🏢 バリュー商会とは

🚀 資産推移は
バリュー商会の成績です

現在総資産
4,201万円
1億
02億
資産推移チャート

📅 月初に前月末成績を反映

📌 社内掲示板

2026.06.11
【広済堂HD(7868)|A+→A++に格上げ】株価が更に下落し、NAV1,021円との乖離が一段拡大。ダウンサイドはBPS床のみ・アップサイドは据え置きで非対称性が改善。「下げが投資妙味を高めた」格好。売却検討は継続中、ポジション積み増し検討。
— 待伏
2026.06.09
【NSSOL(2327)】アクティビスト3D の動向を注視中。6/19総会後の防衛策消滅で買い増し解禁へ。変更報告書に即反応できる体制を維持。
— 待伏
2026.05.29
TOB件数が加速中。日本の割安ニッチトップが今熱い!
— 沼田

🧑‍💼 筆者

沼田 堅一
課長・プレイングマネージャー
野村信用を活用したバリュー株×TOB待ち伏せ戦略。TOBヒット20件超。【目標】4,201万円 → 2億円(2030年)

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バフェットはなぜ日本の総合商社を買ったのか|伊藤忠・三菱商事・三井物産・住友商事は『現代版ネットネット』だった【バリュー投資の教科書③】


🧑‍💼 「バフェットがなぜ日本の商社を買ったのか。これが分かると、グレアムから続く手法が”何も変わっていない”ことが見えてくる」


「バフェット、ネットネットやめたんじゃ……?」

🦎日向(見習い)「課長、前回のネットネットの話で気になったんすけど。バフェットって結局、シケモク投資やめたんすよね? 大きい優良企業を買う人になったわけで」

🧑‍💼沼田「日向。お前は本当に大事なところで勘違いする男だな。——バフェットは、ネットネットをやめていない

🦎「えっ、でも……」

🧑‍💼「彼がやめた理由は、たった一つ。前回も言った通りだ」

🧑‍💼 資金が、大きくなりすぎた。

🦞守田「手法を捨てたんじゃない。“小さなネットネットでは、巨大な資金を動かせなくなった”だけ。だから彼は——同じ発想を、大きなサイズで実行できる対象を探し続けていたんです」

🦎「同じ発想を、大きいサイズで……?」


その答えが「日本の5大総合商社」だった

🧓野村(創業者・ふらりと登場)「そして、あの男がたどり着いたのが——日本じゃ。2020年、バフェットは日本の5大総合商社を、まとめて買い集めた」

  • 伊藤忠商事
  • 三菱商事
  • 三井物産
  • 住友商事
  • 丸紅

🦦河内「ニュースになりましたよね。“バフェットが日本株を買った”って。当時はみんな”なんで地味な商社?“って驚いてました」

🧓「地味、と思うのが素人じゃ。あの男の目には、これが”安全余裕のかたまり”に見えとった」

🦫堀田「当時の商社は、軒並み低PBR(1倍前後かそれ以下)・高配当。しかも円建ての社債を低金利で発行して、その資金で割安な商社株を買う——調達コストより配当利回りが高い、ほぼ”タダ取り”に近い構造で入った」


なぜ商社が「現代版ネットネット」なのか

🦞「ここが今日の核心です。総合商社の中身を分解すると——」

💡 総合商社=分散された資産バスケット

資源権益・不動産・インフラ・食料・物流・事業投資……無数の資産の”詰め合わせ”を、低PBRでまとめて買える

🦞「グレアムのネットネットは、“流動資産−負債>時価総額”の会社を分散して束で買う手法でした。個別の良し悪しより、安全余裕を数で確保する」

🧑‍💼「商社1社の中には、すでに何十・何百という事業と資産が分散して詰まっている。つまり——」

🧑‍💼 商社を1社買うことは、“資産バスケットを丸ごと割安で買う”こと。これは、大資金で実行できる現代版ネットネットだ。

🦎「1社の中に、もう分散が入ってる……! グレアムが何十銘柄も束ねてやってたことを、商社なら1社で達成できるってことっすか」

🦞「その通りです。しかも時価総額が大きいから、バフェットの巨大資金でも”効く”サイズで買える。小型ネットネットの精神を、超大型で再現できる唯一の器——それが日本の総合商社だったんです」


最大の妙手:「円債で円資産を買う」=天然の為替ヘッジ

🦉夜見「ここで、財務の視点から見逃せない仕掛けを説明させてください。バフェットは商社株を買うとき、米ドルを円に替えて買ったわけではありません」

🦎「え、違うんすか?」

🦉「彼は円建ての社債(サムライ債)を発行して、その円で円建ての資産(商社株)を買った。ここが天才的なんです」

🦎「円で借りて、円のものを買う……それの何がすごいんすか?」

🦫堀田「為替リスクが、ほぼ消えるんだ。考えてみろ。日本円で借金をして、日本円の株を持つ。資産も負債も、同じ”円”で揃っている

💡 通貨を揃える=為替が相殺される

🟢 資産:円建ての商社株(円で増える) 🔴 負債:円建ての社債(円で返す)

→ 円安でドル換算の資産が目減りしても、同時にドル換算の負債も同じだけ目減りする。プラスとマイナスが打ち消し合う=天然の為替ヘッジ

🦞「もしバフェットがドルを円に替えて買っていたら、その後の急激な円安で、ドルに戻したときに為替差損で利益が吹き飛ぶリスクがあった。でも円で借りて円で買えば、円相場がどう動いても、ドル建ての損益はほぼ中立に保たれる」

🧑‍💼沼田「為替の上下に賭けず、純粋に”商社が割安かどうか”だけで勝負できる構造を、最初から作っていたわけだ。さすがとしか言いようがない」


しかも「ポジティブキャリー」——持っているだけで利ザヤが出る

🦉「さらにえげつないのが、利回りの差です」

項目水準
円建て社債の調達コスト年0.5〜1%程度(超低金利)
商社株の配当利回り当時4〜5%前後
差し引き(ポジティブキャリー)年3〜4%が、ただ持っているだけで残る

🦫「為替リスクを消したうえに、配当利回り>借入金利。つまり株価が1円も上がらなくても、配当だけで借金の利息を払ってお釣りがくる。これを”ポジティブキャリー”という。持っているだけで儲かる構造だ」

🦎「為替リスクなし、放っておいても利ザヤ……ノーリスクで儲かるみたいな……」

🦞「完全なノーリスクではありませんが、限りなく負けにくい設計です。これもグレアムの安全余裕の精神そのもの。あらゆる角度から下値を潰してある」


ダメ押し:商社は「円安メリット」業態でもある

🦫「そして三段目だ。総合商社は、もともと円安が業績の追い風になる業態でもある」

🦦「資源権益や海外事業、輸出関連の稼ぎはドルなどの外貨建てですもんね。円安になると、その外貨の稼ぎが円換算で膨らむ」

🦉「整理すると、バフェットは商社で三重取りしているんです」

💡 バフェットの商社投資=三重の妙手

① 低PBR・分散資産バスケットを割安で買う(現代版ネットネット) ② 円債で円資産を買い、為替リスクを中立化(天然ヘッジ) ③ 配当利回り>借入金利のポジティブキャリー+商社自体が円安メリット業態

🧑‍💼「割安・為替中立・利ザヤ・業態の追い風。勝ち筋を何重にも重ねて、負ける理由を一つずつ潰している。これがバフェット流の”安全余裕”の作り方だ」

🦎「一個の投資に、安全装置が何個ついてるんすか……」

🦞「それが一流の仕事です。一つのシナリオに賭けない。複数の勝ち筋が重なる一点だけを狙う僕たちが銘柄を選ぶときの考え方と、根っこは同じです」


同じ手法が、なぜ”日本”で実行できたのか

🦫「忘れちゃいけないのが、これが第1回の話と繋がっていることだ」

🦉夜見「商社がそこまで割安に放置されていたのは、まさに日本市場の歪み——現金・資産を溜め込みながら低PBRで放置される文化があったからです。米国の優良企業なら、こんな解散価値級の安値では絶対に買えません」

🧑‍💼「バフェットは、前回話した”資金が小さく、供給がある市場ならネットネットを今でもやる”を、資金が大きいなりのやり方で、日本で実行してみせたわけだ。商社という”大型の資産バスケット”を使ってな」

🦦「アメリカで枯れた金脈を、本家本元が日本で掘りに来た……説得力えぐいですね」


結論:手法は、60年経っても変わっていない

🧑‍💼「連載の結論だ。グレアム→若きバフェット→現在のバフェットと辿ってきたが、貫いているものは一つだ」

時代対象やっていること
1930〜50s グレアム純粋ネットネット株解散価値以下を分散して束で買う
初期バフェットシケモク株同上(小資金だから可能)
現在バフェット日本の総合商社分散資産バスケットを割安で買う=大型版ネットネット

🦞「対象は”純粋ネットネット→シケモク→商社”と変わった。でも中身は同じ。価値より圧倒的に安く、安全余裕を確保して、分散して買う変わったのは”器の大きさ”だけで、手法そのものは何も変わっていない

🦎「ネットネットは死んでない。形を変えて、本家が日本でやってる……。俺、完全に勘違いしてました」

🦞「ようやく腑に落ちましたね。そして、ここからが大事です。バフェットほどの資金がない僕たち個人は、商社のような大型でなくても、もっと小さく純度の高いネットネット級の銘柄を直接狙える。バフェットが資金の大きさで諦めた領域こそ、個人の主戦場です」

🧑‍💼「資産バリュー銘柄——含み益やネットキャッシュで下値が固い会社を先回りで仕込む。やっていることは、グレアムともバフェットとも同じだ。器が違うだけだ」


💬 沼田課長より 「“バフェットはバリュー投資家から成長株投資家に変わった”とよく言われる。だが本質を見れば、彼はグレアムの教え——安全余裕を確保して割安を分散して買う——を、資金規模に合わせて器を変えながら、60年間ずっと続けているだけだ。手法は不滅。変わるのは器の大きさだけ。なら、器の小さい個人投資家は、個人にしか狙えない純度の高い割安を狙えばいい。それが、この連載で伝えたかった結論だ」


続き(実践編):日本のネットネット株の探し方【実践編】|スクリーニング条件と質の見極め方——理屈の次は、実際にどう探すのか。具体的な手順に落とし込みます。


この連載:

なぜ日本株は万年割安に放置されるのか|歪みが供給され続ける市場

ネットネット株は死んだのか?|グレアムの超割安投資法が『掘り尽くされた』理由

関連コラム:バリュー投資とは何かなぜバリュー株は勝てるのか


本記事はバリュー商会の投資方針・実践経験をもとにした情報提供です。投資判断はご自身の責任でお願いします。