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口座の残高
2026年8月時点
4,308万円
1億
02億
資産推移チャート

📅 画面は2026年8月に撮影

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🧑‍💼 筆者

沼田課長
沼田課長
課長・プレイングマネージャー
野村信用を活用したバリュー株×TOB待ち伏せ戦略。TOBヒット20件超。【目標】4,308万円 → 2億円(2030年)

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AI減速の約束は、誰かが破る|では『守りの会社』は今、安いのか——セキュリティ8社の値札と、トレンドマイクロ・デジタルアーツの転び方【AIリスク×バリュー】


🧑‍💼 「9月12日、AIを作っている会社のトップたちが『少しゆっくり走ろう』と言い出した。みんなで手をつないでゴールするマラソンだ。……ゴールが見えたところで、誰かが必ず手を離す」

テック番長「おや、バリュー商会がAIの話ですか。PBR1倍割れの工場でも数えていればいいのに」

沼田「数えるさ。ただ今日数えるのは、AIが速くなるほど仕事が増える側だ」


🏃 第1章|「みんなで減速」は、囚人のジレンマ

墨田「AIバックチェック担当の墨田です。先に、起きたことだけを置きます」

📰 2026年9月12日(土)に起きたこと ・Anthropicのダリオ・アモデイCEOが、エッセイ「We Must Pace the Frontier」で、AI業界に開発ペースを落とすよう呼びかけた ・OpenAIのサム・アルトマンCEOと、xAIのイーロン・マスク氏が同意した(AFP) ・懸念の中心は、AIが人の手を借りずに、より賢いAIを作り始める「再帰的自己改善」 ・アモデイ氏が協調を想定しているのは、中国を除くライバル企業 ・トランプ大統領は、中国との競争を理由にこの減速論をけん制した

日向(見習い)「トップがみんな賛成してるなら、本当に止まるんじゃないっすか?」

沼田「全員が止まれば、全員が安全になる。だが自分だけ走れば、自分だけが先に行ける。囚人のジレンマだ。しかも大きな走者のひとつである中国は、はじめから輪の外にいる」

河内「割安発掘担当の河内です。企業同士が約束しても、国同士の競争はむしろ強くなると思います。約束した会社ほど、『約束しなかった誰か』を気にして走らざるを得ません」

沼田「だから当商会は、こう置く。AIはこれからも速くなる。約束が守られても守られなくても、AIを悪用する側の道具は増える。だったら、それを止める仕事の会社を、安いときに持っておきたい」

⚠️ 攻撃が増えることを喜ぶ話ではありません。被害を減らす仕事をしている会社を、市場が売ったときに持っておく、という話です。

墨田「ただ、線を引かせてください。市場はもう反応しています。減速論の直前の営業日(9月11日・金)と、2026年9月18日の終値を並べました」

銘柄9月11日終値(減速論の前)9月18日終値騰落
グローバルセキュリティエキスパート(4417)4,340円5,720円+31.8%
FFRIセキュリティ(3692)6,330円7,570円+19.6%
サイバーセキュリティクラウド(4493)1,724円1,965円+14.0%
トレンドマイクロ(4704)5,813円6,609円+13.7%
ソリトンシステムズ(3040)2,228円2,499円+12.2%
デジタルアーツ(2326)4,485円4,945円+10.3%
HENNGE(4475)1,632円1,795円+10.0%
マクニカHD(3132)3,761円4,088円+8.7%

墨田「8社すべて上がっています。いちばん小さくても+8.7%。『誰も気づいていないうちに』という段階は、もう過ぎました」

沼田「だからテーマに乗るのではなく、値札を見る。いつも通りだ」


川辺で虫眼鏡をのぞきこみ、石のあいだの小箱を見つけたカワウソの河内
🦦 河内拾造 ——値札の裏に、拾えるものが落ちていないか

🧾 第2章|8社の値札——高いところにいる会社が多い

待伏「待ち伏せ担当の待伏です。52週の値幅のどこにいるかで並べます。0%が1年でいちばん安い所、100%がいちばん高い所です」

銘柄何の会社かPERPBR52週の位置高値から
デジタルアーツ(2326)Web・メールのフィルタリング17.4倍3.61倍31%▲40%
FFRIセキュリティ(3692)国産のエンドポイント防御52.8倍15.94倍34%▲45%
トレンドマイクロ(4704)法人・個人向けのセキュリティ(世界展開)27.9倍7.42倍47%▲23%
サイバーセキュリティクラウド(4493)Webアプリの防御(WAF)22.8倍4.36倍74%▲8%
ソリトンシステムズ(3040)認証・ネットワークセキュリティ17.4倍3.27倍92%▲4%
グローバルセキュリティエキスパート(4417)中堅・中小企業向けのセキュリティ教育・コンサル43.0倍19.31倍94%▲4%
HENNGE(4475)クラウドのログイン管理・メール対策35.1倍13.75倍98%▲1%
マクニカHD(3132)半導体・ネットワーク商社(セキュリティ製品の輸入販売も)22.8倍2.55倍99%▲1%

待伏「52週の9割より上に4社います。ここで買うのは待ち伏せではなく、追いかけです」

河内「マクニカHDは99%で、高値まであと0.7%です。半導体とネットワーク機器の商社で、海外のセキュリティ製品を国内に卸す仕事もしています。清原式のネットキャッシュ比率は0.37倍で、実は今回の中でいちばん財布が厚い会社なのですが……」

待伏「財布が厚くても、値札が1年でいちばん高い所にあります。52週の半分より下に戻ってくるまで、リストに置いて待ちます」

夜見「財務分析担当の夜見です。FFRIセキュリティは52週の34%と低い位置ですが、PER52.8倍、PBR15.94倍です。チャートは下でも、値札そのものが高い」

日向(見習い)「じゃあ、残るのは……」

河内「トレンドマイクロ(52週47%、高値から▲23%)と、デジタルアーツ(31%、▲40%)です。2社とも今年、決算で大きく売られました。デジタルアーツは5月8日にストップ安売り気配、トレンドマイクロは8月14日にストップ安です」

沼田「転んだ理由を見よう。筋肉痛なら拾う。骨が折れているなら拾わない」

🗂️ 余談:ラック(3857)は、KDDIによるTOBを経て2025年2月に上場廃止になっています。日本のセキュリティ会社は、大企業に丸ごと買われることもあります。


🤖 第3章|トレンドマイクロ——AIで守るほど、AIの請求書が届く

📐 トレンドマイクロ(4704・東証プライム) ・株価 … 6,609円(2026年9月18日終値、株探の確定値) ・時価総額 … 9,312億円 / PER 27.9倍 / PBR 7.42倍 / 期末配当は未定 ・52週 … 高値8,628円・安値4,789円のうち 47% の位置 ・現金及び預金 … 2,199億円(時価総額の24%)。短信の貸借対照表に借入金は無し

夜見「8月13日の中間決算で、通期の営業利益予想を564億円から444億円へ、120億円引き下げました。前期比で23.2%の減益です。翌14日はストップ安で、6,851円から5,851円へ」

テック番長「ほらね。AIが守りも全部やる時代に、昔ながらのウイルス対策ソフトの会社なんて要らないんですよ。だから減益。以上」

堀田「モート担当の堀田だ。半分は当たっている。守りもAIがやる。トレンドマイクロ自身が今年、法人向けのブランドを『TrendAI』に変えたくらいだ」

堀田「だが減益の中身を読め。売上は減っていない。中間期の売上高は1,486億円で、前年同期比+11.0%。減ったのは利益で、理由は短信にこう書いてある。『AIトークンコストを含むクラウド関連費用が期初想定より大きく増加』」

夜見「中間期の費用の合計は+20.3%。売上の伸びの倍近い速さです。守る側もAIを使うほど、AIの利用料を払う。攻撃にAIが使われる世界では、需要が増えても、それがそのまま利益になるとは限りません」

テック番長「……じゃあ、なおさら要らないでしょう」

河内「逆だと思います。需要が減って売上が落ちる会社と、需要に応えるための費用で利益が落ちる会社は、転び方が違います。前者は骨折、後者は筋肉痛に近い。問題は、筋肉痛が治るかどうかです」

沼田「番長の茶々は、そのまま確認項目になる。売上の伸びと、AI費用の伸び。どちらが速いか。次の決算で見るのはそこだ」

待伏「値札の動きも見ておきます。ストップ安の次の営業日、8月17日に5,302円まで下げ、そこから2026年9月18日の6,609円まで戻りました。ストップ安前日の終値6,851円の96%です。利益の予想は2割下がったのに、株価はほぼ元の場所に戻っています」

日向(見習い)「え、それって……決算前より割高になってないっすか?」

待伏「利益に対しては、そうなります。転んだ値段は、もう半分以上起き上がっています」

夜見「還元の方針も押さえます。配当性向70%と自社株買い30%で、総還元性向100%(第1四半期決算時の説明、フィスコ報道)。期末配当が『未定』なのは、最終利益が決まってから正確に計算するためです。今期の純利益予想307億円に70%を当てはめると、1株あたり約166円、利回りで約2.5%になります」

⚠️ 約166円は、会社の方針と予想から当商会が計算した目安です。会社の予想ではありません。

夜見「気になる点もあります。法人向けの日本地域は前年同期比0.4%減で、伸びているのは欧州(+16.6%)とアジア太平洋(+20.1%)です。それから、清原式のネットキャッシュ比率は0.04倍しかありません」

日向(見習い)「現金が2,199億円もあるのに、0.04倍っすか?」

夜見「負債に繰延収益2,325億円が入っているからです。これは借金ではなく、契約期間の利用料を先に受け取った分。サブスク型の会社はこの『先にもらった代金』が大きいので、清原式では不利に出ます。これを除いて計算し直すと0.28倍です」

河内「それでも、沼底の基準では安くありません。トレンドマイクロは『安い株』ではなく、『自分の過去と比べて安くなった株』です。しかも、その安さはもうだいぶ戻っています」


🧱 第4章|デジタルアーツ——「知らないものは通さない」は、AIの物量に強い

堀田「こっちはモートから入る。デジタルアーツの売り物は、Webのフィルタリング『i-FILTER』と、メールの『m-FILTER』だ」

堀田「普通の防御は、危ないと分かっているものを止める。デジタルアーツが推しているのは逆で、安全と確認できたものだけを通す。会社はこれを『ホワイト運用』と呼んでいる。データベースに無い未知のURLは、そもそも開けない」

日向(見習い)「それ、AIとどう関係あるんすか?」

堀田「AIを使えば、偽サイトや偽メールはいくらでも作れる。危ないものを数えて止める方式は、相手が増えるほど追いかけっこになる。安全なものだけを通す方式は、相手がいくつ増えても、名簿に無ければ通さない。物量に強い設計だ」

堀田「弱点もある。仕事で使いたいサイトまで止まることがあるから、手間を嫌う会社には売りにくい。この強みが、そのまま全部の会社に広がるとは限らない」

📐 デジタルアーツ(2326・東証プライム) ・株価 … 4,945円(2026年9月18日終値、株探の確定値) ・時価総額 … 699億円 / PER 17.4倍 / PBR 3.61倍 / 予想配当利回り 2.02%(年100円予想) ・52週 … 高値8,170円・安値3,500円のうち 31% の位置(高値から▲40%) ・現金及び預金 … 240億円(時価総額の34%)。借入金は無し ・清原式ネットキャッシュ比率 … 0.22倍(前受金を除くと0.36倍)

夜見「5月に売られた理由は、計画未達です。2026年3月期の営業利益は47.9億円で、計画の56.1億円に届かなかった。今期の予想は54億円で、当初の計画は78億円でした。会社の説明は、企業向けの立ち上がりが想定より緩やかだったことと、クラウド型の比率が上がって売上への反映が遅れたこと」

河内「後半が大事です。売り切りのソフトは、売った時に売上が立ちます。クラウド型は、契約期間にわたって少しずつ売上になります。売上が遅れて見えても、代金は前受金として先に入ってきます」

夜見「7月末の第1四半期決算が、それを示しています。契約高は34.98億円で前年同期比+51.7%、売上高は+19.4%、営業利益は+30.2%。前受金は3月末の78.0億円から、6月末には97.2億円へ。3か月で19億円増えました」

河内「GIGAスクール構想の第2期でも案件を取り、第1期より受注単価が上がったと会社は書いています。i-FILTERには、会社が許可していない生成AIサービスの利用を管理したい、という需要も乗ってきています」

レバナス小猿「ちょっと待ってください。いい話ばっかりじゃないですか。しかも1週間で+10.3%。ボクなら今すぐ全力で乗ります。置いていかれますって」

待伏「52週で見ると31%で、下のほうです。でも13週で見ると92%。この3か月の中では、もう高いところにいます。52週の安値3,500円からは+41%です」

レバナス小猿「どっちなんですか!」

待伏「両方です。長い物差しでは安く、短い物差しでは高い。だから一度に買いません。時間を分けて買えば、どちらに転んでも後悔は半分で済みます」

沼田「小猿の茶々も確認項目になる。52週と13週、両方の位置を見る。食い違ったら、分けて買う」

夜見「リスクも置きます。公共・教育向けの案件は、GIGAスクールのような国の計画の波に左右されます。そして、計画を大きく下回った前例が、ついこの間あります。前受金と契約高が増え続けるかどうかで、会社の説明が正しかったかを確かめられます」


砂時計の置かれた机で資料を読みながら考えこむワニの待伏
🐊 待伏静江 ——待つのも、仕事のうち

🧭 第5章|商会の結論——マクニカは待つ。2社は分けて拾う

河内「最後に、沼底の物差しに戻します。前回の21社では、清原式で1倍を超える会社が並びました。今回の2社は0.04倍と0.22倍。安さの絶対値では、比べものになりません」

沼田「安さは正義だ。その正義が薄い分は、量で調整する。大きくは張らない」

🧭 当商会の置き方 ・デジタルアーツ … 値札(PER17.4倍、現金が時価総額の34%)と、テーマとの噛み合わせが最もよい。ただし13週では92%。3回に分けて、前受金の増え方を決算ごとに確かめる ・トレンドマイクロ … 売上は伸び、還元は総還元性向100%。ただしAI費用が売上より速く増えていて、株価はストップ安前の96%まで戻った。入るなら少量から、費用の伸びが落ち着いたのを決算で確かめてから足す ・マクニカHD … 財布は3社でいちばん厚い(清原式0.37倍)が、52週99%。半分より下に戻るまで待つ ・ほかの5社 … 52週の9割より上にいるか、値札そのものが高い(FFRI)。今回は見送る

テック番長「でも結局、守りは海外の巨大プラットフォームが全部持っていきますよ。日本の専業なんて、最後は負けるだけです」

堀田「それも茶々ではなく、確認項目だ。トレンドマイクロのVision OneのARR、つまり毎年入ってくる継続収入が伸び続けるか。デジタルアーツの契約高が伸び続けるか。数字が止まったら、番長が正しかったということだ」

🔍 この見立てが外れる条件 ① 減速の約束が本当に守られ、AIの進歩が鈍る(守りの需要の伸びも鈍る) ② 守りのAIが安くなり、セキュリティの値段そのものが下がる ③ 巨大プラットフォームが守りを抱え込み、専業の出番が減る

日向(見習い)「番長と小猿のツッコミに、全部『次に何を見るか』で答えられる会社だけが残ってるっすね」

沼田「そういうことだ。茶々は無料の査読だよ」

✅ 茶々から作ったチェックリスト ☐ 売上の伸びとAI費用の伸び、どちらが速いか(トレンドマイクロの中間期:売上+11.0%、費用+20.3%) ☐ 前受金と契約高が増え続けているか(デジタルアーツ:前受金 78.0億円 → 97.2億円) ☐ 52週と13週の位置が食い違っていないか。食い違ったら、時間を分けて買う ☐ Vision OneのARRと契約高が伸び続けるか(止まったら、巨大プラットフォームに負けたサイン) ☐ 減速の約束が本当に守られているか(守られていれば、テーマの追い風は弱まる)

沼田「手をつないだマラソンが最後までそのままなら、それはそれでいい。誰かが走り出したときに慌てないよう、守りの会社を安いところで少しずつ持っておく。今日はその値札を確かめた」


出典:AFPBB(9月12日の呼びかけとアルトマン氏・マスク氏の同意)/AFPBB(減速は可能か、中国リスク)/JBpress(囚人のジレンマ)/GIGAZINE(トランプ大統領の批判)/トレンドマイクロ 2026年12月期 中間期決算短信/デジタルアーツ 2027年3月期 第1四半期決算短信/デジタルアーツ「ホワイト運用」/株探(デジタルアーツ、5月8日)/株探(トレンドマイクロの還元方針、6月9日)

関連:SaaSは本当に死んだのか?/ネットキャッシュ比率が高い21社を清原式で測り直した/PERをどう考えるか/「良い会社の株=良い投資」は大間違い

免責事項:本記事は投資助言ではありません。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。株価・指標は2026年9月18日終値時点(株探の確定値)、貸借対照表は各社の最新の決算短信(トレンドマイクロは2026年6月末、デジタルアーツとマクニカHDは2026年6月末)によります。清原式ネットキャッシュ比率=(流動資産+投資有価証券×70%−負債合計)÷時価総額。トレンドマイクロの配当の目安は、会社の還元方針と今期予想から当商会が計算したもので、会社の予想ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。