薬・バイオは『専門家でも見通せない』——それでも買える銘柄はある|徹底的に売り込まれて高配当化した医療株、EMシステムズ・タウンズを配当と優待をもらいながら待つ【バリュー投資コラム】
🧑💼 「SaaSの箱、建設の箱、と来て——今日は医療の箱だ。ただしこの箱は少し性質が悪い。薬もバイオも、特許や薬価の絡みで”専門家でも見通せない”業界だからだ。それでも——見通せない部分に手を出さず、構造だけで買える銘柄が、この売り込まれた値段なら、ある」
前提|『見通せない業界』で、何なら見通せるのか
🦞守田「最初に、リスク番として正直に言っておく。薬・バイオ系は、うちが普段扱う銘柄と難易度が違う。新薬の治験が通るか、特許切れがいつ効くか、薬価改定でどれだけ削られるか——専門家でも外す世界だ。個別の薬の当たり外れに賭けるのは、うちの流儀ではない」
🧑💼沼田「その通り。だから、うちが見るのは薬の中身ではなく構造だけだ。①今後の方向性(高齢化・医療DX・感染症対策は止まらない)②業界の成長(国が制度と金で需要を作り続ける)③シェア(その需要を誰が受け止めるか)。この3つが読めて、かつ今の株価がその構造に対して明確に割安なら——見通せない部分は”捨てて”も買える」
🦉夜見「補足します。今回の2銘柄に共通するのは、政府の補助金や感染症対策など、平時でも一定の需要が”確実に”あること。診療報酬・検査・システム更新——景気と無関係に発生する制度需要です。その確実な土台を持つ銘柄が、いまセクターごと徹底的に売り込まれている。ここがチャンスの正体です」
高配当化という”ご褒美”|売られたおかげで、利回りが育った
🐝花岡「インカム担当として、この売り込みの”おいしい副作用”を言わせてください。株価が下がった分、配当利回りが高配当の域まで育ったんです」
| 銘柄 | ランク | 配当利回り | 配当の下支え |
|---|---|---|---|
| EMシステムズ(4820) | B+ | 4.56%(FY27計画47円なら取得利回り9.3%) | 自己資本73.9%の要塞財務=払う体力は盤石 |
| タウンズ(197A) | B+ | 約5.8% | 中計に「28円以上」を明文化した累進配当 |
🐝「配当の”下支え”の形がそれぞれ違うのがポイントです。EMシステムズは財務の厚さ——自己資本73.9%・実質無借金で、利益が多少ぶれても配当を払う体力に不安がない。タウンズは約束の固さ——『2030年まで28円以上』と書面で明文化した累進配当で、下方硬直性がある。どちらも”無理をして払う高配当”ではないんです」
🦞「一言ずつ正確に添える。EMは配当性向連動なので、減益なら配当”額”は動く(実績もある)——ただし払えなくなるリスクは財務的にほぼない。タウンズは累進の起点こそ固いが、性向はすでに51%で増配余地は当面薄い。“高配当化した”のは事実だが、中身の癖まで見て持て」
EMシステムズ(4820)|シェア4割超の制度需要を、優待つき現物で
🦦河内「1銘柄目。紹介記事のとおり、調剤レセコンで国内シェア42.8%=4割超の首位。国が法律と公費で医療DXを義務化する市場のど真ん中で、売上の5〜6割が月額課金のストック型。“平時でも確実にある需要”の見本みたいな銘柄です。特需の谷(Q1営業益▲86%)で売り込まれた結果、利回り4.56%まで高配当化しました」
🦩優田「持ち方は私から。この銘柄、2,000株までは現物で持つのがお得です。優待(カタログ選択式)は200株・1,000株・2,000株の3段階で、最上位の2,000株=5,000円相当。1年以上の継続保有が条件なので、現物でどっしり構えるのが前提です。配当4.56%+優待で総合利回りをきっちり底上げ——2,000株が”優待効率の上限”なので、現物はそこまでを目安に」
タウンズ(197A)|流行が来るまで、配当5.8%で待つ
🦦「2銘柄目。紹介記事のとおり、感染症の抗原検査キット(POCT)国内有力。検査需要は流行に連動する”波もの”ですが——だからこそ設計がシンプルです」
🐊待伏「待ち伏せ担当として言えば、これは”いつ来るか読めないイベント”を、利回り5.8%をもらいながら待つ案件。何かしらの感染症が流行れば、検査需要とテーマ性で跳ね上がる。新型でもインフルでも、波は必ずまた来る——時期だけが読めない。その待ち時間の家賃を、『28円以上』の累進配当が払ってくれる。跳ねるまで配当をもらって待てばいい、それだけです」
🦞「例の注記を再掲しておく。流行を期待する話ではない。検査需要が公衆衛生上の事象に連動する事業構造を、投資として評価しているだけだ。あとタウンズは資産の床がない(PBR3.2倍)から、張りすぎは厳禁——準主力3〜5%上限の規律は紹介記事のままだ」
ライバル陣営、乱入|「見通せないなら買うなよ!」
🦍テック番長「おいおいおい、聞いたか? 『専門家でも見通せない』って自分で言っちゃったよこの人たち! 見通せないなら買うなよ! 医療AIならもっと夢のある銘柄がゴロゴロあるだろうが!」
🧑💼沼田「番長、うちが買わないのは”見通せない部分”だけだ。治験の成否は見通せないが、高齢化は見通せる。新薬の当たりは読めないが、シェア4割超の首位に制度需要が集まることは読める。その”見通せる部分”だけで元が取れる値段まで売られた——だから買う。夢は買わない。構造を買う。夢を買いたいなら番長のところの株をどうぞ」
🐒レバナス小猿「ウキッ! でもさ、タウンズの『感染症待ち』って、来なかったら丸損じゃん! 何年待つ気だよ!」
🐝花岡「来なくても毎年5.8%入るんですよ、小猿さん。丸損になるのは”待てない金”で買った人だけ。待ち賃の出る銘柄を、待てる金で買う——それだけで、あなたの言う『来なかったら』は『来なくても年5.8%』に変わるんです」
🦅ドル建て鷹「フン……医療なら米バイオの方が翼が大きい。円建ての検査屋など、我が空域では小鳥だ」
🦉夜見「鷹さん、その大きな翼は治験の一発で折れる翼でもあります。こちらの小鳥は、診療報酬という国の止まり木に足がかかっている。翼の大きさではなく、落ちない高さを飛んでいるかで見るのがうちの流儀です」
🧘オルカン教祖「……ヘルスケアはセクターETFで持てば十分。個別株など煩悩です……」
🦞守田「教祖の言葉は、実は今日いちばん正しい釘だ。だからうちはタウンズを準主力3〜5%上限と決めている。個別の煩悩は、サイズの戒律で縛る——あんたの教えの、うち流の実装だと思ってくれ」
🦎日向「……今日も気づいちゃったんすけど、ライバルのツッコミに全部答えられる銘柄だけが、最後まで残ってるんすね。番長の『見通せないだろ』→見通せる部分だけで買う、小猿さんの『来なかったら』→来なくても5.8%、教祖の『煩悩』→3〜5%の戒律……」
🧑💼「そう。茶々は敵じゃない、無料の査読だ。全部に答えてから買う——それがうちの品質管理だよ」
持ち方の技|優待がなければ、信用保有も”利ザヤ”で十分あり
🧓野村「ふぉっふぉ、ここはワシの領分じゃな。優待のない銘柄(あるいは優待枠を超えた分)なら、信用で持つのも十分ありじゃ。算盤を弾こう」
💡 野村流・信用保有の利ザヤ算盤
・信用の買い方金利は年1.69%。錬金術の記事で書いたとおり、配当落調整金(税制面の目減り込み)を考えた損益分岐は配当利回り約2% ・つまり——タウンズの5.8%なら利ザヤ約3.8%、EMの4.56%でも約2.5%が、金利を払ってなお残る ・優待は信用ではもらえないので、EMの2,000株までは現物が正解。超過分や優待のない銘柄が信用の出番 ・波もの(タウンズ)は跳ねた時に機動的に外せるのも信用の利点
🦞「守田の釘は毎度同じだ。信用は下げ局面で追証という牙をむく。利ザヤが取れるのは”耐えられるサイズ”の時だけ。うちの流儀は低金利×中レバレッジ×高安全域——真ん中の”中”を忘れるな」
まとめ
🧑💼「整理しよう」
| 論点 | 結論 |
|---|---|
| 業界の前提 | 薬・バイオは専門家でも見通せない→薬の当たり外れに賭けず方向性・業界成長・シェアの構造だけで買う |
| チャンスの正体 | 補助金・感染症対策など平時でも確実な需要を持つ銘柄が、徹底的に売り込まれて高配当化 |
| EMシステムズ | シェア4割超×要塞財務の高配当。2,000株までは現物で優待もお得に |
| タウンズ | 累進配当5.8%で感染症の流行=跳ねる日まで待つ(準主力3〜5%上限) |
| 持ち方の技 | 優待がなければ信用保有も利ザヤ(金利1.69% vs 配当4.5〜5.8%)で十分あり——ただし中レバレッジの範囲で |
💬 沼田課長より 「見通せない業界に、見通せないまま賭けるのは投機だ。だが『高齢化と医療DXは止まらない』『国は制度と金で需要を作り続ける』『その需要はシェア首位に集まる』——ここまでは、専門家でなくても見通せる。EMシステムズとタウンズは、その”見通せる部分”だけで買える値段まで売り込まれ、おまけに高配当化した。ならばやることはいつも通りだ。EMは2,000株まで現物で優待ごと、タウンズは配当5.8%を家賃に流行の波を待つ。優待のない枠は、金利1.69%との利ザヤで信用も使う。複雑な業界でも、持ち方はシンプルでいい——構造で選び、利回りで待つ。それだけだ」
※本記事は感染症の流行を期待・推奨する趣旨ではありません。検査・医療需要が公衆衛生上の事象や制度に連動する事業構造を、投資の観点から分析したものです。
関連:EMシステムズ(4820)紹介記事/タウンズ(197A)紹介記事/建設の箱売りコラム/SaaSは本当に死んだのか?/野村の錬金術(買い方金利1.69%)