建設株は死んだのか?|原油高×資材高騰の一括売りで、『資材とほぼ無関係な銘柄』まで安くなっている——応用地質・第一カッター・TANAKEN・ダイケンを総合利回りをもらいながら買い下がる【バリュー投資コラム】
🧑💼 「この匂い、嗅いだことがある。『SaaSは死んだ』騒ぎの時と同じ匂いだ。市場がセクターの箱ごとまとめて叩き売って、箱の中の”無関係なもの”まで安くなっている——今度の箱は、建設だ」
何が起きているか|原油高 → 資材高騰 → 建設の箱ごとまとめ売り
🦉夜見「整理します。建設株は今、セクター全体がかなり割安な水準にあります。理由ははっきりしていて——原油高からくる資材不足と価格高騰。鋼材・生コン・木材・燃料が軒並み上がり、新築ゼネコンのコストを直撃している。だから市場は『建設=コスト高で利益が飛ぶ』と判断して、セクターごと売っています」
🧑💼沼田「その判断自体は、新築ゼネコンについては正しい。問題は売り方が”箱ごと”だということ。『建設』という分類に入っていれば、資材をほとんど使わない会社まで、同じ籠で叩き売られている。——SaaSの時、AIに食われない”深いIT”まで一括で売られたのと、まったく同じ構造だ」
🦎日向(見習い)「箱の中から、資材と関係ないやつだけ拾えばいい……ってことっすか?」
🧑💼「その通り。そして拾う基準はもう一つある。下値が堅く、配当や優待の総合利回りに満足できる水準であること。安くなった理由が”濡れ衣”で、待っている間の利回りが十分なら——買い下がりで丁寧に集めるだけの話になる」
どんどん集めたい4銘柄|資材の濡れ衣を着せられたインフラ株
🦦河内「というわけで、うちが『どんどん集めていきたい』と宣言する4銘柄を並べます。全部、紹介済みの銘柄です」
| 銘柄 | ランク | 魅力の軸 | 資材高との関係 |
|---|---|---|---|
| 応用地質(9755) | B+ | 優待込み総合利回り約5%×地質調査シェア断トツ首位 | 調査業=資材をほぼ使わない。国策予算はむしろ増額 |
| 第一カッター興業(1716) | B+ | 現金53%の資産バリュー×インフラ維持補修の安定 | 資材を積まず、資材高は「新設→更新」シフトで追い風 |
| TANAKEN(1450) | A− | 高成長(売上7年2.4倍・ROE16%)×配当4% | 解体は資材を買わず鉄スクラップを”売る”側 |
| ダイケン(5900) | B++ | 圧倒的な資産バリュー×長期ならA+級 | 建材の値上げ転嫁済み。そもそも資産で買う銘柄。→ アクティビスト参入で判定B→B++ |
🦫堀田「一つずつ、“濡れ衣”の中身を確認しよう」
🦫「応用地質——地面の下を調べる会社に、鋼材も生コンも要らない。むしろ国土強靱化予算はインフレ連動で名目増額され、盛土規制法で調査は法定需要化した。資材高はほぼ無関係、国策はむしろ追い風。そして優待の深掘りで見たとおり、配当4%+優待で総合約5%。うちは1,000株を上限メドに、現物でコツコツ集める方針だ。優待は継続保有1.1倍もあるから、現物で腰を据えるのが正解だな」
🦫「第一カッター——コンクリを切る・削るの専門工事で、資材を大量消費しない。それどころか資材高で”新しく造る”が割高になるほど、“直して長く使う”需要が増える——構造的に追い風側だ。時価総額の53%が現金という資産の床つき。インフラ維持補修という『終わらない需要』の上に座る安定株として集める」
🦫「TANAKEN——解体は資材を買わず、鉄スクラップを”売る”側。紹介記事で書いたとおり、資材高はむしろ順風なのに『建設株』の箱で叩き売られてきた。この4銘柄の中では唯一の”高成長枠”——売上7年2.4倍・ROE16%を、PER8倍・配当4%で拾える」
🦦「ダイケン——ここだけは建材メーカーなので資材の影響はゼロではありません。ただ、最大20%の値上げをすでに浸透させて転嫁済み。そして本質はそこじゃない。昭和取得の土地含み益42億+現金・有価証券45.7億——資産の合計が時価総額(約50億)をはるかに超える、圧倒的な資産バリューです。事業の損益より先に、バランスシートが下値を守ってくれる」
ライバル陣営、今日も乱入|「下がってる株には理由があるんだよ!」
🦎日向「……あれ、また会議室の外が騒がしい」
🐒レバナス小猿「ウキーッ! 出たよバリュー屋の得意技! 下がってる株を『安い安い』って拾うやつ! 下がってる株には、下がってる理由があるんだよ! 素直にレバナス買っとけって!」
🦞守田「小猿、今日のお前は半分正しい。下がっているのには理由がある——資材高だ。だからうちは、資材高が直撃する新築ゼネコンは1株も買っていない。買うのは、その理由が”当てはまらない”のに巻き込まれた4銘柄だけだ。理由を確かめずに拾うのは落下ナイフ掴みだが——理由を確かめて『無関係』と分かったナイフは、ナイフじゃない。ただの落とし物だ」
🦍テック番長「待てよ、地質調査だぁ? そんなもんドローンとAIで無人化されて終わりだろ! 古い古い!」
🦫堀田「番長、地面の下はドローンからは見えんのだ。ボーリングは物理で掘るしかないし、法律が要求するのは有資格者の判子と官公庁への入札実績——AIには判子が押せん。むしろ盛土規制法で”調査そのものが法定義務”になった。技術で消える仕事と、制度で守られる仕事の区別は、テックの人こそ得意なはずだがな?」
🧘オルカン教祖「……セクターの歪みを狙うなど、驕りです。市場は効率的。すべてはオルカンの中に……」
🧑💼沼田「教祖、いま『すべてはオルカンの中に』とおっしゃいましたね。——実は、この4銘柄は1株も入っていないんです。オルカン(MSCI ACWI)が拾うのは世界の大型・中型株だけで、時価総額50億〜660億円のこの4社はインデックスの網の外。つまりあなたの言う”効率的な市場”は、機械的な買いが巡回している網の内側の話で——買いが素通りする外側では、歪みが放置されたままになる。効率的市場の外側こそ、うちの猟場なんです。オルカンは否定しませんよ。オルカンが買えない場所を、代わりに買っているだけです」
🦎「ライバルの人たち、毎回ちゃんと痛いところを突いてくるんすよね……。で、その茶々がそのまま『買う前に確認すべきポイント』になってる。小猿さんの『理由があるだろ』→理由の中身を確認済み、番長の『AIに食われるだろ』→制度の堀を確認済み、って」
🧑💼「それが答え合わせだ、日向。ライバルの茶々に全部数字で答えられる銘柄だけが、買い下がりの候補に残る。答えられなかったら、それは濡れ衣じゃなくて本当に有罪ってことだからな」
買い方|下値が堅いから、買い下がりが”作法”になる
🦞守田「リスク番として、買い方を規律にしておく。この4銘柄に共通するのは——下値が堅い理由が明確にあることだ。資産の床(ダイケン・第一カッター)、稼ぐ力と配当(TANAKEN)、総合利回りと国策需要(応用地質)。だから下がられても怖くない。むしろ下がるほど利回りと安全余裕が厚くなる」
💡 「総合利回りで待つ」買い下がりの型
・配当・優待の総合利回りが”待ち賃”として満足できる水準にある(応用地質 約5%・TANAKEN 4%・ダイケン 約3%+α) ・下値は資産・収益の床が支える=買い下がりが怖くない構造 ・上は急がない。国策予算の執行、還元強化、決算、水準訂正——何かのきっかけで跳ねるのを、利回りをもらいながら待つ ・板の薄い銘柄(ダイケン等)は現況④の作法どおり、指値で少しずつ
🐝花岡「インカム担当として一言。この4銘柄、“待つこと”がそのまま収入になる設計が揃ってるんですよ。跳ねなくても利回りが積み上がる。跳ねたら儲けもの。買い下がって取得単価を下げるほど、待ち賃の利回りも上がっていく——バリュー投資の一番居心地のいい形です」
🧑💼「結論を宣言しておく。この4銘柄は、沼底バリュー商会として今後もどんどん集めていく。下値の堅さと総合利回りがある限り、下げは脅威ではなく入荷だ」
番外編|櫻島埠頭は『金融株』の引き出しで、利上げ局面に拾う
🐊待伏「最後に番外編です。先日紹介した櫻島埠頭(9353)も、インフラ×資産という意味ではこの仲間に見えます。ただ、うちはあの銘柄を”建設・インフラ株”の引き出しには入れません」
🐊「中身を思い出してください。時価総額43億に対して保有MUFG株が52億——実質は、UFJ株の含み益がメインの”金融株”です。大阪の物流インフラを土台に、UFJを常に2〜3割引で買える構造。だとすれば、動き方も金融株に連動するはず」
🐊「そこで面白いのが——金融株とみなして、PFのバランス調整の中で”利上げ局面”に拾っていくという持ち方です。金利が上がれば銀行株が買われ、MUFGが上がればこの会社のNAVが膨らむ。建設の歪みで拾う4銘柄とは、効く相場がまったく違う——だからこそPFの別の引き出しとして補完になる。……もっとも、板の薄さは4銘柄の比ではないので、あくまで少額・指値で、ですが」
まとめ
🧑💼「整理しよう」
| 論点 | 結論 |
|---|---|
| 歪みの構造 | 原油高→資材高騰→建設の箱ごとまとめ売り=SaaSの時と同型 |
| 拾う基準 | 資材とほぼ無関係+下値が堅く総合利回りに満足できる |
| 4銘柄 | 応用地質(総合利回り約5%・1,000株まで現物)/第一カッター(現金53%の安定)/TANAKEN(高成長)/ダイケン(資産が時価総額超え) |
| 買い方 | 買い下がりで丁寧に。利回りを待ち賃に、きっかけで跳ねるのを待つ=どんどん集める宣言 |
| 番外編 | 櫻島埠頭は”金融株”の引き出しで、利上げ局面に拾う |
💬 沼田課長より 「セクターの箱ごと売られる時、箱の中では必ず”濡れ衣”が生まれる。SaaSの時にNSSOLと菱友を拾えたのは、箱ではなく中身を見たからだ。今度の箱は建設。中身を見れば、資材を使わない調査会社も、鉄を売る解体屋も、現金と土地の塊も、同じ値札で売られている。しかもどれも、待っている間の利回りが出る。なら、やることは一つだ——下げは入荷と思って、買い下がりで丁寧に集める。跳ねるきっかけは国策でも還元でも水準訂正でもいい。それまでの家賃は、配当と優待が払ってくれる。沼底バリュー商会は、この4銘柄をどんどん集めていく」