コラム|銘柄ではなく「手順」を売ることにした。ブログの無料を1本も減らさずにnoteを始めた理由と、線の引き方【note開設】
🦎 「課長。最近、うちのブログ読んでくれる人、増えてますよね」
沼田「増えた」
日向「それで、noteで有料記事を出したって聞いたんですけど。ついに銘柄を売り始めたんですか」
沼田「売っていない。むしろ、銘柄だけは絶対に売らないと決めてから、何を売るかを考えた」
日向「順番が逆なんですね」
沼田「逆にしないと、たぶん間違える。今日は「何を売らないか」の話から始める」
🧑💼 売らないものを、先に決めた
沼田「売らないのは、個別銘柄の推奨だ。目標株価も、A++からBまでの評価ランクも、いま買えという判断も、金を取って渡すことはしない」
日向「でも、それがいちばん売れそうじゃないですか」
沼田「売れるだろうな。だから、やらない理由が2つあることをはっきりさせておく」
沼田「1つめは、法律の線だ。対価をもらって特定の銘柄の売買判断を提供すると、金融商品取引法上の投資助言・代理業になる。登録なしにやれば違法だし、登録すれば当商会は「投資助言業者」になる。うちがやりたいのは、それではない」
日向「じゃあ、いま無料で出してる銘柄記事はいいんですか」
沼田「対価を取っていないから成立している。逆に言えば、いま無料で出しているものに値札を付けた瞬間、性質が変わる。だから完全版レポート50本は、これからも無料のままだ。noteには1本も移さない」
日向「2つめは何ですか」
沼田「商品としての賞味期限だ」
🦉 推奨は腐る。手順は腐らない
夜見「ここは数字で言えます」
夜見「「いま○○を1,200円で買え」という情報の価値は、株価が1,400円になった瞬間にゼロになります。むしろマイナスです。買値がずれた読者は、書いた側を恨むことになる」
夜見「一方で「この会社の1株純資産の伸びが、本業から来ているのか、持っている他社株の値上がりから来ているのかを見分ける手順」——これは、株価がいくらになっても効きます」
沼田「同じ手順を、読者は自分のウォッチリストに通せる。うちが挙げていない銘柄にも通せる。そこが決定的に違う」
夜見「売り物として見たときも、手順のほうが誠実です。推奨を売ると、当たり外れの責任が売り手に残り続けます。手順を売れば、判断は買い手の側に残る」
日向「それ、突き放してるようで、実は親切なやつですね」
沼田「親切かどうかは知らん。ただ、長く続けられるのはこっちだ」
🐝 第1弾に何を選んだか
花岡「最初の有料記事に選んだのは、配当まわりの話です」
花岡「配当性向が低い会社は、長いあいだ「株主に還元しない怠慢な経営」として一律に減点されてきました。でも配当は、受け取った瞬間に20.315%が源泉徴収されます。社内に残れば、その課税は繰り延べられる」
花岡「1株利益100円で計算すると、配当性向10%の会社が生む株主価値は98.0円、性向80%なら83.7円。差は年17.1%です。これは経営が優秀だから生まれる差ではなく、国税庁への支払いを繰り延べているだけで生まれる差です」
日向「じゃあ低配当性向の株を買えばいいんですか」
守田「そこで止まると火傷する。低い配当性向はエンジンではない。増幅器だ」
守田「増幅する元の力、つまりROEが低ければ、留保してもただの死蔵になる。それに、もっと厄介な罠がある——「1株純資産が増えている」という事実だけを見て、複利が回っていると誤読することだ」
夜見「実際にありました。1株純資産が年率13.1%で伸びている会社を分解したら、伸びの大半が本業ではなく、保有している他社株の値上がりでした。それは複利ではなく、日本株インデックスの間接保有です。相場が下げれば、同じ勢いで逆回転します」
沼田「この2つを見分ける式が、1本ある」
理論BPS成長率 = ROE ×(1 − 配当性向)
これを計算して、実測のBPS成長率と突き合わせる。乖離が小さければ、本業の利益がそのまま積み上がっている(本業型)。大きければ、保有している資産の時価が膨らませている(資産型)。
沼田「この式そのものは、noteでも無料部分に置いた。金を払わないと式が分からない、という設計にはしていない」
日向「じゃあ有料の側には何が入ってるんですか」
沼田「式を、実際のスクリーニングに落とし込む手順だ」
- データをどこから取るか(株探の決算タブで足りる。有価証券報告書まで戻らない理由も書いた)
- 閾値をいくつに置くか(配当性向20%以下・PBR1.5倍以下・自己資本比率50%以上・時価総額50億円以上)
- 乖離を4パターンでどう読み分けるか(A本業型/B資産型/C目減り型/D死蔵型)
- 「資産型」をどう確定させるか(自己資本と剰余金の2列だけで分解できる。検算のやり方まで)
- 買ったあと、何を点検するか(見るのは株価ではなく、乖離の推移)
- この判別式が効かない会社(5つの除外条件。先に外さないと、式のほうが嘘をつく)
- 表計算の列定義と、判定を出す1行の数式(コピペで動く)
夜見「当商会が紹介した6社の全数値も入れてあります。日本ギア工業は理論10.8%に対して実測14.1%で乖離+3.3pt——本業型です。昭和化学工業は理論3.8%に対して実測13.1%、乖離+9.3pt——資産型でした」
花岡「その6社は、全社ともブログに分析記事があります。手法にお金を払う前に、その手法で実際に何をどう評価したのかを、無料で確かめられるようにしてあります」

🧘 乱入|「無料が痩せる。いつもそうだ」
🧘 「——待ちなさい」
オルカン教祖「私は、この手の「ブログが有料noteを始めました」を何度も見てきました。そして、そのあとに起きることも知っています」
オルカン教祖「有料商品を作った瞬間、無料記事の質を落とすインセンティブが生まれる。いちばんおいしい部分は有料へ回り、無料側は「続きはnoteで」の呼び水に痩せていく。読者は、無料だった頃の信頼を担保に、劣化した無料を読まされることになる」
日向「……これ、いちばん痛いところ突かれてません?」
沼田「痛い。そして、正しい。実際にそうなっている例を、私も知っている」
沼田「だからこの指摘には、気持ちではなく構造で答える」
夜見「当商会の場合、無料コンテンツそのものが商品の品質保証になっています。売っているのが手順である以上、「その手順で実際に何をどう評価したか」が公開されていなければ、買う理由がありません」
夜見「つまり無料を痩せさせると、有料の側が売れなくなります。無料の分析記事108本と完全版レポート50本は、呼び水ではなく実演です。実演をやめた実演販売から、誰も買いません」
沼田「具体的な約束として、3つ置いておく」
| 約束 | 内容 |
|---|---|
| 完全版レポート | 紹介45銘柄・50本はすべて無料のまま。noteへは1本も移さない |
| ポートフォリオと売買記録 | 保有166銘柄の全リストと、週ごとの売買記録は今までどおり全部出す |
| 答え合わせ | 紹介銘柄の検証は外した銘柄も含めて無料で出す。都合の悪い数字を有料側に隠さない |
守田「3つめが実質的な担保になる。直近の検証では、判定対象40銘柄の平均が+2.41%、同期間の日経平均+0.60%に対して超過+1.82pt、勝率67.5%だった。最大の外しは−20.8%だ。これも全部、無料の記事に書いてある」
オルカン教祖「……なるほど。答え合わせを無料側に置いた、というのは効きますね」
オルカン教祖「ただし私の立場は変わりません。大多数の人にとっての最適解は、こんな手順を覚えることではなく、全世界株を積み立てて放っておくことです」
沼田「それは同意する。この手順が要るのは、どのみち個別株を選んでしまう人間だけだ。選ばずに済むなら、選ばないほうがいい」
日向「……教祖、最後にいい仕事しましたね」
沼田「茶々は無料の査読だ。今日の指摘は、そのままチェックリストになる」
🦞 有料記事を買う前に、確認してほしいこと
守田「売り手が言うことではないが、言っておく。次の3つを先に確かめてから買ってほしい」
- 判別式そのものが、無料部分で読めるか。 読める。式が有料の向こう側にある商品なら、買わなくていい
- その手法で実際に評価した結果が、無料で確かめられるか。 数値を出した6社は、全社ともブログに記事がある
- 外した実績も公開されているか。 紹介45銘柄の答え合わせに、最大の外しまで載せてある
守田「3つとも確かめて、それでも手順が要らないと思ったなら、買わないのが正解だ」
日向「売る気あるんですか」
守田「当商会がいちばん嫌うのは、期待値のずれた買い物だ。それは株でも、記事でも同じだろう」

まとめ|線をどこに引いたか
沼田「今日の話を、一枚に畳む」
| 論点 | 結論 |
|---|---|
| きっかけ | 読んでくれる人が増えてきた。ただし増えたからといって、売るものを何にしてもいいわけではない |
| 売らないもの | 個別銘柄の推奨・目標株価・評価ランク。金商法の線であると同時に、株価が動いた瞬間に賞味期限が切れる商品だから |
| 売るもの | 判別の手順。株価がいくらになっても効き、うちが挙げていない銘柄にも通せる |
| 無料の範囲 | 分析記事108本・完全版レポート50本・保有166銘柄・週次の売買記録・答え合わせはすべて無料のまま |
| 有料の範囲 | 式を実務に落とす手順のみ。判別式そのものは無料部分に置いてある |
| 最大の批判 | 「有料を作ると無料が痩せる」——正しい指摘。当商会の場合は無料が実演そのものなので、痩せさせると商品が壊れる、という構造で答える |
💬 沼田より 「情報を売るという行為には、必ず利益相反が付いてくる。売り手は、買い手が満足したかどうかより、買ったかどうかで報われる。だから設計の段階で、自分の首を絞めておくしかないと考えた。売るものを手順に限れば、当たり外れの責任は買い手の判断に残り、こちらは「再現できるか」だけで評価される。答え合わせを無料側に置けば、都合の悪い数字を隠す道が塞がる。完全版レポートを無料のままにすれば、無料を痩せさせた瞬間に商品価値が落ちる構造になる。どれも善意ではなく、単に、そうしておかないと自分が楽なほうへ流れると思ったからだ。——読んでくれる人が増えたというのは、その分だけ、流れたときに迷惑をかける人数が増えたということでもある」
📎 note の第1弾はこちら 理論BPS成長率=ROE×(1−配当性向)を実測と突き合わせて、本業が生んだ複利と、市場が乗せただけの含み益を区別する手順書です。判別式・4パターンの概要・実例2社は無料部分で読めます。有料側にはSTEP 0〜7の全手順、実データ6社の全数値、私が踏んだ5つの罠、判別式が効かない会社、Excelの列定義と判定の数式、そして入力7項目で判定まで出る判別シート(Excel・記入例つき)を置いています👉 配当利回り0.72%の株が、1株純資産を年14%増やしていた(note・500円)
役割分担と、無料でどこまで確かめられるかは【note特設ページ】にまとめました。
関連:配当性向が低い会社は、いま静かに得をしている/紹介45銘柄を全部答え合わせした/先回りできる割安株のチェックリスト/配当シリーズ・あとがき
※本稿は投資助言ではありません。当商会は金融商品取引業者ではなく、対価を得て特定銘柄の売買判断を提供することはしません。noteで販売しているのは判別手順であり、個別銘柄の推奨・目標株価・評価ランクは含みません。記事本数108本・完全版レポート50本・保有166銘柄は2026年9月9日時点の実測値です。配当性向10%と80%の株主価値の差は、EPS100円・税率20.315%(特定口座・申告分離課税)という単純化した前提での試算であり、NISA口座や総合課税では結果が異なります。検証成績(40銘柄平均+2.41%・日経超過+1.82pt・勝率67.5%)は2026年9月7日終値時点、配当を含まない株価騰落のみの比較で、実際の建玉サイズは反映していません。投資はご自身の判断と責任でお願いします。





