっす…。ガチホ一択って言ってごめんなさいっす」

🧑‍💼「謝らなくていい。“良い会社” “上がりそうな株” “割安な株”は、それぞれ別の概念だ。SpaceXのIPOは、その3つを区別する規律が試される——教科書みたいなケースだよ。お前がそれに気づけたなら、わざわざ乗り込んできた甲斐があったな」

🦍「……まあ、俺は初動だけ取って逃げるけどな」

🦞「だから下がった時のことを考えてくださいと——」

🦍「うるさいザリガニだな!」

🦅「…………」(まだ黙っている)

🐊「ドル建て鷹さんが黙ったままの時は、だいたいバリュー側の読みが当たっています」


💬 沼田課長より 「会社の偉大さに投資はできない。投資できるのは”価格と価値の差”だけだ。ロケットがどれだけ格好良くても、135ドルと63ドルの差は埋まらない」


主な参考情報

  • Morningstar「SpaceX IPO Deep Dive」(適正価値63ドル試算)
  • Aswath Damodaran「Revisiting the SpaceX Valuation」
  • Bloomberg / Fortune「S&P、メガIPOのファストトラック組み入れを見送り」(2026年6月)
  • CME Group「The SpaceX Mega-IPO: Why Index Choice Matters」
  • SpotGamma「SpaceX IPO Index Inclusion」
  • Reuters / 日本経済新聞(段階的ロックアップ解除の報道)
  • 各証券会社のIPO取扱情報(SBI証券・楽天証券・みずほ証券)

※数値は2026年6月11日時点の報道・公開情報に基づきます。上場条件・スケジュール・ロックアップ条項は変更される可能性があります。本記事は情報提供であり、投資勧誘ではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。